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12/05/12 バルビエを見て堪能した方に、買えるバルビエ、ご用意いたしました。1936年 ベルリン・オリンピックの記録写真も入荷。

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オレンジ色のキャビネットの上に置いた 『ガゼット・デュ・ボン・トン』1913年のルパーブ、1914年のバルビエ、1924-1925のマルティとバルビエ 左下 バルビエの『今日の幸福~』右上 サティの署名とマルタンのプレート 下中央『フイエ・ダール』で最も有名なルパープのプレート

■GWは目黒、中村橋、竹橋方面と4つの展覧会を見て資料を買い、とりあえず「ドーバーストリート・マーケット ギンザ・コム デ ギャルソン」を見に行って何も買わず、というよりひとつ買えるわけもなく、昔務めた会社の古い仲間たちとおそらく十数年ぶりに会い、衣替えなどしているうちにあっという間に過ぎてしまいました。今週よりすでに通常営業に戻っておりますが、来週はたちまちちょっとスケジュールにイレギュラーにところが生じまして、何ともご不便この上ないことになってしまいます。5月15日(火)は年に一度の「東京洋書会大市」が開催されるのに合わせ、店は臨時休業させていただきます。どうかくれぐれもご注意下さいませ。あ。本日土曜日は営業いたしております!
来週の店の営業日は17日(木)と19日(金)の2日間。そして、翌週22日(火)と併せた3日間は、臨時休業日の分もいろいろとりかえすべく、こちらの企画 → 「リュシアン・ヴォージェルの仕事から - バルビエ、ルパーブ、マルタン、マルティとパリ・モードの時代 」に全力投球いたします。展示受注会の中心となるのは、20世紀はじめ、豊な発想と抜群のセンスによって、雑誌というメディアをモードやアートの発信源へと変革した稀代の出版人 リュシアン・ヴォージェルが残した下記1~4の仕事です。

1. ジョルジュ・バルビエやルパーブの華麗なファッション・プレート多数を含む『ガゼット・デュ・ボン・トン(Gazette du Bon Ton)』特別号を含む21冊
2. 『スポーツと気晴らし(Sports et Divertissements)』 シャルル・マルタンのフルプレート・ヴァージョン エリック・サティよりペニョ氏に宛てた献呈署名識語入
3. バルビエの最高峰の画集のひとつに数えられる『今日の幸福 あるいはモードの魅力【現代モードの美】(Le Bonheur du Jour ou Les Graces a la Mode)』 大判16プレート綴込
4. 『ガゼット・デュ・ボン・トン』をアート寄りに編集した雑誌『フイエ・ダール(Feuillet d'Art)』ルパーブ他ポショワール・プレート入特別編集号
この他、アンドレ・マルティの挿絵本、1925年パリ万博当時のインテリア写真プレート集や同時代フランスの石版刷・テキスタイル図案プレートなど、すべて当時発行された関連商品を展示販売いたします。
販売方法について『ボン・トン』誌については1913年発行分6冊、1914年発行分6冊、1924-1925年発行分9冊で、各年度毎の一括注文を優先とし、一括でのお申込みがなかった場合はバラ売りにいたします。このため、会期中は一括、バラ売りともご購入希望商品についてエントリーをお受けし、エントリーが重複した場合は抽選とさせていただきます(エントリー締切=5月22日午後8時)。

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ベルリン・オリンピックの記録写真より 『体操詩集』を思わせる写真も。右上の写真の裏には「東京招致が決まった日」とメモ書きされています。

