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14/02/08 ディアギレフのバレエ・リュスに関する2題


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「牧神」に扮したニジンスキーのフランスの新聞切り抜きは、このペラの間に挟まれていたもの。旧蔵者が一体どういう人物だったのか、ますます気になる痕跡のひとつ。

■店を休んだ土曜日、雪が周囲の風景を一変させるのを窓外に認めながら一日を自宅で過ごしました。即売会の準備で年末年始を追われるように過ごした身には、思いがけなくやってきた休暇となりました。
がしかし、何度も云うようですが動きを止めると途端に呼吸が止まるマグロ同様、そうそう止まってばかりいるわけにもいきません。よく働く。それだけが取り柄の小店であります。とりあえず今週の新着品です。
あ。明日は旗日ですが、店は通常営業いたします。土曜日の雪のようなことがない限り、当面、店は火・木・土曜日で営業いたします。よく働く? 週3日???

市場で。フランスの演劇専門雑誌の合本の表紙を開いたすぐの見開きのところに挟まっていたのがこの紙ペラ。『NEUVIEME SAISON RUSSE (MAI-JUIN 1914)avec le la Troupe de BALLETS RUSSES de M. SERGE DE DIAGHILEW』と題されたバレエ・リュス - 「ディアギレフのバレエ・リュス」 - の前売り案内です。いまからちょうど100年前、1914年の春の第9シーズンに向け、チケット前売りにための公演案内、料金などを掲載したもので、このペラ1枚のために雑誌の合本を落札してしまったという代物。
二つに折った状態がA4の天地を少し縮めたサイズ。中面と併せ4面となる簡易な印刷物で、両面ともスミと赤の2色を使って印刷されてはいるものの、図版はなく文字のみ。ですが、前売り開始の日時、場所、そしてとくに、前売り料金がこまかく記載されているのは貴重ではないかと思います。
このペラによると、最も高価なのがバルコニー席で、4演目を見ようとすると席料50フランに4演目分の観覧料200フランを合わせた250フラン。次いで高いのが1階の椅子席で、4演目観覧の場合、合計200フラン、2演目または3演目で160フラン。最も安価な6階ボックス席で110フランまたは85フランとなることが分かります。


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この当時の1フランが一体何円にあたるのか?というのが気になってくるわけですが、困ったことにこれがよく分からない。とりあえず、1929年、パリで「日本館」を建設するために薩摩治郎八が出資した350万フランが現在の約10億円とされていることを根拠に、ざっくりと1フラン=300円と仮定すると、最も高額なバルコニー席が75,000円または60,000円、最も低額な6階の席でも33,000円か25,500円という試算となります。相当高かったと聞いてはいましたが、それにしてもやっぱり高い! タイムマシンで過去に遡れるとしたら、パリでバレエ・リュスを見るんだなんて気楽なことを考えていましたが、貧窮には事欠かないワタクシである限り、そんな夢想も見事、この紙つぶてによって粉砕されたという次第です。
尚、1914年、パリ・オペラ座で開催されたこの第9シーズンでは、9つのプログラムの上演が予告されていますが、いずれもフォーキンが振り付けた「ヨセフ物語」「金鶏」「ナイチンゲール」「ミダス」の4演目の初演を見ることになります。

■1914年、パリ公演の後、このプログラムはロンドンのドルリー・レーン劇場でも上演されます。この時の公演に少なくとも8回は足を運んだと見られる日本人が、当時、ロンドン大学に留学していた大田黒元雄であり、その大田黒が帰国後の大正6(1917)年、前の年に自ら設立した「音楽と文学社」から発行したのが『露西亜舞踊』というこの本です。クラシック音楽の素養もまだまだ地に着いていなかった極東の国で、ほとんど私家版に近いかたちで発行されたこの1冊の本は、「世界的にみても、これは最も早い時期に出版されたバレエ・リュス文献のひとつ」(『ディアギレフのバレエ・リュス展』P333 沼辺信一「ニジンスキーを見た日本人たち」)となっています。
大田黒には『露西亜舞踊』という同じタイトルの著書が、大正15年・第一書房から限定750で発行されていますが、限定750部の第一書房版に比べても、見かけることがずっと少ないのが当書。小店でも入荷はかれこれ10年ぶりになるでしょうか、バレエ・リュスをめぐる稀少かつ貴重な文献です。

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