■12月とともに今シーズン最強の寒波とインフルエンザの流行がやってまいりました。師走に入って難儀なことこの上ありません。みなさまどうかお変わりなくお過ごし下さいますように、くれぐれもご注意下さい。
なんて何だか余裕かましてるふうの小店あるじですが、ここに来て少々疲れが溜まってきたようで、仕事の中でも命綱ともいうべき新着品のご紹介を、何と、年末迫るこのような時期に、1回お休みにさせていただきたい!などと無責任極まりないことを申しております。
云うまでもございませんが、そう暢気に構えていてよいはずもない日月堂でございます。来週は週末をまたずに1度は更新するゾと心に期しているようでありますので、それに免じていま少しお時間を頂戴できますようにお願い申し上げます。
あ。お時間をいただきつつも、どうか是非ご来店下さいますよう併せて心よりお願い申し上げる次第でございます。店はいつもどーりにやっておりますっ!!!
■ご来店をお願いいたします、と云うのですから、「品物も無愛想な店主も全然変わりなし。」と云うのでは無理があろうというもの。従来なら画像に上げるほどでもないレベルではありますが、今週荷ほどきした店頭商品より、19世紀フランスの銅版画の画像をアップしておきました。同様の筋の銅版画約20点が入荷。画像中、額装品はカリグラフィ関係の技術図解、他は建築系の解説図なのですが、こうした云わば絵画的というのに程遠い図版の銅版画を見る度に、銅版画という手法はより直線的=人工的なモチーフの方がよくマッチするように思います。
■この他、現在左上の「営業日案内」の画像のように、1月下旬の即売会に向けて準備中の本が筍のようにニョキニョキと店内あちこちに生えております。『婦人之友』『婦人倶楽部』等戦前の女性雑誌とその附録、『群像』創刊号他終戦直後の雑誌類、全頁木版画から成る明治時代の絵画の教科書、1950年代~80年代仏英の自動車に関する趣味雑誌、イタリアの建築&プロダクトデザイン専門誌『domus』1970年代発行分など、もはやいつ何で仕入れたのかさえ自分でも記憶にないものがどんどん出てきて、オツムの怪しいこと、ますます確信するに至りました。
ともあれこうした筍化しつつある商品の中で、ご来店時にお目に留まるものなどありましたら一声お掛け下さい。その場で販売いたします、よろこんで!!!
■先ずは大切なお知らせです。来週は資料会大市が12月3日(水)・4日(木)の2日間にわたって開催されます。3日でほぼ入札を済ませてしまうつもりですが、4日も市場へという可能性がありますので、来週4日(木)にご来店をお考えのお客様には、お出掛け前に店までお電話の上、在席をご確認いただければと存じます。また、4日は市場に行ったとしても、戻り次第、店を開けたいと思っています。4日(木)のご来店には、いずれにいたしましても03-3400-0327までお電話でお問い合わせいただけますよう、くれぐれもよろしくお願いいたします。あ。2日(火)と6日(土)はいつも通り営業いたします。
それにしても来週はもう12月。年内のことは年内のうちにお片付けいただければと - こちらはごくごく小さな声で、ですが - 心よりお願い申し上げます。
■およそ日月堂らしからぬ画像を新着品の1点目に置くのは、かれこれ10年ほどにはなろうかという結構な年月、このページをつくってきましたが、これが初めてかも知れません。ほとんど関心領域外の和の玩具。しかも だからといって評価しないもんねと遠ざけてきたミニチュアもの。なのに。何故ここかというと、いやはや見れば見る程よくできてる!しかもセンスの良さが一貫している!!! というのがその理由。
黒と朱の漆塗りの文箱ひとつ、市場の片隅に置かれていたのを開けた途端、香木でも入っているかのような芳香が立ち上り、先ず目をひいたのがちりめん張りの小箱類。なかでも菊花と千鳥をモチーフにしたふたつは色彩、デザイン、状態とも文句なし。その小箱を開けて出てきたのが、いまにも鼓をひとつ「ポーン」と叩こうかと構えた男児の人形です。ポーズよし表情よし細工よし、まずこれに心つかまれたところに、手描きの図案や小さな陶製の珠まで施された精巧な印篭(もちろん蓋もあけられます)、直径1cmほどの平面に細かく絵付けされ、しかも糸の先のビーズがちゃんと叩いてみせてくれるでんでん太鼓とか、極細の栓がちゃんとはずせるようにできている瓢箪、長辺1.7cm程の筥迫は、スライド式の蓋を開けた内側に長さ2mmほどの小判2枚と1mm角のサイコロが仕込まれていたりと、そんなものばかり次から次へと出てくるのですから、いやはや文字通り宝の小箱、市場でも感嘆の声が次々にあがりました。