1~4の主な受注商品の価格については、会期スタート日以降、店頭で表示すると同時に、個別のお問い合わせについてもお知らせいたします。どうぞお気軽にお尋ね下さい。
その他の店頭即売商品については書籍で数万から、バラ売りプレートは3,500円前後からご用意いたしております。
また、『ボン・トン』と『スポーツ~』など1~4の商品については、会期終了後のお引き渡しとなります。
練馬区立美術館の「鹿島茂コレクション2 バルビエ×ラブルール」でバルビエに魅入られたという方! ガラスケースや額縁に遮られることなく、ポショワールや手彩色、或いは版画の繊細な技を間近に見て、しかも購入できる機会は少なくともここ日本ではそう多くはないようです。そして、エリック・サティが古くからの友人・ペニョ氏に宛てた直筆署名入に至っては、当然ながら世界じゅう探してもこの1冊きりという天下一本。
この機会に是非ご来店下さいますよう、何卒よろしくお願い申し上げます!
■今週の新着品からは、1936年ベルリン・オリンピックの記録写真が百十数枚。ベルリン大会の次、1940年の開催地が東京に決まっていたこともあり、ベルリン・オリンピックについては東京大会の施設計画委員長に就いていた岸田日出刀はじめ、関係各界から日本人が視察に派遣され、それによって日本国内にもたらされた資料も比較的多く残っているという印象があります。また、それらを利用した出版物も散見されることになるわけですが、今回入荷した写真も、なかに入稿時の指定がトレペの上から書き込まれているものが混じっていることから、出版物への利用を前提に、岸田はじめ大江季雄、村社講平など関係者が撮影した写真 - 几帳面なことに、写真の裏面に各々撮影者の名前が書き込まれています - を広く集めておいたものではないかと推察しています。いや、もしかしたら何らかの刊行物の中に1冊まるごと一致してしまうものがあったりして … と不安半分でしたが、可能な範囲で調べたところでは、『第十一回オリンピック大會と競技場』や『第十一回オリムピック大会写真帖 : Berlin 1936』にほぼ一致しそうな写真が何点かあるものの、視点や構図が異なるものが多いようです。ちょっと安心。資料的な意味をもつことは勿論ですが、素人写真にしてはみなさんなかなか達者なお陰で、1枚の写真として見た時の存在感も立派なもの。建築物、選手・競技など、いくつかに分けてテーマ別に販売する予定です。
今週はこの他、同じくベルリン・オリンピック関係の洋書5冊、明治期の国語国字問題への解決策を示した早稲田大学生の著書『大日本改良文字』雑誌『劇場街』10冊、『バックミンスター・フラー』他建築・美術関係洋書3冊大正時代のエンタイヤ1束などが店に入ります。

12/04/28 今週はお知らせだけでもヴォリュームが。新着品は、食料品関係商標スクラップ・ブックと和菓子の意匠。

■ずぅーとせわしなく働いている気がするけれど、がしかし仕事らしい仕事になってないというのに、無体な、と思うくらいの早さで時間ばかりは経過してゆき、今年ももうゴールデンウィークではありませんか。あぁ。しかも、ゴールデンウィークが明けると、実は色々とスケジュールが入っていて、今週も先ずはもろもろご案内から。名古屋活版さんについてはその後もはっきりしたことが伝わってこず、まだまだやるべきことはあるのですが、今週はひとまずおいて。
GW中の店の営業は明日4月28日(土)と5月1日(火)のそれぞれ12時~20時時間は未定ですが5月2日(水)も店内作業を予定しております。5月2日(水)ご来店の場合には、必ず事前にお電話で在席をご確認下さい。4月29日、30日および5月3日(木)~5月7日(月)は連休をいただき、5月8日(火)から通常営業に戻ります。GW中は、いま一度スケジュールご確認の上、ご来店いただければ幸甚に存じます。
『森羅万象ミクロコスモス  ルリユール、書物への偏愛  Les fragments de Mの試み』がいよいよ5月10日(木)より、ギャラリー册・千鳥ヶ淵で開催されます(会期は6月9日・土曜日まで)。これは、伝統的な皮革製本術を日本、フランス、ベルギーで学んだ3人の製本家と、フランスで箔押しを専門に習得した1人の箔押し師からなるユニット Les fragments de M による作品展。会期中、「書物に溺れて」と題した特別企画 = 古書・古本の展示・販売に古書往来座さんとともに小店も参加させていただきます。小店からは、製本芸術関係書、愛書狂がつくった書物、書物狂に関する本、そして本棚関係の古い商品カタログなど、“書物をめぐる書物”を出品する予定。

