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15/02/28 見ればご機嫌な鉛筆商標デザイン・スクラップブックと1960年代『VOGUE』


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■こちらまで、つられて笑顔になってしまうような、この上なくご機嫌な様子で店に入って来るなり -------- 「ぼくは古い鉛筆のコレクターです。」
なんて云うお客様はあとにも先にもこの方ひとりきり。当時まだ自分のブログを立ち上げたばかりだと仰っていたのが2009年だったかいや2010年だったか、いずれにしてもかれこれ5~6年前のこと。この時、初めて小店をお訪ね下さったのが、いまでは押しも押されぬ斯界の泰斗となったGさんでした。Gさん、いまでは雑誌の取材やイベントにと大活躍のご様子、ご存知の方も多いかと思います。
話戻って初のご来店時のこと。古い鉛筆のコレクターですと? ううむ。コレクターというのはあらゆるモノに付いてくる。という確信をますます深めつつ、その際にうかがった、日本鉛筆界の草創期から現在までの歴史を彩る奇天烈なエピソードの数々はまさに抱腹絶倒ものだったことを今でも明瞭に覚えています。
以来、古い鉛筆と鉛筆関係の資料は、市場でも常に頭に置いていたつもりでしたが、これがなかなか出てこないもので。2015年現在に至る間、僅かに数度、関連資料が入荷した程度でした。
さて、長らくの後、本日落手のスクラップ帖は、これまでにない鉛筆資料です。しかも、間違いなくこの世にひとつの。
大雑把に云うと「鉛筆が過半を占める文具関係パッケージ紙モノ・デザインコレクション」といった内容の1冊なのですが、鉛筆1ダースセット用の商標・腹巻き紙や箱等、明らかに鉛筆に関係する紙モノが110点、他に「組合せ文具」の大型ラベル、インクの箱と商標、包装紙、クリスマスギフト用のカードなど、いずれも文具とその販売促進に関するものが60点、総計170点がこの1冊に収められているというわけです。文具、しかしあくまで鉛筆が中心の紙もの。
やりました! ようやく入荷です! 文具関係だけでこれ程のヴォーリュームを備えたスクラップ帖というのは、私の知る限りそれだけで充分珍しいものですが、しかしこのコレクションの最大の特徴であり、「この世にひとつ」のものにしているのは、鉛筆の商標のデザイン原画が30点、その他の原画が7点と、多数のオリジナルデザイン画が含まれていること、にあります。


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画像中、縦位置に置いたものが原画の一部ですが、ご覧の通りこれがどれも戦前モダンデザインの典型例と云ってよい出来。旧蔵者の名前も何も記されていませんが、原画に残された端正かつ精緻なデザイン画の出来栄え、「HARRIS PENCILS(ハリス鉛筆)」「スピード鉛筆(Speed Pencil)」「三越鉛筆」など一定のブランドに仕事が集中していることなどから、往時、優秀かつ信頼厚いデザイナーだった人の仕事が、スクラップ帖というかたちで残されたものではないかと推察しています。また、飛行機、鉄道特急、軍艦陸奥などをモチーフとしている点や、「無敵皇軍スピード鉛筆」の商標などが見られることから、時代は戦前から戦中にかけてと見て間違いないでしょう。
とりあえず鉛筆に絞って見ると、既述の「ハリス」「スピード」「三越」を中心に、「キリン鉛筆」「イルカ高級鉛筆」「GOLDEN BIRD」「OWL Y.B.PENCIL」「梅花鉛筆」「国境鉛筆」「KAKUJITSU PENCILS」「スクール鉛筆」「自動車鉛筆」「SCREW PENCIL」といったおそらくは小資本メーカーの製品と思われるのものから、「高島屋」「白木屋」「大丸」「阪急」「京阪」「丸物」「天満屋」といった百貨店ブランドまで多種です。
鉛筆資料として見るか、はたまたデザイン資料として見るべきかは、Gさんはじめ、ご覧になるみなさまそれぞれ任せいたしますですはい。

