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19/08/24 映画万歳! 映画是非!! 初見の映画雑誌群/アンドレ・ブルトンの詩稿複製&イヴ・タンギー オリジナル入限定本 12年ぶり再入荷!

残暑お見舞い申し上げます
 

夏休みが明けてからこちら、一時の猛暑から少しずつ解放されるようになってきました。その分、疲れが出てきたような気もしますが、小店店主の場合は単なる気の緩みもしくは精神の弛緩というやつでね。休み明けと当時にギアをトップにチェンジしてお仕事に励んでおられるみなさまには、どうぞくれぐれもご自愛くださいますように!
 

夏休み明け早々何ですが、来週はお客様の大量のご蔵書をお引き受けする関係で木曜日は臨時休業。来週の店の営業は27日(火)と31日(土)の2日のみとなります。ご不便をおかけいたしますが、ご理解・ご留意いただければ幸いです。
 

■休みが明けると同時に市場も通常化、新着品も着々入荷しております。まとめて入ってくるのは本日土曜日の夕刻でありまして、今週は珍しく1950年代の婦人雑誌・ファッション雑誌、ベトナム戦争に関する日本国内反戦活動関係の孔版印刷物=ビラの類が2口なども入ってくる他、戦前の映画専門雑誌30冊ほどが店に届きます。

今週の新着品、画像1点目は、その映画専門雑誌約30冊の内、マイナー系で尚且つ "表紙がロシア構成主義的だったりモダンだったりするものを厳選してみた図" です。いずれもサイレントからトーキーへと切り替わる前後の時期のもので、態は心をあらわすの謂いよろしく、ソヴエト・ロシア映画の特集号を多数含んでいます。
『映画随筆』『東京映画小劇場』あたりには著名な寄稿者の名前が散見されますが、『映画是非』『映画万歳』になると、ほとんどの執筆者がお名前からして初見。東京麻布・映画是非社発行の『映画是非』昭和5年1月「1930年展望」号と、2月「トーキー特輯号」では松井翠聲、高木俊朗(「モンタアジュ解剖」!「機械主義と資本主義」!?)、小畑敏一らが、名古屋で発行されていた『映画万歳』では徳川夢声の名舞うが僅かに僅かに認められる、といったところ。但し「支那の映画事業」「資本家の陰謀を示した映画」など、気になる見出しが多数あります。
『映画随筆』は衣笠貞之助の「伯林映画通信」の他、清水光の「モホリ・ナギイの絶対形成論」等、ソビエトとドイツを中心とした海外文献の紹介が中心となり、かなり尖がった印象。
これらの中でもひとつ格上と見られる『東京映画小劇場』(昭和54年発行の3冊)ともなると、板垣鷹穂、飯島正、高田博厚などに加えて堀野正雄「小型映画の根本問題」なども出てくる堂々たるもの。表紙がタイポグラフィで構成されているのは、山内光(後の東方社・岡田桑三!)所蔵の"独逸の「フイルム・ウント・フォト」プログラム"によるものとか。もはやモダニズム系の雑誌と云った方が素性がはっきりしそうなラインナップです。
久方ぶりの 初見! 発見!!!の続く雑誌群の入荷。旧蔵者を同じくするものと見られる他の雑誌の内容が大いに気になってきました。 
 

こちらは2007年9月1日にご紹介して以来12年ぶりの入荷となりました。1963年、アメリカで発行された250部限定本『VOLIERE』はアンドレ・ブルトンとイヴ・タンギーの共著ブルトンの詩を手稿通りに複製したプレートと、イヴ・タンギーによるリトグラフ&コラージュ、手彩画など未綴じのプレートをポートフォリに収めたもので、スリップケースと函のついた完本です。
この本最大の特徴は、視覚詩的なブルトンの詩を忠実に再現することに始まり、リトグラフで刷って切り抜いて貼り付けて…と、徹頭徹尾凝りに凝った造本の面白さにあるかと思いますが、それがどれほどのものだったかのか、ということについて2007年に続いて2度同じことを書く労を惜しんで、前回の記事のアドレスを貼っておきますので、どうかそちらをご参照下さいますよう伏してお願い申し上げます。
http://www.nichigetu-do.com/navi/info/detail.php?id=147
これがまあねちねちとくどいほど掻いてりまして。2007年当時、思えば小店店主まだ40代半ば。当時のような熱量や集中力は一体どこに行ってしまったのやら、いまとなってはかけらも残っておりません。やれやれ。
 

■高校時代、大学受験準備で通った代々木ゼミナールの日本史の講座には白井明と云う名物講師が居て、私はこの講座で日本の近現代史を教わりました。細かな記憶は残っていませんが、講義が毎度毎度とても面白かったことと、あとひとつ、いまでも忘れられない白井先生の言葉があります。
「あの大戦で何があったのか、何を考えていたのか、昭和天皇には話す義務がある。」
古本屋になってからというもの、さまざまな記録に接する度に、どこからかこの言葉が聞こえてくる気がします。
第二次世界大戦の敗戦日と前後して、今年もNHKが渾身のドキュメンタリー番組を見せてくれました。なかでも「昭和天皇 「拝謁記」」は、とても印象深いものでした。戦後、第2代宮内府長官、初代宮内庁長官を歴任し、昭和天皇とのやりとりを詳細に記録した田島道治。半世紀以上の長きにわたりその記録を保管し、公開を決めたご遺族。白井先生にとってはまだ充分な回答とは云えないのかも知れませんが、いまこの時に、この番組をつくり放送したことはとても意義あることだったと思います。
NHK「拝謁記」については下記のアドレスに。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/emperor-showa/?tab=1&diary=1