けれどそれは二の次三の次、先ずは卓越した技術によって裏打ちされた豊な発想と優れたセンスあふれるルリユール作品を、会場に居る4人のMの誰かに導かれつつ子細にご覧いただける貴重なチャンス、こればかりは是非、お見逃しになりませんように!
5月12日(土)には、オープニング・レクチャーとして鹿島茂教授による「私の愛書歴と、ルリユール」も開催されます(有料)。詳細は、必ず下記のサイトでご確認下さい。
 【 ギャラリー册 】  【
レ・フラグマン・ドゥ・エム 】 
小店展示即売企画『リュシアン・ヴォージェルの仕事から - バルビエ、ルパーブ、マルタン、マルティとパリ・モードの時代 』は5月17日(木)から。これが本年上半期小店の最大の山場、険しかろうな、の峠越え、となるはずなのですが、詳細はこちらの見た目小さいスペースで。必ず!お見落としなきよう!!ご覧いただければ幸いです。
■続いて6月5日(火)からは、西神田のスタジオイワトで『内澤旬子のイラストと蒐集本展』がスタートします。会期は16日(土)までで、内澤さんがこれまで描いてきたイラスト原画を本邦初、販売しようというもの。内澤さんの直筆原画としての価値はいうまでもなく、『本に恋して』『印刷に恋して』など、そこに残された入稿作業の痕跡含め、今後消えゆく産業や技術の精細な資料としての意味をもつのではないかと思うと、実は古本屋としても目が離せません。
私がお手伝いさせていただく「蒐集本」では、牛の血を固めて作った変わり種から螺鈿やレリーフの施された袖珍本サイズの祈祷書を中心に、韓国の古活字本、挿絵が面白い和本、ご自身が手掛けた手製本まで、バラしてしまうのが惜しいユニークなコレクションをこちらも放出、販売。1冊1冊、旅の記念に、あるいは文字や組版に関する興味で、など、「何かしら絶対に理由があって買ったもの」と仰る内澤さんには、是非そのお話をお聞かせ願いたいというので、6月6日(水)午後6時半より、内澤旬子さんによるブックガイドが実現することになりました。日月堂はこのブックガイドの聞き手を務めさせていただきます。参加費2,000円(1ドリンク付)で要予約25人のみで、残念ながら4/28で満員御礼となりました。悪しからずご了解いただけますよう…。

いやはや長い。現在午前1時40分でやっと新着品。以下、走ります。1冊の表紙に「レツテル ドンナレツテル?」と墨書きされている食品関係を中心とした戦前の商標スクラップブック2冊(但し1冊は貼込点数少々)。三越、高島屋、白木屋、中村屋などの各種食品、森永コーラス、キューピーマヨネーズ、カゴメケチャップなどの古ぅ~いラベル、パイナップルやマンダリンオレンジなど缶詰の腹巻、ベリージャム、バタピーナッツ、チョコレートなどいずれも高級食品のオンパレードに混じって、ハムライスの素(別メーカーで数種有)、ジミール入サンドウヰツチ(それって何?)、詰合わせパン、白魚紅梅煮、うづら山吹漬15羽入!串刺焼牛肉!!小鳥照焼特製10羽詰!!!なんていうのまで出てきて、日本人たら一体何を食べてきたのか興味は尽きません。それにしてもこのスクラップ帖の製造者、これだけ贅沢なものを食べていたら痛風か何か患っていたんじゃないのと思って見ていると、出てきました。「築地新薬研究所 メットーゲン 糖尿病内服薬」のラベル。吉備団子や羊羹のと並んで。こうなると、糖尿病もまた蒐集趣味の一環のように見えてくるのでした。どれも見事なデザインです。
■個人的についつい手が出てしまうお菓子の意匠集。10冊まとめて出品されていた内、全点多色木版刷の2冊を画像にとりました。左側の3点が昭和4年、右側が大正14年、ともに東京下谷・吉川梅次郎商店の発行です。季節や干支をモチーフに、抽象化されたデザインは、実に完成度の高い見事なものばかりです。
連休が明けると、スケジュール的に見て自分でもあっと驚く綱渡り状態ですが、いずれも要注目。みなさまのご来場、ご参加をお待ちいたしております。あ。もちろん、ご購入も、何卒よろしくお願いいたします。

12/04/21 活字文化を支えてきた「活字」そのもののひとつの危機について。今週はお知らせを中心に。

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2012年4月17日(火) 中日新聞より 写真は名古屋活版地金精錬所で。 

