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14/04/05 中村重蔵コレクション再び 津田青楓著・木版刷『染織図案』1~4 / 戦時下の「衣」にまつわる言説とデザイン


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■先週、ものの見事に負けに負け倒した中村重蔵コレクション。まさかねえとは思いつつ、20%くらいの期待を胸に駆けつけた今週の市場には捲土重来のチャンスが僅かながらも残されており、その僅かな中から、キモノ染に使われた型紙2口の内の1口・約60枚と、3~4口に分けて出品されていた古い図案集の内、今週出品分としては最も優れたものと思われる図案集を落札。先週のあの後悔が、ほんの少しですが、軽くなった気がします。気のまよいかも知れませんが。
今週の新着品1点目はその図案集、タイトルもそのまんまな『染織図案』。「一」から「四」までの4冊で、いずれも津田青楓を著者とし、木版刷図案集の名門、京都・芸艸堂が明治37(1904)年に発行したシリーズ
サイズはB6、各冊とも木版刷12丁・24図所収の和本仕立て。つまり、B4サイズの和紙12枚にそれぞれ2図の多色刷木版画を刷り入れ、中折りにして和本の体裁で綴じつけたもの。この手の図案集を見慣れた方には、大きさ・厚さの点で物足りなく思われるかも知れませんが、そこは画家・津田青楓の作品だけあって、意匠の出来ばえは先ずほとんど文句のないところ-少なくとも小店店主としては-であります。
当作品集の出版当時、23~24歳だった青楓はすでに京都市立染織学校と浅井忠の関西美術院で学び、日本画、洋画、そして意匠=いまで云うデザインの素養を我がものとし、数冊の図案集の著者となっていた他、1904年=当書発行年には兄である華道家・西川一草亭などともに小美術会を結成、新しい図案研究雑誌『小美術』を刊行しています。1907年=明治40年には、農商務省海外実業実習生として安井曽太郎とともにパリに留学。この留学でアール・ヌーヴォーの影響を受けたとする評があり、その通りなのだろうと思いますかが、『染織図案』の「一」から「四」にはすでに、ウィーン分離派やアール・ヌーヴォーの影響がうかがえせます。
明治時代に刊行された木版刷の図案集は相当な数あるのは確かですが、著者名と版元、図案の完成度、そして書物としての保存状態と、これら条件が全て揃った図案集は貴重であり、従って入荷もまたごく稀なことです。買えてよかった!


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青楓の『染織図案』発行から40年後の昭和19(1944)年、さらに豊かな色彩と一層巧みな意匠に彩られていてもよかったのにと思われる「衣」を取り巻く環境は、正反対の方向へと転換せざるを得ない時代に入っていました。先々週、入荷をお知らせしながら、自宅に溜めこんだままご紹介が延び延びになっていた戦時下のファッション雑誌が画像2点目ら。
画像左上、モノクロ見開きの中面を見せているのは『クロニック』の昭和11年9月号で、秋冬の洋装を子供服を中心に、さらには藤田嗣治・東郷青児を審査員(両者写真掲載あり)とした「イヴニングドレスを省く一般婦人服」の写真コンテスト - 独創的製品を実際に着用した写真を募集・審査する企画 - まであるのですからまだまだ余裕がありました。しかし、その後継誌で昭和19年1月に発行された『東亜服装』 - 画像中右端 -となるとタイトル横に「決戦版」の決して小さくはない文字、「材料は全部手持の更生地で作る」「流行は洋装店や雑誌屋の手から貴女の手にうつった!」といった惹句が踊っていて、もはや余裕のかけらもなかったことをいまに伝えてくれます。
画像上段中央、昭和11年秋発行の『ファッションクオタリー』12号は表紙から中面までまるで洋雑誌の引き写し、当時の日本では贅沢を感じさせる内容ですが、昭和18年発行の後継雑誌『服装生活』-画像下段左-となると身近な素材を再利用した実用のレベルへと一気にトーンダウンしています。
そういえば最近、『東亜服装』を見た時に感じたゾワゾワした感じを、何かを見て感じたんだけどな。何だったっけな。というのをようやく思い出しました。「ヤフオク!での個人同士の取引なら 消費税0%」というヤフオクのCM。両者に共通する何だかいやな感じがどこからどのように来るものなのか、いますぐ言葉にするのは難しいのですが、明治末から昭和初めの間に起こったことと、20世紀末から21世紀初めの間に起こっりつつあることとには、何か通底するものがあるように思えてくるのでした。
■既に述べましたように中村重蔵コレクションの型紙約60点が入荷する他、ファッション・プレート関連資料他洋書約20冊は明日店に入荷の予定。中村重蔵コレクションとしてはこの他に縞帖と小紋貼も入荷しています。

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