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15/07/11 『新美術海』と『下絵集』- 7/13(月)までしばしお待ち下さい …

 ■今週日曜日まで続いた七夕大市の疲れなのか、はたまた10日金曜日の市場のハシゴのせいなのか、ともかく「ね、ねむたい。ねむたすぎる…。」と云って、今晩、店主がてんで使いものになりません。誠にもって不甲斐ない理由で大変申し訳ございませんが、更新は週明け月曜日とさせていただきます。
ご紹介するのは木版刷の図案集『新美術海』4冊、そして、いまからかれこれ200年前、着物意匠に携わっていた職人さんの手控えだったと思しい「下絵集」をとりあげる予定。
いま少し、少しだけご猶予をいただけますよう、よろしくお願いいたします。
斯くの如き理由から画像は仮り。タナバタで、ご依頼を頂戴し落札できた商品より。お客さまへのお引き渡しまで、日月堂に短期滞在中。





 

 

15/06/27 七夕古書大入札会のため7/4(土)は臨時休業いたします/『現代アメリカ工藝』は夢の生活へのリアルな一歩か

■今年も7月とともに「明治古典会 七夕古書大入札会」、通称タナバタのシーズンがやってきます。詳細はちょっと後回しにして、来週の小店営業に関するご連絡を先に。
この「七夕大入札会」のため来週店の営業は6月30日(火)・7月2日(木)の2日のみとなります。また、来週は当ページでの新着品のご案内も1回お休みを頂戴いたします
「七夕入札会」の会期中は、会場である東京古書会館内またはその近辺に居ります。ご用の向きは古書会館までお電話の上お呼び出しいただくか、事前に日月堂の携帯電話の番号をお尋ね下さい。東京古書会館 03-3293-0161
その翌週にはまた、通常の火・木・土曜日で営業いたします。
ご不便をおかけいたしまして誠に恐縮ではございますが、何卒ご海容を賜りますよう、また、これに懲りずご来店下さいますよう、お詫びかたがたお願い申し上げる次第です。

さて、その「明治古典会 七夕古書大入札会」についての詳細は明治古典会のウェブサイトで→ http://meijikotenkai.com/2015/ 
また、「日本の古本屋」のメールマガジンを元に、ここでも以下簡単にご紹介しておきます。
…… 第50回記念「明治古典会七夕古書大入札会」について               
日本で唯一の明治~昭和時代の古書オークションです。近代文学初版本・作家原稿・版画・写真オリジナルプリントなど1,200余点が出品され、どなたでも下見をし、古書組合加盟の古書店に代理入札を依頼することが出来ます。
下見は7月3日(金)10:00~18:00、4日(土)10:00~16:00の2日間。
会場は東京古書会館(千代田区神田小川町3-22)https://goo.gl/maps/azq1e
もちろん入場無料。見るだけでも充分お楽しみいただけると思いますし、普段は業者しか入れない市場の雰囲気を少しは感じていただけるかも知れません。
出品される商品については、すでに目録が発行されています。目録は上記ウェブサイトより「出品目録」をクリックすると全点ご覧いただけます。念のため、アドレスはこちら → http://meijikotenkai.com/2015/catalog.php
小店では、代理入札のご依頼はこれまでお取引のあったお客様に限りお受けいたしておりますが、このページをご覧の方で何かお困りのこと、お問い合わせなどございましたらお気兼ねなくご一報下さい。お時間とご興味ある方はこの機会に是非!