■今週最初の新着品は文字通りニュース。いえこの記事を売るわけではありません。「活字」をめぐる現況についてのご報告とお願いです。というのも、おかしい。絶対におかしいと思うからであります。一部ではあれ、活版印刷に注目する人が増え、Adanaや手フートの一般の人の需要が途切れることなくあり、体験講座などもさまざまな形で開催されているというのに。和文から欧文まで、さまざまな書体、あらゆるサイズの活字について鋳造から販売まで、国内で最も豊富に供給してきた「名古屋活版地金精錬所」が、現在、廃業の危機にあり、しかも直近の6月には最終的な態度を決めるのだと云って、現状や経緯がつい先日、中日新聞に取り上げられたというのに。ネット上では全くと云ってよいほど話題になっていない! 大事件だというにも関わらず。これはおかしい。
故障した時に部品だけでも取れるようにと集められた活字鋳造機、晃文堂の欧文活字を含む貴重な字母(母型)の数々、印刷機・ハイデルベルグ、そして、これらを扱うのに必要な技術と経験まで-ここが廃業することで失われてしまうモノとコトとを考えると眩暈を覚えます。「名古屋活版」1社がなくなることで、本のタイトルから見出、本文とルビ、脚注など、全て活字で組んだ書籍がつくれなくなる可能性も指摘されています。国内にはまだ数社(おそらく2社ほど)、活字の鋳造・販売会社は残りますが、その最大規模の拠点を失うことの打撃は計り知れません。和文だけで考えても、ひらがな、かたかな、漢字を必要とし、さらに英語をはじめとする欧文各種、記号や罫線など、他の言語と比べても複雑で多様な体系からなる日本語の活字一式、もしいったん失われたならば、それを復興しようという試みが、合理性と経済効率を重んじる我が国のこと、後の時代に起こるとは思えず、ましてや他の国で起こるはずもなく、ということは二度と取り戻せなくなるのだと腹くくるべき事態がもう目と鼻の先に迫っているのだということです。近代から現代へと連なる日本の言論活動、創作活動を支えてきたインフラの喪失 - これはもはや事件と呼ぶに相応しい事態ではないでしょうか。そのことがほとんど話題にもなっていないということ、そして一方で「名古屋活版地金精錬所」さんの経営努力についても、打つ手は全て打ったのかという問いがどうしても残ることからすれば、喪失あるいは消失もまた単なる当然の成り行きとして受け止めるべきなのかも知れませんが。

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左横3点が1970年夏号=万博特集号 右上と中段が同年春号の万博特集 2冊とも写真は石元泰博 下段見開きは1972年夏号より石元の写真が効果的に使われている特集

廃業か否か - 6月には結論づけられるというそれを、一体何が決定づけるのか、あくまで私企業の経営的判断に委ねられている限り、それは当然ながら経済的事由に基づくはずです。けれど、この場合の経営的判断の先には、経済効率だけに回収されてしまっては具合のよくないものまで含まれてしまっています。「名古屋活版地金精錬所」の経営を適正な経済の軌道に乗せる、或いはある種の権威のもとに経済からひきはがし、別の文脈に付け替える--
2004年から06年にかけて、「印刷解体」展によって活字・活版印刷を商売のネタに利用した小店のささやかな責務として、時が差し迫る中、どこかの回路に繋がる可能性が出てきてくれないかと念じています。
研究者、研究・教育機関、企業はもとより、起業家から単なる道楽者(残念ですがお金持ちに限ります)、NPOの設立などアイディアと実行力をお持ちのかた、通信販売のことならウェブの立ち上げから発送業務まで手弁当で請け負いますよという猛者、薄給でも自分は活字に関係して生きて行きたいのだという方まで、我こそはという方がいらっしゃいましたら、是非ご一報下さい。果たして私たちの力で先方ときっちり結びつけることができるかどうかは未知数ですが、アドバイスだけでもいただければ大変助かります。そこまでは無理でも、手にしてみたいと思っていた方は活字を買うこと、売れそうなところがあれば、その場所をご教示下さい。そして、現状をひとりでも多くの方に知らせていただくことです。何卒よろしくお願いいたします。
今週の新着品は1970年代前後~1990年代に発行された企業広報誌の大口から中面写真のほとんどを石元泰博が手掛けて一際目立つ竹中工務店発行『approach』より、画像は1970年の春号と万博特別号、石元写真・真鍋博文による特集「音のしない建築現場を見た」所収1972年夏号の3冊。竹中工務店なだけに建築物や都市を取り上げる比重が大きく、なかでもEXPO’70の特集は、竹中が関係したパヴィリオン毎に、その特徴を捉えた石元の写も見事です。『approach』は全部で50冊前後、この他カラープランニングセンター発行『色彩情報』が創刊号から約50冊、日立の英文PR誌『age of tomorrow』が約30冊入荷いたします。

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こちらも復活戦に参戦予定 バルビエの『今日のモード』 プレートにバラせぇ~バラせぇ~というお客様の念を感んじながらまだバラしたりはいたしません。はい。

