■今週こそ、小店HPにあっては前代未聞、余白たっぷりの新着品ご案内をと思っていたのですが、よりによって 厄介なものが入荷しました。
画像内、「夏目漱石著書 装丁コレクション」としたのはあくまで便宜的につけた仮題。夏目漱石の著書元版から、カヴァー、表紙、見返、扉、挿画といった装丁の範疇にある要素と、版に関する 情報を残そうという意図もあってか奥付のページとを抜き出し、台紙に貼り付けたもので、実際には無題。どこの誰が、どういう意図でこうした行為に及んだのか、そのあたりのヒントの一切ない、従って古本屋としてはあくまで即物的に扱うしかないという代物です。
残されているのはB4の台紙の枚数で77枚。最多は“漱石と云えば猫”の『吾輩は猫である』17枚。発行年と版数を同じ明治42年12版とする上篇・中篇の 奥付、明治40年3版の下篇奥付があり、3篇の表紙、カヴァーが1点、多色刷の挿画12葉などを収めています。装丁は橋口五葉。
次いで多いのが明治41年4版の奥付の残る『漾虚集』の15枚で、部分的に継のあてられた様子も味わい深い藍染布装の表紙、所収短篇7篇の扉など。
続いて、橋口五葉の意匠、ツワブキの図案部分に漆が使われた『草合』再版6枚。五葉デザインの木版装『彼岸過迄』大正元年3版、大正6年初版の『明暗』、 明治45年12版の『鶉籠』、がそれぞれ5枚。以下、『虞美人草』『三四郎』『行人』が各4枚、『四篇』『それから』がそれぞれ3枚など。
初版の奥付が残るのは明治44年発行の『門』1冊(3枚)だけであること、発行年がある程度まとまっていることから、遅くとも大正初期までに成立していた 可能性が高く、また、残念なことに表紙の背が痛んだものが多いことから、比較的手軽に買えた古本を使っているのではないかと見ています。
“見てくれ”だけに拘泥した野蛮なコレクションと片づけてしまえばそれまでですが、明治~大正初期発行の漱石本を21世紀のいま、これだけ蒐め、しかも身ぐるみ剥いで開きにしようというに等しい行為には、そこそこの資金力にプラス、かなりの勇気がいるはずです。青空文庫でテキストを携帯し、装丁は飾って楽しむ。21世紀的愛書家のあり方をひとつ試みてみようかという方に、ご購入をご検討いただきたいコレクションです。
そういえば「明治期雑誌表紙コレクション」なんていうのを買ったの今年2月のことでした(但し Sold out→こちら)。小店、余程表紙にご縁のある年と見えます。と云うか、何故こんなにカヴァーコレクションが出てくるんだろう。不思議だ。
■画像の2点目、今年4月2日の更新でご紹介した経本仕立ての更紗の裂の見本帖『古裂帖』の姉妹編かと見まがう古裂の貼込帖。
で、今回のこちらは(我ながらややこしい…)ヨーロッパ更紗風意匠の古裂を中心に72点を収めたもので、時代的には以前のものより少し裂全体に新しい印象で すが、より明るくモダンな仕上がりです。非常に清潔で状態の良いコレクションであることは前回同様。過不足なく集められ上品にまとめられた貼込帖は、古裂に限らず、これから何か蒐集を始めようという方にとってはヒントでありお手本になるのではないかと思います。
■今週はこの他、イギリスのタイポグラフィ専門誌『The Fleuron』の合本4冊他タイポグラフィ関係の洋書2本口、戦後の紙モノ蒐集家が発行していた個人雑誌2冊などが明日、店に配達される予定です。
当HPのあまりの脆弱さに、今年9月下旬をめどに、HPをリニューアルする考えです。来週の日月堂は営業時間中もPC&HP打合せ週間となりそう。店主の監視下になんて置かれたくないもんねという方はご来店のチャンス? です!
