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14/04/19 1960年代 日本の前衛芸術より 一大スペクタクルから一枚のチラシ、一枚の名刺まで


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■先週お知らせした「全古書連大市会」。16日(水)と17日(木)は、結局、両日とも市場に居続けることとなり、17日(木)は臨時休業とさせていただくことになってしまいました。せめてその分は仕入れた商品でお返しを …… なんていうほど期待されていないのは本人、一番良く知っているはずなんですが、今回の大市、何だか大漁です。しかも、かなり珍しい雑誌や図案集、宣伝用印刷物、そして、この世に1点きりの画稿や画帖、写真といったものがほとんど。会場に流れる落札結果のアナウンスを聞きながら、「今日は(札を)入れたら入れたぶんだけ落ちてきちゃうんじゃないか?」なんていう錯覚を覚えたのは、一瞬のこととはいえ、市場に通い続けたこの18年で初めてのことでした。
落札したモノがものだけに、解説をつけられるまで少々時間がかかりそうです。大市からの新着品は来週以降、追ってご紹介させていただくとして、今週はお客さまからお譲りいただいた、こちらはこちらで願ってもない新着品のご紹介とさせていただきます。
1点目は小店入荷はこれが3度目となる『クロス・トーク/インターメディア』のプログラム。「クロス・トーク/インターメディア」は、1967年より、秋山邦晴 ロジャー・レイノルズ、湯浅譲二が企画・構成を手掛け、日米の実験的現代音楽を紹介していたコンサート・シリーズ「クロス・トーク」の中でも破格のスケールで、1969年に代々木国立競技場第2体育館で開催されたイベントです。「音響、言葉、光、映像、身体のパフォーマンスが交差しあい、エレクトロニクスを導入し、テクノロジーとアートの新たな接合のあり方を追求」(「実験工房展 戦後美術を切り拓く」図録206P)したこのイべントには秋山、湯浅のほか、今井直次、武満徹、山口勝弘が参加、また、プログラムには瀧口修造がエッセイを寄せるなど、実験工房との関連をうかがわせる他、映像の松本俊夫、飯村隆彦、音楽の一柳慧、松平頼暁、グループ音楽(塩見允枝子、小杉武久 等)、舞踏の土方巽など日本の戦後前衛芸術の担い手たちが加わり、さらに、ジョン・ケージやゴードン・ムンマをはじめとする世界の前衛と連携した、戦後日本芸術史上無視できない重要な歴史のひとつと云えます。


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専用の箱に入ったプログラムの構成物とそれぞれの内容は次の通り。これまで入荷したものと比べると、当日プログラム和文・英文各1冊計2冊が含まれていないため、8点となっています。お譲り下さった方は当日行けず、イベントを主催したアメリカ文化センターから取り寄せたものであること、先に引用した「実験工房展」の図録に掲載されている当品の写真に写っている内容物と同じであることなどから、この8点で一応の完品と見做すことができます①エッセイ:岡本太郎、瀧口修造、丹下健三(東野芳明対談) ②日本語プログラム:作品名・作品提供者名、出演者名、提供機材等 ③英語版プログラム:②の英訳 ④作品提供者プロフィールおよび作品解説:英文併記20名分  ⑤エッセイ:ジョン・ケージ、バックミンスター・フラー、ピーター・イエイツ ⑥エッセイ:ゴードン・ムンマ、スタン・ヴァンダービーク ⑦ゴードン・ムンマ「ホーンパイプ」解説図 ⑧コラージュ:スタン・ヴァンダービーク作 モノクロ両面
■こちらは小店2度目の入荷、20世紀の舞踊・舞台芸術に大変革をもたらした芸術家のひとり、マース・カニングハムの公演プログラム。公演は、1964年に読売新聞社と草月アートセンターが主催、「今日の芸術」のシリーズ1として開催されたもので、音楽監督ジョン・ケージ、美術監督ロバート・ラウシェンバーグ、ピアノをデビッド・テュードアという“20世紀後半の最大の芸術家たちが一堂に会”した、後世から見ると何とも贅沢な あり得べからざる内容。
B4を三つ折りにしたデザインで、東京での4公演の演目の他、秋山邦晴、岡本太郎、黛敏郎、光吉夏弥、そして勅使河原蒼風の文章を掲載しています。尚、演目の内、「物語り」は音楽を一柳慧が担当、東京・大阪・神戸での公演には、一柳、武満徹、小杉武久が各地で参加したと云われます。
『クロス・トーク~』よりもむしろ探しにくいペラモノもまた、旧蔵者を同じくして小店へとお頒けいただくことのできた貴重品であります。


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こちらは先の2点とは別のお客様から小店へと持ち込まれた珍品。「ハンスリヒター講演会 上映映画-金で買える夢 実験30年 8×8」と印刷されたオレンジ色のプログラムと茶色の「自叙伝」(2点とも両面使い 自叙伝は年譜の体裁)、そして、欧文で「HANS RICHITER  PROF.C.C.N.Y.」と印刷された反対側に「ニューヨーク市立大学教授 ハンス・リヒター」と和文縦組みで刷られた名刺の3点セット。名刺の和文の内、とくに、文頭から文末までの長さを揃えて印刷されている「アメリカ合衆国」「コネテイカツト州」「サヴスベリー」の3行が、ハンス・リヒターという偉大な芸術家の名前の脇に添えられて、何だかとぉーっても愛らしく見えるあたり、完全に小店店主のツボであります。しかも、渡された名刺だとするとリヒターの指紋付きではありませんか!(誰かこういう勝手な妄想を止めてやって)
それはともかく。リヒターの代表作の上映に、来日講演までついた東京ドイツ文化研究所でのこの催し、どこにも開催年が書かれていません。ところが。この商品、小店に持ち込まれたちょうどその時、先の2点はじめ貴重なコレクションをお譲りいただいたお客様が偶然にも店にいらして「確かワタシはそれに行ったと思う。」とボソリ。行っていればいつのことだったか分かるというお客様に、分かったらお教えいただくことにして、こちらは資料にあたり検索をし…がしかし、重要な事項だと思われるにしては資料を見ても出てこないし、検索にもひっかかってこない。ううむ。と唸って数日を置かず、件のお客様から封書が届きました。
開けてみれば「 “金で買える夢”は ’66 4/19 ドイツ文化研究所で見ている。」と一行。たちまちにして1966年=昭和41年であったことが判明、心底、唸るばかりの古本屋でありました。時に- 往々にして? - そのものに関わった当事者をも凌駕する、コレクターとかファンとか愛好家とか呼ばれる方たちの記録と記憶というものの精緻さに、この度もまた、ただただ脱帽なのでありました。
今週の更新はお二人のNさんによるものとなりました。末尾となりましたが、Nさん、本当に有難うございました!
ではでは、大市の結果は来週より。しばしお時間をいただきます。

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