■1年を通してたった1度の“土日祝日関係なし・1週間ぶっ続け”営業期間であり、店をスルーした商品含め有象無象の雑書・紙モノをご覧いただく機会であり、さらにまた店主の顔色を気にせずあれもこれも手にとって吟味していただける絶好のチャンスともいえる「銀座 古書の市」。今年、第28回を数えた伝統の - といっても小店参加はまだたったの3回目 - 即売会も今週月曜日に無事打ち上げることができました。
搬入日前夜の雪に始まって、期間中ずぅーっと続いた厳しい寒さにも関わらずご来場下さった方々には、心より御礼申し上げます。ご来場、本当に有難うございました。ご注文品の発送や店の復旧作業もほぼ済ませて、明日からは何事もなかったかのようにまた店に戻りました。1週間皆勤で通した即売会とは違い、こちらは週に3日ではありますが、ご来店をお待ちいたしております。また、目録掲載品で在庫のあるものについては引き続きご注文を承ります。どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。何卒よろしくお願い申し上げます。
■今週の新着品は前回に続いて“長期熟成塩蔵品”からのご紹介。日本では、山口勝弘の著書『環境芸術家キースラー』で僅かに知られるばかりのフレデリック・キースラーによる『contemporary art applied to the store and its display』。1930年、アメリカ・ブレンターノ社の発行です。前にも後にも日本の市場で、少なくとも私自身が目にしたのは当品を落札した時の一度きりで、紛失を告げられた時からせめてこれだけでも取り戻せないかと何度願ったことか。改めてページを繰ってみて、天と小口ギリギリのところに組まれたテキストや天地左右いずれか一辺を断ち落としにした写真図版の扱い等、印刷工程でのリスクを顧みない大胆なレイアウト、世界各国から集められ厳選された図版に漲る緊張感などなど、バウハウス叢書を足場にしてキースラー流に深められた造本とエディトリアル・デザインで、記憶に深く刻まれているのも当然の完成度です。
著者であるキースラーはデ・ステイルのメンバーとして1920年代より展覧会や博覧会の装飾、舞台、ウィンドー・ディスプレイなどを多数手掛けましたが、まとまった書物の出版は当書が初めてだったようです。キースラーは当書のなかで、前衛芸術をモダニズム装飾の基本として位置づけ、彼の考える新時代のウィンドー・ディスプレイ、照明設計、グラフィック・デザイン、建築などを豊富な図版とともに示しています。
図版には、ピカソの絵画、バレエ・スエドワのための(!)レジェの衣裳、ヴェスニンの舞台装置から、B・タウトの建築、ミースの椅子、ツァイスの望遠鏡等の他、1925年パリ万博における展示設計や宣伝用印刷物の組版などキースラー自身の作品がかなり多く含まれており、アンビルドアーキテクトとして知られるキースラーの実作を知り、思想を辿る上で、おさえておく必要のある資料のひとつといえそうです。
■こちらもまた同じような装丁が施されており、バウハウス叢書というのが当時のブックデザインにいかに大きな影響を及ぼしたのかを思い知らされるわけですが、ブルーノ・タウト著『EIN WOHNHAUS』もまた、8年を経て帰ってきたなかの1冊。1927年発行の元版で、一応カバーも - 傷みばかりか欠けまであるのが残念ではありますが - 付いています。
内容はといえば世界的建築家ブルーノ・タウトが自邸を自身で設計して建てた際の建築設計と家具・インテリアデザインの記録をまとめた詳細な書籍でありまして、巻末にはカラーチップまで添えられています。タウトの自邸は、ラウンド型のケーキを6分の1に切り取ったような不思議なかたちをしています。この当時、タウトが労働者のための集合住宅に熱心に取り組んでいたことを考えると、自邸もまた、次なる集合住宅設計への足がかりだったかのように見えてきます。
この本、空白の8年以前は、市場で時々見かけることのできる本だったのですが、最近はとんとご無沙汰で、本当に久しぶりの入荷となりました。8年の歳月の間には様々な変化があったわけですが、しかし最も著しい変化と云えば、キースラーの生年月日や書誌を、或いはタウトが何年にどこにいて何をしていたのかを、私は机の前に座ったままどこに行くこともなく、目の前にある道具ひとつで瞬時に知ることができるようになったというところにあるのでした。便利になった分、今度は私の脳ミソの塩漬けが、ただいま着々と進行いたしております。いつになればかえってくるものやら。いやいやそっちはかえってこないって。
■そんなアタマでこんなところにもお邪魔することになりました。詳細はこちらから。下の方にある「展示関連イベント」がそれです。それにしても大丈夫なんだろーか。もちろん大丈夫、私以外は …… 。