久々に『VOGUE』の入荷です。1960~1962年に出版されたアメリカン・ヴォーグ11冊、フレンチ・ヴォーグ2冊、ヴォーグ・パターンブック2冊の合計15冊。いずれも大変良い状態。
中に1冊、マリリン・モンローが数頁にわたりとり上げられている号がありました。
シャネルやウォルトの香水の広告あり、ディオールのストッキング、マニュキアの広告あり、ファッションは上品で、グラビア表現は粋。この時代のモードとそれを支えたメディアとの共犯関係も、ここまで見事に洒落のめしたものならば、何の批判もございません

真継不二夫撮影『海軍兵学校』、『雄飛』他予科練雄飛会関係機関誌約5cm分、『大日本美術図譜』内2巻4冊、などが今週店に入荷いたしております。また、先週落札した現代美術関係の洋書18冊-ジョン・ケージ、フルクサス、ドアノー、ムナーリ等-はすでに棚に陳列を終え、他の品物も値付けが終わったものから店頭に並べています。春には春らしく装いも新たにと念じつつ、少しずつではありますが、店内模様替えをしています。ご来店のほどよろしくお願いいたします!

15/02/21 100年前から届いた新着品 アール・ヌーヴォーの装飾意匠プレートとイギリスの詩文集『チャップブック』


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■1週お休みをいただいたので、久しぶりの更新となりました。お休みをいただいたのは、中央市会大市のため、通常の市場が1週間にわたってお休みだったから。従って、今週の新着品は、直近、その中央市大市で落札かなった品物からのご紹介です。

その1点目。市場でお目にかかるのも久しぶりだったフランスの石版刷の図案プレートは、本来あったとおもわれるポートフォリオが欠けており、さらにプレートの数から見ても不揃い。それでもなお、これは買っておいて間違いないと思われるクオリティでした。
インテリアや陶磁器などの工芸品に実際に使われた意匠を忠実に写しとったデザイン集ですが、アール・ヌーヴォーが様式化していく時代の最初期、まだそれほどデザイン化=簡略化が進んでいなかったと見え、プレートに描かれた図案もかなり細かく描写されているのが特徴。図案の細かさゆえに、何度も色を重ねて刷り出し、さらに、プレートによっては手作業で彩色したと思われる部分なども見られるという、とても手の込んだ仕事です。また、とくにブルー系の色の発色の良さ、グレーやブラウンなど暗い色のグラデーションの細かさなどは見事な出来栄え。プレートのサイズが32.5×45cmと比較的大ぶりなので、華やかに見えるのもこのプレートの魅力でしょう。
プレート毎に印刷されているタイトルは『La Décoration Picturale Au XXème Siècle』。ここからHenry Guèdyという人を著者に、1905年に発行されたものであることが分かりました。が、この著者に関する情報は少なく、また、書名を検索窓に放り込んで画像検索してみても、現段階では引用されている画像は数点のみと僅かなことから、比較的珍しいもの、と云ってよさそうです。全60プレートの内の42点の入荷ですが、扱えるのは今回1度限りで再入荷はまずないだろうという予感大。この機会、是非お見逃しなく!

■「イギリスのチャッププック」と云えば、19世紀イギリスの大衆向け読み物で、古くから愛書家にとっての蒐集対象だったことが夙に知られていますが、こちらのチャップブックは20世紀に入ってから、主に詩誌として発行されたもの。タイトルにある『THE CHAPBOOK (A MONTHLY MISCELLANY)』のMiscellanyは詩文集の意味。発行はロンドンの「ポエトリー・ブックショップ」とあります。


