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14/12/13 やっとの更新は… 1930年代『モスクワの労働者クラブ10選』と明治期絵画の教科書


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■今週週末を待たずに更新します! と書いておきながら、結局週末になってしまいました。どうかお赦し下さい。早速ですが、久しぶりとなってしまった新着品のご紹介です。
資料会の大市は念のため2日間を予定していたものの、これはどうしても落札したいと思うようなものを見つけることができず、結局下見日だけで済みました。翌日は店のPCから落札状況を確認していたのですが、早い段階で落札品が1点確認できて以降、一向にデータが更新されず。最終的に落札品は1点だけで終わりました。情けない。
落札できたのは『ロンシャン』など、ル・コルビュジエに関する洋書と冊子10冊ほどを縛った1本口ですが、肝心なのはそこに混じっていたこの『10 рабочих клубов москвы』と云う薄い本。フランス語はもとより英語でさえあやしいところにロシア語です。云うまでもなくさっぱり読めません。完全にお手上げ。表紙に1932と発行年らしきものが記され、戦前のものであることは紙質やデザインから見ても間違いないものの、がしかしその年号の頃と云えばロシア・アヴァンギャルドから社会主義リアリズムへと転換する過渡期にあたり、二束三文に終わることも半分くらいは覚悟しつつ、がしかし化けちゃうかも知れないぞ、という可能性に賭けての入札でした。
ロシア語のアルファベットを自動翻訳のサイトにコピペしては検索した結果、タイトルは『モスクワの労働者クラブ10選』といった意味。このタイトルが示す通り、1920年代後半、革命後ソビエトの新体制プロパガンダのひとつとして建設が推進された「労働者クラブ」- 労働者組織毎に新たに建設された事務所兼文化施設(集会施設、図書館、劇場本娯楽施設等)、つまり、当時としては最新であり、かつ、国家が理想とした建築物についてまとめられた冊子様の書籍であり、なかでも、施設が集中していた首都・モスクワに実際に建築された労働者クラブから、特筆すべき10件を選んで解説したものだということが判明しました。は1931年8月、発行元はIzogiziとあり、確かなこととは云えませんが当時の体制に組み込まれていたIzoイゾー= 「教育人民委員会美術部局」の関連組織のひとつではないかと推測しています。
17cm角・180Pの冊子には、いかにもロシア・アヴァンギャルドらしいオレンジ色と黒とでデザインされたカバーが施され、扉と目次のページも同じ2色が使われています。本文はすべてスミ1色ですが、写真図版のレイアウトや黒い棒状のベタの使い方などにより、バウハウス叢書等と同様、1920~30年代らしい表現であると同時に、洗練された印象を与える仕上がりとなっています。
収録されている10の物件の内、5件はルサコフ労働者クラブ、プレヴェストニック・クラブなどコンスタンチン・メーリニコフによるもの。メーリニコフはロシア・アヴァンギャルド時代の建築家として筆頭に挙げられるひとりで、1925年のパリ万博ソ連館の設計で世界的にも注目された人ですが、当書所収のルサコフは、そんなメーリニコフのそのまた代表作と云われる建築物。この他、イリヤ・ゴーロソフのズーエフ労働クラブ、オルガ・ロザノーヴァのテキスタイル・クラブ、V.A.ヴェスニンなどの名前も見られ、取り上げられたテーマはどうやら粒揃いで物件別に詳細にテキスト有。このあたり、読む方が読めば面白い内容を含んでいそうな気もするのですが、断言は避けます。


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この時代、ロシアの前衛的建築に対して関心を寄せる人たちが日本にも居て、チェルニホフの『建築ファンタジア』が邦訳冊子を付して売り出されたことをご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、今回入荷のこの1冊にも実は表紙の中側にその『建築ファンタジア』に邦訳をつけて販売したのと同じ「ソヴエト 書籍・新聞・雑誌 日本総取次 ナウカ書房」の水貼シールがあるあたりも面白いところ。このシール、貴重です。
さて、冒頭に記した「一か八かの博打」の結果ですが、どうやらこれ、「当たり」だったようで、市場にはそれでも出掛ける意味があると、またしても背中を押されてしまったようであります。

うってかわって日本の明治の絵画の教科書。図版は全て木版刷りで、絵を描いているのは日本画壇の重鎮・橋本雅邦明治30年代当時、図画で使う道具は筆と墨で、絵は完全に日本画のタッチ。松屋銀座での1月の即売会用に用意しているものですが、バラバラになっていたのをよくよく整理してみると1巻から8巻までが揃っていました。
筆でもって横に直線を1本描く。「きほんのき」以外の何ものでもない1ページ目に始まるこの教科書。当然、1から8に向かってどんどん複雑かつ詳細な絵へと変化し、つまり絵画的技法の難度としてはステップアップしていくわけですが、しかしこれ、巻数が若いはじめの頃のものの方が、より高度な絵に見えてくるのが面白いところです。何気なく描いた線のうまさ!それだけで見られる作品に仕上げてしまえる力量!画像にある雪だるまなんて、ちょっと描けないと思いませんか?

■今週はこの他『現代ユウモア全集』23冊1950~1960年代の雑誌『時事世界』『アサヒグラフ』『主婦の友』などがまとまって明日には店に入荷いたします。
この週末、また厳しい寒波の到来が予想されていますが、日曜日は選挙。1票の格差は一向に是正されることなく、さらに高松市では不正開票なんて云う民主主義に依って立つ先進国での出来事とはおよそかけ離れた事件まで露見して、しらけた気分にもなることは否定しませんが、しかしそれでも尚、平民にも、女性にも、等しく選挙権をと奮闘した過去の人たちのことを思えば、投票には行かなければならないと思います。この間、さまざまな考え方に接してきましたが、「ポリタス」というサイトで公開されている記事の多くには一読の価値がありました。とくに、
岩本沙弓『敢えて消費税という切り口で考える総選挙』
山崎雅弘『首相が「どの論点を避けているか」にも目を向けてみる』
國分功一郎『亡命はなぜ難しいのか?』
は消費税に関する知見、圧勝が予想されている政党の体質、いま日本を覆っている空気について、多くの示唆を与えてくれました。リンクは張っていませんが検索ですぐに出てきますので、未読の方には投票に出掛ける前に是非。

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