#205 6-1-6 Minamiaoyama Minatoku TOKYO
info@nichigetu-do.com
TEL&FAX:03-3400-0327
sitemap mail

detail

14/03/29 サクラサク? 唯一無二の染色工芸資料・中村重蔵コレクションより


Warning: getimagesize(http://nichigetu-do.deci.jp/img/info_thumb/1396029996425.jpg) [function.getimagesize]: failed to open stream: HTTP request failed! HTTP/1.1 404 Not Found in /home/users/2/deci.jp-nichigetu-do/web/navi/info/detail.php on line 146

■サクラサク―― お陰さまで、肋骨のヒビはずいぶん痛みも和らいで、こりゃやっぱり骨折より軽いわいと実感。ひきかえに、いまは湿布とコルセットに由来するかゆみと戦っておりますが、つまりはその程度。あたたかいお言葉はじめ、お寄せ下さいましたご厚情、本当に有難うございました。ともあれ先ずはご安心いただければと、ご報告申し上げる次第です。
肋骨と並んで、いや、それ以上にご心配をおかけしたスランプですが、今週の新着品は、スランプ脱出の糸口を思わせる一点もの、日本の伝統的な染物に関連する資料類です。
画像1点目はその主なものをピックアップして写したもので、内容は下記の通り。
 蒐集された染色用型紙に番号をふり、年代、出所(地名・家名)、型を彫った職人または商店の名前、文様名、サイズを丹念に記録した『時代形明細控』 コレクションの台帳ともいえる『時代形明細控』のノンブルに沿って型紙の文様を墨で染めつけた『正徳年間より昭和初年迄 形紙摺合』(型染布総和本仕立、全507図所収) さらにこの『形紙摺合』から優品を選りすぐり巻子本(巻きものに)仕立てた1巻   小花文様の表、市松柄の裏ともに紙製で、薄い綿を入れた紙布製のちゃんちゃんこ  荷札に年代や来歴の書きつけのある古布サンプル、という6点。
②にある「正徳年間より昭和初年迄」というのを西暦に置きかえると1710年代から1920年代初め、つまり、江戸中期から近代に至るおよそ200年間にわたる型紙が少なくとも一度は蒐集されたことを意味しており、確かに享保だとか寛政だとか文化文政安政宝暦等々江戸時代の元号がたくさん出てきてびっくりします。
画像2点目は、そうした時代にあって超モダンかつユニヴァーサルな意匠を、少しだけでもお目にかけるべく、②と③だけ取り出してみたものですが、そのセンス、お分かりいただけますでしょうか。


Warning: getimagesize(http://nichigetu-do.deci.jp/img/info_thumb/1396030021314.jpg) [function.getimagesize]: failed to open stream: HTTP request failed! HTTP/1.1 404 Not Found in /home/users/2/deci.jp-nichigetu-do/web/navi/info/detail.php on line 166

今回の落札品にはこの他にも、左上、「営業日案内」で使っている画像⑥『正藍 竺仙』と書かれた表紙のついている藍染布の見本帖、詳細不明ながら、やはり比較的古い浴衣生地の見本帖とがあり、画像に写していないものとして 中村重蔵の氏名印と落款 (落款は②の表紙に押されているのと同じ)がある『我国織染起原』25枚など手書原稿数種、⑨写真や新聞記事等スクラップブック数冊、などが含まれています。ちなみに⑥の「竺仙」というのは天保13年間創業、江戸染浴衣・江戸小紋の老舗として高名な呉服店屋さんの名前で、「正藍」は化学的薬品を使わず自然発酵させた藍によって染めたもののことです。
さて、この資料、一体どういった経緯で集められたものなのか?というと、それについてもちゃんと書かれておりまして、『時代形明細控』の扉の記述をほとんどそのまま次に引き写しますと ―― 「古代形蒐集に就て 蒐集の始めは明治40年の頃より大正十二年迄 相当数を集めしも大正十二年大震災に會ひ全部焼失 同十三年より再度蒐集今日に及ぶ 形に年号彫刻人商人の記入 記入なき形は模様、彫刻道具等又は糸入糸かけ技実の進化を調べん為と共に時代を調ぶるに●老ならんかと種類を揃へたるものなり」(●=1文字判読不能) …… 云々とあり、続けて「昭和33年3月文月記録ス 中村重蔵」とあります。つまり、これらを蒐集し整理し記録を残したのは中村重蔵という人。
ここまで来るといよいよ中村重蔵とは何者ゾ、ということになるわけですが、重蔵さんのお名前と「染」の一文字とで検索をして出てきたのが文化庁が運営するポータルサイト「文化遺産オンライン」のこちらのページ → 東京芸術大学の収蔵品に「中村重蔵氏(1888-1964)が蒐集,中重コレクションとして知られてきたものの一部」として型紙が収蔵されていることが分かりました。どうやら手元の資料と芸大の収蔵品とで同じ文様のものも少なくとも数点はあるようで、今回のこの資料、かなりのレベルのコレクションではないかと慌て始めた土曜日の未明であります。ああ。もう充分時遅し……。
■これらの新着品、実は競争相手とたった10円の差で、下札(=入札した価格の中でも最安値)で落札できたという奇跡のようにして入手が叶ったものでありまして、いやはやこれでスランプ脱出!日月堂店主の気分もサクラサク!!!--------ように思えたのもわずかに一瞬、出所を同じくする木版の図案集のことごとくを300円から1,000円内外の僅差で負けて負けて負け続け、さらに、これぞ本番というべき肝心の型紙、古い型紙文様見本帖の山に至っては、何とか相手の札を突き上げはしたものの上札を見ればほぼダブルスコアで届かないというそれはもうこれ以上ないくらい超チョー情けない結果に終わりました。
サクラサク。どころか咲く前に散る。花に嵐の例えそのままに、日月堂の3月が過ぎていこうとしています。スランプの闇は深く、消費税のハードルは高い………うぅ。
あ。辛うじて落札した縞帖は来週入荷いたします。

inquiry 新着品案内 / new arrival に関するお問い合わせ

お名前 *
e-mail address *
お電話番号 *
お問い合わせ 件名
お問い合わせ 内容 *
  * は必須項目です)

recent