■昨年来お世話になってきたステロイド剤から、今週初め、漸く卒業いたしました。ご心配下さった方々には心より御礼申し上げます。残る胃痛のタネは即売会の成績だけダ。というその即売会も目前に迫り、本日の更新はそちらに関連したお知らせをメインにさせていただきます。
■来週1月25日(水)より1月30日(月)まで、小店も年に一度参加させていただいている古書即売会 「第28回 銀座 古書の市」が松屋銀座8階イベントスクエアで開催されます。営業は各日10時~20時で会期中無休、最終日のみ17時半閉場となります。
このため、1月22日(日)より2月1日(水)までの間、店の営業、HPを通じた在庫品の通信販売、HPの更新などについてはお休みをいただきます。
会期中は全日、会場で目録品のお引き渡しやその他会場用商品の販売にあたります。会期中のご連絡は松屋銀座 03-3567-1211(代表)より「古書の市」会場経由で日月堂を呼び出すか、日月堂・佐藤の携帯までお願いいたします。
携帯の番号につきましては、ご注文いただいた方でご連絡の必要が生じそうな方々にはすでにお知らせいたしました。う。のはず。うう。のはずだがしかし。万一、まだお知らせが届いていない方がいらっしゃいましたら、大変恐縮に存じますがひとことお申し出でいただければ幸甚に存じます。粗忽者のことゆえ何卒お赦しの上、平に ……
■目録掲載品のご注文は、作業の関係上、できるだけ1月23日(月)の夕方までにご連絡いただければ幸甚に存じます。ご注文が重複した場合の抽選は翌日24日(火)、抽選結果をお伝えできるのは1月25日(水)会期初日以降となります。予めご了解いただけますようお願い申し上げます。
■合同目録のご郵送につきましては21日(土)お申し込み到着分、PDFファイルは23日(月)午前中いっぱいまでにお申し込みいただいた方までで一旦締め切らせていただきます。併せてご了解のほどお願い申し上げます(但し、切手を同封して目録をご請求下さった方には多少お時間がかかりますが追って郵送させていただきます)。
■経費や予算の関係から、どうしても値の張るものに偏りがちな目録とは別に、会場用商品には戦前の雑本から戦後の翻訳文学・雑誌まで、こちらは店頭に出すことのないまま即売会に直行するものが多く、また定価や相場に関わらず300円~500円を中心価格帯に割安感のあるものをと心掛けました。そしてもちろん、絵ハガキ、ラベル、古い地図やパンフレットなど紙モノも100円から、種類も量も豊富にご用意いたします。お時間がございましたらこの機会に是非、会場にもお運び下さい。ご来場を心よりお待ちいたしております。
左がヨゼフ・チャペック、右がカレル・タイゲ装丁によるチェコの本。J・チャペックのリノカットの表紙画は改めてそのよさを感じさせられました。帰ってきたばかりのこの2冊、即売会に連れていくかどうかはただいま検討中です。
■いまから8年ほど前、ある経緯から某業者さんにお預けし、その後紛失したと云われてすっかり諦めていた洋書の一群がありました。いい本なのに自分の力では売れない- 複雑な思いでお預けした本だっただけに、紛失を告げられた時にはむしろ自分の力不足を情けなく思ったものです。それが思いがけず、この度無事戻ってきたではありませんか! というわけで、今週は、8年にわたり塩漬けにされていたダンボール箱の中から2点を、新着品としてご紹介させていただくことにいたします。
悲しむ人・祈る人の姿をリノカットで表紙まわりに配したタイトルのない小冊子は『IN MEMORIAM JOSEFA CAPKA 1945』- 1945年 プラハ刊 初版 ノンブルなし、中綴じ(針綴じ)24P。チェコの重要なアーティスト、ヨゼフ・チャペックの作品集。表紙の図版の他、6点の復刻作品を所収(内1点はカラー)。扉の1点はチェコ語に訳されたアポリネールの詩に着想を得ています。
『Listy z vyhanstvi』- 1946年 プラハ刊(再版か) フランス装、156P余。第二次大戦下の技師を描いたエゴン・ホストヴスキーの文学作品。装丁はチェコ・アヴァンギャルドの担い手の一人で、タイポクラフィーやフォトモンタージュに優れた作品を残すカレル・タイゲによるもの。裏表紙に英文書評誌掲載の梗概、論評有。
それぞれの解説は、8年前の納品時に商品に添えた内容を基にしています。流行りのチェコの本なら売れるだろうと買い、まだインターネットがいまほど頼りにならなかった時代に、苦手な外国語を何重にも迂回して、売るための言葉を捜し出すのに悪戦苦闘していた頃の、つまりは売るために必死だった頃の、記憶ごとまるまる塩蔵されていたというわけです。それからの歳月が古本屋を少しは洗練させたのか著しく堕落させたのか、そのあたりのご判断についてはみなさまひとりひとりのご判断にお任せするとして、来週は場所を移し、景況も販売力も販売努力も8年前よりずっとずっとずうっと昔に巻き戻して、古本屋という名の商人としての、最善を尽くしたいと思います。
それでは銀座で。お目にかかれますように!