■そんなこんなで- なんて言い訳にもなってませんが-今週は1点だけにいたします。
敗戦から3年半ほど経った昭和24(1949)年1月に技術資料刊行会から発行された『現代アメリカ工藝』「主としてニューユーク美術館より」と云う副題が添えられています。今回初の入荷となった本ですが、市場で手にして最初に思ったのは「見たことない本のはなのに、どこかで見ているような気がする」ということでした。クレジットを確認すると編集は商工省工芸指導所。むむむ。と、ここで思い出したのが、以前1度扱ったことのある『デペンデントハウス』でした。
小店サイトを遡ること1年半、ありました。2013年10月5日の更新分でご紹介した『デペンデントハウス』(詳しくは→http://www.nichigetu-do.com/navi/info/detail.php?id=807)。
『デペンデント~』は昭和23(1948)年とほぼ同時期の発行で、技術資料刊行会刊、商工省工芸指導所編で編集と発行が共通。『現代アメリカ工藝』では扉にはっきりとクレジットされている「美術構成 亀倉雄策」というのは『~工藝』のみですが、2冊ともGHQに基本となる素材を供給されていたのか、写真の雰囲気とそのレイアウトから生じる印象や、写真ページとテキストのページでそれぞれ使われている紙の質感など、似ている点が多々あります。
「ニューヨーク美術館より」なんて云う副題を与えられながら、掲載されている商品-食器、照明器具、システムキッチン、ファブリック、家具、ユニットハウスに至るまで-、掲載品全てに設計者名と製作会社名が記されています。美術館が推奨するような世界トップレベルの商品の図録、なのでしょうが、にしてはまるで輸入カタログと見紛うスタイルとなっています。
『デペンデント~』がアメリカ進駐軍軍人とその家族の住宅及び住環境整備のため、一定品質の生活用品一式、進駐軍の行くところ日本のどこであろうが製造・供給できるようにするための仕様書といった性格をもっていたのに対し、『現代アメリカ工藝』はさらに一歩踏み込んで、日本人が憧れてやまなかった例えばワシントンハイツにおける進駐軍とその家族の生活に - つまりはやがては日本人が手に入れることになるかも知れない生活の中に!-“本来あってしかるべきモノの姿”を、とてもリアルに示したものだったのではないかと思います。
レイモンド・ローウィ、イサム・ノグチ、ハーマン・ミラー、チャールズ&レイ・イームズ、サーリネン、ハンス・ノール、グロピウス、フランク・ロイド・ライトなどなど、次々あらわれる綺羅星の如き名前はさすがにMOMAセレクト。鬼畜米英から一転、アメリカに籠絡されて続けた戦後日本の出発点に位置づけてもよいような1冊です。

それから70年。今週もまるで戦前のような話題の連続でした。政権与党とその取り巻き連中は、時代をどこまで巻き戻せば気が済むのでしょうか。怒る気力も、へたすると正気まで失せてしまいそうな今週の記録です。
安倍首相に近い若手議員が立ち上げた勉強会「文化芸術懇話会」における言論統制推進とも受け取れる発言について 
http://www.asahi.com/articles/ASH6T5W6FH6TUTFK00X.html 
もうすでに、日本国内では言論統制は敷かれていることが証明される一方、海外メディアが相次いで報道している沖縄全戦没者追悼式での出来事
 http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161145 
神奈川新聞による電子版先行という異例の社説 http://www.kanaloco.jp/article/105198 
よりによって広島に原爆が投下された日に「日本会議」が広島で開催する「広島平和ミーティング」(どこが一体平和だと云うのか…)  http://jp-pride.com/topic/8670.html 
そして、半藤一利が語る「引き返せぬ地点」http://www.jiji.com/jc/pol-interview?p=hando_kazutoshi-01

 


