UBC '08 Vol.11![]() UBC '07 出品目録 特集 机上のK.K氏 |
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2007.東京.町工場より
印刷解体Vol.3 LAST! 学校用品店 印刷解体2 印刷解体1 東京・山の手・昭和三代 11月29日更新 |
| BOOKSPRINTED MATTERA LA CARTE |
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■あれだけ暑かったのがウソのよう、季節は一気に秋めいてまいりました。まだ8月だというのに。でもこれでやっと、おツムを少し仕事モードに切り替える気になって、来週も店は火・木・土曜日の各日12時〜20時で営業いたします。赤い店もそう暑苦しくなくなってきたところで、ご来店をお待ちいたしております。
■負けても負けても尚あきらめず立ち向かうところにしか勝利は生まれないのだと、昨日のソフトボールの決勝戦を見て教えられました。単純なことほど忘れがちなのではないかとも。四年に一度という厳しさには比ぶべくもありませんが、しかし市場というもの、古本屋の日常にありながら、実はこれにちょっと似たところがあるように思います。今週はどうにも「買いたい」と思うものを見出せず、何故だか「買おう」という気持ちになれず、いやはや負けがこみました。辛くも落札できた新着品から、最初は昭和6年・白水社発行、スウヴェストル・アラン著、田中早苗訳の『幻賊』初版。「幻賊」の文字に振られたルビは「ファントマ」。そうです。これ、1911年にフランスで発行され、暗黒小説という分野を切り拓いたとされるマルセル・アランとピエール・スーヴェストル共著『Fantomas』の翻訳書です。7月19日のこの欄でご紹介した『恋愛株式会社』と同じ、フランス文学の翻訳と日本の仏文系の若い書き手の著作、そして新感覚派の創作などからなる書籍群の一冊なのですが、なかでは比較的見かけない本ではないかと思います。怪しげなカバーの下に、色面と文字だけで構成されたモダンな装丁の隠れた心憎い装丁は東郷青児の仕事。今回入手したのは残念ながらカバーや本の三方に難があり、いつか状態のいいものを手に入れたいものではあります。ところでファントマというと。高校生の頃、映画「オルフェ」で二枚目ド真ん中に刷りこまれていたあのジャン・マレーが、「何でまた、かようなB級映画に…」と茫然としたのが実は映画「ファントマ」でした。以来、私にとって「ファントマ」に良い印象なし。ところが改めて今回検索してみたところ、フランスでは初版刊行と同時に人気を博し、しかも知識人・芸術家たちに熱烈に迎えられ、アポリネールやピカソらは「ファントマ友の会」(!)を結成、戦前すでに無声映画にもなっていた……のだとか。またしても私に見る目がなかったのか。ジャン・マレーにとってのファントマ、もしかしたら名誉だったのかも。ゴムマスク姿でも。
■次はほぼ説明の必要もない戦前の商品パッケージあれこれ一箱から。「花王石鹸」は外箱のみ。トレード・マークの三日月小父さんはゲシゲジ眉毛。渋めの色でまとめられたアール・デコ調の箱は三越百貨店「Best Toilet Soap 御旅行用 御婦人用小型石鹸」。小ぶりなのは旅行に携行するためでしょう。さすがは三越、相当な富裕層を相手に商売をしていたものと見えます。赤椿のマークはシャンプーならぬ「資生堂歯磨(中煉)」でこちらは未使用・未開封。“香味極めて爽やか、御使用後に湯茶その他の味を損じない”と細やかな配慮を見せるのは裏面の能書き、さすがに試してみる勇気はありませんが。この他、「ミツワ」の石鹸ではなく何故か「Name Card」の空き箱や「明治チョコメリー」のパッケージ等、十数点での落札でした。新着品はこの他版画荘の詩集数冊等戦前古書十点弱、1970年代の雑誌『流行通信』十数冊など。また、今週はすでに展覧会図録、芸術・デザイン関係図書など「雑書目録」に新着品を50点以上アップしております。画像がまだ付けられずにおりますが、先ずは情報をご笑覧いただければ幸いです。さてさて来週は一体どのような新着品をご紹介できるものやら。どれだけ負け続けようがへこたれず、負けた札をも力に変え、入れるからには真剣に札を書き、どんなものであれ一つでも多く落札する。実に単純なこの積み重ねがこれまででありこれからなのだと−そんな大層なものではありませんが時にはアスリートの姿なんかも思い浮かべながら−ひとつの季節を見送り、そして新たな季節を迎えたいと思います。