■正月気分もすでに完全にけし飛んで、1月25日(水)よりスタートする「第28回 銀座 古書の市」の準備を続けております。「古書の市」の目録や会期など詳細については<こちら>をご覧いただければ幸いです。散々ご心配をおかけした 慢性じんましん ですが、こちらも来週月曜日でステロイドからの離脱も叶いそう。気持ちも新たに即売会に向かいたいと思っておりますので、ご注文・ご来場のほど、何卒よろしくお願いいたします。
■即売会用に商品が抜けていくスペースを新たな品物で埋めるべく、一方では市場での仕入れも続けております。今週は、東洋趣味とアメリカン・デコを大胆な構図と華やかな色彩感覚で融合させたフランク・マッキントッシュの表紙イラストで知られる雑誌『ASIA』25冊、明治期の石版刷りで可愛いというよりコワイ顔をした「子供風俗画」シリーズ3セット、1960年と1970年の安保闘争関係の写真集・報道資料など8冊などが入荷、安保関係から選んだのが最初の画像、濱谷浩著、安保に反対した人々のうねりをとらえた『写真集 怒りと悲しみの記録』です。河出書房新社より昭和35(1960)年の発行で、当品は比較的状態のよい帯がついていました。荒々しい動きを潜める深い黒色が印象的です。
巻末に綴られた濱谷の文章を読んでいると、戦後10年を経て依然癒し難い戦争の傷、権力への不信、権力がふるう暴力への徹底的な嫌悪が、学生から市民までに共有されていたことがうかがえます。
安保闘争にせよ学生運動せよ、何か青臭い、一時の勢いだけの運動として - とくにその後に続く悲惨な運動の破たんを予め知ることのできた世代としては -正直にいって嫌悪に近い感覚でしか見られなかったものですが、最近のネット上での憎悪の共有、或いは集団における排除の同調、そして3.11以降の原発に対する不思議な寛容などといったものと比べると、ここに記録された、おそらく多くは普通の人たちの「怒り」というものが、いかにまっすぐでまともなものだったのか、思い知らされるような心地を覚えます。日本人は正しい怒り方をもう一度取り戻した方がいいのではないか。気が付くと、そんなことを考えながら眺めることになった写真集です。
■日本がそうした怒りに包まれることになった前年・1969年のロンドン。ハノーバーギャラリーではマン・レイの作品展が開催されました。タイトルもそのまま『MAN RAY』という、その個展の際の図録が今週の2点目。絵画13点と彫刻・オブジェ10点の出品リストを蔵する図録には、カラーを含む17作品の図版が収められていて、オブジェの写真の一部はマン・レイ自身によって撮影されたものであることから、結果として、マン・レイの写真作品をも収めたものとなっています。B5程度の枡形と比較的小ぶりの図録ですが、表紙と止め具はアルミを使用、厚手のアルシュ紙を本文用紙に使い、三方を黄色で枠状に染めたとても洒落た造本です。
■来週も即売会搬入直前にして、市場には出掛ける予定。ステロイド離脱の成否を含め、また一週間後にご案内させていただきます。さてさて即売会の用意、いまもまだ紙モノの束が私の目の前に………。
『華包』明治44年 芦田春寿著 大日本華道遠州流報恩会仮事務所発行 木版刷29丁 折方図解を含む。「のし」にこんなにたくさんの色と折りかたと意味とがあったとは。ひとつの文化として充分成熟していたはずのものが、いまはもう失われたも同然であることをこの1冊から教えられました。
■今日はまだ辛うじて2012年の松の内。 ならば ――
新年明けましておめでとうございます
2012年が、穏やかな日々の積み重ねのうちにすぎゆく1年でありますように
そして昨年 有形・無形の被害を被った多くの方たちの上に一日も早く安寧が訪れますように
―― 『華包』よりたくさんの熨斗を添えて、先ずは新年のご挨拶を申し上げます。
このHPをスタートして以来、新年のご挨拶もこれで5回目となりました。
大岡山から移転してきた表参道での営業も、お陰さまで今年の5月で10年目に入ります。
この10年の間には、情報環境の急変とそれを受けた商環境の激変があり、リーマンショックを契機とした世界金融危機はいままた深刻さを増しています。そうした中、極々小さい商いとはいえ、何とか古本屋を続けてこられたのもお客様皆様のご支持 - マーケットに対応する器用さを持たない小店への、いくばくかの共感もしくは同情といったものもそこにはあるように思われて、ますます身が縮こまります - によるもの以外の何ものでもありません。このような場しかないことを申し訳なく思いますが、年頭にあたり改めて心より御礼申し上げます。本当に有難うございます。
