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13/12/14 年内の営業のお知らせと、大正時代・余技のもたらした豊かで愉快な実り2点


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■この週末は寒気が居座るとのことで、いよいよ冬も本番です。とともに、年内の小店営業日も数えるほどとなりました。
来週17日(火)は洋書会歳末市のため、開店時間が大幅に遅れるか、臨時休業とさせていただく可能性があります。反対に、16日(月)と18日(水)については、時間帯によっては店を開ける可能性も。このため、来週16日(月)から18日(水)にご来店をお考えのお客様には、電話03-3400-0327またはご存知の方は佐藤の携帯までご一報いただき、事前に在席状況をご確認の上、ご来店いただけますようお願い申し上げます。その後、19日(木)、21日(土)、24日(火)、26日(木)、28日(土)の各日12時から20時で営業し、年内の営業を終了いたします。
気がつけば残すところ片手の指を折る程度の営業日となりましたが、お買い忘れと後悔のない越年のために(?)、みなさまのご来店を心よりお待ちいたしております!
今週の新着品1点目は、桐の木材の表紙・裏表紙の間に、つづら折りにした耳付き和紙を収めたちょっと風変わりな書物です。
紀元5世紀、度重なる異民族の侵攻からパリの街を救ったとされるサン・ジュヌヴィエーヴの名前を冠したポール・クローデルの仏文詩に、富田渓仙の多色木版刷挿画を添えた『SAINTE GENEVIEVE』。1923(大正12)年、CHINCHOCHA=新潮社が発行した限定1,000部本。挿画の木版の彫は、達人として知られていた伊上凡骨がこれを手がけています。
著者のポール・クローデルはロダンの愛人で悲劇的な人生を送った美貌の女流彫刻家カミーユ・クローデルの弟で、優秀な外交官にして文筆の世界でも活躍。当書は1921(大正10)年から 1927(昭和2)年までに及んだポール・クローデルの駐日フランス大使時代に出版されています。一時ジャポニスムに傾倒していたことのある姉のクローデルの影響で、日本に好意をもっていたとされるポールは、公務の傍ら日本文化に関わる活動にも積極的に取り組み、また、歌舞伎役者や日本画家と親しく交際。とくに富田渓仙とは親しかったようで、ポール・クローデルの文学作品に富田の挿画を添え、日本の出版社が発行した詩画集は、この『SAINTE GENEVIEVE(サン・ジュヌヴィエーヴ)』を含め4作を数えます。


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『SAINTE GENEVIEVE』はつづら折りの経本仕立て・片面34面の本文側に木版画16図を挿入。富田の描いた聖ジュヌヴィエーヴの挿画は、尼僧のまとう長衣のフォルムによってその感情を表したもので、深い青から灰青までの濃淡という限られた色使いと相俟って、非常にモダンな印象を与えるものになっています。表紙側裏4面には一転、堀の水面から立ち上がる傾斜地の松と、城の存在を思わせる石組というとても日本的なモチーフの挿画がつづら折り4面を使って大胆に配されています。
日仏文化の交流の上に生まれた精華・『SAINTE GENEVIEVE』は、とても好もしく思う書物のひとつですが、小店での扱いはこれでやっと2度目。発行から今年でちょうど90年、1,000部発行されたはずのこの本は、さていまどれだけの数が、生き長らえているのでしょうか。
■「むむむ。これは一体何なんだ。がしかし楽しそうだしええっーい買ってしまえ~~~」- 疲労でヘロヘロになっている時というのは何故か気分だけはハイになっていたりして、今週の2点目はそんな勢いだけで買ってしまった『膝叩倶楽部記事』。先ずこの倶楽部名がふるってるじゃないかというわけです。
創立委員4名、参加会員11名から成る膝叩倶楽部は、どうやら現在の山形県酒田市の旦那衆による謡曲の同好会であるらしく、第一回が二月に始まった大正13(1924)年の同好会開催概要 を記録したもの。どこで、誰が、どんな曲を謡ったかといったことに終始するような事務的な記録と異なり、その日の出来事を綴る軽妙な筆は、会に横溢する楽しげな空気を描いていてなかなか愉快。
かてて加えてご覧のように、ふんだんに綴じ込まれた絵がこれまたとてもユーモラスで、絵画の部(?)担当者もここに居並ぶ旦那仲間の内の一人、つまりは素人の手になるものと思われますが、その達者な情景描写は見ていて飽きることがありません。
思えばポール・クローデルの文筆業も余技ならダンナの謡も絵もまた余技。豊かで自由な大正に似つかわしい時代の痕跡と云えそうです。
日本の近代史上、最も悪名高い法制度の一つ、治安維持法が制定されたのは1925年のことでした。
棚には久しぶりに白っぽい「読むための本」も入りました(左上の小さな画像の中、面陳列しているのがそれ)。年内、仕舞の市が開かれる27日まで、ヨレヨレになっても頑張る所存の12月であります。

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