■東京の新型コロナウイルス感染者数は東京アラート解除後も減少しないばかりか50人前後で高止まりのまま推移していることもあり、大変恐縮に存じますが、ご来店の際にはマスクの着用と手指の消毒についてのご協力をお願い申し上げます。また、引き続き13時~19時と営業時間を短縮させていただきます。悪しからずご了解頂けますようお願いいたします。
新型コロナウイルスに関連して、例年通りであれば来週末に開催されていたはずの「明治古典会 七夕古書大入札会」は今年は中止となりました。代わって来週7月2日(木)・3日(金)の両日、古書店のみを対象とした市場が開催されます。このため、来週の店の営業は6月30日(火)・7月4日(土)の両日とさせていただきます。相変わらずご不便をおかけし申し訳ございません。
■『機械と芸術との交流』。スタイリッシュな装丁に惹かれて、その意味など何も知らないまま、板垣鷹穂によるその本を市場で落札したのが2000年のこと。この時に板垣の代表的著書にはもう1冊、『優秀船の芸術社会学的分析』があると教えられて以来20年間、入荷はこれでようやく3度目となりました。
昭和5(1930)年発行、初版。画像の上段左の黄色の表紙は本体、右側に置いた赤とスミ2色刷で豪華客船のフォトモンタージュをデザインに使っているのがカヴァー。本来、本体と同じ書体だけでデザインされた函がついて完品となりますが、今回は残念ながら函なしです。
テキストは87Pから始まり181Pまでの100P弱。巻頭からテキストまではアート紙を使い図版に費やされています。
この当時の板垣はと云えば、新時代の美学=機械美の提唱者であり、機械美に相応しい表現としてとくに写真に深い関心を寄せていたのは周知の通り。その写真の分野で板垣に伴走したのが堀野正雄であり、当書にも収められている「優秀船の乾板撮影」は堀野によるものであり、「新しいカメラの主観を透して表現された浅間丸と秩父丸」13カットは堀野の撮りおろしと見られます(巻末に堀野による"「優秀船」の撮影に就いて"の一文も)。
板垣は序文で「写真技術家の堀野氏は、カメラの表現技法に関して私の抱いていた予想を実験するにあたつて、私の要求通りにその優秀な技術を呈供(ママ)して下さった上に、視覚的形態による参考資料の必要な限りをも、製作して下さった」と記しており、これら撮りおろし以外の巻頭図版ページの作成に - 表紙のフォトモンタージュも? - 堀野が関わっていたことを伺わせます。
この本、実は落札したのは今年2月の市場でのこと。小店で扱ったこれまでの2冊はいずれも海外へと旅立っていきましたが、海外との人・モノの動きが止まっているいま、当書の落ち着き先は果たして見つかるのでしょうか …… (汗)
■「優秀船」と関係の深い2点は今月になっての入荷。アール・デコのデザイン表現と明るい朱色と金色をあしらった色使いが印象的な『MAURETANIA(モーリタニア)』号のパンフレットは、テキスト巻頭に「The New "MAURETANIA"」と表記されています。
1906年の進水式当時、世界最大・最速の客船として登場、第一次大戦で病院船へ改修・輸送船としても使用された後、客船へ復帰。当パンフレットは1924年の改修後、客船として蘇った姿をお披露目したものと見られます。
主にモダンなデザインへと変更された船内客室・各種施設の写真を中心とした編集で、外装全体図のカラーイラスト1図有。
ちなみに『優秀船の芸術社会学的分析』の巻頭図版には、オイローパ号、ブレーメン号、イル・ド・フランス号、ブリタニック号、コロンブ号などとともに、僅かに1ヶ所ですが、モーリタニア号初代の外装全体図の写真がとられています。
もう1点、モーリタニア号と同じキュナード・ライン所有のクイーン・メリー号のブックレット『The "QUEEN MARY" A BOOK of COMPARISONS』。
タイトルに「COMPARISONS」とある通り、豪華客船クイーン・メリー号のスケールをあらゆるものと比較対照して見せる内容で全ページ劇画タッチというユニークさは、他に類例を見ないように思います。
機関車の羅列で20万馬力のエンジンを表現、エンパイア・ステートビルやエッフェル塔の横に船を立てて見せたり、ニューヨークの5番街に置いてみたり、救命ボート1隻で最新のバス4台分の乗客を乗せられるとか、1航海でポテト約2万3千キロ積むことになりますだとか、徹頭徹尾大きさとパワーを見せつけるもので、明らかにアメリカのマーケットを意識してつくられたもの。日本郵船にもアメリカのイラストレーターを起用したパンフレットがありますが、当冊子もやはりアメリカ人を起用しているのではないかと思います。
クイーン・メリー号の処女航海は1936年と云いますので、1930年代後半か1940年代初め頃のものでしょうか、ゴージャス感いっぱいのアール・デコの時代から約10年後、約豪華客船をめぐるデザイン表現にもさらなる近代化=大衆化の波が打ち寄せていたようです。
それにしても、21世紀を生きる我々は、今度いつ、国境を越えた旅ができるのでしょうか。また旅が身近に感じられる日が遠からぬことを!
