会期:2008年10月12日(日)
会場:東京都大田区・村上邸[解体シリーズ]
■村上邸について
2004年の改築にあたり、パルコ・ロゴスギャラリーさんと小店との共同企画として開催した「東京 山の手 昭和三代-ムラカミ家のモノに見る昭和史」。その村上邸が解体されることになり、今回はムラカミ家現地での開催となりました。
村上邸は、大正後期の私鉄の敷設とともに宅地分譲が始まった現在「東京の山の手」と呼ばれる一帯にあり、昭和10(1935)年に建造されました。敷地面積は93坪、建坪はおよそ50坪。当時の新造宅地としては標準的な規模といわれます。
当初は平屋でしたが、いまのご当主のご結婚とご出産を機に、昭和41(1966)年に二階を増築。以後、親子三代が暮らしました。平成16(2004)年には1階部分をリフォームしていますが、いまもずっしりと構える躯体には変更は加えられていません。
外観は洋風、室内に入ると和室が主ながらその一部に洋風のしつらえが見られるなど、全体には和洋折衷の住宅です。
広くとられた玄関は洋風、玄関脇には女中さん用の小さな部屋があります。1階部分はキッチンとダイニングを除いた4室が和室。部屋を仕切るのはほとんどが襖、障子や雪見障子、欄間には竹細工が、庭に面しては縁側がしつらえられるなど、和風住宅の要素をおさえて仕上げられています。至る所にゆったりとした収納スペースが造り付けられており、なかには表面に懐かしいデコラを使った部分も見られます。また、当時の若夫婦向けに増築された2階の3LDKは二部屋が洋間となるなど、一軒の中に“昭和の住環境・ライフスタイルの変化”の痕跡を留めています。
■販売品目例: 襖 雪見障子 ガラス戸 その他建具 電気傘 座卓 机 椅子 タンス 飾り棚 電話台 座布団 カーテン 足付きアイロン台 和洋食器類 調理器具・台所用品各種 置き物・人形・ぬいぐるみ おみやげ・記念品類 洋服類 その他雑貨類 等(主に昭和30年代以降の家財道具が中心となります)。
会期:2008年10月26日(日)
会場:東京都中野区・鈴木邸[解体シリーズ]
■鈴木邸について
中野区は第二次大戦後の復興期にベッドタウンとして急速な発展を遂げましたが、すでに戦前、昭和7(1932)年「中野区」の誕生以来、宅地化が進んだとされます。鈴木邸は、その昭和7年に新築され、以来この春まで76年にわたって現役を貫いたお宅です。鈴木邸とは目と鼻の先、青梅街道を挟んだ反対側は強制疎開、また空襲にも合った地域にあって、こうした戦時下の厳しい時代をもくぐり抜けて残りました。
敷地面積119坪・建坪43.5坪。書画骨董商を営んでいたという新築当時のご当主のお仕事柄か、ご自宅も数寄屋造りの純和風建築。料亭を多く手掛けた数寄屋造り専門の大工さんが建てたという邸宅は、襖の引手から全てデザインの異なる収納部分の扉に至るまで、随所にこまやかな細工と格調高いセンスがちりばめられており、両者のコラボレーションによる作品といった趣があります。また、建造物として見ると、新築以来子供のための勉強室を増築し、屋根裏を使えるように少し手をいれた以外、根本的に手を入れた部分は一切ないそうですが、床の鳴るようなところさえ一ヶ所もなく、確かな造りをいまに伝えています。
戦後、昭和25年から30年代にかけては、ご当主夫妻と子供たち7人に女中さんを加えて10~11人が暮らしたというこの邸宅も、ご当主夫人が今春97歳で亡くなられたのを機に11月の取り壊しが決まりました。
日本にありながらいまや最も贅沢ともいわれる和の住宅。建て主から大工さん、各種専門の職人さんたちが眼と手とを惜しまず仕事をした古きよき時代の貴重な痕跡を留めた“趣味の邸宅”です。当日は、新築当時のパース、平面図などもご紹介いたします。
■販売品目例: 襖 障子 収納扉等建具 電気傘 桐箪笥 食器棚 飾り棚 鏡台 座卓 塗箱 振子時計 風呂敷 皮製トランク ガラス食器各種(コースター、ボール等型抜きも) クリスタル・切子等ガラス製品 陶磁器食器類 調理器具・台所用品各種 古い包装紙・紙袋 等 (主に建具等素材として活かせるようなもの、趣味的な小物が中心となります。)