今週は映画でこんな話題も。
https://webronza.asahi.com/culture/articles/2014072300010.html?fbclid=IwAR18bxKw0jJlBPs1V_rl7qb86f09QpngOi2B9CqCKiXKQM9HecjoDRSwb5g

「基本的人権」に関係する諸機関から警告とか勧告とか次々受けるようになってしまった我らがニッポンですが、今週はこんなのも届いてるそうです。
https://www.amnesty.or.jp/news/2019/0821_8271.html?utm_source=BenchmarkEmail&utm_campaign=MM_20190822&utm_medium=email&fbclid=IwAR2b4yXPD4zeX4LC-kn8ReVMMX9E6BxiokIs3DdkWOmThv9SNjqKlb2aCXY

次に届く報せといったら、この度のガイコウでいくらバラまかれてしまったのかという金額あたりでしょうか。増税したところで焼け石に水。いや、水は水であれもこれも問題発生中で……。 

 

19/08/10 夏休みのお知らせと戦争の表現・戦間期の混迷にまつわるものたち


暑中お見舞い申し上げます
 
命の危険を感じるのは台風や豪雨だけじゃあないというのを実感する暑さが続いております。
そもそも普段より気力充実とは縁遠い小店店主、この暑さでできることなら仕事を放棄したいと申すものですから、8月11日(日)より19日(月)まで夏季休業いたします。
遠出の予定があるでもなく、できることなら数日は店のバックヤードの整理に手を付けたい等々、その日の気分で動くことになりそうです。
ご用の方はFacebookの「古書 日月堂」からメッセージをいただければご返信できるかとは存じますが、先ずはみなさまお元気で佳き夏季休暇をお過ごし下さいますように!
 
画像1点目と2点目は、1冊のスクラップ帖から、カテゴリーに分けて画像処理してみたものです。いずれも1938年頃から1940年前後に制作されたもので、戦前の丸善のウィンドーディスプレイや装丁のデザインに関わった人が自身でつくったデザイン原画と、自分の作品を記録した写真と見られます。
中に1篇残されていた自筆原稿『日展所感』の署名から、多摩帝国美術大学に在籍していたことのある武田弘と云う人の旧蔵品だった可能性があります。
画像1点目の丸善に関係したデザイン原画は水彩で11点。 

画像2点目のウィンドーディスプレイにそのまま使われているものが数点あることから、ディスプレイ・デザインの原案が多いのではないかと思います。
デザインはモダン。特徴は戦時色という時代性。これが一貫したデザインの基調となっています。
アテナインキの場合は、「出せ慰問文」「書け!慰問文」「文字の慰問袋を」「前線へ慰問文を送れ!」「兵隊さんへお手紙を出そう」「無敵鮮色!アテナインキ」など、戦地への慰問袋を一大商機(唯一の商機?)と見ての力の入れようです。
同じ手によって丸善出版物のためにつくられたと見られる装丁原画16点が残されています。
 
■画像2点目は丸善のウィンドー・ディスプレイを撮影した写真37点。全点真正面から紙焼きのサイズピッタリに撮影された記録用の写真です。
デザイン原画と比べて一層洗練された仕上がりとなっていますが、「国産愛用」「足に新制」(意味不明)から「進め増産」「防空即生活」「護れ国土」「万歳 シンガポール陥落」まで、戦時体制色一色といった感あり、下から押し上げるような国民の側からの圧力が、戦時体制や挙国一致を支えていたことが伺えます。
 
専用ファイルと添付の冊子の表紙に『NOTGELD(ノートゲルト) 1914-1924』とタイトルが印刷されているのは、ドイツやオーストリアで発行された補完通貨のコレクションです。
ドイツやオーストリアでは20世紀初頭から紙幣、コインとも、補完通貨が発行されていましたが、このコレクションは、第一次世界大戦時の戦費負担によって起きたインフレを改善するために発行された補完紙幣(1914年)から、戦間期にも進行したインフレに対抗して自治体や商店から出され、やがてコレクターズ・アイテムや投機目的となった紙幣までを集めたもの。1924年という区切りは、ワイマール共和国で起こったハイパーインフレによって、あれよあれよという間に価値を失っていくノートゲートを回収、新たに発行したレンテンマルクへの交換が終わった年=ルートゲルトが終焉を迎えた1924年までを意味しているようです。 
第一次世界大戦後のドイツの経済的な疲弊がヒトラーとその独裁政権を呼んだというのは周知の通り。第一次大戦を第二次世界大戦へとつなげてしまった紙モノたちだと云えるのかも知れません。

