#205 6-1-6 Minamiaoyama Minatoku TOKYO
info@nichigetu-do.com
TEL&FAX:03-3400-0327
sitemap mail

new arrival

16/06/25 亀倉雄策の愛した曲線定規 / クリスト「梱包されたポンヌフ」ドキュメント

 ■当ページをご覧のみなさまであれば、もうこの程度では全く動じることなどあろうはずもありませんが、一応。古本屋ですが雲形定規です。あ。雲形定規ではなく、曲線定規と呼ぶのが正しいようです。
こちらの曲線定規、「ナイル・ユニカーブ」という名前をもつ新案特許の先端商品でありました。スピロA、スピロB、パラポA、パラポB、パラポCの5種1 セットを考案、設計、商品化したのは東京帝大出身の小林秀雄さん。コバヤシ・ヒデオさんと云っても帝大の仏文出身ではなくこちらは工学部の出身、従って 『無常といふ事』や『本居宣長』を著したわけではなく、こちらは大正10(1922)年に鉄道省工作局に入省、「国鉄1号バス」の設計に関わり、 昭和16(1941)年にはトヨタに移り、戦後は米軍在日兵站司令部調達部などでも働いた人。「ナイル・ユニカーブ」はGHQを退いた後、自身が主宰した「尚工研究所」開発商品として発売されたようです。
「ナイル・ユニカーブ」に最初に目をつけたひとりが亀倉雄策だったことからも先端商品としての存在感をうかがわせますが、亀倉雄策の推薦で「日本宣伝美術会会 員賞の副賞となり、1956年度の同章受章者となった亀倉は自身のデザイン研究室の壁に「ユニカーブ」をオブジェのようにして飾っていたのだとか。詳しくは右記のサイト で。『OMフォーラムvol.5 今月の「道具」その②「ユニカーブ」』
今回入荷したのは最初期の木製品2種2点、最終的に5種セットには入らなかったスピロAの小型を含む6種20点(カラフルな合成樹脂製)、透明樹脂5種5 点を布張専用ケースに収めた1セットに新案特許や製品化に関する書類一式をまとめた分厚いファイル、商品概要印刷物、掲載記事や小林秀雄氏の略歴などを含 む一式で、小林秀雄さんのご遺族のもとに残されていたものの全てです。
小店と長くお付き合い下さっている方はお気づきかもしれませんが、小林秀雄氏と云うのはかつて2006年、サイト上で公開した自店目録「机上のK.K.氏」のK.K.氏すなわち小林邦雄氏のお父上。K.K.氏こと小林邦雄氏とは、ご生前に一度、ご自宅に招かれてご蔵書の整理をお手伝いさせていただきました。邦雄氏は翌年急死。亡くなられて半年ほど後、ご遺族からのご連絡でお伺いしたその日は丁度前年、邦雄氏に招かれたのと同月同日。その日は邦雄氏が最後まで手元に残されていた印刷物を中心にご遺品をお譲りいただきました。以来10年ぶりの今年、これまで6度7度とお伺いしてきた邦雄氏設計のモダンなご自宅をいよいよ手放されると云うので呼ばれた際に出てきたのが小林秀雄氏の「ナイル・ユニカーブ」でした。
邦雄夫人が選んだ小林家の墓石の裏側には、邦雄氏の指示によって「ナイル ユニカーブ」の図が彫り込まれているのだとうかがいました。さて、この一式、いくらで、どのように売るのがいいのか …… 何しろ古本屋が雲形もとい曲線定規。ですからね。最後の最後に、とても重たい課題を与えられた学生の気分をいまちょっと思い出しています。

