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15/03/14 今週は古本屋に似つかわしい4点 北川健次銅版画2点と南江二郎の著書2冊


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■ここのところ時々さし替えしながら暫く壁面に掛けていた大正時代のキモノの図案を、今週木曜日に店に届いたばかりの新着品、北川健次の銅版画2点に替えました。
向かって左が「肖像考-フランツ・カフカ」、右が「記憶の構図-マルセル・プルースト」。本屋のためにつくられたような作品です。
ともに2004年制作の版画集『反対称/鏡/蝶番 - 夢の通路 Véro-Dodat を通り抜ける試み』に収められた作品で、いずれも限定35部・署名入り。奥行きを深めにあつらえた額内に、少し浮かんでいるように見せる額装もしゃれています。
久しぶりに額2点を入れ替えると、店全体の印象が随分変わって見えるもので、ウォールツールの大切さを再確認しています。
打ち付けてある釘の位置を変えるのが面倒なばっかりに、額の紐の方を長くするという邪道と云われても申し開きの言葉もない吊るし方で対処。今回に限って云えば、これが案外しっくりきております。と思うのは釘を抜いた跡の処理まで考えて何もかもがめんどーになる私だけかも……。

それにしても、毎週毎週何が何だか分からない「本以外」のものばっかりよくもまあ。と自分でも時々思うので。久しぶりに本2冊。どちらも著者は筆名・南江二郎、本名の南江治郎でも著書のある人ですが、新着品はどちらも「二郎」名義で著された戯曲集と詩文集。
1924(大正13)年に発行された『南江二郎戯曲集 悪戯の城』初版は、5編の短い創作戯曲を収めたもので、函の題箋、本体の表紙・裏表紙、扉が全て恩地孝四郎の木版画。函の題箋(平、背とも)と扉は2色刷という凝ったもの。
1927(昭和2)年発行の『詩文集 南枝の花』の方は函題箋(平、背とも)、本体の表紙・裏表紙、扉が全て多色刷りの木版装で、こちらは岸田劉生の作品


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そもそも小店が南江二郎を知ったのは、かれこれ14年ほど前、バレエ・リュス関係資料を集めていた当時、『マリオネット』という随分洒落た雑誌にロシアの人形劇に関する文章が掲載されていたのを見つけたのがきっかけ。この雑誌を主宰していたのが南江であり、『マリオネット』の表紙のデザインが、イギリスで出版されたバレエ・リュスの本の装丁から採られていたのに気付くのは、それから少し後になってからのことでした。南江二郎という人、デザインにはうるさい人だったと見え、がしかしそれにしても、恩地に岸田の木版装とは何と贅沢な。坪内逍遥や小山内薫の薫陶を受け、詩人として活動しながら、NHKに勤めて役職を歴任した人、ということはケンサクですぐ分かる有難い時代ですが、南江治郎という人につきまとう贅沢な好事家趣味 - 雑誌『マリオネット』にしても「日本で初めての現代人形劇雑誌」(!)だけあってどれだけ需要があったのか、おそらくはほぼ慈善事業だったはず - がどのあたりから来たものなのか、なかなか興味深い人物ではあります。

■とにかく「買う」ことより「売る」ことに気持ちを大きく傾けたまま過ごしたこの一週間でした。市場への出品に関しては、毎週市場の運営に関わりながら、感覚を磨き、知識を深め、経験を積み重ねてきた若い方たちの力をお借りしたお陰で、とても円滑に、しかも的確な仕事をすることができました。仕事が的確であれば、結果もついてくることを、日々最前線で仕事をしている私よりずっと若い方たちから教えられました。落札価格が確定する来週金曜日まで、まだ変動要素が残されているのと、店にはまだ査定しなければならない本や精査の必要な資料等が箱積みされているのとで、まだ完全に肩の荷を下ろすには至っていないのですが、大部分の本の行き先が決まってくれたお陰で、ずいぶん気持ちは楽になりました。
成果、は、もちろん、第一義に、品物の質によって大きく左右されるものです。本の取引価格が暴落するなかで、予想を上回る成果を得られたのは、先ずもって「品筋」の良さによるものです。とても恵まれた仕事をさせていただいています。こちらに関心があろうがなかろうが関係なく、さまざまな本や何かしらの断片に向き合う機会を与えて下さるお客さまのご蔵書整理の仕事というのは、古本屋にとって何よりの勉強の機会であることを改めて痛感しました。本当に有難いことです。
「買う」ために「売る」。「売る」ために「買う」。古本屋の力を鍛えてくれるのは、ただひたすらなこの往還だけなのだろうと思います。
今週の新着品は、まだ店内で箱積みされている状態です。店頭にお出しできるまでにはまだ少し時間がかかりそうですが、私も作業を急ぎたいと思います。
 

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