夥しい種類・量のノートゲルトは、レンテンマルクへの切り替えによって古紙回収業者によって引き取られるという運命をたどったと云われますが、一方で、どうやらそのなかでも何かしら目をひくものを集めて販売しようと考えた御仁が居たらしく、このファイルはこうした目ざとい商人が商材として整え、販売したものと見られます。
点数は639点。いずれも両面印刷で多くは両面ともカラー刷の美麗なもの多数。発行当時からコレクターズ・アイテムとなっていたというのもむべなるかな。紙モノ好きの方にとっては一見の価値あり。です。

「表現の不自由展」聞いて、小店店主が先ず頭に思い浮かべたのは、赤瀬川原平が千円札裁判に際して仲間の芸術家や支援者とともに開催した展覧会のことでした。
あの時と決定的に異なるのは、例えば週刊文春のアンケートで、「平和の少女像の展示に反対」する人が74%にのぼるなど、国民の側が自ら進んで、芸術への権力の介入、つまりは検閲を容認するかのような空気がいまは確かにある、ということではないかと思います。
国民が自ら進んで検閲を支持・後押しするような国というのを(少なくとも民主主義国家において)私は他に知りません。
今週は色々読みましたが、これはと思ったものをメモしておきます。

「表現の不自由展」について最も読んでおく意味があると思ったのが。展示中止前に見てきた方のこのコラム。
https://note.mu/segawashin/n/nd000935e7c61?fbclid=IwAR0RXoeEp71pmU8tnOlVZ60ehEC80M-t1hBqdm2L6tq2OLfrDMRKsfozQoE
3.11後、作家として表現を通して異議申し立てをするということの覚悟。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=2326022497518241&set=a.1813834892070340&type=3&theater
ドイツの若者は映画「主戦場」をどう観たか。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190808-00000002-yonnana-soci&p=5&fbclid=IwAR2pBXD5d30SbCk-ono0G249n85nG4ydeQbZwrFoEqgOtnhVO6SUy_1WEMw
日韓相互理解のための補助線とそのありか。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66356?page=2&fbclid=IwAR07hQa7AYgFb_Gs9ozUUairPLoqbIHPl1F6zARuonTABzCuO5UQmfoPuL
少し古いコラムですが、世界から見た従軍慰安婦問題と国際社会における日本への視線。
https://note.mu/hiroshiono/n/n4a5033c08337?fbclid=IwAR05h9uvzSA66G_ErdEh4euqmuy0rILEJ6jZqPy20CihZOGhKQ1i_Wa2DOA

以上、どれも非常に冷静です。あと、既述した週刊文春のアンケートについては念のためはこちらへ。
https://bunshun.jp/articles/-/13292

戦後、国際展としてカッセルでスタートしたドクメンタは、ナチスによる「退廃美術展」に対抗して開始されたのだと聞きました。とすれば、官憲の介入を断固拒否してこそ国際展の正嫡だと云えるでしょう。
さて、愛知トリエンナーレは ?
 

19/08/03 満身履歴 ! 質屋さんの紙もの !

■パリで気温42度と聞いて、彼の地に暮らす何人かの知人友人の安否を案じているうちに、案の定、東京の気温もうなぎ上り。折も折、今週、空調がない・もしくは空調の力が及ばない場所での仕事が重なって、早くも小店店主、夏バテであります。
しかも睡眠不足は熱中症にも良くないと云うことで、本日新着品の更新は一回お休みさせていただきます。
それだけではさすがにアレかしら、と云うことで、とりあえず画像を1点。先週から店頭に出している商品。質屋のたとう紙とか質屋の畳紙などと呼ばれた質屋さんのかつての商売道具で、風呂敷大の和紙であります。入荷したのは明治から昭和初期の頃のもの。キモノを中心に質草として預かった品々を保管するのに使われた包み紙のようなものだそうで、100%和紙でできています。
和紙と云ってもご覧の通り。
いまならゴミにしてしまうような使用済みの和紙-- 台帳の綴りを解いたもの、書簡の書き損じや習字の反故紙など、身近にあって一度はお役御免になった和紙--を再利用してつくり、使っているうちに傷んだところや穴があいたところにはまた上から和紙を貼り、傷つく度にまた貼って…と大切に使われてきた痕跡を、見事なまでに満身にまとっている紙ものです。ここまで"満身履歴"な紙ものも珍しい。
柿渋を塗布したものがあるかと思えば、使いこまれた結果、布のような手触りに変わったものがあったり、使われている和紙も1点ものなら使われた経歴も1点ごとに異なるため、同じものなどあり得ない、どれをとっも正真正銘1点もの。使われている反故紙も面白く、ひとつひとつ表情の異なるこのひと口、ご興味ある方がいらっしゃいましたら、店頭で検めていただければ幸いです。カードもPaypayもご利用いただけますですはい。
 
■夏季休業は8月11日(日)より。いつまでか、は、只今調整中のスケジュールがあり、判明次第、改めてお報せいたします。
 

 

 

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