落札した後、まだ値付け前ということをお断りしてお見せしたお客様が、高さ1cmほどのダルマの目が飛び出すのを発見、目玉が飛び出すダルマ3点と提灯お化け1点という、思わぬ収穫もあり、このコレクション、やっぱり買えてよかったです。
飛びだす目玉のダルマのミニュチュア、もしや神戸人形の系譜かなと頭をよぎったのですが、古道具に詳しい方に伺ったところどうやら正解。ご存知の方もおられるでしょうが、この神戸人形というのがまたかなり魅力溢れるものでありまして、しかし、私がそれを初めて知ったのは、パリのNさんとOさんのお宅にお邪魔した際のこと。パリジャンであるOさんのコレクションのひとつに、精緻かつコミカルな仕掛けのある一連の神戸人形があったのです。
日本人が日本は素晴らしいなんて、ことさらに宣伝しなくったって、外国の方たちの方が私なんぞより余程よくご存知で、これまで私なんぞどれほど恥ずかしい思いをしてきたことか。恩地孝四郎も柳瀬正夢も岡田龍夫も板垣鷹穂も、気が付けば主要なものがどんどん海外へと渡っていく状況を見るにつけ、愛国とか云う号令が実に薄っぺらに聞こえてなりません。
■2点目は対照的にいかにも小店好みに見えるに違いない1冊。1952年にパリで限定1,500部が発行された美術書『TEMOIGNAGES POUR L’ART ABSTRAIT』。タイトルの示す通り、当時、美術界の一大潮流を成していた抽象芸術の意味を提示した書籍であり、主要な35作家を取り上げ、作家毎にテキストと図版とをまとめたもの。モノクロオフセット印刷が図版の主体となっていますが、中にカラーリトグラフ27図(平面作家ひとりにつきカラーリト1枚)が綴じ込まれているところが当書の価値の大きな部分を負っています。
ジャン・アルプ、ドロネー、ヴァザルリなど平面作家の他に、カルダー、ナウム・ガボなどオブジェ系のアーティストやアントワーヌ・ペヴスナーなど空間デザイン着眼した作家が混じるのも面白いところです。
フランスで買うより余程安い値段で買える日本は有難い一方で、がしかしこの手の抽象表現はさっぱり売れません。冗談ではなく売れた例がない。なので、いくら手頃な値段で買えるからといってもう絶対に買ってはいけない。買うまい。買わないぞ。と思っていたあの決心は一体どこに行ってしまったのだろうか胡乱である。
■今週はこの他、18世紀の古い西洋銅版画類十数点、20世紀初頭ヨーロッパの観光写真帖、文具・学童用品の商報類1袋、洋書風の和書小型本10冊などが明日、店に入ります。
■今週、目にとまった諸々。
立憲デモクラシーの会「安倍政権による解散・総選挙に関する見解
http://constitutionaldemocracyjapan.tumblr.com/post/103624937026
安倍首相の「保守速報」シェアについて
http://matome.naver.jp/odai/2141683775803784401
ヘイトスピーチと首相の親和性について
http://lite-ra.com/2014/11/post-660.htm
安倍政権による報道圧力
http://no-border.co.jp/archives/29109/
モンダイの「NEWS23」も見てましたが、あんなに簡単に感情的になっちゃっう人に憲法の解釈とか集団的自衛権とか委ねてしまおうというのはものすごくリスキーだと思いました。
それにしても、支持率51%の内のひとかけらも周辺に見当たらないというのは、私の周辺領域があまりに狭いのか偏屈だからなのか、ま、いずれにしても日月堂は相変わらずそんなとこです。ふん。
■目録入稿完了!あとは上がりを待つだけ!―― ああ。そうであるなら開放感も満喫できるのだがしかし。1月下旬にスタートする即売会に向けて、実はここからが準備の本番なのであります。その本番を前にしながら、しかもこの2週間、ほぼほぼ目録の仕事しかしていなかったというのに、もうヘトヘト。ヨレヨレ。ですが、ほぼほぼ他の仕事をしていなかっただけに連日どなたもお見えにならない。見事なほどの閑古鳥。このままでは確実に餅は買えない。というので老体(真面目なお話、法的には私の年齢はすでに「初老」にカテゴライズされるらしい)に鞭打って、命がけの新着品の更新であります。そうです。命がけ。これですよ。