■限度知らずのニッポンの夏、みなさまには残暑お見舞い申し上げます。小店、夏季臨時休業も今日までで、明日・8月16日(土)より通常の営業に戻ります。以後、来週も火・木・土曜日の各日12時〜20時でご来店をお待ちいたしております。また、HPの受注も再開いたします。併せてよろしくお願いいたします。
■さて、今週の新着品。上の図版は1939年の竣工・就航当時、大阪商船が発行した『あるぜんちな丸・ぶらじる丸』の豪華パンフレット。A4より一回り大きい程度のサイズですが、ほぼ全頁カラー・観音開き多数に加え、センター頁は観音開き+天地開き=表紙の8倍サイズで船内配置図詳細をフルカラーで収めています(上図はその一部)。客船内部の配置(位置、機能とも)については、これまで扱ってきた他のパンフに比べても非常に分かりやすく詳細に描かれています。上図を細かく見ていくと、周知のこととはいえ、それはもうあからさまに「船内は厳格な階級社会でありサロンである」というのが実感されます。両船とも設計は和辻春樹。「あるぜんちな丸」のインテリアは村野藤吾が担当、随所に「和」のモチーフが用いられ、ダンスホールにファンシーショップ(詳細不明)、パーマのかけられる美容室なんてものまであったという設備、柳原良平が絶賛したという優美な外観など、日本客船黄金時代の掉美を飾るに相応しい出来栄えだったようです。日本・南米間の貿易や移民などを担うために造船されたこの二船ですが、就航僅か数年、他の多くの豪華客船と同様に1940年代初めには相次いで海軍に徴用・売却され、軍用へと転用された後、敗戦前までに命脈も潰えてしまいました。思えば今年はブラジル集団移民百周年、そして奇しくも今日は終戦記念日です。
■次の新着品は、洋画家・宮田晨哉の旧蔵品と思われる戦後日仏美術交流に関わる資料一括から…と思っていたのですが、調べに少々時間がかかりそうなので、図版は夏季休業に入る前に店に入れていた『Motion Picture News』1927〜1928年発行内二冊から。毎号20頁を超えるフルカラー印刷(少なくとも特色印刷、号によっては石版か?)の広告が巻頭を飾ります。体裁としては雑誌なのですが、刊記を見ると月刊より短いペースで発行されていたのではないかと思われ、こうした図版も勿論、毎号掲載。この当時、世界共通・最大の娯楽産業だったことを考えると、この程度のことはへっちゃらなくらいお金があったんでしょうが。こうした表現はアール・デコを下敷きにしているのだろうと思うのですが、毎号、デザインを変更しつつ、号毎に表現に統一をもたせるなど、器用なところも見せてくれます。アメリカン・デコで有名なマッキントッシュによる雑誌『ASIA』と比べると、大衆向けのキッチュさは否めませんが『Motion Picture News』も捨てたものではなかろうと。一方で、毎号毎号「これでもか」という程、物量を見せつけるあたり、いまもむかしもアメリカらしいところかも知れません。アメリカの文明・文化に通じていた人たちの間では、アメリカとの戦争で勝てるわけないといわれていたと聞きますが、むしろこんなものばかり見ていたら日米開戦なんゾ…といったところで歴史は変えられませんが、これから先の歴史を作っていくのは他でもない私たちであることだけは間違いないのだと思う8月15日です。話は新着品に戻って、この他、ドナルド・ジャッド関係の書籍・図録他現代美術関係図書は値付けが終わって明日より棚入れ・データアップの予定、また、来週火曜日には五反田より約100冊ほど人文系、美術関係の書籍も入荷いたします。まだまだ残暑が続きそうですが、みなさまどうかご自愛の上、また店にもお越しください。
