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14/09/13 スマホを置いて街に出よう。ステッキを手に寄り道をしよう。 20日よりステッキ15点を展示販売いたします。


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9/20未明、新しいページへの書き込みができず、更新不能となっております。このため、新たな情報については、下記、Facebookの「日月堂」のページでご確認下さい。来週は営業日程にも一部変更がございますのでご注意を! https://www.facebook.com/pages/%E5%8F%A4%E6%9B%B8-%E6%97%A5%E6%9C%88%E5%A0%82/283455908403652?ref=hl 

■んで。ここからが追加更新分。
今年のパリ行きで、書物・冊子並び印刷物の収穫が乏しかった分、パッサージュや蚤の市で目についたのをぽつりぽつりと選んでは買ってきたのがステッキであります。滞在一週間で都合15本。調達かなったステッキを放出いたします。スタートは9月20日(土)、とりあえず9月30日(火)までの営業日にご覧いただいた上で、先着順でご注文を承り、お引き渡しは9月30日以降とさせていただきます
価格は2万弱から10万超まで。「できることならこのあたりの数点は自分の手元に残って欲しいかも。」なんて未練たらしいことを呟いていたところを見ますと、あるじの好みに合ったものからお高くなっている可能性濃厚。店主の好悪が品揃えと価格に反映されやすい小店の傾向に拍車をかけるステッキであります。
それにしても、なぜゆえ古本屋でステッキ?ですよね。普通に考えて意味不明です。以下その言い訳 … もとい。理由、をざっくりと。のつもりがまたしてもくどい。やれやれ。
■スマホの指示がなければどこにも行けない。そんものの世話にはならぬと思っていた私ですが、最近は乗り換え案内や地図検索など、確認してからでないとどこにも行けないテイタラク。すっかり骨抜きの態ですが、お陰で行きたいところにほぼ予定通りの時間通に到着するという、かつてと比べ格段に無駄のない便利さの恩恵に与っております。


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がしかし、それと反比例して、知らない土地へ行った時の余禄 - 初めて訪れる商店街を少し歩いてみたりという程度ですが、それでも必ず何か発見のある楽しいひと時です - をほぼ失うことになりました。移動から買い物まで、実に便利で無駄のないスマホのある生活ですが、その無駄のなさが味気ない。一日を愉快にしてくれるものの多くは、実は無駄なんじゃないか。久しぶりにパリの街をふらふらと歩きながら考えました。
実は小店あるじ、昔からのステッキ好き。1920年代だとか黄金期のMGMミュージカル好きにとって、当然のように気になるアイテムであります。あんまり好きなものだから、いまから四半世紀前、まだ20代の頃、初めていったニューヨークで専門店を発見、ステッキを数本買って帰ったのが小店店主とステッキとのお付き合いの初め。お土産用でしたけど。
ちなみにこの時、あんまり気に入ってしまったがために買って帰ってきたもうひとつがカッサンドルの額モノで、黒い台紙に黒い額という黒一色の中に「DUBO  DUBON  DUBONNET」と書かれた赤い扇形の印刷物が収められた1点。コミカルなキャラクターを使ったご存知カッサンドルの代表作のひとつですが、その洒脱なイラスト広告にノックアウトされ、20代にしていきなりものすごーくお高い紙モノに手を出すことになりました。カッサンドルのことなんてロクに知りもせず、でも4万か5万くらいは払ったと思います。いまから思えば本に限らず「紙モノ」なら何でも扱う後年の店主の志向性は、すでにこの辺りで発症していたのです。う。病気だったのか。
古本屋になって以来、お陰さまでカッサンドルは繰り返し扱ってきましたが、人生半世紀を超えたところで、そろそろステッキともきちんと向き合っておきたい。何しろ好きなものだし。と考えていたところにパリでステッキです。実用一本やりであれば格好なんぞつけている場合ではありませんが、しかしそこまで差し迫っていないがために、できることならステキなのが欲しい(…く、くだらなさすぎる)。あの、昭和の炊飯ジャーに描かれていた花柄みたいのを持つのは絶対にイヤ。なんて中途半端な欲もあるところにパリのステッキはさすがに洒落モノ揃い。どうよと云ってお見せしたい。というので展示即売です。
ところで、人生における無駄の話ですが。
移動中とか歩いている間の何もしていない状況を果たして無駄と呼ぶのかどうかはさて措き、がしかし、そうした無駄かもしれないと思う隙間にうまく忍び込んだのがスマホでした。スマホを使えばさらにスマホを利用する時間が増え、従来無駄とされていたような時間が現在有用とされるコンテンツだとかつながりのために埋め尽くされていく。その勢いといったら留まるところを知りません。
思えば文学も美術も音楽も映画もお芝居も、生きていく上で絶対に必要だなんて云えない代物。無駄と云えば無駄。しかも、どう贔屓目に見ても、多くの場合あまりお金にならない。でも、そんな無駄がなくなってしまったら、ご承知の通り、人生というもの、誠に味気ないものに違いありません。
人生に無駄を取り戻すために、まず、スマホをステッキに持ち代えてみたいと思っています。ステッキでふさがってしまう手から、この際スマホは置いて、ステッキを持って街に出る。
ステッキを持って街に出たら、文字通り風の向くまま気の向くまま、時には臭いや音なんかに誘われて、行きたい方向、進みたい道をどしどしと歩いていく。アスファルトの道もぬかるみも、坂道も階段も、ステッキは不平ひとつこぼすことなく、どこまでも忠実にお供を務めてくれます。どこへでも黙って主人につき従う、実に奥ゆかしい性格のステッキからするとあれかも知れませんが、時にはステッキを倒して行き先を決めてもらうこともできますし、かゆいところには手が届きます。気に入らないヤツだからと云って人に向かって振り上げるのだけはご遠慮いただくとして、ステッキというもの、ふらふらと街をさまよい、建築物を見に行ったり、美術館をはしごしようかとか、音楽を聞いた後はのんびり歩きたいだの、今日は一日空を眺めに公園に出掛けようといった無駄の多い人生のための、実に有益な相棒となるはずなのであります。
今夏、文科省は国立大学の組織改革案として、「教育学系、人文社会学系の廃止や転換」を- 9月2日付・東京新聞の報道より。「覚悟」レベルの話で即時の廃止は考えないそうですが、それにしても - 各大学へ通達しちゃっいました。ぅわぁ。
短期的に実効性を持ち換金性の高いもの以外に国はお金出したくないんだよね、ということらしい。小店が主として扱う芸術や思想・哲学などというもの、なべて長い時間を経た上でその価値が確定していくものです。そんな悠長でお金にならものなんていらないってことでしょうね。とほほな事態です。
近い将来、スマホではなくステッキをもって歩くという行為が、いかに全てを効率よく金銭に変えて行くか、そのことしか頭になく、それを大規模に実現する大企業と新たな技術しかいらないと思っているフシのある最近の日本のセイジ屋さんたちに抗う人たちの、分かりやすい旗印になでもなってくれれば面白い。なんてことも少しばかり考えている次第であります。
おっと。忘れちゃいけない1点目の画像は、ステッキを持つ人がいる古い絵葉書。ステッキが身だしなみに欠かせないアイテムだった当時の街を行く人たちの様子です。
■今回扱う商品については、いずれも長い時間が経過した工芸品であると当時に、旧蔵者が使用した後の中古品となっております。身体的機能を補助する実用品ではなく、あくまで装身具、蒐集対象の商品のひとつとして販売するものです。ご購入にあたっては、その点を必ずご理解いただけますようお願いいたします。


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