現在、HPのリニューアルについて詳細検討に入っております。一方、店は店で店頭の商品とバックヤードのストックの見直しに本格的に着手するべく、ごそごそ発掘している途上で思い出したのが今週の2点目。1985年、クリストによる「梱包されたポンヌフ」に関する記録と資料、こちらももろもろ一式となります。随分前にパリで買ってきたものの、クリスト再評価までにはまだ当分時間がかかるだろうと思っていたのですが、今年は日本でも展覧会が開催されるなど動きが出てきたようです。
もろもろ一式の中には、シラクの署名入文書の複写、フランスのアートディレクターの自筆文書、タイプ打ちの文書や梱包の手順図解、作業中の写真、開催各地で制作された印刷物などが含まれる文字通りのドキュメント。なのですが、問題はフランス語の文面全てと英文の多くを読めていないということでありまして、買った際の値段だけを論拠に売値をつけると云う体たらく。フランス語と英語を読むよりダメな古本屋と呼ばれる道を選んだ土曜日の夜明け前であります。

■先週に続いてタイポグラフィ関係の洋書7冊、木版刷の団扇絵の見本帳とバラ、フランス製・子どもをモチーフとした古くて小さい印刷物30点などが店に入ります。

それにしてもイギリスがまさかのEU離脱。日本国憲法第9条とEU欧州連合条約第条2条。私にとってそれは - 楽観主義に過ぎるのだろうけれど - 第一次世界大戦と第二次世界大戦のような非道を経て尚、人間は信じるに足る存在だと思える根拠となってきただけに、今日はどこか茫然自失と云うのか心ここにあらずと云うのか、PCの前で固まったまま随分時間を無駄にしてしまいました。日本は日本でこれはもー・あ~ぁ・やれやれ・と云う今週のななめ読みから。
アベノミクスの実相。http://blog.monoshirin.com/entry/2016/06/21/210210
真面目な質問集。http://matome.naver.jp/odai/2146651779976541301
せめてささやかな笑いを。総統閣下最新作。
https://www.youtube.com/watch?feature=youtu.be&v=uX5cNlJYdU0&app=desktop
おまけ。会田誠のつぶやきより。
「最近の日本が太平洋戦争前夜に似てきたのかなと思うのは、意訳すれば「飼い慣らされた俺って正しくて偉い」みたいな発言を、頼まれてもないのに一般人が、堂々と胸を張ってしてるところを頻繁に見るようになったことです。」会田誠のtwitterより。

 

16/06/18 明治~大正 夏目漱石著書装丁コレクション と 再びの古裂コレクション

■今週こそ、小店HPにあっては前代未聞、余白たっぷりの新着品ご案内をと思っていたのですが、よりによって 厄介なものが入荷しました。
画像内、「夏目漱石著書 装丁コレクション」としたのはあくまで便宜的につけた仮題。夏目漱石の著書元版から、カヴァー、表紙、見返、扉、挿画といった装丁の範疇にある要素と、版に関する 情報を残そうという意図もあってか奥付のページとを抜き出し、台紙に貼り付けたもので、実際には無題。どこの誰が、どういう意図でこうした行為に及んだのか、そのあたりのヒントの一切ない、従って古本屋としてはあくまで即物的に扱うしかないという代物です。
残されているのはB4の台紙の枚数で77枚。最多は“漱石と云えば猫”の『吾輩は猫である』17枚。発行年と版数を同じ明治42年12版とする上篇・中篇の 奥付、明治40年3版の下篇奥付があり、3篇の表紙、カヴァーが1点、多色刷の挿画12葉などを収めています。装丁は橋口五葉。
次いで多いのが明治41年4版の奥付の残る『漾虚集』の15枚で、部分的に継のあてられた様子も味わい深い藍染布装の表紙、所収短篇7篇の扉など。
続いて、橋口五葉の意匠、ツワブキの図案部分に漆が使われた『草合』再版6枚。五葉デザインの木版装『彼岸過迄』大正元年3版、大正6年初版の『明暗』、 明治45年12版の『鶉籠』、がそれぞれ5枚。以下、『虞美人草』『三四郎』『行人』が各4枚、『四篇』『それから』がそれぞれ3枚など。
初版の奥付が残るのは明治44年発行の『門』1冊(3枚)だけであること、発行年がある程度まとまっていることから、遅くとも大正初期までに成立していた 可能性が高く、また、残念なことに表紙の背が痛んだものが多いことから、比較的手軽に買えた古本を使っているのではないかと見ています。
“見てくれ”だけに拘泥した野蛮なコレクションと片づけてしまえばそれまでですが、明治~大正初期発行の漱石本を21世紀のいま、これだけ蒐め、しかも身ぐるみ剥いで開きにしようというに等しい行為には、そこそこの資金力にプラス、かなりの勇気がいるはずです。青空文庫でテキストを携帯し、装丁は飾って楽しむ。21世紀的愛書家のあり方をひとつ試みてみようかという方に、ご購入をご検討いただきたいコレクションです。