■暑さに加えて時に命の危険を感じるような雷雨。加えてオリンピックも開会。古本どころではない時節−というのを言い訳にして、明8月9日(土)、12時〜20時で営業した後、8月10日(日)〜15日(金)は店、ネットとも夏季休業をいただきます。どうかご容赦のほどお願いいたします。8月16日(土)からは通常の火・木・土曜日の週三日・各日12時〜20時で営業いたします。ご来訪を心よりお待ちいたしております。
■先週のダダカンから一転、今週の新着品一点目はエレガンス極まりない額モノ。ポール・ポワレの“マント・デュ・ソワール”をジョルジュ・ルパップが描いたファッション・プレート。額の裏側がテープで塞がれているため、プレート自体を確認できないのですが、キャプションの書体、プレートのサイズや紙質などから見て『ガゼット・デュ・ボン・トン』に収められていた一枚と見て間違いないでしょう。額の裏が開けられないのは困りもので、デジカメではこれが限界でしたが、実際にはこの画像の数十倍素晴らしい…赤と白と黒との目にも鮮やかなコントラスト、ゆったりとしたローブの流れを描いた繊細な線と極淡い白を刷いて表された模様、ローブと同じ赤の差された爪先等々…のは、やはり現物をご覧いただくしかありません。そこまでいうなら額からはずしなさいヨ、とはご尤もなのですが、ステンシルで彩色されたシックな花模様の額、溝をあしらうことでより立体的に見せるマットと、今回に限っては額装自体捨てがたいものがありまして悪しからず(ホントに手を抜いてるんじゃありませんてば)。ポワレ&ルパップという最強のタッグマッチとはいえ、フランスは1920年代にしてこの洗練。横目で見た2008年オリンピック日本選手団のユニフォームは……遥かな時を経ていまやカワクボ、ヨージを擁するに至った国としてはいかがなものかと思うのは私だけでしょーか。ヘルツォーク&ド・ムーロンは中国でもカッコいいけど。
■タダカンと『ガゼット・デュ・ボン・トン』。アナーキーと洗練。落ち着きどころを見出せぬまま、この両端の間を右往左往し続ける小店。なので。新着品二点目は金星堂「世界プロレタリヤ文藝選集」のうち、イレーツキイ著・工藤信訳『鼠陥し』と中島信訳『牢獄通信』(ともに昭和5年発行・初版)。後者の著書名は「政治犯十数人」。著者=政治犯。しかも十数人。頭数、正直不明。何といいましょうか、そこはかとなく迫力の漂う著者名です。他に類書はないかと、いまちょっと「日本の古本屋」でケンサクしてみました。「政治犯を救う会」はあっても「政治犯」というのは他にありません。残念です。横道にそれましたが、方や政治犯、方やイレーツキイ=「現代露西亜の傍系的戯曲家・小説家」を著者とするこの二冊、どちらも「革命ロシア」に対する批判の色濃い内容です。「プロレタリア」と冠しながら、「革命ロシア万歳!!」一色にならないあたり、とてもまともだと思います。このシリーズの内、以前扱ったアレクセイ・ガン著・黒田辰男訳『構成主義芸術論』も全く同じ装丁でしたが、この三冊に限っていえば、装丁者は図版に添えられた「ken」というサインでしか示されていません。巧みな図案と構図、バランスに優れたタイポグラフィ、二色印刷という制約の中でそれを効果的に活かしたデザインはかなりのものだと思うのですが、果たして「ken」とは一体何者なのか−既に目いっぱいの宿題に、もう一つ宿題を加えての夏休み突入です。ビンボー暇なし。誠に至言であります。
■8日(金)は神田・五反田と市場をハシゴ。五反田の落札結果は月曜日に判明します。この他、店には現代美術関係の図録・芸術論考各種図書多数入荷。来週金曜日にはそうしたもののなかからまた新着品をご紹介いたします。暑さ厳しき折、みなさまにはどうかくれぐれもご自愛くださいますよう祈念申し上げます。そして、楽しい夏休みを!