■この他、度外れて生真面目な細かいメモが可笑しみを誘う渡航記録、不思議な食べ物の存在が証明されてしまう商標スクラップは、ともに近々、このページか、あるいは別の場所でご紹介いたします。
先週お知らせいたしました、『カゼット・デュ・ボン・トン』と『スポーツと気晴らし』を中心とする展示即売企画『リュシアン・ヴォージェルの仕事から - バルビエ、ルパーブ、マルタン、マルティとパリ・モードの時代 』は5月17日(木)、19日(土)、22日(火)の3日間、小店店内で開催の予定です。お値段については会期直前まで目安となる価格帯でのお答えとなりますが、販売方法やお支払い方法と併せ、詳細決定次第また改めてお知らせいたします。また、会期前に商品の下見をご希望されるお客様は、必ず事前にご連絡下さい。尚、下見をご希望のお客様で小店名簿にご登録のない方には名簿へのご登録をお願いいたします。予めご理解を賜りますよう、何卒よろしくお願いいたします。
■実は、facebookを始めました。「古書 日月堂」のと店主個人名のと並行して。がしかしまだほとんど手つかず、とくに店の方など、自分のイメージする“完成形”を確認しながら作業するのが難しいようで、HPとどうも勝手が違いとまどっています。「それはひとつ見てみようか」なんて思っていただけるとしたらもちろん大変有難いことなのですが、できることならせめてもう少しマトモな格好が整ってからにして……なんていうのがヤブヘビだって。

 

12/04/14 5月に店内展示即売企画準備中 『ガゼット・デュ・ボン・トン』21冊、『スポーツと気晴らし』マルタンのポショワールプレート20葉、そしてサティ直筆署名入り 一挙入荷

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『ガゼット・デュ・ボン・トン』誌の附録として添えられた豪勢なファッション・プレート 左上 アンドレ・マルティ 左下 バクストが描いて異色=イラストというより美術 中上下 ルパーブ 左上中下 ジョルジュ・バルビエ 下段見開きは彩色前のプレート付き

■ポスターとチラシで小店店頭でもご案内させていただいておりますが、今週日曜日より、練馬区立美術館で『鹿島茂コレクション2  バルビエ×ラブルール展』がスタートしました。 昨年夏に入荷、以来、案の定小店在庫として動く気配がピクリとも見えないジョルジュ・バルビエのポショワール画集『Le Bonheur du Jour ou Les Graces a la Mode』- 邦題「今日の幸福 あるいはモードの魅力」、「現代モードの美」と訳されることも - をこの機に乗じて何とか売れないものかとムシのよいことを考えていたところに、バルビエはじめ同時代のイラストレータの作品を多数含む !  20世紀最大のモード雑誌 !! 『Gazette du Bon Ton』!!! が21冊 !!!!! と小店ではいまだかつてない一挙大量入荷となりました(上の画像はその一部)。
さらに。これまた昨夏、シャルル・マルタンのポショワール・プレート1葉付きのヴァージョンが入荷、こちらも現在まで小店でベンチを温めてくれている - つまり在庫のまんまということです。はい。 - エリック・サティ小曲『SPORTS & DIVERTISSEMENTS』の、今度はマルタンのポショワール・プレート20葉を収めたヴァージョン!! しかも、サティの直筆献呈署名入!!! (下の画像はその一部) が同時に入荷いたしました。今週は、小店にとってはニュースと呼ぶに相応しい新着品です。
さて、ここまでの商品となりますと、何とか売れないものかしらなんていう受動的な態度をすかさず改め、売るゾ売らネバと途端に肩に力が入るから現金なものです。実際のところ、『ガゼット・デュ・ボン・トン』も『スポーツと気晴らし』もでるだけ速やかに現金に換えないことにはワタシク食いっぱぐれかねません。
というわけで、急遽、ゴールデンウィーク明けの5月中に、『バルビエ×ラブルール展』との“勝手に連動企画”として大胆にも小店単独で『リュシアン・ヴォージェルの仕事から - バルビエ、ルパーブ、マルタン、マルティとパリ・モードの時代 』(仮)をキャビネットや壁面を使って開催する方向で準備に入ります。リュシアン・ヴォージェルの名前は当HPではお馴染みかと思いますが、『ボン・トン』誌の発案・創刊、『スポーツ~』の企画・発行など、1910~20年代のパリで活躍した稀代の出版人。練馬区立美術館でご覧になったジョルジュ・バルビエをはじめ、同時代のイラストレーターたちによるポショワールのプレートを、そのものずばりではないかも知れませんが、表参道では実際に手にとりお求めいただけますよ - という趣向です。

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『スポーツと気晴らし』より 上左 エリック・サティの直筆献呈署名 中4点 シャルル・マルタンによるポショワール・プレートより 右下 奥付

