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16/04/09 来週の営業日程について。新着品のご紹介は月曜日です。

 ■新着品のご案内は週明け月曜日とさせていただきます。
今日のところは来週の営業日のご案内を。
と云うのも来週は13日・14日の両日を使って開催される 「全古書連大市」のため、店の営業は12日(火)と16日(土)の2日間のみとなります。お出掛けの際にはどうかくれぐれもご注意いただけますようお願い 申し上げます。
新着品については月曜日までしばしお待ちを~!








 

 

16/04/02 織と染のコレクション、再びのその2 + 木版図案『陶漆』

 ■この春、私が社会人としてのスタートを切った会社の先輩で、お互いに会社を辞めてからも不思議とご縁が途絶えることなくこれまでお付き合い下さった方が、見事試験を突破して、手工芸を学ぶ学校に1年間通うため、京都へと旅立っていかれました。いい加減もう歳だからね、なんて自分に言い訳などしない清々しさ! 何歳からでも、何度だって、本気でやりたいことがあったならスタートラインに立ち、そこから一歩踏み出せばいいだけのこと。そのお手本を示された思いです。それにひきかえいつも同じところから踏み出そうともせず、ぼやいているばかりの自分のダメさ加減を痛感しつつ、それでもなお「いやはやそれにしたってちょっと早すぎゃしませんか早すぎますっていくら何でも」なんて例によってぼやきながら今年もはや4月を迎えました。どうもピリッとしたところなくこの数か月を行き過ごしてしまった私は、さて、一体いつになったらスタートを切る気になるんだろう?

布モノの出品も一段落したと見え、今週は久しぶりに「紙モノ」を交えての新着品のご紹介です。
木版刷の図案集『陶漆』は、タイトルの示す通り、陶磁器や漆器の意匠の手本を示そうと明治43(1910)年に木版刷の図案集の版元として屈指の京都・芸艸堂から発行されたもの。著者の中村秋甫については、その芸艸堂のサイトに“京都美術工芸学校図案科卒業。オーソドックスな図案製作の手法を学び、図案を残した。”との記述が見えるほかは、残念ながらよく分かりません。当書を見る限り、しかも、小店店主、つまりは素人の私見に過ぎませんが、西欧では日本の 美術・工芸意匠をどのようにして咀嚼してアール・ヌーヴォーに取り入れているのか、どの部分が海外にうけが良いのか、といったあたりをよく心得た優れたデザイナーだったはないかと思います、なんてことは何も私なんぞが云わなくとも、芸艸堂という版元が選んだというそれだけで折り紙つき、「うむむ。なかななか!」なのであります。

 木版装・上製の表紙はほぼB5サイズ。経本仕立ての本文は、見開き1面に1図或いは1組の図案を置く格好で全20面、商品意匠点数としては約30点。とくに漆器の黒をベースに考案された意匠には、一瞬息を飲むような見事なものが見られます。
この手の木版刷の図案集、再評価の機運が生まれたのも海外からなら、ただいま現在買い手のほとんどもこれまた海外。ものによっては無料ダウンロードさせてくれる実に気前良いサイトもほとんどが海外の公共機関です。ニッポンすごい!ニッポンすばらしい!ニッポン美しい!と云いたくて仕方のない あい✖✖✖✖のみなさまには、一向にご購入の気配がございませんがどうなさっているのでしょうか。ニッポンの文化的価値をアッピールするためにも、そろそろお宅に1冊常備してはいかがでしょうか? ちなみに当書、国立国会図書館のサイトに自宅のPCからでもアクセスしてデジタルデータの閲覧が全ページ可能で、見れば相当にがっかりすること必定。それだけに、だからこそ是非、多くの方にご覧いただきたい。アドレスは下記。このページにある「次」の部分をクリックするとページを繰って見ていくことができます。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/854525
それにしても、日本は、世界は、いつからこのようなデザインを見失ったしまったのか …… 自分の利益だけに拘泥してうだうだ云わず、東西相互に“良いとこ取り”が行われていた大らかな時代の豊かさを思う1冊です。