■今週のななめ読みから。
舛添前東京都知事の辞任騒動をめぐるル・モンドの記事の翻訳
http://blog.tatsuru.com/2016/06/16_1450.php
この問題をめぐって、私はかつて我が国で、国民の犠牲大なるにも関わらず戦争を遂行するのに役立った「隣組」を支えた国民性を思いました。
こちらもまた、かなり重要なお話し。今年もまた選挙ですから。
http://www.asahi.com/articles/ASJ6F6TT8J6FUCVL02L.html
■先週金曜日に発覚した当ページへの不正な書き込みとリンクについては、可能な限り精査の上、削除し、またID、パスワードの変更や管理のチェックなど、できる限りの対策強化を図っております。リンク先に現れたのは国外のコピー商品販売サイトでしたが、今日現在、すでに閉鎖されているようです。
ご利用いただいている皆さまには、ご心配とご不便をおかけし、大変申し訳ございませんでした。
今後は尚一層の安全管理に努めてまいりますので、引き続きご高覧・ご利用下さいますようお願い申し上げます。
■更新の度に書き起こしているここでの文章、皆さま感じておられると思いますが無駄に長い。書いてる私もそう思うほど。スマホで読むのはもう限界と云われる長さには実はワケがありまし て、もちろん、ある程度詳しくご説明しないとワケ分からない商品の場合を別にすると、実は「文章を引き延ばさないとレイアウトが崩れるから」。ほとんどの 場合の理由がこれ。何のために毎度毎度明け近くまでこんなことをやってるんだか。
「文章書くのが余程好きなんだろうと思ってた。」ですって!?
もおぉ、と、とおぉ~んでもございません。そもそも文章書くのなんて大ダイ大だい大キライ!何をおいても早く寝たいぞ!!金曜日の夜くらい羽のばしたいと思うことだってあるつーのに!!!
ああそれなのに。それに勝って余りあるほどレイアウト崩れるのが怖いのであります。
レイアウトが崩れるのを避けるためにできる余白が恐ろしいのであります。
ご存知の通り我が日月堂店主、古書目録においては余白恐怖症、接客においては沈黙恐怖症であります。何でもいいから空隙を塞ぐ。という方向で闇雲に突進することになるわけです。
思えば当ページを設け、ほぼ週一で更新し始めて以来何と9年半(!)。何とまあ いじましい努力を続けてきたことでありましょうか。
で、思いました。余白を恐れていては大きな人間になれない(何をいまさら)。
ムリに引き延ばすのは体に毒(書けないからってずっと何か食べてるのをやめましょう)。
だいたいもう深夜残業するような歳じゃない(むしろ朝寝坊できない歳になりつつある)。
今週は、当ページ開設以来初、「文章による商品説明をしない」新着品のご紹介とさせていただきます。もっとも今週のは、元来そう説明のいらない商品なんですが。 で、そういう、ある意味、古書の王道に連なる商品に手を出していることが、古本屋開業以来この道20年、スキマと邪道ばかり歩んできたはずの小店からする と超長期スランプの証でもあるわけなのであります。
噫。大丈夫かニチゲツドウ!? 耐えられるのか余白に!!
