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15/05/23 堀野正雄オリジナルプリント写真出現!! 時刻表元祖も初入荷! となりました。

■「東京市赤坂区氷川町23 アトリエ・堀野」- 4×2.5cmのコマ写真18枚を貼り込むことができる台紙に、品の良いグレーで印刷されていた文言です。田中千代旧蔵服飾関係資料が出品された市場で、同じ田千代旧蔵品でありながら、出演したテレビ番組の台本や、誰が書いたのか・お終いまで揃っているのかどうかも定かではない原稿や、つまり、最後にもてあましたものを突っ込んだようにしか見えないダンボール箱が1箱。中に「アトリエ・堀野」とある写真の貼り込まれた台紙が何枚か紛れているのを見つけたその箱は、市場の目立たないところに置かれていました。多くの同業者がスルーしていく様子を横目に、これほど落札を熱望した品物というのは本当に久しぶりのことでした。
戦前日本の新興写真を牽引した写真家のひとり、堀野正雄。いまとなっては日本国内でも知る人の少ない写真家です。主な活躍の場を戦前の雑誌グラビアページや板垣鷹穂との共著などに置き、戦後は写真家としての活動を休止した堀野についての情報は限られていて、簡単には詳しい経歴が分かりません。『日本の写真家 堀野正雄』(1997年 岩波書店)の略年譜に、1934(昭和9)年に上落合から赤坂区氷川町へ「アトリエ堀野」移転とあり、これによってようやく「アトリエ・堀野」=「堀野正雄」が確実なものとなりました。
ダンボール箱から出てきた写真のうち、堀野正雄撮影・プリントと断定できるのは、「アトリエ・堀野」と印刷された7枚の台紙に貼り込まれた全部で112点のコマ写真と、16×10.5 cmに引き伸ばした写真3点です。
引き伸ばした写真には、すでに目に馴染んできた田中千代の筆跡で「婦人公論7月号原稿 皐会第二回展出品」と書き込まれています。皐会は1936(昭和11)年に第一回が開かれた服飾作品発表会で、第2回の開催は翌1937(昭和12)年。3点の内2点は、氷川町「アトリエ・堀野」の台紙に同一のカットが認められます
写り込んだ背景などから明らかに「皐会」の作品を撮影したと思われるのは台紙2枚・29コマ分で、こちらの台紙には「A-A」「B-B」とあります。
残りの台紙5枚は洋服、モデル、背景などから同じ時に撮影されたもので、この内1枚に田中とは明らかに異なる手-ほぼ間違いなく堀野の筆跡!-で「鐘紡-田中千代 1937 Spring Fashionshow at Toho Little Theare  東宝Dancing Team」とあり、1937年、田中千代と鐘紡のコラボレーションにより開催されたファッションショーを堀野正雄が撮影したものと見られます。 台紙5枚に83点を数える写真中、着替えやメークなど臨場感溢れる楽屋裏の写真にはとくに、堀野らしい視線が感じられます。

現在もまだ確認作業が続いている田中千代の旧蔵資料からは、細江英公や桂ユミからの手紙、シャネルやエルメスのパリコレ・インヴィテーションカード、日本初のディオールのファッションショー詳細資料などが出てきており、田中千代という人の記録魔ぶりには何度感嘆させられたことか知れません。一方、堀野正雄はこの後大陸に赴き、アトリエ堀野は堀野不在の中で東京大空襲に襲われます。アトリエ堀野には、写真が残されていたとしてもそう多くはなかったはずです。
今回入荷したこれらの写真は、偏に、田中千代という人が介在することでようやく現在に伝えることのできる戦前日本の貴重なファッション資料であり、さらにまた、今日の私たちに残された写真家・堀野正雄の貴重な作品と云えるものです。
 

■厚さ6cm。この横幅の二分の一の厚さをもつこの洋書は、世界で初めて1冊の本の中に各線・各列車の時刻を網羅した時刻表-今日の時刻表と基本的に変わらないそうです-を刊行した『ブラッドショー』のまさしく時刻表。発刊は1839年のイギリスで、当初単行本だったものが、1849年には月刊ベースの定期刊行物になったと云うのですからビックリ。
今回入荷したのは1899年10月発行の629号と1900年6月発行の637号と、いまから約115年前に発行されたもの。
表紙に記されたタイトルは『Bradshow’s  Continental  Railway  Guide  and  General  Handbook  Illustrated  with Local  and  Other  Maps  Special  Edition』。
タイトルが示す通り、ヨーロッパ中を網羅し細かく落としこんだ鉄道ダイアと地図、テキストによる国別案内、各国ホテル広告(図版入含む)などから成ります。
それにしても115年前にこんな時刻表が必要だッたとは…新橋・横浜間での日本初の鉄道開通は明治5年(1872年)。『ブラッドショー』という時刻表の誕生からでさえ遅れること33年のことでありました。
その後の歴史を見る時、「よくやッた!日本すごい!!」と云い切ってしまえるのか、「だがしかし・・・」と考えるのか。最近の日本人はどうもこのあたりで二つに分かれるような気がします。

■今週読んだなかから。
「日本の歴史家を支持する声明」その続き。賛同者が大幅に増えてました。
http://www.huffingtonpost.jp/2015/05/19/historican-open-letter_n_7338430.html?ncid=fcbklnkjphpmg00000001
党首討論での亡国もとい某国首相の「ポツダム宣言」発言がらみ。これはともて面白かったので。
http://blogos.com/article/112613/
ポツダム宣言の内容について論評できず、なるほどだから平気で「A級戦犯」エピゴーネンとして戦後レジームからの脱却をとなえる人がいて、それが代表を務める政府を国民の二人に一人が支持している2015年5月下旬のニッポン国であります。彼の考える戦後レジームというのは一体何のことなんだろう。そして、誰も責任をもたないオリンピックスタジアムは屋根なしで!
 


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