先日、テレビジョンなど横目にしていると女性キャスター相手に気色ばんで早口でしゃべりとばすおっさんが大見得切って云っておりました。「政治家は命がけで選挙をやるんです!」って……?………???………… 命かけるってそこかい !!! ―― と、古本屋にも政治屋さんにも是非つっこんでいただきたいと願っております。
■版画好きの方なら名前くらいはご存知の方も多いのではないでしょうか。週明け24日月曜日まで町田市立国際版画美術館で展覧会も開かれている谷中安規。その『影絵芝居』木版画オリジナル全13景・13葉入1冊が入荷いたしました。
実はこれ、恩地孝四郎や藤森静雄、棟方志功といった錚々たる版画家によるオリジナル木版画を所収して昭和7年から11年にかけて発行された雑誌『版芸術』1年8号(昭和7年=1932年)の谷中の部分だけを残したもの。木版画を貼り込んだ本文紙と共紙に刷られた表紙に始まり、奥付も何もないまま唐突に終わるこの冊子、私が落札した後に出品されていたことを知ったご同業が多く、しかも『影絵芝居』の部分だけをこんな格好で見たことがないものだから……
こんなの見たことないよ。版芸術かも知れないんだけど、この紙、版芸術で使われてるのとは違うんじゃない?そうだよもっと白っぽい紙だったよなあ!あ。しかも大きさもちょっと大きいんじゃないこれ!ええ、てぇことはこれやっぱり珍本?そうだよ思い出したよ俺、昔、谷中が試しで作った本、ウン百万で○×ちゃんに買ってもらったじゃない!あ~あ、あったねあった、あれね、あれはなったよねえ、そうだよこれも化けるかもよ?え、でさ、ニチゲツドーはいくらで買ったのいくらで? ええーこの金額かよぉ!!! ええええーそりゃないよぉーーお!!!!!!! (←!!!の部分は古本屋さんたちの声が合唱となって響いておりました…) と瞬く間に周囲は色めきたち、苦節20年弱、古本屋に3度はあるという「大化け」ってのが私のところにもとうとう来たかと夢も希望も膨らんで口元が緩みかけたところに…向こうの方からやって来た版画専門店のご主人が「あ。これ、『版芸術』ですよ。ほら。」と云って差し出された『版芸術』1冊(あ。でも他の号。谷中の『影絵芝居』はこの雑誌の中でも珍しい部類)。ふたつ並べて比べて見れば、紙も同じならサイズも同じ。
急激に膨張した夢は一瞬にしてしぼみ、かくして今宵、命がけの更新作業にいそしむ日月堂でございます。
■『影絵芝居』と同じ1932(昭和7)年に発行が始まった『ベルトライングラフ』は森永製菓のPR誌。同社のPR誌としては『森永ベルトライン』がよく知られていますが、こちらの存在はあまり知られていないかも知れません。B6サイズ、16P前後、1色刷と質素なつくりではありますが、文字通り「グラフ」誌としてふんだんに写真を取り入れ、かつまた新興写真の手法なども採用し、森永らしいなかなか洒落たPR誌となっています。内外問わず話題の映画や舞台、レジャーや流行情報に多くの紙幅を割きながら、あくまで控えめに森永のベルトライン=チェーン店情報を盛り込むあたりも、この当時のPR誌としては進歩てきかつ余裕あり。今回入荷したのは2号から23号までの間の6冊。僅かに6冊ですが、この程度の数でもまとまって出てくることは稀なだけに、バラで売るのか一括にするのか、明日の開店までしばし検討の猶予をいただきます。
■今週はこの他、最近の傾向とは正反対の方向に全力で取り組んだ戦前の雑誌『戦旗』16冊、柳澤健の創作第一詩集にしてランボーの「酔いどれ船」の訳出を付した『果樹園』(大正3年 初版)、昭和40年代の小学校低学年~中学年の各種教科書ダンボール1箱、こんな出版物があったのかと驚いた中国語版『科学画報』第1期第9巻(1942年)、『自然科学小樷画 科学樷談』第4号、そして戦前の布張小箱やミニチュア人形が文箱1箱分、明日には店に入荷いたします。
■それにしても12月に選挙。定数削減の約束と引き換えだったはずの丁度2年前の選挙から政権与党となった政治屋さんたちはほとんど何もしないまま、政治屋さんたちにはちっとも痛みなんてないままに、またまた選挙。しかも集団的自衛権のモンダイはいちいち聞くことじゃないから選挙のそーてんにはならないと。某党幹事長殿が云ったとか。争点はアベノミクス?消費税増税先延ばし? 今回の選挙、私は「マッチポンプ選挙」と呼んでおります。思えばこの新着品のご案内もマッチポンプと云えないわけでもなく、お尻にはもう火が……。