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入荷したのは3つの専用ポートフォリオに収められた1919年7月の創刊号から1923年発行の38号までの38冊と、1925年に発行された40号との合計39冊。38号までは「チャップブック」の名前に相応しく、軽装版・中綴じの薄冊ですが、40号では上製の立派な本になっています。ちなみに、1号だけ欠けていた39号について調べてみると、西脇順三郎が“A Kensington Idyll”という英詩を寄せており、なるほど1冊だけないのは “抜かれた” あとかと至極納得。この号まで揃っていたなら、入札したところで小店など歯がたたなかったものと思われます。
ともあれ。入荷したチャップブックを見ていくと、エリオットやイーディス・シットウェル、オルダス・ハクスリー、ハワード・スプリング、さらにトリスタン・ツァラ、ピカビアなど、この当時、幾筋もの新たな潮流が生まれていた現代詩を盛んに取り上げるとともに、ロバート・ブリッジスといった大御所のテキストなども掲載して、詩文集として充実した内容を備えています。がしかし、それに留まらないのが「チャップブック」のチャップブックの所以とでも云いましょうか。現代劇や舞台美術、エドワード・ゴードン・グレイグによる「人形劇と詩」という特集号があるかと思えば、デ・ラ・メアの「満月」という詩に曲をつけた作品が掲載されている子どものための唄の特集まで - 朗読とか朗唱という行為を共通項と見ての芸術分野に(?) - 広く目を向けて編まれています。
ゴードン・グレイグのテキストには、文楽人形の図解が4Pにわたって掲載されるなど、号によって挿図や挿画が、時には木口木版画オリジナル作品として適宜配置される他、画像でお分かりのように、各号とも表紙がとてもモダンでしかも、そのほとんどが石版刷り。それらしい能書きを連ねましたが、実はこの表紙こそが、入札の最大の動機だったことは、小店のお客さまであればお分かりのことかと…。

今週はこの他、左上の画像で見えている「TOY SHOP」の看板(木材にハンドペイント)、戦前のタバコパッケージ約140点オーダー紳士服用の古い型紙やノートなど1袋分木版刷図案スクラップ帖2冊19世紀のファッションプレート30点雑誌『海洋少年』等戦時下少年雑誌6冊現代美術関係の洋書18冊 … など、値付け次第店頭に並べ始めております。一体、どういう古本屋なんだかわけの分からないラインナップ。
ま、もっとも、もぉーーーっと分けの分からないことが続く2015年2月の日本ではあります。
http://matome.naver.jp/odai/2142372606818886401
http://ohsaka.jp/article-9605.html
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-5627.html

15/02/07 日本人が出会った1930年代東欧アヴァンギャルドの蔵書票と1985年のロシア絵本


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下段が当書に収録されている木版刷りの蔵書票。上段中央の彩色された蔵書票は小塚省治の蔵書票。上段右端が1937年にプラハから出された書類。

■ありとあらゆる紙モノの中で、古書店が扱うのに最もふさわしい紙モノとは?-例えば「栞」がそうでしょうし、新刊書店で本を買うとかけてもらえるカヴァー(ご存知かと思いますが「書皮協会」という蒐集家クラブもあります)のことなどが思い浮かんでくるわけですが、しかし、好事家度、贅沢度ともに、書物にまつわる紙モノの筆頭に挙げられるのは「蔵書票」ではないかと思います。
蔵書票、或いはエクスリブリスと呼ばれるそれは、多くが銅版画や木版画によるもので、好みの作家を指名し、さらに場合によっては好みのモチーフを指定し、発注者である自らの名前を作品の中に折り込んで作らせる蔵書票は、愛書家なら一度は作ってみたいと考えたことのあるに違いない、書籍にまつわる王道の紙モノです。
「王道もの? 扱いませんヨ。」といつもは見向きもしない小店 - 実は他のモノの隣に並べてしまうと普段扱っている紙モノがショボく見えちゃうんじゃなかろーか?という小心ゆえ扱ってないだけなんですが-にとって、先ずもって入札するケースが稀なアイテム。がしかし、こればかりは買っておかねばと思ったのが、今週の1点目。1930年代東欧の蔵書票のコレクションでした。
最初に目に入ったのが画像でご紹介した『EKSLIBRYSY  KAROLA HILLERA』。1927年にポーランドで限定250部が発行された内の48番本文頁に貼り込まれている木版刷14葉のオリジナル蔵書票を見ると、デザインがまるで構成主義、或いは未来派というアヴァンギャルドぶり。王道ものにはありがちなことですが、蔵書票のデザインは一般的に保守的で、この作品集に見られるような前衛的・抽象的表現というのはこれまでほとんど目にすることがありませんでした。同じ一口で落札したものを見てみると、イギリスやアメリカなど英語圏の蔵書票や関連書籍がやはり従来型の蔵書票なのに対し、この時代、どうやらチェコやハンガリーやポーランドといった東欧地域の蔵書票は段違いに前衛的だったようで、ドイツ表現主義やロシア構成主義、抽象主義などの影響を色濃く留めています。参考画像として左上、「営業日案内」に使っているものをご参照下さい。
調べてみるとKAROLA HILLERAというのはポーランドのグラフィック・デザイナーの名前。写真家として、また美術批評家としても活躍した人で、1920年代の構成主義運動や、1930年代の抽象主義グループを主導した人物のひとりとして東欧美術史に名を残した人で、当書には署名も添えられています。