■画像1点目 ; 『応用漫画』上下2冊揃 明治36(1903)年 荻野一水著 山田芸艸堂発行 初版 和本仕立て 上巻34P・下巻32P 全木版刷の図案集 *荻野一水が監修、図案作成は杉浦非水によるものとする見方があり、図案の特徴や経歴の一部に首肯できそうな要素はあるものの現段階で は確認できず。
■画像2点目 ; 『ILLUSTRATIONS OF JAPANESE LIFE』Vol.1・2 2冊揃帙入 明治29
(1896)年 初版 高島捨太郎著 小川一真発行兼印刷者 小川写真製版所本店発売 帙・本表紙、本文全頁にちりめん和紙使用 和本仕立・背錦織布装 本文は1Pに1図のモノクロ写真と英文キャプションから成る Vol.1 = 32P・28図、Vol.2 = 72P・70図所収 *明治初期、日本の写真界に大きな足跡を残した小川一真が出版した写真集のひとつ。同タイトルでページ数や所収写真点数、彩色の有無など、編集の異なる ヴァージョンが複数あるが、2冊揃・帙入は稀。
う。あまりに前段が長いために余白が少ない。試みの意味やいずこへ……。
ともあれ今月中は通常に戻って月内は火木土で営業いたします。新着品もあれこれあり。ちりめん紙の写真集なんて実際に手にとらないと分かったことにならない代物。ご来店をよろしくお願いいたします。
と、ここでただいま深夜3時。今日のところはおやすみなさい。
以下のアドレスはおまけ。かなり鬱陶しい時代の鬱陶しい季節に。ちょっと笑えます。いや笑えないか…。
https://mobile.twitter.com/kawai_kanyu/status/740720677854969856?s=04%EF%BC%89%E3%82%92%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%AF
◆ お詫び! 6月3日夕刻、当ページに管理者の関知しないリンクがはられているとういうご指摘をいただきました。原因についてはこれから調査いたしますが、暫くのあいだ当ページのリンクのご利用はくれぐれもお避け下さい。ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。◆
◆ 続報 6月4日1時20分、気が付いた範囲で書き込まれていたリンクを削除しました。また、現段階で可能なセキリティ対策を講じました。万一、何か問題が生じた方がいらっしゃいましたら、小店宛のメールかお電話でご一報下さい。よろしくお願い申し上げます。◆
↓といったわけで手を加えましたところ、ご覧の通りテキストの一部で書式が統一されなくなりました。大変お見苦しい次第ですがご容赦いただけますようお願い申し上げます。
■イレギュラーな市場の予定は来週まで続きます。来週は火曜・木曜は通常営業ですが、土曜日は開店時間が14時~15時頃になりそうです。ご不便をかけ続 けており本当に申し訳ございませんが、来週の土曜日6月4日にご来店をお考えの方には、遅い午後からのご来店をお願い申し上げます。何しろ小店も所属する 古書組合の支部の大市なもので。
話しは肝心の型紙に戻ります。今回入荷したもののなかに、型紙彫の工房の銘(木版印)が入ったものが3種ほど見られるのですが、じれったいことにこれがなかなか判読できない。ひとつの印に唯一、「越後」の文字がかすかに認められたので調べてみると「越後型染」というのが見つかりました。この銘があるのと同じタイプの型紙はどれをとっても紙が極めて薄くて柔らかく、細かな細工は困難を極めそうだというのに、揃いも揃って地味な反復柄ばかり。どれ程の根気と集 中力がいるのか、見れば見るほど驚嘆するしかない超絶技法に圧倒されます。なんてことを言葉で伝えようというのもまた無理なお話しでありまして、委細は Facebookの画像で、もっと詳細は小店店頭で、ご確認いただければ幸いです。
■キモノつながりの2点目は昭和11(1936)年、内田美術書肆より発行された木版刷の図案集『四季もよう あ津め草』の「花」の巻。見開き16面からなる上製経本仕立ての書物には、片面多色刷りの木版71図が収められています。
時代的な背景も関係していると思いますが、図案には、内田美術らしくオーソドックス 或いは 復古調とでも称したくなる傾向が見られます。以上。
以上。たったこれだけ。お伝えすべき手柄を見つけられそうにないようなものに手を出してしまうあたりもまた、小店店主のスランプぶりを映しております。
■今週すでに入荷していたり、土曜日に入荷する新着品は、お菓子関係を中心としたパッケージ関係印刷物ファイル7冊分と、昭和30年代初頭地方農村の調査資料(写真含む)ダンボール1箱、そしてなぜか鈴木翁二「星尾集」の自筆原稿21枚など。混迷の中での買い物は、いよいよ脈絡なくとり散らかりつつあり、スランプ重篤を示すものかと我がこreplica watches uk とながら少々心配。
■今週もななめ読みから。陸自が公開した21世紀に吃驚のエンブレム
サミットで世界は日本をどう見たのか →http://lite-ra.com/2016/05/post-2285.html