■久しぶりに、今週の斜め読みから。
倒れるべきドミノはこの際全て倒れてくれないものか。もちろん"目論んだ人"含めて。
https://news.yahoo.co.jp/articles/37835eafd30244d91c03f71bc82ff1371fe7656f
明日は我が身と思い及ぼすことのできる政治家よ、いまこそ出でよ!
https://mobile.twitter.com/ruruonthebridge/status/1275308740154023936?fbclid=IwAR0dWm_lSZEG7h7QV2O0SFBcbDyIp_r-CCEJ1IHD6vKsDYyie_xmC__H0Hs
記録が改竄される国で。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20200624/1000050523.html
このニュースだけは心を励ましてくれました。
https://takadanobaba.keizai.biz/headline/450/
東京アラートの解除はあくまで政治マターであり実態に沿ったものではないことが分かったいま、どうかみなさまくれぐれも油断なさらずご自愛くださいますように!
■緊急事態宣言も東京アラートも解除されはしたものの、あくまで政治的経済的matterに発するものであり、果たしてリスクそのものが抑え込まれたのかどうかということについては、少なくとも東京都の感染者数から見て当然意見も分かれるところではありますが、小店も少しずつ以前の営業に戻すべく、来週よりアポイント制をやめ、営業時間を13時より19時までとさせていただきます。
営業時間についてはご要望により多少の前後は対応いたしますので、ご用のむきはお気軽にご一報下さい。
引き続き、入店時の手指の消毒についてのご協力と、マスクを着用してのご接客についてご理解を賜りますようお願いいたします。
依然としてご不便をおかけいたしますが、いましばらくの間、よろしくお願い申し上げます。
■先週末、「今週初めに更新します!」とFacebookで宣言したきり、結局1回パスすることになってしまいました。というわけで、本日の新着品のご案内は先週の入荷分より選ぶことに。
1点目は昨日の配置換えで入り口すぐの平台に落ち着いた『16 FLIPBOOKS 動け演算』。1990年代には「ポリンキー」や「バザールでござーる」などのCMで次々とヒットを飛ばしたことでその名を知られた後独立、大学教育の現場に立つ傍らETV「ピタゴラスイッチ」の監修などでも活躍を続けるメディアクリエーター・佐藤雅彦が、慶應義塾大学情報環境学部教授時代、自身の研究室の課題として、16人の生徒につくらせたパラパラ漫画(フリップブック)をそのまま商品化したもの。2000年にトランスアート社から出版されました。
A3変形・帯付き、厚みのあるパッケージを開くと、1冊ごとに大きさも厚さも異なる16点の冊子が見開きにきれいに収まるように設計されています。外形も16点の冊子も、リーフレットも帯も、いずれも状態良好です。
佐藤教授が研究室の学生16人に出した課題はFlipbookをつくってくること。制約はひとつ「compute=計算する」こと。「compute」による「Flipbook」とはつまり「自由に自分の感性で絵を描くのではなく、計算や、ある数式を使うか、それが無理なら線分や角度などを配分することによって animation を作りなさい」と云うものだったそうで、課題の内容と提出された16点(=16作品)については、下記のアドレスにある「動け演算」の専用サイトを是非ともよくご覧いただきたいのですが、確かにどれもそのまま商品化したくなる完成度とかわいさです。本当は16冊全部パラパラしてご覧いただきたいくらいですが、それができるのはお求め下さった方お一人さまの特権と云うことで悪しからずご免下さい。
http://www.masahicom.com/flipbook/