■と、ここから2点が先週の続き。お世辞にも達筆とは云い難く、かといって味のある字だとも云いにくい文字で『丹波もめん 民芸 型染柄見本』と書かれた手製本 - 文字はアレですが、綴じと紐のあたりはなかなかです - は、民芸と銘打っているだけあって、これまた日本人の暮らしの中にあった藍染の裂を蒐集したもの。接いだ部分や繕った跡、ほどいた痕や色あせた部分など、 さまざまな痕跡を宿した48点が収められています。裂のサイズがそれぞれ15~16cm×20~21cmほどとたっぷりとられていること、裏打などを含め、ほとんど何も手を加えられていないことが、この見本帳の手柄ではないかと思います。
6桁の通し番号の振られた紙が挟まれており、それなりの筋の旧蔵者のもとで、資料として作成・保存されていたものと見られます。

 本文は和紙が使われながら、持てばずっしりと感じられる重量は、庶民が日常に使用していた布がいかに丈夫につくられていたかの証でもありましょうか。また、言葉では一言、「藍」でくくってしまうこれらの染、青の多彩さと退色した際の表情の豊かさに改めて瞠目しました。常民の使っていた布の魅力を知るには、最も好適なコレクションです。

こちらは同じ染めでも多彩な色が用いられ、柄も自由闊達な更紗の裂の見本帖『古裂帖』です。布装上製、洋紙の厚紙を経本仕立てにし、両面を使用。 20×14cm・全42Pに82点の古裂=更紗が貼り込まれています。先週ご紹介した更紗手本が型紙を象りした図案の記録だったのに対し、こちらは布現物を集めている点が最大の違いとなります。また、『古裂帖』については、少なくとも19世紀中葉頃まで遡ることのできそうな時代がかった裂も収められており、なかにはヨーロッパ更紗と思われるものも。細かな幾何学模様から大胆な植物図案まで、また、糸の細いしなやかな生地から、タテヨコの糸目が肉眼でも見える粗野な生地まで多彩。古裂はいずれもとても状態よく、また大変に清潔なたたずまいであることから、見て触れて気持ちよいコレクションとなっています。
出元はひとつ前の『丹波もめん 民芸 型染柄見本』と同じところと見られることから、こちらも資料として保存されていたものと見られます。貴重、かつ希少。

■今週はこの他、洋裁関係のテキスト数種とランバンのコレクションのプログラム、戦前のライカのカタログ類などが店に入ります。
雨の後の桜の満開の下、春の到来を満喫できますように!

16/03/26 染と織のコレクション、再び。

 ■この調子で市場に出続けるのだとすると、一体どこまで付き合おうかと躊躇するほど、ある同じ筋の品物が毎週毎週入札の場に姿を現すことがあります。ここ最近では一週間の間に4口計5冊にプラス、バラ1点を落札した古布・染織関係の品物がそれにあたります。
民芸ブームもいよいよ終焉か?とか、ひょっとするとひとりでババ引いてるんじゃないか?とか、つい弱気になったりもするのですが、今回落札したような品物はいずれも世界に1点きり。世界に誰かひとり、買いたいと思う人が居てくれて、いつか小店にたどりついてくれさえすれば何とかなるものです。 ネット上で1円刻みの値下げ競争にさらされるような商材からの撤退を考えると、こうしたものが出続けてくれる限り付き合うのが筋と云うもの。そう、“皿まで食らう覚悟”の落札品から、今週は先ず3口=3冊とバラ1点のご紹介です。

1点目の画像はこの内のバラ1点、日本の・藍染めの・織物の・そのまた端切れ。市場では至って雑でぞんざいな扱いを受けているかに見えたのを落札し、これはちょっとしまったかなと思いながら抱えて帰宅。びしっとアイロンかけてきれいにたたんで揃えて重ねると、いやはや市場で見ていたのとは全然別物、 我ながらほれぼれするような美しい姿になりました。ほっ。
要は野良着やドテラや寝具など、日本人の日常生活のなかに根をおろしていた布たちであり、布によっては継をあてた箇所あり、接いで使われた生地があるかと思えば、ほどいた痕を残すものがあって……といった具合。ひとつひとつの布に人と暮らしをともにしてきたさまざまな痕跡が刻まれています。
大きなものなら60cm程、少なくとも明治くらいの時代はありそうな古布の端切れ、販売は布きれごとにバラ売りとなります。