15/06/20 戦中に祝う - 帝国ホテルでのクリスマスと皇紀2600年の祝祭をめぐって

■田中千代旧蔵資料については、アップして早々、懇切なアドバイスを頂戴したり、お問い合わせなどもいただいており、本当に有難いことです。分野横断的な内容は得難い上に他に代え難く、また、だからこそ非常に面白いのですが、「売る」ということを考えるとむしろそれが仇。いつどこに嫁いで行くのか霧の中。さらに、最後の入荷となった田中千代旧蔵写真一括 - ファイル29冊のフィルムと一部ベタコマ紙焼き ― を見始めるたら、ファッションショーのスナップ写真はもとより、福田勝治が撮影したアーニーパイル・ガールズ(!)の洋装スナップだとか、田中千代学園芦屋校でのバザーで似顔絵描いて繁昌する鴨居玲氏だとか、小磯良平とのスナップや芦屋浜松原で野外展示された吉原治良の作品、浴衣姿のパワーズモデルたちの宴会風景なんていうのまで顔を覗かせてくれちゃったお陰で、最後まで見落とせない情況が生じております。
といった次第で、田中千代先生をめぐるニチゲツドーの大旅行はあともう少し続くことになりますが、それはさておき、今週の新着品のご紹介です。何しろこのまま行くと、田中千代が売れない限り、売上が立たない。それはまずい。まずすぎる……。

知識が先かモノが先か。古本屋の「買い方」は大きくこの二つに分かれるように思うのですが、日月堂の場合は後者が前者を圧倒。あくまで先に立つのは「ややや、こんなものが!」という発見や「すっ、すばらしい…」という感覚で、で、「そもそもその正体とは?」という最も肝心なことは後回しであります。そろそろ知識先行で仕入れるべき古本屋としての歳月を重ねてきたはずなんですが。まずい。これまたまずい。がそれはさておき。戦前に日本のホテルでクリスマス・ディナーショなんてものが開かれていたことを知ったのも、「クリスマスの催し」と印刷されていた帝国ホテルの小冊子を通してのことだったのであります。いまからかれこれ13年前、表参道に店を移転して間もなくの頃のことでした。奇しくもその時と同じ、昭和10年と11年(1935・1936年)の「帝国ホテル クリスマスの催し」プログラム(小冊子)が再入荷いたしました。また、昭和10(1935)年については、クリスマスカード仕立ての「12月25日 クリスマス祭午餐献立」1点もついていました。画像中、下段右端がそのメニューで、赤の台紙のリボン状の切り込みを入れ、多色刷りの表紙と銀罫入りの献立表を差し込むというとても凝ったつくりになッています。ちなみに献立はフランス料理のフルコース、メインはヒラメと七面鳥というのですから、威風堂々たるクリスマス・ランチだと云えましょう。
さて、「クリスマスの催し」ですが、両年とも24日クリスマス・イヴの夜と25日クリスマスの昼とに、食事と余興とを提供したもので、今日のディナーショーとほぼ遜色のない内容。余興について云えば、いまよりさらに豪勢だったのかも、と思わせます。
余興はイヴ、クリスマス当日とも同じ内容ですが、10年・11年ともに、第一部「漫画」 - ベティ、ポパイなど子どもの漫画フィルムの上映 - に始まる4部~5部構成。昭和10年(画像中下段真ん中)の目玉は「第二部 ロッパのお伽噺」で「古川緑波 其ノ一党」の出演。この年は他に童話劇と日本舞踊を加えた4部構成。続く昭和11年(画像下段左と上見開き)は何と云っても「第四部 舞踊」が呼び物だったはずで、崔承喜の創作7作品が組まれ、内4作は崔自身が踊ったようです。何という椀飯振舞! 他に玉乗りなどの珍芸、3才から11才の子どもたちによる「小品舞踊」、曾我廼家五一郎以下による喜劇とを合わせた5部構成でした。この当時、緑波も崔承喜もともに人気絶頂期を迎えていた大スター。クリスマスの催しに彼らを起用できたのも、そもそもクリスマスの催しで客を集められたのも、世界に冠たる帝国ホテルならではのことだったのだろうと思います。
帝国ホテルの「クリスマス祭」は大正時代の初期にはすでに開催されていたようで、詳しくは青弓社のサイトのこちらのページをご参照下さい。前回入荷した13年前に分からなかったことがたちまち分かる今日であります。
http://www.seikyusha.co.jp/wp/rennsai/yohakuni/blank119.html

