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14/10/14 戦前日本のダダと構成主義と - 『死刑宣告』『ソヴエトの友』入荷


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■台風前日とは云え、すでに雨風にたたられていた10月4日(日)から始まった今週の市場は計5ケ所。お陰さまで、多少は面白いと思えるものも、ぽつぽつと買えましたが、寄る年波と市場での緊張とには勝てず、本日はもうへとへと。
恐縮ながら、新着品のご案内は週明けの13日(月)とさせていただきます。

というわけで週明けの、日付変わって火曜日にずれこみ、さらにまた、列島縦断中の台風の進路を横目に見ながらの、新着品のご案内です。
視覚化された詩と岡田龍夫らによるリノカット版画によって構成された詩集というと、まるで9月26日付の当頁で紹介した『蒼ざめた童貞狂』のようですが、その『童貞狂』に先立ち、大正14(1925)年に発行されたアヴァンギャルド詩集『死刑宣告』が本日の1点目。
但し、入荷したのは大正15(1926)年2月、初版発行から4ケ月弱で発行された再版分で、初版とは函のデザインが異なる - 初版は白地に赤一色のリノカット図版 - ほか、再版では「扉」にも再版が明記され、また、著者・萩原恭次郎による「第二版の序」4Pが追加されているところに初版との違いが見られます。
『童貞狂』同様、活版印刷の組版技術をフルに活用、天地もなく左右もなく縦横無尽に飛び跳ねるタイポグラフィは、詩の作者でもある萩原恭次郎によるもの。
リノカット版画のオリジナル(新素材・リノリュームを彫りと刷りの版面に利用した版画)による挿画は、岡田龍夫の15点を筆頭に、榎本喜芳、矢橋公麿、高見沢路直などの作品で32点を数えます。さらに、アート紙別丁で綴じ込まれた写真版は村山知義、牧壽雄、柳瀬正夢、大浦周蔵などによるもの。すでにお分かりの通り、大正期日本の新興芸術運動の発火点であり、日本のダダを牽引した「マヴォ」に関わった人たちがこの1冊に集結した格好です。
書物が総体としてアート作品になっている ―― それだけに、マヴォにしても『死刑宣告』についても、すでに多くの研究と論文がありますが、とくに海外のコレクターに注目されるようになったここ数年、価格が漸次上昇。小店ではそれ以前、まだ いまのように落札価格もそう高くはなかった当時、初版の函なしを1度だけ扱って以来の入荷となりました。
『童貞狂』は完璧な状態でしたが、当該品については背欠、「二版の序」と「序」に赤鉛筆による線引きが薄く残るという瑕疵があるのが残念なところですが、そうであるからこそ入手できたと云えなくもない点が、現在の小店の小ささではあります。いずれにしても、小店レベルの店で、マヴォゆかりの詩集『死刑宣告』『蒼ざめた童貞狂』が今回のように立て続けに入荷するのはごくごく稀なこと。ちょっとうれしい。


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■マヴォと云えば村山知義。その村山が創刊号から数冊、デザインを手掛けている月刊誌『ソヴエートの友』。月刊誌とは云うものの、「ソヴエートの友の會」という組織の機関誌として発行されていたためか、或いはその後の左翼思想の弾圧により廃棄されたものが多かったせいか、いずれにしても市場でも見かける機会のごく少ない雑誌です。
「ソヴエートの友の會」は、長谷川如是閑や秋田雨雀、山田耕筰、中条百合子などによって設立された組織であり、その機関誌『ソヴエートの友』は、当時ソ連が国家的事業として推進していたの5ケ年計画など、ソビエトの国家建設の状況を紹介することを目的に発行されたものです。
5ケ月計画当時のソ連のプロパガンダとしては、後に東方社が帝国陸軍の後押しでプロパガンダ誌『FRONT』を発行する際に下敷きにされたと云われる『USSR』誌が夙に知られているわけですが、『ソヴエートの友』はまさに“日本版USSR”とも云うべきもので、「ソヴエートの友の會」がソ連の国際的機関と直接結びついていたお陰か、『USSR』を彩る構成主義的写真とフォトモンタージュ、そして風刺漫画などの図版がふんだんに引用された結果、各号16ページという薄冊ではありますが、迫力のある表現が多々盛り込まれたカッコいい雑誌になりました。
フォトモンタージュの中には、ソ連の素材と日本のそれとを組み合わせたようなものもあり、また、版型が異なることもあってか、まるっきりのコピーというのではなく、日本で加工が加えられたものも多いように見うけられます。
今回入荷したのは昭和6(1931)年から昭和7(1932)年に発行された内、創刊号を含む5冊と『友の附録 第一号』(1932年1月号附録)』の計6点。戦前日ロの関係を伺わせる資料であり、また、ロシア構成主義の日本への影響という点でも見落とせない雑誌ではないかと思います。

『ソヴエートの友』と旧蔵者を同じくする冊子として、『プロレタリア美術 No.2 第4回プロ展特輯』1冊と『TESパンフレット』の1号・2号の2冊も入荷していますが、こちらまで説明していくとこれはもう終わりが見えなくなりますので、次回のご紹介とさせていただきます。悪しからずお赦し下さいますようにお願い申し上げます。
店には他に、戦前婦人雑誌の附録2本口ファッション系大判洋書2本口戦後美容関係書籍・資料類の一括、昭和5(1930)年に岩波書店から出版された石井桃子訳『クマのプーさん』初版本が入荷。そして一通り目を通したらこのページでご紹介する予定の矢内原伊作宛て加藤周一自筆書簡・ハガキ11通などがとりあえず手に落ちております。

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