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上段左端の切り抜き部分が作家の自筆署名と識語。

このコレクションには大切な挿話がもうひとつ。冊子や書籍の姿を保ったまま保存されていたものには、「SHOJI KOZUKA」名の蔵書票が貼り込まれています。つまり、今回落札したものが蔵書票を趣味とする方たちの世界ではよく知られている小塚省治の旧蔵品だったというわけです。小塚宛ての、1937年の押印のあるプラハからのインヴォイスも出てきました。
小塚省治は1901年生まれ。蔵書票の作家・蒐集家であり、1933年から1939年まで日本蔵書票協会を主宰した人。『EKSLIBRYSY  KAROLA HILLERA』には手書きで「No.3080」とあり、いま小店が落手することのできたものが、小塚コレクションの氷山の一角のそのまたかけら に過ぎないことを物語っています。
1942年に小塚没してから70余年。他の3,000点もまた、「うわっこれは…」とか「げげっなんだなんだ?」とか どこかで誰かを驚かせていた/いる のかと思うとちょっと楽しい。へへへへ。
*追記 小塚コレクションとして改めて全体を見てみると、バラしてしまうことで意味が失われてしまうことが出てくるのではないかという印象が強くなってきました。昨日書いた段階では、バラ売りを前提としておりましたが、これを変更させていただく可能性が出てきております。詳しくはお問い合わせをいただければ幸いに存じます。誠に申し訳ございません。前言撤回は商人にはあるまじき振る舞いという自戒の念を新たにしつつ、ご理解を賜りますよう平にお願い申し上げます。

今週の2点目。こちらは落札したまま数週間放置、最近になって子細に眺めていて「げげげ!」と驚いた物件。タチヤーナ・アレクセーエヴナ・マーヴリナが絵を担当した軽装薄冊のロシア絵本4冊のうち、『ТРОЙКА (troika)』と『Выбирай Коня Любого(Choose Any Horse)』の2冊には1985年という年号とともに書かれた自筆署名が残されていました。
で、今回初めてタチヤーナ・アレクセーエヴナ・マーヴリナという人について検索してみてさらにまたビックリ。1900年生まれ。1921年ヴフテマス(!)で絵画を勉強、1929年ロシア・アヴァンギャルドのグループ13に参加(!!)とくればこれはもう筋金入りの前衛者、もちろん最も良き時代のロシア絵本も見ていたはずで、なるほど描線から色彩感覚まで、一緒に入荷した他の作家絵本と比べ格段に上と見ました。戦後と云って簡単に片付けていてはだめだと痛感した次第であります。
それにしても。入札した段階では全く気付いていなかったこうした余禄は、本当に得した気分が味わえます。ひっひっひっ。

■小塚コレクションの蔵書票は関連書籍など含めギフトボックス1箱分ほどが入荷、これにはバラ売りできる一枚の状態のものも多数混じっています。武田忠哉『ノイエ・ザハリヒカイト』3冊、紙モノ好きの同人誌『雅楽多市』4冊など、今週は本ではない紙と薄い雑誌がひとまとまり、土曜日には店に入ります。

市場のスケジュールの関係で来週は新着品の更新については1回お休みをいただきます。
 

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