■先ずは今週のスケジュールについてのお知らせとお願いです。9月25日(木)は一新会大市のため、店の営業は夕方からとさせていただきます。この日にご来店をお考えの場合は、お手数かと存じますが、会場である東京古書会館までお電話の上、日月堂をお呼び出し下さい。開店時間をもう少し性格にお伝えできるかと思います。東京古書会館の電話番号は03-3293-0161となっております。お手数をおかけいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。
■先週もお知らせいたしましたとおり、先週土曜日9月20日より、今年、パリで買ってきたステッキを展示販売いたしております。
現在、店頭キャビネット上を、蚤の市やパッサージュのお店などで買ってきた15点のポスターが占拠。15点にはプルーストやベンヤミン、プルースト、あるいはアデンとかオピウムといった古きよき時代のバリ、或いはフランスに関係した名前をつけました。
先週の画像1点目の絵葉書は、ステッキ毎につけた名前とそれぞれの材質やサイズなどスペックを書いて、ご購入された方に差し上げています。
例えば … アンティーク家具でお馴染みのボール&クロウ(ball & claw)をハンドルに施したステッキは「M.Eliade」。銀素材に芥子の花のレリーフを施したハンドルを持つステッキは、コクトーの作品タイトルにもある「Opium」といった具合。
いずれもアンティークまたはユーズドの古いもので、当然ながら1点ものです。
この機会に是非ご高覧下さいませ。
■さて、プロバイダーにブロックされる理由が漸く分かりました。
通常、HPの更新はワードで書いた後、HP書き込み用のフォームにコピペしていたしのですが、このコピペがダメらしい。それで正解かどうかについては、依然、自宅PCで確認する必要が残されていますが、とりあえず、今週の更新は何とかなりそうな気がしてきました。
ともあれ、HPのアップが難しい場合には、Facebookの日月堂のウォールに必要な情報をアップいたしますので、併せてチェックしていただければ幸いです。
ご不便をおかけいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。
■9/20未明、新しいページへの書き込みができず、更新不能となっております。このため、新たな情報については、下記、Facebookの「日月堂」のページでご確認下さい。来週は営業日程にも一部変更がございますのでご注意を! https://www.facebook.com/pages/%E5%8F%A4%E6%9B%B8-%E6%97%A5%E6%9C%88%E5%A0%82/283455908403652?ref=hl
■んで。ここからが追加更新分。
今年のパリ行きで、書物・冊子並び印刷物の収穫が乏しかった分、パッサージュや蚤の市で目についたのをぽつりぽつりと選んでは買ってきたのがステッキであります。滞在一週間で都合15本。調達かなったステッキを放出いたします。スタートは9月20日(土)、とりあえず9月30日(火)までの営業日にご覧いただいた上で、先着順でご注文を承り、お引き渡しは9月30日以降とさせていただきます。
価格は2万弱から10万超まで。「できることならこのあたりの数点は自分の手元に残って欲しいかも。」なんて未練たらしいことを呟いていたところを見ますと、あるじの好みに合ったものからお高くなっている可能性濃厚。店主の好悪が品揃えと価格に反映されやすい小店の傾向に拍車をかけるステッキであります。
それにしても、なぜゆえ古本屋でステッキ?ですよね。普通に考えて意味不明です。以下その言い訳 … もとい。理由、をざっくりと。のつもりがまたしてもくどい。やれやれ。
■スマホの指示がなければどこにも行けない。そんものの世話にはならぬと思っていた私ですが、最近は乗り換え案内や地図検索など、確認してからでないとどこにも行けないテイタラク。すっかり骨抜きの態ですが、お陰で行きたいところにほぼ予定通りの時間通に到着するという、かつてと比べ格段に無駄のない便利さの恩恵に与っております。
がしかし、それと反比例して、知らない土地へ行った時の余禄 - 初めて訪れる商店街を少し歩いてみたりという程度ですが、それでも必ず何か発見のある楽しいひと時です - をほぼ失うことになりました。移動から買い物まで、実に便利で無駄のないスマホのある生活ですが、その無駄のなさが味気ない。一日を愉快にしてくれるものの多くは、実は無駄なんじゃないか。久しぶりにパリの街をふらふらと歩きながら考えました。
実は小店あるじ、昔からのステッキ好き。1920年代だとか黄金期のMGMミュージカル好きにとって、当然のように気になるアイテムであります。あんまり好きなものだから、いまから四半世紀前、まだ20代の頃、初めていったニューヨークで専門店を発見、ステッキを数本買って帰ったのが小店店主とステッキとのお付き合いの初め。お土産用でしたけど。