そして昨年。3月11日を境にして歴史が一変したあの日からこのかた、例年以上にご心配をおかけし、さらに年の後半は 慢性じんましん が長びくことで余計なご心配の種まで撒き散らす始末、原発に対して何の疑問も持たずにいた自分の認識の甘さを含め、実に、誠に、慙愧に堪えない1年でした。
想像していた以上に多くの方から労りのお言葉をいただいた じんましん ですが、ステロイドの内服は続いているとはいえ、お陰さまで今月半ばには軽い薬に切り替えられそうです。どうかご安心下さい。
1996年11月の開業から数えれば、あと5年弱で古本屋稼業も20年となります。電子書籍など本をめぐる環境の激変をある程度想定内のこととして心得ておく以外、この大きな「時代=歴史」のうねりがこれから5年という時間のなかで一体どんなふうに降りかかってくるものなのか、日月堂という古本屋がその間にどんな姿をとることになるのか、あるいはきれいさっぱり消え去っているのか、何をとっても未だ想像すら叶わぬ2012年の年頭ですが、まずはこの1年、変わらぬご厚誼を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
『こうりん模様』上下2冊も今週の新着品 奥付欠のため断定は避けねばなりませんが、おそらくは明治40年に芸艸堂から発行されたもので、現在手にしているものは解説が欠落しているものと思われる他、残念ながら上巻の裏表紙が欠けています。但し、中面は虫喰やシミなどのない良い状態です。云うまでもありませんがこちらも2冊全編木版多色刷。
■今週は新着品のご案内に代えて、当面の予定を申し上げておきます。
*店は4日に営業を再開、本日7日(土)以降しばらく、いつもどおり、というのはすなわち週三日ではありますが、営業いたしております。ご来店のほど、何卒よろしくお願いいたします。
*早いところでは昨日6日に入手された方もいらっしゃるようですが、1月25日(水)から30日(月)まで松屋銀座で開催される即売会『第28回 銀座古書の市』の目録が出来、明日以降、店頭でお渡しすることができます(無料)。ご希望の方は店頭でお申し付け下さい。
「ゆうメール」によるご郵送希望の方は、「ゆうメール」送料290円分の切手を必ず同封の上、封書でお申し込み下さい。また、今回当HPへの目録アップはいたしませんが、ご希望の方には1月12日以降、小店当該ページのみPDFファィルでお送りいたします。
目録ご郵送、PDFファィルでのご案内のいずれもご希望の方は標題に「第28回 銀座古書の市 目録希望」とお書きの上、①お名前(フルネーム)、②メールアドレス、③ご連絡先お電話番号、④ご住所を必ずご明記の上、封書またはメールでお申し込み下さい(①~④のいずれかが欠けている場合には、ご返信申し上げかねる場合がございますので予めご了解下さい)。お申込いただいた方には折り返しご連絡申し上げます。2012年の行方を占う即売会、目録商品のご注文や会場へのご来場など、みなさま何卒よろしくお願いいたします。
*可能な限り2月に決行していたパリ出張ですが、今年は体調のこともあり、後ろ髪を引かれる思いで見送ることにいたしました。体調やユーロ圏の様子などを見ながら、年内に一度は海外出張に出たいと考えています。
■今週の新着品は画像の2点の他、19世紀末~20世紀初頭・フランスのインテリア写真プレート集5冊(大判)、マッチ製造メーカーの英文パンフレット(マッチラベル現物貼込有)やマッチ商標登録簿など6冊、児童教育用の古い教材・イラストプレート集(英語)等が明日には店頭に並びます。
■ただいまステロイド3mg/1日で8日目に入りました。抗ヒスタミン剤との組み合わせでこの数日は安定しております。来週以降、何mgで越年することになるのかは主治医の先生のご判断次第ですが、お陰さまでいまは かゆみ もすっかり抑えられております。震災直後にいただいたメールをはじめ、思えばご心配をおかけすることの多い2011年でした。みなさまの温かいお気持ちがどれほど有難く、心強く感じられたことか知れません。みなさま、この1年、本当に有難うございました!