■Flipbookの下には大友克洋を置いて … といきたかったのですが、画像は左斜め上をご覧いただくとして、COMME des GARÇONS のDMが入荷しました。いまは亡きグラフィックデザイナーKN氏の旧蔵品で宛名入り封筒も。
2012-2013 ルネ・ブリ(René Burri) 25点/2013-2014 大友克洋 20点(No.19含む)/2014-2015 FREE INTERPRETATION OF THE WORK OF JR BY REI KAWAKUBO(アーティストJRとのコラボレーション)12点 以上57点が入荷。Burriの2点とJRの12点は封筒欠ですが、いずれも状態は極美。全点バラ売りの予定です。
■画像的にこうして並べてみるといささか無理のある組み合わせとなりましたが、手製・手描きのテキスタイル図案集が久しぶりに入荷しました。題して『第壹号 織物正絵』。3×4cm~14×9cm前後の手描き・水彩の図案435図が収められています。
僅かに3点ではありますが、図案のなかに軍人図が含まれていることから日清日露戦争を経た明治後期頃のものと見られます。
当時の図案としては使用している色数が多いこと、とくに小さなサイズに落とし込まれた反復するデザインに端正なものが多い点など特徴もあり、詳しい方がご覧になれば、地域や織物業者としてのレベルなどまで、読み取れることは多いのではないかと思います …… と、肝心なところでバトンを渡してしまおうとするあたり、まだまだ古本屋としての課題であろうと思う次第であります。
■今週から市場が本格的に再起動。従前通り、市場通いを主軸とする一週間が戻ってくるのと同時に、またしても「一週間なんてあっと云う間!」な日々が戻ってきました。古本屋の日常、要は市場を軸にまわっていたのだなあと改めて実感しています。ならば、店の営業についても完全回復まではあともう一歩のはず。再び店でお目にかかれる日を楽しみにお待ちいたしております!
■都内の感染者数が再び増加をみせるなか、今週から店と古書の取引市場の試運転が始まりました。今週開催された市場は2回。そのうち木曜日に開催された資料会に行き、久しぶりに会うことのできた同業諸氏とお互いの無事を確かめることができました。いまのところ古書組合加盟店や古書組合の関係者で感染者はゼロとのこと。とても喜ばしいことです。
2ヶ月ぶりに開催された市場は予想通りの大量出品。古書会館の3フロアを使って本がすきまなくびっしり並べられていました。
戦時中でも都内のどこかしらで開催されていたのではないかと云われる古書の取引市場、今回のように2ヶ月休止という事態は前代未聞だとも聞きます。その間にも荷があつまる業者も多く、市場が閉鎖されていた2ヶ月分をさばくために、当面、市場は大量出品が見込まれます。
まさに商機! のはずなのですが、大量の本を前にすると入札する気が失われる傾向が年々強くなっている小店店主、今週木曜日は結局1点も入札せず。ここのところ陥ることが少なくなっていたスランプですが、久々に本格的スランプ来るか!? という再スタートとなりました…。
思い出した。今年は前厄。
■少なくとも今月いっぱいはコロナウイルスに対応した営業を続けます。お客さまには誠に勝手ながら下記の点についてご理解・ご協力をお願い申し上げます。
〇当面の間、営業時間を短縮し、火・木・土曜日 14時~19時 といたします。
〇またしばらくの間、アポイント制をとらせていただきます。
上記営業曜日・時間からご希望の日時をお電話かメールで予めご連絡下さい。
03-3400-0327 info@nichigetu-do.com または Facebook 古書 日月堂への DM
〇ご入店は個人またはお二人までとし、グループでのご入店はご遠慮下さい。
〇ご来店の際には必ずマスクのご着用をお願いいたします。
〇店内入り口にアルコール消毒液をご用意いたしますので手指の消毒にご協力ください。
〇マスクを着用して接客させていただきます。また、店内は消毒に努めております。
〇すでに夏日も多くなってきましたが、換気を優先させていただきます。