ちなみにこの時、あんまり気に入ってしまったがために買って帰ってきたもうひとつがカッサンドルの額モノで、黒い台紙に黒い額という黒一色の中に「DUBO DUBON DUBONNET」と書かれた赤い扇形の印刷物が収められた1点。コミカルなキャラクターを使ったご存知カッサンドルの代表作のひとつですが、その洒脱なイラスト広告にノックアウトされ、20代にしていきなりものすごーくお高い紙モノに手を出すことになりました。カッサンドルのことなんてロクに知りもせず、でも4万か5万くらいは払ったと思います。いまから思えば本に限らず「紙モノ」なら何でも扱う後年の店主の志向性は、すでにこの辺りで発症していたのです。う。病気だったのか。
古本屋になって以来、お陰さまでカッサンドルは繰り返し扱ってきましたが、人生半世紀を超えたところで、そろそろステッキともきちんと向き合っておきたい。何しろ好きなものだし。と考えていたところにパリでステッキです。実用一本やりであれば格好なんぞつけている場合ではありませんが、しかしそこまで差し迫っていないがために、できることならステキなのが欲しい(…く、くだらなさすぎる)。あの、昭和の炊飯ジャーに描かれていた花柄みたいのを持つのは絶対にイヤ。なんて中途半端な欲もあるところにパリのステッキはさすがに洒落モノ揃い。どうよと云ってお見せしたい。というので展示即売です。
■ところで、人生における無駄の話ですが。
移動中とか歩いている間の何もしていない状況を果たして無駄と呼ぶのかどうかはさて措き、がしかし、そうした無駄かもしれないと思う隙間にうまく忍び込んだのがスマホでした。スマホを使えばさらにスマホを利用する時間が増え、従来無駄とされていたような時間が現在有用とされるコンテンツだとかつながりのために埋め尽くされていく。その勢いといったら留まるところを知りません。
思えば文学も美術も音楽も映画もお芝居も、生きていく上で絶対に必要だなんて云えない代物。無駄と云えば無駄。しかも、どう贔屓目に見ても、多くの場合あまりお金にならない。でも、そんな無駄がなくなってしまったら、ご承知の通り、人生というもの、誠に味気ないものに違いありません。
人生に無駄を取り戻すために、まず、スマホをステッキに持ち代えてみたいと思っています。ステッキでふさがってしまう手から、この際スマホは置いて、ステッキを持って街に出る。
ステッキを持って街に出たら、文字通り風の向くまま気の向くまま、時には臭いや音なんかに誘われて、行きたい方向、進みたい道をどしどしと歩いていく。アスファルトの道もぬかるみも、坂道も階段も、ステッキは不平ひとつこぼすことなく、どこまでも忠実にお供を務めてくれます。どこへでも黙って主人につき従う、実に奥ゆかしい性格のステッキからするとあれかも知れませんが、時にはステッキを倒して行き先を決めてもらうこともできますし、かゆいところには手が届きます。気に入らないヤツだからと云って人に向かって振り上げるのだけはご遠慮いただくとして、ステッキというもの、ふらふらと街をさまよい、建築物を見に行ったり、美術館をはしごしようかとか、音楽を聞いた後はのんびり歩きたいだの、今日は一日空を眺めに公園に出掛けようといった無駄の多い人生のための、実に有益な相棒となるはずなのであります。
今夏、文科省は国立大学の組織改革案として、「教育学系、人文社会学系の廃止や転換」を- 9月2日付・東京新聞の報道より。「覚悟」レベルの話で即時の廃止は考えないそうですが、それにしても - 各大学へ通達しちゃっいました。ぅわぁ。
短期的に実効性を持ち換金性の高いもの以外に国はお金出したくないんだよね、ということらしい。小店が主として扱う芸術や思想・哲学などというもの、なべて長い時間を経た上でその価値が確定していくものです。そんな悠長でお金にならものなんていらないってことでしょうね。とほほな事態です。
近い将来、スマホではなくステッキをもって歩くという行為が、いかに全てを効率よく金銭に変えて行くか、そのことしか頭になく、それを大規模に実現する大企業と新たな技術しかいらないと思っているフシのある最近の日本のセイジ屋さんたちに抗う人たちの、分かりやすい旗印になでもなってくれれば面白い。なんてことも少しばかり考えている次第であります。
おっと。忘れちゃいけない1点目の画像は、ステッキを持つ人がいる古い絵葉書。ステッキが身だしなみに欠かせないアイテムだった当時の街を行く人たちの様子です。
■今回扱う商品については、いずれも長い時間が経過した工芸品であると当時に、旧蔵者が使用した後の中古品となっております。身体的機能を補助する実用品ではなく、あくまで装身具、蒐集対象の商品のひとつとして販売するものです。ご購入にあたっては、その点を必ずご理解いただけますようお願いいたします。
