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06/12/25 Information

■今年も残すところ一週間ほどとなりました。年内の営業は26日(火)・28日(木)の二日間、明けて新年は1月6日(土)からの営業とさせていただきます。休業期間中はHPの目録品についての受注もお休みとさせていただきます。ご了解のほど、よろしくお願いいたします。 2006年最後となる新着品のご紹介、先ずは『スポーツと気晴らし』。あの華麗な婦人モード雑誌『ガゼット・デュ・ボン・トン』を発行していたルシアン・ヴォージェルが発案・発行(1924年頃)したもので、シャルル・マルタンの挿画と、それをモチーフに作曲されたエリック・サティの楽譜とで構成されています。全900部限定の内、新着品は普及版675部にあたり、サティの楽譜と序文のファクシミリ版(直筆の忠実な複製)21葉に、マルタンの挿画(銅版画・彩色)1葉等を付した全23葉をポートフォリオに収めた完本です。せめて一度は見ておきたいと思って店を臨時休業して出掛けた市場で、見れば見るほど今度は手にしたいと欲が出て、落とそうと思えばムキになり、札を書いては捨て入札しては改めて、落札。馬鹿な買い物もラッキーな落札品も、色々あった一年でしたが、小店にとっては今年一番嬉しい落札品となりました。全体から醸し出される軽妙かつ瀟洒な佇まいと、マルタンの描線の巧みさと、そして何よりサティの直筆楽譜の楽しさは、是非、店でご高覧ください。

■さてもう一冊は明治古典会クリスマス市会の落札品。『ダヴス・プレス刊行趣意書』といわれるもので、正確なタイトルは『A Paper read at Meeting of the Art Workers Guild,by T.J.Cobden-Sanderson March 6 1891』。C・サンダーソンによるマニフェストともいうべき内容です。実はこの市会では、ケルムスコット・プレスの『ユートピア』(トマス・モア)が一番の狙いだったのですが、本命は何と、忘れもしない4,400円の差で落札できず(僅差での敗北ほど悔しいことはなく、今年もまた年末に自分の不甲斐なさを痛感)、「どうせなら」と思って札を入れた『趣意書』だけが落札できた…という次第。ケルムスコットに比してダヴス・プレスはどこか軽視していたわけですが、落札の後つくづく眺めてみると、印象としてはよりすっきりとした書体で組まれた本文はもとより、黄金色の絹の綴糸、薄い背にきれいに押されたタイトルなど、やはりなかなかの仕事です。しかも装丁に使われたヴェラム革から本文紙に至るまで、傷らしい傷のほとんどない美本からは、旧蔵者の愛情まで伝わってくるようです。『スポーツと気晴らし』とは対照的に、落札の喜びはじわじわとやってきました。コブデン・サンダーソンはミヤコ・コンブのようであります(ああ。年末まで馬鹿なことを…)。 一目惚れがあれば執念もあり、予めの狙いもあれば突然の出会いがありと、古書・古本の世界で過ごしたこの一年もまた、色々なかたちで書物や紙を手にし、それを通じてお客様と出会うことができました。週に三日しか営業しない店に、週に一度しか更新しないHPと、我侭勝手のし放題にも関わらずお付き合いくださった皆様に、年の瀬にあたり心より御礼申し上げます。ノロウイルスにご注意の上、どうぞよいお年をお迎えください。一年間、有難うございました。そして来年も、どうかよろしくお願いいたします!

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