■みなさま、暑中お見舞い申し上げます。東京の真夏日連続記録はいつまで続くのでしょうか。さて、8月の営業ご案内。来週8月9日(土)までは通常の火・木・土曜日の各日12時〜20時で営業いたします。8月10日(日)〜15日(金)までは店、ネットとも夏季休業をいただき、8月16日(土)より、通常の火・木・土曜日の週三日・各日12時〜20時で営業の予定です。猛暑もオリンピックも関係ないという奇特な方のご来店を、当方一人汗をかきつつお待ちいたしております。
■今週木曜日、海藤日出男の断片でも掴めないかと遅まきながら手にした赤瀬川原平の『いまやアクションあるのみ!』を読了。海藤を追っていたはずが面白さに引き込まれ、また世界的に見た時の1960〜70年代初頭・日本美術界のもつ“特殊性”−建築におけるメタボリズムに似た−の指摘に目を啓かれました。ただ、絵画という平面枠を融解し、さらに美術館という空間からも溢れ出した赤瀬川いうところの当時の“熱情”の痕跡は、ほとんど残されていないというのも実感されました。さて翌8/1金曜日、いつもの市場の前半戦でのこと。何てことないタトウから「精神生理学研究所」という文字が覗いています。医学書のなかには非常に面白い図版が収まっていることもあるので、とりあえず見ておこうと未綴じのリーフを捲っていくと……松沢宥の名前が出てきて美術関係とはすぐ分かったものの、あとは不可解な写真や図版ばかり。後ろから二枚目のリーフに、やっと出てきた「研究所」の一覧を見ると、おっ前田常作。堀川紀夫も出てきちゃった…ああっ東野芳明まで…糸井貫二…ははは。さすがにそれは出来過ぎでしょ。しかしそれは間違いなくダダカンその人で - 画像真中、大阪万博・太陽の塔をモチーフとしたリーフには、文字白ヌキで「1970.4.27. 11:45 太陽の塔下全裸ダダカン走行成功」とありました。誰にも気付かれないようにそっとリーフを元に戻し、動揺を隠してそそくさと札を入れ、しかし落札の発声が聞こえるまでの長いことといったら…はいそれはもう。
お陰様で落手した『精神生理学研究所』は1970年の8月1日(落札日と同日だ!)、「東京精神生理学研究所」の発行。編集者は竹田潔、島村清治、稲憲一郎の3名。この研究所は、総勢15名の同人が指定された日時に「同時多発に行為あるいは無行為をもって参加する不可視的美術館」の名称で、指定された日時に行われた行為または無行為=「アクション」の報告書がこの落札品。リーフのなかには白紙もあって「無行為」までもが几帳面に報告されています。もちろん、「行為」の方はアナーキーからコンセプチュアル、あまりに日常なのものやいっそナゲヤリなのまで何でもあり。赤瀬川描いたところの生々しさは当品紙面ではいささか削がれた感はありますが、あの時代の物的証拠のひとつを我が手にすることができました。と、ここまで書いておいて本当に心苦しい限りですが、当品については1年以内を目途に発行を考えている自店目録発行まで、しばし手元に留め置かせていただこうかと。目録が計画倒れにならないように宣言を兼ねてのご紹介、どうか悪しからずご容赦のほど…。
■日本の美術界が奇妙な沸騰を見せていた時代は世界的に政治の季節でもあったわけで(このあたり我ながら強引な繋ぎっぷり)、フランスからこんなものを。ベトナム戦争当時のプロパガンダ・ポスターです。1960年代、パリで印刷されたもの。メッセージの発信元はどうやら南ベトナムの支援団体で、「共産主義者のベトナム侵略を食い止めよ」といったメッセージです。気になるのはこの図案、文字を日本語に置き換えると「まんま柳瀬正夢…」と思うのは私だけでしょうか。というより、世界中、いつの時代も何故プロパガンダ表現はこうも似てしまうのか、よぉーく考えてみると不思議です。赤と黒、荒々しく力強い線、視線を右上がりに誘導する構図等々、いってみれば「プロパガンダ様式」。これって一体いつ、どこで、誰が“発明”したものなのか、根っ子の部分が気になってきました。どこかに『プロパガンダ様式』という研究書はないものでしょうか。それにしても。振り上げる拳の先が、拳を振り上げる者より必ず大きな存在だった時代が−例え街中にポスター貼ろうが全裸で疾走しようが−心底健全に思える只今現在というのは一体…と長くなるのでこのへんで。今週はこの他、柳澤健著『紀行世界図絵』、柳亮『巴里すうぶにいる』等欧州紀行関係書5冊、『違星北斗遺稿 コタン』(昭和5年・元版)、何やら混沌とした紙モノがダンボール一箱入荷いたします。「雑書目録」には只今展覧会の目録を随時アップ中。こちらも併せてよろしくお願いいたします。
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