開催時には先の『Le Bonheur du Jour ou Les Graces a la Mode』や『SPORTS & DIVERTISSEMENTS』の簡易版、マドレーヌ・ヴィオネのメゾンの広告、マルティの挿絵本など、小店在庫品から関係商品をピックアップし、併せて展示販売いたします。
会期や販売方法、価格帯など、詳細決定次第、またこのページでお知らせいたします。恐れ入りますが、いま暫くお時間をいただけますようお願い申し上げます。
■再び商品のお話に戻りますと、今回入荷した『ガゼット・デュ・ボン・トン』の内訳は第一次大戦前の1913年発行・全6冊、1914年発行・全6冊、第一次世界大戦中の休刊をはさんで復刊された1924-25年版1~6、8、9号および7号 = パリ万博特別号『Le Pavillon de l'Elegance』9冊。浅学寡聞にして知らず、彩色後のプレートに、線描だけの彩色前のプレートをつけて収録した1914年の第6号特別号1冊は初見で、ポショワール技法による彩色がいかに表現に奥行きを与えるかがなるほど一目瞭然です。1913年と1914年の各々6冊揃には、それぞれヴォージェル社製の専用函つき。バラで売るべきか、折角の揃い、発行年毎に一括で売るべきか、どちらの可能性も捨てずに済む販売方法を現在思案中でありまして、下見ご希望のお客様にも、どうかいま少しお待ち下さいますようお願いいたします。
『スポーツと気晴らし』のシャルル・マルタンのフルプレート揃いヴァージョンは限定215部の発行。上製ポートフォリオ入り、サティの楽譜20葉にマルタンのポショワール20葉、扉、作品リスト(目次)、奥付各1葉の全43葉で、サティの署名は扉にあたるリーフの余白部に記されています。署名に添えられた日付は1923年1月5日。発行後、長らくサティの手元に置かれていたものでしょうか。“古くからの友人 エリック・サティ”より、当品が贈られた相手の名はPeigno。いくつかの傍証から、あの活字製造販売会社ペニョ社の三代目、シャルル・ペニョと見て間違いないようです。
革新的な才能をもち、その後の20世紀音楽に大きな影響を与えながら、残されたエピソードは可笑しいような切ないような、不器用な姿ばかりが浮かんでくるサティ直筆入り、献呈先も含めれば後にも先にもこの1冊限り …… かと思うと売りたいような売りたくないような。いえいえ、売ってなんぼの古本屋、売らねば!
■今週はこの他、戦前の写真関係書籍・冊子がしばりで4本分ほど、田中一光宛て・倉俣史朗署名入り『倉俣史朗 1967-1987』などが明日には入荷いたします。

12/04/07 包装紙コレクション ライト館当時の「帝国ホテル」から新宿角筈「中村屋」まで 選りすぐりの17点

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向かって左が帝国ホテル、右が白木屋の包装紙 いずれも薄い紙が使われてれてるだけに、これだけの状態で出てくるのは稀なことだと思います。

■春の嵐が日本列島を駈け上がった後、東京ではようやく桜の花が開きました。店の近く、青山墓地の通り抜けの道沿いの桜も、この週末が見頃になりそうです。
来週、4月の11日(水)・12日(木)は、2年に一度、東京で開催される「全古書連大市」の入札~改札当日となります。古本業界でも電子化が進み、この市場では組合初となる「電子入札」が全面的に採用されます。これにより、11日(水)に現品を確認・入札しておけば、翌日の改札時間ギリギリまで、パソコンまたはスマホがあればどこからでも入札も札を改めることもできることになりますので、12日(木)は余程のことがない限り、店は通常営業する予定でおりますが、万一のことがございますので、この日にご来店される場合には、念のため、お電話で在席をご確認下さいますようお願い申し上げます。尚、10日(火)、14日(土)は通常営業いたします。ご不便をおかけいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。
百科事典は、大変申し訳ございませんがお引き取りできません。有名な作家の巻数の多い全集は、ご期待されている金額には程遠いとお考え下さい。世界の名画など、美術全集も運ぶだけでかえって処分費がかかる場合があります。はい? ならどういうものを残せばいいんだ? ですか。そうですよね。ご質問、ご尤もです。本屋がこんなことを、できることなら云いたくはありませんが、いまの時代、大きくて立派で、普通なら先ず絶対に捨てないようなものは、換金も、どこかで活かせないかとお考えになるのも、できればお諦め下さい。お客様にとっていらないものは、ほかの多くの方たちにとっても、必要がないケースが多いのです。それよりむしろ、とるに足らないもの、一見みすぼらしいもの、薄っぺらいもの、人に全然知られていないような人たちの名前しか出てこないもの … そうなんです、普通なら人が真っ先に捨ててしまうようなものこそ、お捨てになる前に是非拝見できればと思います。もしかすると、驚くようなお値段になるものも出てくるかも知れません - これは冗談でも虚構でもなく、2012年現在、日本の古書組合で開かれている市場の実状から、最大限、お客様のお役にたつための、ご蔵書・紙モノの整理の際のアドバイスです。今週の新着品は、そのよい一例となりました。
戦前の、というのは即ち、フランク・ロイド・ライドによる「ライト館」当時の、ということになりますが、その戦前の帝国ホテルの紙モノ関係では、崔承喜出演のクリスマス・ディナーショーの番組(プログラム)、絵葉書などを扱ったことがあり、市場ではパンフレット数種を目にしていますが、これは今回が初見、従って初入荷となったのが、画像の「包装紙」です。「ライト館」の建築に見られる煉瓦づくりの色、視線を横方向に誘導するようなテクスチャーを包装紙のデザインに応用。上下の植物意匠も、当時の輸入壁紙のデザインに同じようなものが見つけられそうです。オレンジ色に贅沢な金色を配した包装紙は、帝国ホテルの格とイメージに非常によくマッチしていて見事。包装紙が建物を想起させる、そんな力さえ持っています。

