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12/09/11 『建築ファンタジア』に先立って翻訳されていたチェルニホフの建築理論書 / 日本で開催されたアール・デコ 空前の大展覧会 / 小さな枕という名のマルチプル


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ヤコブ・チェルニホフ著、玉村春夫訳 『ソヴェートロシヤ新興建築学のイデオロギー的原理』昭和7(1932)年発行・初版。 『建築ファンタジア』を思わせる図版も多数所収。

ヤコフ・チェルニホフの『建築ファンタジア』(最近では『建築ファンタジー』)のことを知ったのはいつ、何がきっかけだったのか、これが全く思い出せないのですが、輸入されたこの作品集が、昭和8(1933)年には大竹博吉の日本語冊子を附して、ナウカ社から販売されていたことを考えると、もう少し日本の古書市場に現れてもおかしくないのに、少なくともこの十数年の間に私が目にしたのは僅かに2度。1度は手元不如意で入札を見送り、2度目はあくまで希望購入価格で応札、結果、当然の如く落札できずに終わりました。以来全く縁のなかったチェルニホフとその著書ですが、今回思いがけず、珍しい本を落札することができました。
表紙を見るとまるで洋書のような、当書表記に従えばヤコブ・チェルニホフの著書『ソヴェートロシヤ新興建築学のイデオロギー的原理』。昭和7(1932)年に大阪の玉村春夫という人の日本語訳で、同じく大阪の、江村恒を発行人とする創生社というところから刊行された初版本です。巻頭には、1930年にモスクワでこの原書を手にし、“その瞬間嘗て覚えぬ大きな衝動を感じた”という村野藤吾の一文が置かれており、当書の出版の背景に村野の意向が働いていたことを伺わせます。
表紙を開くとフランス語『Les Bases de l'Architecture Contemporaine』、ドイツ語『DIE GRUNDLAGEN DER MODERNEN ARCHITEKTUR』、そしてロシア語で記された原書の扉が次々と現れ、その全てが1930年にレニングラード建築家協会出版部から発行されたことが分かります。装丁がまるで洋書みたいなのも、これら原書に施された装丁意匠の引き写しだからというわけ。
原書発行から2年と多少時間は開いていますが、チェルニホフの主著であり、グラフィカルな『建築ファンタジア』の販売に先んじて、思想と理論の書である当書が翻訳・出版されていたというのは、日本の建築史を考える上で面白い点ではないでしょうか。ヤコフ・チェルニホフが西欧で注目されるようになったのは1970年代以降のことだと云いますから、ほとんどリアルタイムでの日本における紹介は、大正末から昭和初期にかけて、とくに新興芸術の分野に見られる“日露の近さ”のひとつの現れと云えるのかも知れません。


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昭和3(1928)年 東京府美術館開催『仏蘭西装飾美術家協会展覧会 目録 - 出品題目・出品写真』。完全に近い室内仕様を施した35のブースがどんな具合だったのか、掲載写真から伺うことができます。

カラー図版は少ないながら、巻末には『建築ファンタジア』を思わせる図版のみを集めたページが19ページにわたっている他、別丁図版、文中の解説図なども豊富。紙質などもよく選ばれたと思しい丁寧な本づくりで…といったところで、国立国会図書館での閲覧などもとても容易くなった現在、それでもやはりと思われる奇特な方をひたすら待つことになりそうな1冊ではあります。
2010年の1月の新着品案内(→こちら)で言及した『仏蘭西装飾美術家協会展覧会 目録 - 出品題目・出品写真』。“桝形の、薄い、けれど、淡いブルーと銀色を表紙にあしらったとても瀟洒な”表紙は、招聘作家のひとりモーリス・デュフレーヌのデザイン。これぞアール・デコという意匠を石版刷で表紙にあしらっています。いまではほとんど知られることのない- 何しろ「仏蘭西装飾美術家協会展覧会」でケンサクして初めに出てくるのが小店のウェブサイトで、しかもその他はほぼ皆無 - この展覧会の内容はといえば、1925年のパリ万博で火がついたフランスの最新流行のインテリア・デザイン、つまりアール・デコ様式のインテリアを日本で紹介しようと、昭和3(1928)年に東京府美術館で開催されたもの。実際の作品を日本に移送し、壁紙からウォールツールまで完全に近い室内仕様を施した35のブースで展示するという空前の大展覧会だったと云います。
『目録』は18×18cm、委員・関係者の肩書と氏名、ポール・レオンの序文を和文と仏文で、さらに、アンリ・ラパン、エミール・J・リュルマン、ドーム、ガレなどを含む30名にのぼる作家の氏名と出品品名の和文、モノクロ写真を中心とした展示風景12図などを収めています。こちらは再入荷、といっても実に10年ぶりの入荷となりました。瀟洒な外貌を伴う貴重な資料です - がしかし、これほどまでに知られていない催しに関して、資料のニーズがあるのかどうかは……また別のお話。


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ジャック・レイルナーが1991年に制作した『LITTLE PILLOW』 限定50点(内No.43) 枕にしたくても枕にしてはいけない現代美術の作品です。

■9月に入ったというのに連日の30度超え。日がな一日のんびり寝そべって過ごせたらどんなに幸せなことか、と、つい手を出してしまったのが今週の3点目、『LITTLE PILLOW』ジャック・レイルナーが1991年に制作した、これが立派な美術作品で限定50点(内No.43)。不織布2枚の間にアンコを詰め、四方を縫いとめた文字通り小ぶりな枕状の物体で、作品名と作家名等の印を押し、部数と年号を書き込んだブラジルの用済み紙幣と、アメリカの1ドル紙幣をビニールに入れ、片面ずつに縫いつけたという代物。何故、まくら なのか…? という問いには何も解答が与えられぬまま、小さな枕と名付けられた物体だけが、枕なのに枕として使うわけにもいかず、枕だからといって投げるわけにもいかず、ただ目の前に存在し続ける - 成るほどこれこそ、私のとっての現代美術。
この他、戦時下のグラフ雑誌『写真週報』等20冊、ソノシート付き洋書絵本10冊松尾邦之助旧蔵書(松尾宛署名本)6冊、清水登之・宮本三郎・橋本関雪の戦争画集各1冊、美術・文化系書籍約100冊などが今週木曜日に店に入ります。



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