 ■木版刷りの和本としては実に目にする機会の多い明治時代の刊本『故実叢書』の内、『服飾図解』2冊と一緒に市場に出品されていたのが図版2点目。和本仕立てのスクラップ帖とでも云うべきものですが、痕跡はあれども題箋がなく、仮に『古布収集帖』と呼ぶことにします。
A4をひとまわり大きくしたくらいの和本 - 仏教関係の手写本らしく、題箋がないのは写本当時のタイトルを剥がし取ったためと思われます- の写したページの側を糊で貼り付けることで、布を貼り付けてももつように、本文紙に張をもたせた22P。そのことごとくが画像にある通り、比較的おおぶりな古裂を中心として、ほんど余白なく古布を貼り込んでいるところが最大の特徴です。
集められた古布は約70種。時代を特定する手がかりが乏しく、はっきりとしたことは云えませんが布自体は明治期のものが中心で、収集帖としての成立は明治末期から遅くとも大正半ば頃までのものではないかと思われます。
縞帖と異なり、織だけでなく染めの布、縞だけでなく柄ものまで集めているところや、例えば7mm四方の藍染の布を貼って余白部分を塞いでいるところなどから見るに、染めや織の仕事に従事していた人の手控えと云うより、意匠や色彩に関係する仕事に携わっていた人によって作られたもの、あるいは蒐集そのものを楽しんでいた人でしょうか、そうした人の手と目を通してつくられたものではないかと見ています。
この1冊に関しては、つくった人のセンスが肝。買うか買わないか、評価するかしないかの分かれ目は、たぶん、そのあたりにありそうです。

 画像には入れていませんが、臙脂色の布を貼ってこのために誂えられた夫婦箱に大切に収められていたのが本日の画像3点目の2冊。こちらは主にステンシルの手法によって忠実に図案=意匠と色彩とをかたどりした、云ってみればテキスタイル・デザイン集(図案は全て別の紙に写したものを切り抜いて糊貼り)。明治初期頃までには成立していたものと見られます。
画像向かって左が『更紗小紋帳』。巻末に「富田八丁目 こんや 政吉」との筆文字も見られます。更紗図案139点(1点欠有)ほか「是方べに更紗染」11図、小紋中形20図等、合計202図を所収。過半を占める更紗の図案はいず れも12×15cmとサイズが比較的大きいこともあって、色別の型の数や重なり具合など細部まで読み取れます。更紗では常のことながら、欧州からアジアま で共通するようなデザインが多く見られます。
もう1冊、『唐更紗手本』は全170図内、更紗の図案は94図で、先の1冊に比べると、より細かく、かつまたさらに世界的に共通するような柄が多いのが特徴。
たかが布きれの図案ひとつ。されどそこには、途方もない東西交流の歴史が宿っているのだと思います。
今週ご紹介できなかった2冊は来週ご紹介の予定。しばしお待ち下さい。
が。それにしても、どうしてこう立て続けに出てきてるんだろ?…ふ、ふ、ふあんだ。

■今週はこの他、値段をつけ終えた海外旅行のパンフレット類や地図など(画像左上)を明日より店頭に出す他、1950年代のイタリアの芸能雑誌『芸術閑考』他いくばくかの板垣鷹穂著書戦前の夏休みの宿題帳・明治の幼稚園の工作ノート等ひとしばり などが明日には店に入ります。

今週のななめ読みふたつ。卒業のシーズンにあたって。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48225
http://www.huffingtonpost.jp/joseph-e-stiglitz/young-voters-us-europe_b_9513468.html?ncid=fcbklnkjphpmg00000001
良識の内に踏みとどまっていた報道番組が次々に終わっていく この春のなんとやるせないことよ。

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