■クリスマス・イヴに、本年ラストの更新です。イヴ前日の23日は小店にとって市場もこれで打ち止めとなる「明治古典会クリスマス大市」でした。本気で入札する腹積もりでいた『蒼ざめた童貞狂』は1ページ補修があり入札を見送り、かなり状態のよい『死刑宣告』の再版一本に絞って満身の札で挑むも、8,990円差で落札できず。前回、やはり2番札に甘んじた時よりさらに6万円上乗せしてこの結果、久しぶりに本気で悔しい思いをしました。
がしかし一方で、入札するか見送るか、迷った末に札を入れたウィリアム・モリスのケルムスコット・プレス刊本があれよあれよと次々に落ちて、出品されていた5冊の内4冊を落札。ケルムスコットはもうお腹いっぱいです買えませんと思っていたところへ、何と落札できなかった1冊を買い引かれた荷主さんから、荷主さんの買い引き価格でいいから買っておきなさいいいものだからめずらしいでしょと半ば、というかほとんど強引に購入を決められて出品されていた5冊全点がただいまワタクシの手元にあるという …… 嬉しいんだか苦しいんだか、いや苦しい一方なのだけれど、兎も角も年末に突然の「ケルムスコット・プレス祭」みたいになっちゃったな。という感じです。画像にとってみると何だかクリスマスにぴったり! とちょっといい気分になったりしたもののしかし想定外の買い物である。と考えていても仕方ないので、とりあえず落札品のラインナップをご案内しておきます。
アルフレッド・テニソン著『MAUD , A MONODORAMA』はヴェラム革装・タイトル背金箔押、小口平紐付で1893年限定500部の発行。章頭に飾り文字と装飾図案を配置。
同じくヴェラム革装・タイトル背金箔押の小型本『HAND & SOUL』はダンテ・ガブリエル・ロセッティの著書。1895年、限定300部発行。ケルムスコット・プレス刊本としては唯一、シカゴの流通業者を通じてアメリカの読者に向けて販売された模様。
以下3冊はブルーの厚紙表紙で背に布を使った装丁。『THE TALE OF THE EMPEROR COUSTANS AND OVER SEA』は1894年、フランスの古い物語をウィリアム・モリスが英訳し、限定525部を発行。王の物語と異国の物語に分け、それぞれに見開きの扉が綴じ込まれています。
ウィリアム・モリスの著書『GOTHIC ARCHITECTURE:A LECTURE FOR THE ARTS AND CRAFTS EXHIBITION SOCIETY』は1893年、1,500部発行。章頭飾り文字のみで、ケルムスコットらしい扉がこの本にはないのが惜しまれます。
『of the Frendship of Amis and Amile』もフランスの古い物語をウィリアム・モリスが翻訳、1894年に限定500部を発行。
2冊目から5冊目までは、通常のサイズの二分の一ほどの小型本。5冊ともほぼ全ページ黒・赤の2色刷りで、装飾の異なる章頭飾り文字が配されています。
改めて5冊を並べて眺めてみれば、深いスミの色味、タイポグラフィ、印刷の圧力など、ケルムスコットならではの何ともいえない魅力を再認識することになりました。だがしかしこの5冊。5冊も来てしまったところで完売する日は来るのだろーか。
■画像2点目は古い羽織紐。日月堂は間違いなく古本屋である、そうに違いないのですが、それはともかく羽織紐が古い木製や紙製の芯の使われた糸やその他の手芸用品とともに入荷、これはなかなか面白いものが入っていそう。抽象図形を組み合わせたカラフルかつ洗練された恩地孝四郎装丁の戦前の教科書16冊、戦前海外映画俳優の絵葉書・ブロマイドがファィル1冊+しばり1本、雑誌『それいゆ』は創刊号や藤田嗣治の表紙絵の号を含む10冊、、大正~昭和初期=モボ・モガを彷彿とさせる帽子のカタログ類が10余点、露西亜を含む『現代建築大観』7点など、残り少ない営業日のなか、明日はこうした新着品が店に届きます。
■今週半ばまでにアップを宣言していた先週の新着品、ようやくお約束が果たせました。ここからひとつ前、12月17日付の方もご高覧いただければ幸いです。
■年内営業日時については、お手数かとは存じますがこのページの左上、「営業日案内」をご覧下さい。何卒よろしくお願いいたします。
色々なことがあった2011年だけに、せめてクリスマスは楽しく、そしてお正月はしみじみと、どうかお元気でお過ごし下さい !
