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15/05/02 明治期染織の一級品506点の現物を集成した『第5回内国勧業博覧会祈念 染織鑑』/ 草木染復興の立役者による限定本

■5月らしい晴天のもと、ゴールデンウィークも始まりました。
ゴールデンウィーク中は例年、静かな日が続く小店。今年も静かな環境で、ただいまスクラップブック約80冊の交通整理に専念しております。その後ろには大量の絵葉書が控えております。が、それもとりあえずのところ5月2日(土) まで。明日土曜日12時より20時より営業した後、5月3日(日)より8日(金)までお休みをいただきます。この間はインターネットを通じた業務についても休止いたします。
ここ数年、ゴールデンウィークの恒例となりましたジェオグラフィカさんのアニヴァーサリー企画「ジェオグラフィカ・アンティークマーケット」は5月6日(木)まで絶賛開催中です。詳細はこちら→http://geographica.jp/special/2015anniv/
表参道ではご不便をおかけいたしまして誠に恐縮に存じますが、ゴールデンウィーク中の目黒通り、そして5月9日(土)からは再び日月堂の店舗の方までお出掛けいただければ幸甚に存じます。何卒よろしくお願いいたします。

今週は、数年前にも一度、資料室の蔵書が市場に出品されたことのある染と日本刺繍の工房の旧蔵資料から。1点目は『第5回内国勧業博覧会祈念 染織鑑』の1帙完揃いです。
木製布張の深い帙に染織生地見本全506点台紙の数で252枚に上る未綴じリーフ=「標本」その目次会場写真や優良品のカラー写真などからなる冊子を収めたもの。何しろ発行は1904 (明治37) 年と今から遡ること111年の昔。ご存知の通り、1枚や2枚、欠けている方があたりまえの未綴じの台紙の集積です。これだけのものが揃って現れるのは稀。となると同業者のみなさん、血も涙もなく。云うまでもなく天辺の札での落札でした。う。それはさておき。
「第5回内国勧業博覧会」は当品刊行の前年、1903 (明治36)年に大阪で開催されたもので、同博覧会としては最後にして最大のものだったとか。内国勧業博覧会については、国立国会図書館のサイト「博覧会 近代技術の展示場」→ http://www.ndl.go.jp/exposition/s1/naikoku5.html
に詳しいのでそちらをご参照いただくとして、冊子の序文によれば、『染織鑑』は、「近時の壮観」たる第5回内国博覧会のなかでも「出品夥多光彩陸離技術の進運特に著し」い「本邦染織工業」の成果を「後世に伝ふるもの標本帖に若くはなし」として発行されたものだと云います。

京都府の104点を筆頭に3府1道34県、それぞれ商店名または個人名によって提出された506点の布の現物は、キモノはもとより洋服や洋傘のための生地、リボン、インテリアファブリックから蚊帳用の生地まで実に多彩。近江麻布、八重山上布、米沢風通織、鳶八丈、石下縞など見ているだけで楽しい/目にすることがもはや稀な ものも多く、また、透綾、琥珀織、瓦斯縞、勾配海気、絹綿崩織など、まるで物語を織り込んだのだとでも云うような生地とその名称とは、見て触れて、飽きるということがありません。そう断言するその所以は、なんて、思えばそんなことをディスプレイ越しにお伝えしようというのがナンセンスと云うものでしょうね。現物は店頭で是非。

■ナンセンスだと断言しながら同じようなものが続きます。手織の復興と植物による染めの復活を図り、いまではあたりまえのように使われる「草木染め」という言葉の名付け親とされる山崎斌 (あきら)山崎を著者に、山崎が主宰した月明会の出版部により発行された限定本4冊が入荷しました。
画像2点目の上、『草木染手織抄』昭和34年に発行された「永遠版 限定200部之 第拾五号」。9×11cm程の草木染め・手織の布26点の現物を貼り込み、それぞれに名称と解説を添えたもの。赤桟留、黄八丈、色格子、二崩し、鬼綾など。帙は藍染布にタイトル銀拍押し、本は藍の縞織布と和紙とを組み合わせ、題は金の箔押し。帙の内側に貼られた和紙に朱色一色、木版で刷り込まれた糸巻の図版も洒落ています。
画像2点目の下、『草木染百色鑑』は「草木染の色相百種を択んで」1冊にまとめたもので、昭和33年に発行された「永遠版 限定200部之 第九拾七号」。1P毎に同じ植物を染料とする4種の色染布(約3cm角)を貼り込んだ全48P・192色192点。それぞれ植物の特性と色の名称が添えられています。藍染布に銀箔押しの夫婦函、本は藍と赤の布張りでタイトルは金の箔押し。
画像には入れませんでしたが山崎による草木染関係の限定本の入荷はあと2冊。昭和34年に300部発行されたもう1冊の『草木染百色鑑』は染糸の現物を貼り込んだもの。『日本草木染譜』は昭和36年、限定500部の発行で、こちらも染糸の現物50種を収めたものです。

明日はまた1日集中力を要する日となりますので今週はこのへんで。来週、当ページの更新から仕事を再開する予定です。それではみなさま、どうぞ良き休暇を!
 

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