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15/05/30 小さい日月堂に相応しく今週は小物。熟練のエングレービングが見事な古い株券と、現品限りの古裂12点

■週が明ければもう6月。6月第1週の金曜・土曜日は東京古書組合南部支部で年に1度開催される大市会の当日。というわけで、来週6日(土)は営業開始時間が遅れる可能性があります。遅くとも午後2時~3時頃には店を開けるつもりでおりますが、何が起こるか分からないのが市場です。大変恐縮ながら、この日にご来店をお考えの場合は、お電話で在席をご確認いただいた後、お出掛け下されば幸甚に存じます。或いは、南部古書会館までお電話の上、日月堂をお呼び出し下さい。開店予定時間をお知らせいたします。 電話番号は 日月堂03-3400-0327、南部古書会館03-3441-3975 となっております。 ご面倒・ご不便をおかけいたしまして誠に心苦しい次第ですが、ご寛恕を賜りますよう、また、ご確認下さいますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

それにしても、市場ばかりがなぜこうも高いのか。本日。あ。もう昨日のことだ。になりますが。今月最後の競りで。ここまででもうどう考えてもめいっぱい。私といたしましては無理に無理を重ねた上での限界でございます!!! … という金額までパドルを上げ続けて粘りました。粘って粘って最後の2人まで残り、粘りに粘った結果 … 力尽きました。とほほ。老舗大店と新興小資本との間に横たわる、越えようにも越えようのない高い壁の存在に打ちのめされて帰宅。先週まで絶不調だった自宅PCが、今日は不思議と云うことを聞いてくれているのが、唯一の救いであります。分かってくれるかPCよ。って、日月堂、小さい。小さいな。日月堂は。 そんなわけで先週から一転、今週は至ってじみぃ~~~ な新着品であります。 とりあえず気持ちを切り替える上で回想してみるに、思い出すのはパリの古紙市に初めて出掛けた折のことであります。あらゆる紙モノが売られているなかで、最も驚いたのが、お役御免になった株券だけを扱う専門店なんてのがあるんだ!ということであり、そんな株券だけを蒐めるコレクターさんがいるんだ!ということでありました。しかも何軒もあって、何人もいると。同じようにしか見えないふっるい株券 - しかもデザインまで地味 - しか入っていないクリアファイルをただ黙々と繰る地味なおじいさん。そのおじいさんの姿をぼぉーっと眺めているこれまた地味なおじさん店主。一体何が面白いんだか。さっぱり分からないまま帰国しました。

ところが帰国してから旬日も経ずして市場に現れたのが、本日画像1点目と同じような、アメリカの株券のひと縛り。ややや。あの、じっみぃーなやつが出てきたゾ。というので子細に改めてみると、いやはやこれが面白い! デザインの中核となるのは、掘削機械、発電装置、船や機関車から糸巻きまで、会社の業務内容反映した図版に、自由の女神や神話の人物などをからめたシンボルマーク。よぉーく見ると、このシンボルマークがかなり素敵なのですが、それにもまして、周囲に配置された囲み罫にあたる部分の細かな文様の多様さ、彫りの見事さと云ったら!どれをとってもそれはもう「!」をいくつも並べたくなる出来栄えなのに驚嘆。紙幣同様、複製を防ぐために、銅版画の精密かつ微細な技術が駆使されての成果であります。そのへんの銅版画家より余程上ではないかと思われる熟練したな技術が駆使されているのに気がついて、あの地味にしかみえなかったおじさん、おじいちゃんたちの慧眼に、「私が浅はかでした。」と思わず海の向こうに向かって頭を垂れたのであります。
この時に落札して以来かれこれ十数年。久方ぶりに市場に出てきたのを今週、落札したという次第。AT&T、CBS、ノースアメリカン航空などなど、1910~40年代にかけて発行されたアメリカ著名企業の株券40数枚は明日午後店に入荷した後、バラ売りの予定です。

■最近、小店好みの染織の木版文様集が全く市場に出てこなくなったのと交代するように、最近ちょくちょく出てくるのが木版千代紙と染織の古裂です。今週は古裂12点一括で出品されていたのを落札。かつて - 昭和40年代頃か? - 高島屋で1点「500円」で販売されたのを買ったままとっておいた方がいらしたようで、断捨離の難に合わずにいてくれて本当に良かったと思われる古いもの。 12点とも生地や文様、刺繍などから同時代の印象が強く、なかに「茶屋染 凡百五十年」との墨書箋が貼られているものがあることなど勘案すると、慎重を期して比較的新しく踏んだとしても、12点の内の多くが、概ね江戸時代後期の頃のものではないかと推測されます。 控えめな柄ゆきと刺繍が瀟洒な印象を残す、日本服飾文化の遺産です。

今週はこの他、脳外科医・出月三郎が海外留学中に留守宅に送った書簡15通南江治郎が趣味で出していたのではないかと思われる雑誌『人形芝居』3冊などが、上記画像の新着品と一緒に30日午後、店に入ります。

■今週の拾い読み
主権のありか - 国民のための国家か、国家のための国民なのか http://4knn.tv/sovereignty-of-the-people/
「慰安婦」問題について歴史学者から再び http://rekiken.jp/appeals/appeal20150525.html
こちらのブログのうち、「アベ君。私は恥ずかしい。高校生のキミに歴史を教えたのは私だ。キミの歴史への無知は私にも責任がある。なんともお恥ずかしい限りだ。」で始まる2015年5月21日の文章は現首相に対する痛烈な批評なのだけれど大変面白く読むことができます。 http://article9.jp/wordpress/
“私が語らせた高校教師像は、戦後民主主義の体現者の象徴である。その理念の承継に必ずしも成功せず、その内側から民主主義の攪乱者を生みだしたことに呻吟する存在なのだ。そのような寓意を汲み取っていただきたい。”


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