■たちまち分かることが刻々と増えている今日、それでもまだよく分からないことはあるぞというのが『皇紀二千六百年 奉祝芸能祭』。戦中日本の代表的プロパカンダ誌『NIPPON』の編集・発行で知られる名取洋之助を編纂・発行人とし、名取が率いた国際報道工芸(日本工房から改称)が昭和17(1942)年1月になって発行した写真集です。
皇紀2600年というのは、天皇の神格化をすすめた明治政府が、記紀の記述をもとに、神武天皇即位の年を西暦紀元前660年と定めたことによるもので、昭和15(1940)年がこれにあたります。オリンピックと万博の開催で、この年には世界中に国威を示そうと準備を進めるも戦局の拡大によりあえなく中止に。そのかわり、国内の芸術文芸各界の総力をあげて記念行事に取り組んだのが「奉祝芸能祭」であり、音楽及舞踊創定委員会部会、演劇委員会部会などの他、奉祝「序曲」審査委員会、映画コンクール部会など、分科会ごとに著名作家、評論家から元左翼演劇青年といった転向組まで名前を連ねる挙国一致体制で、結果的に、多分に愛国意識の高揚や犠牲精神の称揚などプロパガンダ的な性格をもつ作品が過半を占めることになりました。
『皇紀二千六百年 奉祝芸能祭』は、いずれも昭和15年=1940年の1年間に上演・上映された作品を式典、音楽、舞踊、演劇、映画というカテゴリー別スチール写真でまとめたもので、演劇は木村伊兵衛、音楽・舞踊は渡辺義雄が撮影、編纂は国際報道工芸。
テキストは巻頭挨拶文を除くと、タイトルや製作関係者の氏名の和文欧文併記のクレジット程度で問題は写真のレイアウト。がしかし、名取と国際報道工芸にとっては苦もなく料理できるはずの仕事が何故、まるまる1年も遅れての発行となったのか。皇紀2600年のプロパガンダとしては、できるだけ早く発行するよう求められる方が自然なはずです。ならばと図録『名取洋之助と日本工房』にあたってみたのですが、当書に関する記載は(私の見落としでなければ)全く見当たりません。2006年開催の展覧会では、何らかの理由で存在が無視されたのか、或いは当書は知られていなかったのか。また当には、本文中2ページが版元からリリースされる前に切り取られ、それを処理した形跡が残されています。この2ページ=裏表4ページに一体何が掲載されていて、どういう問題があったのか。ケンサクしてもいまはまだ回答が見つからない「何故?」が残されました。
■今週の真面目なおはなし。http://www.bengo4.com/other/1146/1287/n_3262/
そして今週の大笑い。「いわば朝鮮半島」ってどこ。あ。私の創作じゃあありませんよ。こんな面白いの書けないデス。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/9dfa28211aa5599486608b259ae6d92f
「今、あらかじめ、こうしたこうしてこうした事態があるということを今ここで申し上げるということはいかがなものかと思うわけである。つまり、そうならなければ、いわば、そうならなければ、われわれは武力行使をしないということは、これが明らかになってくるわけである。 そこで、その上で、その上で申し上げれば、いわば朝鮮半島で、朝鮮半島で有事が起こる中において、米艦船がその対応にあたっていく。これが重要影響事態に当たれば、われわれは後方支援を行う。  その中において、某国が東京を火の海にする発言をどんどんエスカレートさせていき、さまざまな状況が、日本に対してミサイル攻撃するかもしれないという状況が発生してくる。  その中において米艦船、あるいは、その米艦船がミサイル防衛に関わる艦船であった場合、それを攻撃するということは、その攻撃された艦船を守らないということについては、これはやはり3要件に当たる可能性があるわけだ。  しかし、そういうことをケース、ケースで私が述べていくということは、まさに日本はどういうことを考えているのか、どういうことでなければ、武力を行使しないために政策的な中身をさらすことにもなるから、これは国際的にもそんなことをいちいち全て述べている海外のリーダーというのはほとんどいないということは申し上げておきたいと思う」
*「産経新聞が詳報してくれたのをそのままご紹介しています。」とのこと。政治は先ず第一に言葉であるはずなのだけれど。

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