■ただいま深夜2時。画像の加工に通常の倍ほどの時間をとられてしまいました。そう難しいものでも、極端に重い画像とも思えないのですが。確かにここのところ動きがあまりに重たくて、「こりゃあぶないかも。」と思っていた自宅PC、いよいよいけない状態となってきたようです。
あぁ~っ、もーゆううつの極み。
なんて云ってても始まらないし、いつどうなっちゃうか分かりませんが、とりあえず行けるところまで行ってみましょうかね。というわけで、今週の新着品。PCの機嫌がまだそこそこよい間に終えられるように駆け足ですっ飛ばせればと思います。
■表紙にあしらわれたタイトル『NUS』の力強い3文字がいやでも目に入ってくる画像1点目は、「LA BEAUTE DE LA FEMME」の副題を持つ女性のヌード写真集。
但し、ピンナップ系ではなくあくまで芸術系でありまして、1933年、パリで開催されたヌード写真の国際展覧会に出品された作品を1冊の書籍にまとめたものです。1933年=昭和8年当時、日本では全然考えられなかったことですが、「芸術かエロか?」なんて議論を俟つまでもなく、欧米先進国ではもうすでにヘアヌードも芸術として認められていて、というか、芸術であれば出版なんて問題なくできたみたいで、当書にも陸続堂々と掲載されております。全然OKだったんですね、海の向こうでは。
ご存知バレエ・リュスのごく初期にダンサーたちの肖像を撮影した写真家・大御所のホッペをはじめ、ラズロ・モホリ=ナギ、マン・レイ、アンドレアス・ファイニンガー、モーリス・ベック、ブルーノ・シュルツ、ウィリアム・モーテンセンなど、重鎮から当時の新進気鋭の作家まで54作家による96作品を収めました。
現在のところまで確実な記述に辿りついていないのですが、どうやらヌード写真(芸術系の?)では、世界でもごく初期に発行された1冊とされているようで、海外のサイトで確認してみると驚くような値段がついているのも、写真史上、重要な資料のひとつに数えられるゆえのことかと推測しています。
今回入荷の1冊は臙脂色の紐で綴じられた元装、背に僅かな傷がありますが、全体的に状態は上々。
うむむ。さて、いくらつけましょうかねえ。というのが実は古本屋の一番大事な仕事。小店、ヤフオク、やっておりませんので。ともかく明日、店に入るまでに決めておかねばといった具合に古本屋の仕事は起きているあいだ中、どこまでも続く……。
■久しぶりの百貨店資料の入荷です。全て、名古屋の松坂屋の印刷物で、昭和3年創刊の『マツサカヤ』7冊の他、昭和11(1936)年の新館竣工記念誌『新館明粧』、同年の『婦人洋装春のサロン』、新作着物の見本会のカタログ『春の流行』、いまのところまででは時代が確定できていないものの、これらと同時代のものと見て間違いのない『松坂屋開店記念号』の11冊。この他、11冊のなかに挟み込まれた別刷の『新館落成 記念催事案内』やフロアガイド、招待状、チラシなどが11点ついています。
ここでまず、ご覧のみなさまに訴えたいのは、ついさっき、おばあちゃん家に松坂屋さんから届いたのではないかと思われるような状態の良さであります。焼けもシミもキズもなし。綴じ穴はあるけれど、比較的小さいのが幸いしてほとんど目立たない。カラー部分を別刷りして貼り込んだ部分もあるのですが、脱落した部分なくこれらも全て残っています。
この幸いが市場では災いして、落札は天辺の札になってしまいましたが、しかしこれを逃せば二度とないだろうというコンディションです。
画像にとったのは定期刊行物『マツサカヤ』から、まるでフランスの1910~20年代の高級婦人雑誌『アール・グー・ボーテ』を思わせる表紙の2冊。実は表紙だけでなく、『マツサカヤ』を見ると中面のつくりやちょっとしたレイアウトの点でも、『アール~』を参考にしていた節があります。
流行記事と商品写真をメインとする商品カタログ兼PR誌ありながら、記事を竹久夢二や吉井勇、杉浦翠子といった人たちに書かせるなど、教養の点に目配りが利いているのも共通点といえそうです。
『新館明粧』では、新時代の百貨店に相応しく、新興写真を思わせるグラビア写真により、たいへんにモダンな新時代の百貨店を外観からインテリアの部分に至るまで、スタイリッシュに紹介しています。
新興写真テイストは、『五月開店記念号』と表紙のタイトル横に小さく記された『マツサカヤ』の無駄にかっこいいフォトモンタージュに行きついていて、これにはびっくり。というのが今週の画像3点目。もっとはっきりお見せできないのがちょっと残念。
『マツサカヤ』には他に、藤田嗣治の描いた『ホームライフ』の表紙にそっくりの子どもが描かれたものがあったり、登山者の姿を大胆なデザインで表現したものなど、デザイン的に見てもとてもおもしろいもの。何よりこれだけまとまって出てくることも最近ではごくごく稀なことになってしまいました。それだけに、さて、こちらは一括で売るべきか、それともバラ売りの方が足が速いのか、こちらも明日、店に入る頃までには決めておかねば。
で、ただいま午前4時。何時になったら眠れるのか、もう私にも分からない……。