そういえば「明治期雑誌表紙コレクション」なんていうのを買ったの今年2月のことでした(但し Sold out→こちら)。小店、余程表紙にご縁のある年と見えます。と云うか、何故こんなにカヴァーコレクションが出てくるんだろう。不思議だ。

画像の2点目、今年4月2日の更新でご紹介した経本仕立ての更紗の裂の見本帖『古裂帖』の姉妹編かと見まがう古裂の貼込帖
で、今回のこちらは(我ながらややこしい…)ヨーロッパ更紗風意匠の古裂を中心に72点を収めたもので、時代的には以前のものより少し裂全体に新しい印象で すが、より明るくモダンな仕上がりです。非常に清潔で状態の良いコレクションであることは前回同様。過不足なく集められ上品にまとめられた貼込帖は、古裂に限らず、これから何か蒐集を始めようという方にとってはヒントでありお手本になるのではないかと思います。

■今週はこの他、イギリスのタイポグラフィ専門誌『The Fleuron』の合本4冊他タイポグラフィ関係の洋書2本口、戦後の紙モノ蒐集家が発行していた個人雑誌2冊などが明日、店に配達される予定です。
当HPのあまりの脆弱さに、今年9月下旬をめどに、HPをリニューアルする考えです。来週の日月堂は営業時間中もPC&HP打合せ週間となりそう。店主の監視下になんて置かれたくないもんねという方はご来店のチャンス? です!

今週のななめ読みから。
舛添前東京都知事の辞任騒動をめぐるル・モンドの記事の翻訳
http://blog.tatsuru.com/2016/06/16_1450.php
この問題をめぐって、私はかつて我が国で、国民の犠牲大なるにも関わらず戦争を遂行するのに役立った「隣組」を支えた国民性を思いました。
こちらもまた、かなり重要なお話し。今年もまた選挙ですから。
http://www.asahi.com/articles/ASJ6F6TT8J6FUCVL02L.html

 

16/06/11 荻野一水『応用図案』と小川一真の『ILLUSTRATIONS OF JAPANESE LIFE』 有名で尚且つ珍しい古書の王道

 ■先週金曜日に発覚した当ページへの不正な書き込みとリンクについては、可能な限り精査の上、削除し、またID、パスワードの変更や管理のチェックなど、できる限りの対策強化を図っております。リンク先に現れたのは国外のコピー商品販売サイトでしたが、今日現在、すでに閉鎖されているようです。
ご利用いただいている皆さまには、ご心配とご不便をおかけし、大変申し訳ございませんでした。
今後は尚一層の安全管理に努めてまいりますので、引き続きご高覧・ご利用下さいますようお願い申し上げます。

更新の度に書き起こしているここでの文章、皆さま感じておられると思いますが無駄に長い。書いてる私もそう思うほど。スマホで読むのはもう限界と云われる長さには実はワケがありまし て、もちろん、ある程度詳しくご説明しないとワケ分からない商品の場合を別にすると、実は「文章を引き延ばさないとレイアウトが崩れるから」。ほとんどの 場合の理由がこれ。何のために毎度毎度明け近くまでこんなことをやってるんだか。
「文章書くのが余程好きなんだろうと思ってた。」ですって!?
もおぉ、と、とおぉ~んでもございません。そもそも文章書くのなんて大ダイ大だい大キライ!何をおいても早く寝たいぞ!!金曜日の夜くらい羽のばしたいと思うことだってあるつーのに!!!
ああそれなのに。それに勝って余りあるほどレイアウト崩れるのが怖いのであります。
レイアウトが崩れるのを避けるためにできる余白が恐ろしいのであります。
ご存知の通り我が日月堂店主、古書目録においては余白恐怖症、接客においては沈黙恐怖症であります。何でもいいから空隙を塞ぐ。という方向で闇雲に突進することになるわけです。
思えば当ページを設け、ほぼ週一で更新し始めて以来何と9年半(!)。何とまあ いじましい努力を続けてきたことでありましょうか。

