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13/09/28 戦前戦中の世界都市と上流階級-『FOUTUNE』「令嬢アルバム」『PEKING STUDIES』


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■もう10月がやって来てしまうだなんて! - ということで、来年1月の即売会の日程が決まり、付随して目録原稿の締切日も申し渡され、それが、な、なっ、何と11月19日。この即売会、小店は次回で5回目の参加となりますが、目録の締切日が毎年毎年、すこぉ~しずつ前倒しされて来た結果、今年はとうとう11月19日なんていうことになってしまいました。11月には他にもいくつか仕事が入っていることもあり、10月下旬より行くつもりでいたパリ、今回またしても見送ることに決めました。うう。たいへんに無念である。
この決定で時間は確保できるのですが、今度は目録用の商品を揃えられるかどうかという心配が再び頭をもたげてくることに。うう。問題は一向に片付かないときたもんだ。
といった次第で、ますます厳しい状況がどうやら私を待ちうけているようす。来週にはスタートしてしまう2013年最後の四半期、なお一層気を引き締めてかかりますはい。

最初の画像は、今週ようやく全冊落丁等確認、値段をつけ終えた雑誌『FORTUNE』の大ヤマから。1930年代に発行された分より、印象の強い表紙や掲載されている広告を画像にとって並べてみたものです。
今回入荷した中で古いものは1931年、新しいものでも第二次大戦終結後数年の間に発行されたもので、アメリカン・アール・デコ花ざかりの頃のものを中心に、店頭に陳列いたしました。
表紙は表情のある紙に特色印刷、中面には、アール・デコ期のファッションと自社の自動車とを並べ、毎回銀色を使って統一感のある広告を展開したキャデラックの広告が毎号掲載されるなど、とくに発行年度が早いものほど贅沢な印象。1930年代発行分に掲載されている女性写真家マーガレット・バーク=ホワイトの写真は、とくに一見の価値ありです。
40年代に入ると徐々に戦時色を強め、ナチス・ドイツや日本に関する記事も増えますが、まさか商品宣伝とは思えない、けれど投資家向けには意義があったに違いない戦闘機や爆弾の広告まで載っているところは、この後の歴史のなかであからさまになっていく資本至上主義国家・アメリカならではと云えましょうか。


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毎回繰り返し「毎号1ドル、1年講読なら10ドル」と表紙と背に記載するところもいかにもアメリカですが、ともあれ当時これだけの価格をつけていた高級雑誌『FORTUNE』、戦中期のものだけで約50冊(但し、6冊を1冊にまとめた合本3冊を含む)というまとまった量での入荷は稀。この機会に是非店頭でご覧下さい。

■「令嬢アルバム」と書かれた入札用の封筒をつけて、市場の壁側にひっそりと置かれていたダンボール箱。気付かずに見逃すところを、日月堂はこのテのものが好きなのをご存知のご同業に教えられて見始めたのが運のつき…尽きたのか、それとも付いたのか、は いったん措いて。
写真アルバム3冊にびっしりと貼られたスナップ写真、そして、写真館で撮影された数十点の肖像写真には、明治42(1909)年に生まれ、大正4(1915)年から4~5年をパリで暮らし、さらに1926~1927(昭和1~2)年をイギリスのクイーンズ・カレッジで学んだ文字通りの令嬢の、子宝にも恵まれた結婚直後までの足跡が残されていました。
令嬢の名は松井貞子。松井慶四郎男爵の次女で、三つ違いの姉・千代は、結婚して後、田中千代となります
貞子は慶四郎が清国公使館赴任当時に生まれ - 姉の千代とともに、白人の育児係と一緒におままごとをしている写真有 - 、慶四郎がフランス特命全権大使を命じられると、一家はフランスへと渡ります。パリとその周辺で暮らしていたその当時の写真がおよそ半数を占めており、パリの写真館で撮った写真も。テディベアや人形で遊ぶ様子、ピクニックや小旅行、そして渡航や帰国の船内での様子などまで、その優雅な生活、とくに、季節や場所に相応しく用意された子供たちの - 赤ちゃんの時からティーンエージャーの頃までの - 高級洋服がここまでまとまって見られる資料にはそうお目にかかれないのではないかと思います。
貞子の兄で後にフランス大使なる長男のオカッパ頭もなかなかのものですが、頭のリボンから靴の先まで、貞子の洋装はどこをとって見ても完壁。なるほど、姉である田中千代という人の洋装に対する深い探求心も、こうした還境を背景に育まれたものだったのかと深くうなずけます。


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貞子は日本では聖心女子に籍をおき、趣味は乗馬。かなり熱心で腕前も確かだったようで、「西中尉の名馬 ウラヌス」というメモとともに、騎乗にあって見事な柵越えを披露した写真も残されています。
田中千代がヨーロッパで集めて来た洋書類を大量に仕入れたのがちょうどいまから1年ほど前。実は、昨日、PCの前で調べるまで、田中千代と松井慶四郎一家との関係など全く知らなかったのですが、田中千代と小店、何だかとてもご縁があるようで驚きました。これはやはり運が付いたと思いたい。

今週はもう一冊。1934年に上海のKELLY & WALSH社から発行されたビジュアルブック『PEKING STUDIES』著者のEllen Catleenはオランダの在中国大使夫人ライカで撮影した写真とのコラボレーションで、タイポグラフィやイラスト地図、そして本文ページ中、お洒落で機智に富んだイラストやカットを提供しているのはシーフー。「フルネームをFriedrich Schiffというオーストリアのイラストレーター・漫画で、中国および極東で新聞や雑誌、書籍、広告などの仕事についていた」といったことは、いまからちょうど2年前の → ここでご紹介しています。
『PEKING STUDIES』は『SHANGHAI』と比べるとあくまで写真主体というあたりが異なりますが、その分、不思議な古道具屋や路上の散髪屋、辻占、物乞いまで、人々の暮らしと表情をとても丹念に拾っているのが印象的。また、都市内部の自然や神社仏閣とその周辺還境まで、細部に渡って当時の様子を伝えてくれる、貴重な資料となっています。
カバーがないのが残念ですが、日本ではあまり見かけない本です。

■先週予告した分のこのスペースでのご紹介は、また一週間伸びますが、明日には店に、1ドル360円の当時、東京放送の撮影技師が残した写真アルバムが2口分(パリで荻須、佐藤敬等画家に会い、1960年代はじめの韓国、北朝鮮に取材した写真含む7本分)、広告マッチのラベル26冊+1箱(!? … 本当に片付けられるのか疑問)、無声映画~トーキー初期の映画スチール絵葉書・スクラップブック等8冊、大田黒元雄の「音楽と文学社」が発行した大田黒の著書『露西亜舞踊』等7冊、クセナキス署名入り図録、などが入荷いたします。

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