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14/05/10 北澤楽天肉筆画・ビリヤード25連作 と ドイツのデザイン図案集


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■GWも「あ。」という間もなく過ぎてしまいました。小店店主もぼちぼち店の仕事を再開しておりまして、先日来、新たに店に入ってきた古い和紙の染紙のヤマと格闘しております。
濃紺から利休鼠までグラデーションを描くように染められた和紙の中には鈍色に渋く光るものなどもありその色と質感とにほれぼれとし、シボを寄せた和紙は重ねた時に現れるオブジェ感が出色だし、染に入る前のまだ白い和紙が塊となった時に見せる端整な美しさはまた格別、なのだけれど、こうして語ったところでそう簡単に伝えられるはずもなく… あぁ~しまった~ぁ。画像に撮ってくればよかった~ぁ。がっくり~ぃ。というあたりもまだGW明けっぽいね。なんて甘えたことを云ってても仕方ないので新着品にまいります。1点目は連休前からの続き、全連大市からお越しいただいた落札品の内の一番の大モノ。

こちらの品、「全連で一番の大モノ」というだけでなく、よく考えてみると今年になってから小店が市場で落札した品物の中でも一番の大モノです。ま、当然か。
北澤楽天と云えば『時事漫画』『東京パック』などで明治後期より活躍した日本の風刺漫画界の草分けのひとり。この「風刺漫画」というのが厄介なところで、その漫画が書かれた当時の事件や政治や社会のことが分かっていないと風刺している内容がさっぱり分からないしちっとも面白くない。従って、時代に左右されない普遍的テーマを扱った風刺画家や、相当の腕前の画家以外、時代が経つのと並行して評価が難しくなる…というのが一般的な傾向とされています。それを踏まえた上で、北澤楽天をどう評価するか。大体、北澤楽天と云って、知ってる人の方が少ないし、極一部の人たちであれいまでも人気があるのかどうか、或いは研究してい人がいるのかのかどうかも分からない。とすると、果たしていま売れる要素がどれだけあるというのか甚だ疑問 … 云ってしまえばマイナス要因ばかりが頭のなかをグルグル回っているというのに、見れば見るほど惹かれる何かがあって簡単に見送ることができないという、非常に困った状態に置かれた中での入札でした。多分、この時に考えていたマイナス要因というのは大きく読み誤ってはいないと思われます。やれやれ。
要は、徹頭徹尾、店主の個人的嗜好によって仕入れたものだということでありまして、それ以上何も云うことがない。がしかし、本当に何も云うことがないのかというとそれはまたビミョーなところでして、例えば、描かれている人物のほぼ半数が外国人の風貌であること、出て来る少年給仕の制服がコロニアル風であることなどから、具体的には戦前の上海といった或る特定の時代の、特定の空間の、風俗を描いたものではなかろうか、とか、25点全点ビリヤード - 戦前の日本では「憧球」と呼ばれて人気があったモダンな遊び - である点では当時の都市風俗を活写した画集といって差し支えないだろう、といった辺りまでのことは云わせてやって下さい(とくにいま仮に「上海」といった、このあたりのことはまだ調べが必要な部分です)。


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そして、何と云ってもうまい。実によろしい。人の表情、動作、シーン、どれもが全て、見ている人間まで上気嫌にさせてくれて。時代が暗転する直前の一瞬をとらえて描かれたシーンは、平穏でありユーモラスであるほど、胸に迫ってくるものがあります。
画面は25点全て22.5×29.5cmの同一サイズ、全点ウォーターマーク入りの洋紙にグアッシュで描かれた作品で、1点毎に署名とタイトルの書き込みがあるものを、経本仕立てで1冊にまとめている、といったところが基本情報。経本の表紙の題箋部は空白でタイトルはなく、画像中に記した北澤楽天 肉筆画「憧球画集 25連作」は小店での仮称です。
「うまい」という肝心の点については、百聞は一見に如かず、可能であればどうぞ店頭でご覧下さい。

■ここのところ、日本の木版の図案集の入荷が続きましたが、久しぶりに海外の、しかも珍しいことにドイツの図案プレート集が入荷しました。
『Kunstgewerbliche Schmuckformen für die Fläche』= 美術工芸装飾意匠集。無刊期ですが調べてみるとどうやら1910年前後の発行。本品の扉の裏には「昭和5年 丸善ニテ購フ 全30葉」と鉛筆の書き込みがあり、上製のポートフォリオに書き込み通り未綴じ30葉が揃って収められています(各葉プレートナンバーを記した小さなシール貼り込み有)。
彩色は同時代のフランスに見られるのと同様に、ポショワールによるものですが、カラフルなデザインには東欧風ありロシア調ありと、お隣のフランスと比べて違いがあるのも一興です。
それにしても、昭和5年=1930年当時、こうしたデザイン資料を国内で入手することができた日本という国は、極東にあって何と恵まれた歴史を歩んでいたことでしょう。これまた、それに続く歴史と、さらに、現在進みつつある状況とを思うと、何だかなあという気持ちにならざるを得ないのでありました。
それにしても、abeという人は一体何がやりたいのか。とうとうNYタイムズまで安倍政権が進めようとしている憲法解釈についての批判を掲載しています。http://www.nytimes.com/2014/05/09/opinion/japans-pacifist-constitution.html?partner=rssnyt&emc=rss&_r=0

今週は先にも述べた和紙のヤマの他、欧文タイポグラフィの美の基本を示す1968年発行・限定版署名入り ヘルマン・ツァップ著『Manuale Typographicum』矢内原伊作旧蔵書戦前アメリカに移住した日本人・犬養三郎旧蔵の証券・小切手類、薄冊ながら染布の見本帖、古いエンブレム見本9点などが明日には店に入ります。

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