 で、思いました。余白を恐れていては大きな人間になれない(何をいまさら)。
ムリに引き延ばすのは体に毒(書けないからってずっと何か食べてるのをやめましょう)。
だいたいもう深夜残業するような歳じゃない(むしろ朝寝坊できない歳になりつつある)。
今週は、当ページ開設以来初、「文章による商品説明をしない」新着品のご紹介とさせていただきます。もっとも今週のは、元来そう説明のいらない商品なんですが。 で、そういう、ある意味、古書の王道に連なる商品に手を出していることが、古本屋開業以来この道20年、スキマと邪道ばかり歩んできたはずの小店からする と超長期スランプの証でもあるわけなのであります。
噫。大丈夫かニチゲツドウ!? 耐えられるのか余白に!!

■画像1点目 ; 『応用漫画』上下2冊揃 明治36(1903)年  荻野一水著  山田芸艸堂発行 初版  和本仕立て 上巻34P・下巻32P 全木版刷の図案集 *荻野一水が監修、図案作成は杉浦非水によるものとする見方があり、図案の特徴や経歴の一部に首肯できそうな要素はあるものの現段階で は確認できず。

画像2点目 ; 『ILLUSTRATIONS OF JAPANESE LIFE』Vol.1・2  2冊揃帙入  明治29
(1896)年 初版  高島捨太郎著 小川一真発行兼印刷者 小川写真製版所本店発売
 帙・本表紙、本文全頁にちりめん和紙使用 和本仕立・背錦織布装  本文は1Pに1図のモノクロ写真と英文キャプションから成る Vol.1 = 32P・28図、Vol.2 = 72P・70図所収  *明治初期、日本の写真界に大きな足跡を残した小川一真が出版した写真集のひとつ。同タイトルでページ数や所収写真点数、彩色の有無など、編集の異なる ヴァージョンが複数あるが、2冊揃・帙入は稀。

う。あまりに前段が長いために余白が少ない。試みの意味やいずこへ……。
ともあれ今月中は通常に戻って月内は火木土で営業いたします。新着品もあれこれあり。ちりめん紙の写真集なんて実際に手にとらないと分かったことにならない代物。ご来店をよろしくお願いいたします。
と、ここでただいま深夜3時。今日のところはおやすみなさい。
以下のアドレスはおまけ。かなり鬱陶しい時代の鬱陶しい季節に。ちょっと笑えます。いや笑えないか…。
https://mobile.twitter.com/kawai_kanyu/status/740720677854969856?s=04%EF%BC%89%E3%82%92%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%AF

 

recent catalogue C by image

1435751365995.jpg

藤田嗣治自筆書簡 昭和21年12月・中河幹子...

1435751335394.jpg

仏)明治39~44年フランス駐在日本人旧蔵 ...

1435645251056.jpg

PEKING STUDIES...

1435408311807.jpg

NIPPON 3号...

1435408268634.jpg

NIPPON 13号...

1435225110459.jpg

SAKAKURA ASSOCIATES architects and engin...

1435225059408.jpg

空間の寸法体系、GMモデュールの構成と適用...

1285065720661.jpg

英) COMMERCIAL ART 1929 12冊号合本1冊...

1283159833885.jpg

石井舞踊詩研究所(石井獏主宰) 久米正雄宛...

1283159813298.jpg

寒水多久茂 第2回舞踊発表会 久米正雄宛 封...

1283159797468.jpg

石井美笑子舞踊発表会 久米正雄宛 挨拶状...

1283159653089.jpg

花柳美保 第一回創作舞踊発表会 番組 およ...

1281430587768.jpg

文壇余白 献呈署名入...

1270541920809.jpg

露西亜映画史略...

1269258859382.jpg

独) JOEPH BEUYS 7000 EICHEN ヨーゼフ・...