■ただいま12月17日・土曜日の0時過ぎ。小店あるじときたら「もーだめ。バテバテ。疲労困憊。」などと弱気なことばかり申しております。ま、確かに今週は外出続きで、店に出たら出たで仕事山積問題出来その他諸々、ためにぎりぎり終電に飛び乗り帰宅、その後深夜の夕食というのも一再ならず、従ってクスリ切れ - って云ってもステロイドのことですよステロイドね - が度々重なり、結果、今週半ばから再び湿疹が姿を現し始め、状態としてはそうですねぇあまりよろしくないのかも。ここで本年最後の追い込みを計らないことには年越しも覚束ないというのに、そうでなくとも多分に問題ではあるんですが、そこはそれ、ぐぐっとコラエて - 本日は本式の更新を見送って、そろそろ休ませていただきます。
戦前~終戦直後の東京関係書籍9冊、戦前左翼系書籍を含む2本口、台所から文具まで戦前のチラシ・カタログが1袋、『海軍写真帖』『北海道の展望』『海軍大壁画史』など戦前の大判ビジュアル書8冊、あの手この手とひたすらお金儲けのことだけをとり上げ続けた戦前の雑誌『新職業』11冊などの他、画像とともにご紹介する新着品は、誠に恐縮ではございますが週明け月曜日または水曜日までお待ちいただければ幸甚に存じます。
■ふとんにもぐり込む前にもう一つだけ。来週、店の営業はいつも通りの火・木・土曜日のそれぞれ12時から20時となります。但し、12月20日(火)は留守番を残して夕方まで、店主は席をはずすことになります。また、年内の営業は翌週27日(火)の12時~20時と、28日(水)の12時~17時まで、となります。年内、店の営業も残るはわずか。ご多忙の頃かとは存じますが、色々あった2011年の締めくくり、お時間を見つけてご来店いただければ幸甚に存じます。
寒波到来、寒さも一入の夜です。みなさま、どうかあたたかくして「 お休みなさい ! 」。
■12月24日 追記 : 今週半ばまでにはアップしますと書いておきながら、お断りもしないまま放置してしまいまたが、先週の新着品より2点、本日やっと画像をアップいたします。
1点目は『METABOLISM / 1960 都市への提案』。1月15日まで森美術館で開催されている「メタボリズムの未来都市展」によってようやく全体像が掴めるようになったメタボリズム - 若き建築家たちによる戦後日本の都市の復興と発展への壮大なビジョン - の初めの一歩とでも云うべき書物。1960年、美術出版社の発行です。
2点目は6冊ほど入荷した洪洋社の『建築写真類聚』より『商店建築』。大正5年=1916年の発行で、資生堂、御木本、白木屋、三越など都市のランドマークから、貸家付の商店など変わり種や個人商店を含め、震災前の貴重な建築物の写真50カットが収められています。
『商店建築』から『METABOLISM~』まで、経過した時間はといえばわずかに44年。この2点を続けざまに見ると、半世紀にも満たない歳月の間に、少なくとも建築界ではこれほどラジカルな変化がもたらされたのかと、思わず唸ってしまいます。で、私も現在、半世紀もすれば色々なものが確実に変わるのだということを、当事者の身をもって学習中だったりもいたします。40~50年のもたらすものというのは、なかなかにすごいもんです。はい。
あ。忘れるところでした。画像をとっておくのを忘れてしまったのですが、『人と物の世界 - 世界インダストリアルデザイン会議録』も入ってます。