ご不便・ご面倒をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
■何しろスランプらしいので。新着品は店の休業前に入荷していたものの、まだ手つかずだったものから。
画像1点目は1920年代前後を中心に26冊の英文洋書がまとまって入荷した誂え紳士服=テイラー関係の実用書のコレクション。
仕立てとカッティングという2分野の専用書を中心に、採寸方法、ポケットと装飾、人体骨格といった仕立てに関連した専門書を含んでいます。いずれも図版を見ているだけでも楽しい。
1920年代前後と云えば、大衆消費社会が本格化、メンズ・ファッションの世界にも「流行」という要素が加味され始めた時代です。テイラーに対する需要そのものが拡大、また、顧客の嗜好の変化に充分対応できるテクニックが求められたはずです。
同時代に日本のテイラーが集めたひとまとめ …… であれば面白さも弥益のですが、残念ながらそれと示す痕跡はなく、むしろずっと後年になって集められたものではないかというにが正直な印象です。
とはいえ、紳士服の仕立てに関する洋書ばかり - しかも現代の紳士服の基礎をつくった1920年代前後! - これだけあつめるのは結構難しいと見られる現在、おもしろいラインナップであることは保証いたします。
■画像2点目は戦前日本の美術関係資料。画像はひとまとめにしましたが、こちらは分売。タイトルだけでピンとくる方たち向けの商品ですので、小店店主の説明などむしろ無駄なだけ。ここは合理化的に、ご紹介は箇条書き。
上段左 ①プロレタリア美術大展覧会目録(大判横長両面刷1枚・8P)/1928(昭和3)年 第1回展 巻頭に「宣言」・主催名部分に「造形美術家協会」追加(スタンプ押し)
上段右 ②N・A・S 新興美術家協会展覧会出品型録(B5・20P)/1935(昭和10)年 第1回展 巻頭に規約・会員出品作図版入 玉村方久斗、大内 青圃、清水多嘉示他
下段左より
③第9回国画会出品目録(B6・42P+広告)/1934(昭和9)年 ブブノワ、藤牧義夫、香月泰男、梅原龍三郎他
④草土社第7回美術展覧会出品目録(B6・11図+19P 入場券半券貼付)/1919(大正8)年 岸田劉生テキスト3P
⑤第1回一水会展覧会目録 *複製(A6・24P+8図)/1937(昭和12)年
⑥第5回一水会展目録(A6・41P+12図+広告)/1941(昭和16)年 石井柏亭、有島生馬、硲伊之助、深澤紅子他
⑦現代大家油絵大展覧会(目録 A6・10P)/1930(昭和5)年 中川紀元、中川一政、藤島武二他
この他何点か、いま少し下調べが必要なものあり、追ってご紹介できればと思います。
■今週の斜め読みから。
マスク製造会社へ、D通へ、Pソナへという不思議なお金の流れに加え、今度は事務費3,000億円とか予備費10兆円って一体何? という状況下でも批判を封じようとしさらには#〇倍さんお疲れさまとか云わせようとかいう人のいる情けなさ。
→https://www.tokyo-np.co.jp/article/32951?fbclid=IwAR2kTtvbggGuDg8XBPywjfwEPnTNWOFpacDI8yqEZA5iMRE_D-vwSbHRR1s
→https://www.news-postseven.com/archives/20200603_1567595.html
ドイツとかカナダとかトップを交代してもらえないものかとしみじみ思うコロナに策なしヘイトに考えなしの美しきおらが国現代ニッポン。
→https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59955790U0A600C2MM0000/?fbclid=IwAR2YWPlL95dNnkl3KGWXk2qHCIBBQoB7FabiXiL46sYlAp0iHdzS-dtYfaw
→https://www.youtube.com/watch?v=n3E47IuhTgc