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上段左より 資生堂、中村屋、高野果実店 下段左より 伊東屋、美津濃、文房堂

お隣は百貨店「白木屋」の包装紙。「日本橋」と並んで「大塚」とあることから、白木屋大塚分店が開店した昭和12年以降の戦前もので、日本橋白木屋の第二期と大塚分店の2店を設計した石本喜久治の建築意匠に統一したかのような、直線とアールを組み合わせたモダンなデザインです。漢字と欧文とで記された「白木屋」の文字、キャッチフレーズ「最も買ひよき店」などタイポグラフィは、時代的には先行した『マヴォ』など、前衛芸術の流れ汲んでいるようにも見えます。
■あんまり面白いので包装紙が続きます。相馬愛蔵・黒光夫妻の「新宿角筈十二番地 中村屋」はカリーやボルシュなど喫茶部のメニューから、和菓子、洋菓子、パン各種まで、商品のラインナップと価格が細かく記載された機能重視型。いまとなっては貴重な資料です。同じ新宿からは「新宿駅前 高野果実店」つまり高野フルーツパーラー。こちらは端整な洋風デザイン。大正12年、ベルリンから帰国した村山知義が帰国後初の個展を開き、前衛芸術運動のスタート地点となった神田「文房堂」は表現主義風の格調高くこなれたデザイン。銀座と丸ビルに店を構えていた「伊東屋」は明るくメリハリの効いた米国風のタッチ。「美津濃」のデフォルメされた身体表現はどこかアーペンコの彫刻やシャルル・マルタンのイラストを思い出させたり。「資生堂の包装紙は、こちらはいまさら言うまでもありませんね。
これら画像にとったもの以外に、「東京 神田 三省堂」「新宿駅前 紀伊国屋書店」「丸善株式会社 神田支社」「花王クリーム」フロアガイドを兼ねた「三越呉服店」そして「東京 銀座 松屋呉服店」などを含む“選りすぐり”の17点、いずれも経て来た時間を思えば状態もよく、何より「よくぞいままでとっておいて下さいました!」と - 誰が何を云っても、普通ならとっくに捨ててますって - 旧蔵者の選択眼と慧眼とに感服しきりです。これらの包装紙の主たる会社や商店のほとんどが、いまも存続しているというのも、思えばすごいことではありませんか。たかが包装紙?されど包装紙!なのです。
今週はこの他、北川健次氏の写真、コラージュ作品6面(額装済オリジナル作品6点)が明日入荷。来週は全連大市ですが、一方で、明日から始まる“「鹿島茂コレクション2  バルビエ×ラブルール」に勝手に連動企画 (もちろん仮) ”なども思案中、もしかしたら楽しいお知らせをお届けできるかも知れません。乞うご期待!

