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13/10/19 男児の帯に描かれた夢 / ハーモニカ楽譜に踊る尖端デザインと世相


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■も、申し訳ございません…。月曜日に更新します、なんて断言までしておきながら、結局一回休むことになってしまったのは、臥せっていたとかいうことではなく、ネタにつまったというわけでもなく、単に店主がひよっただけのことで、何とも面目ない次第です。しかし、根性なしにますます拍車がかかってきた昨今、この際正直に自己申告するのが人としての正道というものでありましょう(って大袈裟ですが)、その正道に則ってついでに申し上げておきますと、松屋銀座での即売会(来年1月下旬開催)の目録原稿締め切りまでちょうど ひと月を迎えてしまった本日より、この先しばらくの間、目録作成作業を優先するため、HPの更新については不定期となる可能性があります。大体、営業が週3日なんてフザケた店であるのに加え、HPの更新も不定期となれば、ただもう闇雲に行きあたりばったりとしかいえなくなるわけですが、みなさまの広いお心をもってお赦し下さいますよう、お願い申し上げる次第です。どうかご海容賜りますよう、何卒よろしくお願いいたします。

先週から今週にかけて、市場で落札できた品物のなかでもっとも高かったのがこの帯。幅60cm、長さ3m20cmの男児用。もちろんアンティークと呼べるもの。
念のため申し添えておきますと、市場というのは古道具などの市場ではなく、あくまで古書・古本の市場です。ちなみに、一番安く落札できたのは、さまざまな業種の広告用の文案、つまりコピーをまとめた書籍など戦前の「本」9冊を一口にまとめたもの。つまり、本が一番安かったと。ううむ。自分が一体何屋なのか、何の市場に居るのだか分からなくなるのも無理ないか。いやいや、それじゃダメなんですが今日のところはおいといて。
何で帯なんていうものまで買ってしまったのかと云えばご覧の通り云うまでもなく(なんて云いながら結局云う)、理由はこの図案にあるわけで、旭日旗と軍艦、遠くから飛来する戦闘機の群れといった戦時色に加えて、先ごろ世界遺産に登録された富士山ももちん悪くありませんが、しかし何と云っても重要なのは「AZIA GO」。満鉄(南満洲鉄道)が、当時、日本の植民地だった大連・ハルビン間で、1934(昭和9)年から1943(昭和18)年まで運行していた「あじあ号」が描かれていることにあります。
日本の鉄道省の当時の最速記録を破る走行スピードと、流線型の外観、全車両に冷房装置を備え、優れたデザインと居住性を兼ね備えた車内のしつらえなどとが相俟って、完成当初から「あじあ号」は高い人気を誇ったと云います。
もともと乗り物は男児の好むところであるのに加え、植民地という新天地での成功、勇ましい帝国軍人として活躍など、この帯の図案には、当時の日本男子のあるべき姿或いは夢が込められていたのに違いありません。


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このページで紹介するものは高いものばかりだと思われる方もいらっしゃるようですが、今回入荷した楽譜はデザインと状態により1点300円から、中心価格は500円で高いものでも1,500円まで。少額で楽しめるのも紙モノのよさのひとつです。

何かを踏み台にして成立する夢 - そんなものの描かれたものを、よりによって子どもの身にまとわせる時代など、どうか二度と来ませんように - そう願わずにはいられない昨今ではあります。

■ずいぶん久しぶりに、楽譜を落札しました。厚さにして6cmほどですが、全て数字と記号とに置きかえられたハーモニカ用の楽譜。従って、いまの時代、この楽譜でハーモニカが吹ける人はごく僅かな方々だと思います。小店が落札したのも、お求めいただけるとすればその理由も、つまりは楽譜としての用途より、表紙のデザインがポイントとなる商品です。
今回入荷したのは大正末期から昭和の初めにかけて、白眉出版社、シンフォニー楽譜出版社、ビクター出版社などが発行したもの。この当時、恩地孝四郎や、とくに竹久夢二は多くの、楽譜の表紙デザインを手掛けています。今回は、あいにくそこまでの大御所の作品はありませんが、やはり多くの楽譜にその仕事を残した斎藤佳三によるものはちらほら。画像中では、構成主義っぽいと云えなくもないかな、といった感じの「摩天楼」と「緊縮小唄」が斎藤の手によるものです。
アメリカのデフォルトがギリギリのところで回避されたものの、問題が先送りされただけだと云われるいま現在、どうにも気になるのが昭和恐慌まっただ中にあった昭和4年発行の「緊縮小唄」です西條八十作詞・中山晋平作曲というゴールデン・コンビによる「緊縮小唄」は、「咲いた花でも、しぼまにやならぬ、ソヂヤナイカ、ここが財布の ソウヨ、ダンゼン、あけた財布の締めどころ。時世時節ぢや、手をとつて、ハ、緊縮しようよ、緊縮しよ。」と厳しい経済を小粋に(!?)歌い飛ばしてます。ううむ。ほんまかいな。と思いつつも、「かはいそうだよ、日本の子供。ソヂヤナイカ、オギヤと生まれて、ソウヨ、ダンゼン、七十五両の借がある。時世時節ぢや(以下同じ)」なんていう歌詞に出てこられると、この国に籍があるというだけで、どうやら約792万円の借金を抱えていることになる国民のひとりとしては、笑ってばかりもいられません。
ま、堅苦しいことはさて措いて、カッサンドル風の「みなと」、図版の大胆な簡略化とタイトルとのマッチングに脱帽の「小坊主」、マティスのダンスが下敷かと勘繰りたくなる「オリエンタル・ダンス」など、画像でもお分かりいただけるように、作家名のあるなしに関係なく、この当時、日本の都市に横溢していた空気を伝えてくれる楽譜の表紙は、とても面白いこと請け合いです。

今週はこの他、1930年代ドイツを中心とした洋雑誌が高さにして70cmくらい、商業美術全集の意匠を思わせる『現代図案集成』プレート50枚一括、現物貼込・著者署名入り『紙衣』限定110部本柄染絹布見本帖『四季模様』などが明日、店に入る他、サイレント時代の映画スターのブマイド(バラ売り1点200円から500円 及び ファイル一括売り数万まで)、戦前・戦後の広告マッチラベル貼込帖6冊などが明日より店頭に並びます。

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