12/03/31 ニッポン建築1960~1970年代 -『黒川紀章の作品』vs 『TAU』

■海藤日出男という人のことは、現在地への店舗移転の際の目録をはじめ、これまでも何度か触れてきましたが、もうひとり、この人も私の頭のどこかに居座っていて、市場で、入札用の封筒に「浅田孝旧蔵」と書かれているのを目にした時には、いよいよ来たかと身構える気持ちになりました。誰よりも大きな結構を、いち早く構想しながら、自らが表に立つというより必要な才能を見出しては動かすことで、確実に時代を動かした人 - 海藤日出男と浅田孝との共通点を挙げるとすれば、こうした表現になりましょうか。それにしてもこれはかのセルジュ・ディアギレフにも通底することに違いなく、人を振り回すどころか自営業者になってからでさえ何故だか使われているような気がすることが間々ある小店店主、こういう方々が相当羨ましいと見えます-つったってあなたウツワがちがうはウツワが !
それはさておき。心もち前のめりで「浅田孝旧蔵」を見ていったわけですが、浅田孝らしい・だからこそ・といった品物・はほとんど見つけられず、一部に「環境デザインセンター」の蔵書印が押されているのを除くと、「浅田孝旧蔵」の痕跡などほとんど残されていません。それでも内容と、浅田←→著者の関係で、これだけはと思った3冊を落札。最初の新着品はその内の1冊です。
『黒川紀章の作品』は書店用のスリップまで残されていることから寄贈された可能性を思うのですが、宛書きも署名もなし。ポスターを拡げて見た形跡も、一柳慧作のレコードを聞いたような様子も全然なし。自ら恃むところ厚く、狷介とも伝えられる浅田の人となりから考えて、1970(昭和45)年の発行から42年の間、棚に差されたなり顧みられることもないまま放置されていたのではないかと勘繰りたくなりました。
肝心の書籍の内容ですが、昨年から今年初めにかけて森美術館で展覧会も開かれた「メタボリズム」をテーマとしたもので、カプセル、プレハブなど空間に対するアプローチから未来の都市やネットワークに関する考察とメタモルフォーゼの概念、そして実作まで、1959年から1969年までの実質10年の間に展開された黒川の思考と実践をまとめたもの。メタボリズムという概念は、石造りで数百年の寿命をもつ建築物に囲まれたヨーロッパなどとは決定的に異質な、日本独自の建築思想であり都市構想だとする指摘もありますが、近く開催が噂される海外での日本建築展でも重要なテーマのひとつになることが推測されます。そんな折の浅田孝旧蔵書の出現は、このあたりの事象がいま刻々と“括弧つきの歴史”の中へと組み入れられつつあることを、強く印象づけるものでもあります。
おっと。忘れるところでしたが、サイエンスとサイケデリックの融合で有機的世界観を表して達者な装丁とエディトリアル・デザインは粟津潔によるもの、そして発行は美術出版社です。
浅田孝旧蔵書からは他に『現実と創造 1946-1958』『建築と都市』という丹下健三の著書2冊が入荷いたします。

黒川のメタボリズムとほぼ同時代の、けれど思想としては、黒川以下メタボリズム・グループが万博に重要な位置を占めるなど体制派だとすれば、こちらは反体制思想に立った、摩訶不思議な建築関係雑誌、『TAU 現象としての建築雑誌 創刊2号』。TAUは「TRANS-ARCHITECTURE & URBAN」の略で、1973(昭和48)年に商店建築社から発行されています。B4判の大型ビジュアル雑誌で、編集人はこの当時とっくにSF評論を始めていた - そして数年前には毎日新聞社を辞めていた - 石川喬司。全112Pの紙面は、どこも細部までびっしり視覚&言語情報を詰め込んでおり、しかもどこまでが原稿でどこからが広告か判然とせず、けれど細部に目を凝らせば、木村恒久だとか「遺留品研究所」だとかいうクレジットが散りばめられ、「アポロ☆月着陸船 Eagle」100分の1の紙模型やペコちゃんポコチャンとフランスキャラメルのキャラクターの女の子のとても奇妙なコラージュがあり、一体何がやりたかったのか完全に「建築」から逸脱し、むしろ時代批判の色が濃く、と同時に当時の前衛芸術運動の影響を強く感じさせます。
巻末8Pにわたり横浜の水上生活者=当時追われつつあった人たちに取材、自らも船での生活を決めていた上里義輝の「横浜ノアの箱舟」という記事が、写真やスケッチ、そして体制に向けて痛切な文章とで掲載されています。故人でありいまは“伝説的存在”とも呼ばれる上里氏の船は、関根伸夫など美術や建築に関わる若者たちのたまり場にもなったそうですが、私は子どもの頃、横浜の運河沿いに見た達磨船の記憶を呼び覚まされました。昭和はもう遠い昔になりました。
■今週は他に戦前の渡航記録写真帖から戦後昭和20~30年代の自動車ショウやドライブなどを含むアルバムなど写真帖が8冊ほどスペイン語版の『sputnik』藤富保男『評伝 北園克衛』『第一語の暗箱』などが入荷いたします。





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