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13/09/21 グラビア雑誌も豆本も - プロパガンダ! プロパガンダ!! プロパガンダ!!!


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■急遽出掛けることにした先週土曜日の五反田の市場。お陰さまで出なおした甲斐あって、久しぶりの大量入荷となりました。一番の大物はもう少し目を通す必要があり来週にまわすとして、先ずは、うなるほど出品されていた雑誌のコレクションから狙って落札した『JAPAN IN PICTURES』8冊にご登場願いましょう。
『JAPAN IN PICTURES』は『アサヒグラフ』の英語版いわゆる対外広報=プパガンダの役割を果たす目的で発行された月刊誌です。『アサヒグラフ』と比べて市場に出る頻度も格段に低いのは、対外広報誌-国外で流通したメディアの宿命といってよいかと思います。
今回入荷したのは1936(昭和11)年発行分の内の2冊、1938(昭和13)年発行分の内の6冊。1936年といえば国内では二・二六事件、海外ではベルリン・オリンピックが開催され、同時に次のオリンピック開催都市として東京が選出された年であり、1938年はナチス・ドイツによるオーストリア併合、国内では国家総動員法が施行され、東京オリンピックの開催を返上した年。この時期に、よりによって小店に入荷するとは、何やらちょっと因縁めいていますが、それはさて措き。
同じ時期の国内向けのグラビア雑誌が軒並み戦時色一色へ様変わりしていくなか、『JAPAN IN PICTURES』の方はといえば軍事はもとより政治や経済などは時々顔をのぞかせる程度。日本文化の紹介と、そうした文化や留学生を介した友好的海外交流の様子が主。なかには銀座の大規模カフェーやレビューの紹介、「TENUGUI」なんていう記事まであって、同時期の本誌『アサヒグラフ』と比べても、おそろしく牧歌的な内容に終始しています。日本はこの当時、とくに日中戦争をめぐって国際的な批判にさらされており、これを懐柔し或いは糊塗するために採られたのが、こうしたソフト路線だったといわれます。
表向きに演出された顔と、実態との乖離 - こうしたものを日々扱っていると、勢い、表側の顔に対して懐疑的になろうかというものでして、がしかし、それもあながち誤りではないんじゃないかと、最近の諸情勢を見ながらそう思います。
尚、紀元2600年=1940年にオリンピックと並んで東京・月島で開催される予定だったのがやはり中止に追い込まれた万国博覧会や、日本が誇るアジア号を外国人にも是非利用してもらいたかった満鉄(2点とも左の画像に採りました)など、広告にも一見の価値あるものが多数含まれています。


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プロパガンダついでに2点目はドイツから。画像中、大きい方の表紙と見開きは『GERMANY. THE OLYMPIC YEAR 1936』でオリンピック開催の1936年にドイツで発行された英文のビジュアル・ブック。オリンピックを契機にドイツの国土と国民、国力をアピールしようというもので、右の画像にとったメインスタジアム他オリンピック関連の最新施設はもちろん、新設の道路や橋、ドイツの誇る飛行船ツェッペリン号、ドイツ各地の観光名所、額に汗する労働者、明るい少年少女、円満な家庭、そして、総統と、当時のドイツのご自慢を網羅した格好となっています。
その本の上に並べたのがナチス豆本の通称をもつ『Der Fuhrer』のシリーズ1937年から1938年にかけて刊行されたミニチュアサイズの書籍です。
タイトルにある通り、ヒトラーの生い立ちから功績、著名な演説や活動などを選び、主にビジュアルを使って豆本に仕立てたもので、戦場でもポケットに入れて携行できるように作られたものだと聞きます。戦場の最前線にまでもっていけとはもはやヒトラーは神、ナチスは宗教。もっともその点では、「神国思想」を徹底された当時の日本はさらにその上をいっていたわけですが。
とこで以前一度入荷した際に詳しくご紹介した『ヨクサンマメグラフ1. シンガポール・カンラク』が再入荷。シンガポール陥落は1942(昭和17)年のことなので、もちろんナチス豆本を手本にして作られたものですが、しかしこうして並べてみるとサイズから裏表紙の要素とレイアウトまで実にそっくり。
第二次世界大戦の同盟国だったドイツと日本ですが、戦後70年近くとなったいま、戦争の反省の上に立った国家のありようという点で、いつのまにか大きく水をあけられてしまった気がしてなりません。
■今週はこの他、その表紙のデザインはアメリカン・アール・デコの最高峰のひとつ -後日、ここでご紹介します! - 1930年代創刊初期から1940年代発行の雑誌『FORTUNE』が合本を含め私の腰の高さまでの量が一挙に入荷。白井晟一の書・建築関係の書籍2冊、久しぶりに入ったSD選書等建築関係書約20冊、店主最初の職場がらみで『ビックリハウス』約80冊と『ゴメス』約10冊等グラフィック・デザイン関係書籍10冊、戦後に継続していたとは知らなかった『プレスアルト』1954年発行分1冊デザイン批評家旧蔵のスナップ写真 - デザイン関係賞審査・受賞式やサイン、街並みなど - ダンボール1箱…などが入荷し手がつけられないものだから布をかけて見なかったことにしてます。へたをするとずっとそのままになるんじゃないかと悪い予感もしておりますので、ご覧になりたいお品物のお心当たりなどございましたら店主までどしどしお申し出で下さい。みなさま是非我儘放題お申し付け下さいますよう、何卒よろしくお願いいたします。
ベルリン・オリンピックとプロパガンダをめぐって入荷のあった今週、フェイスブックを見ながら原発の問題と開催が決まった東京オリンピックのことを考えていました。
原子力規制委員会の資料より → http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/contents/8000/7917/24/194_0731.pdf
ウォール・ストリート・ジャーナルより→ http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324481004579080492186382408.html
ロイターより → http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE98I01Y20130919?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0
目先の経済の若干の伸び、オリンピック効果による短期的な活況は、実際、小商いの小店のようなものにとって、何よりも有難いことです。というか、それを歓迎しない人なんて、一体どこにいるのか聞きたいくらいです。
でも、それをぐっと我慢してでも、解決しなければならない問題がある。それはいまも続いています。原子力規制委員会のデータに現れたの数値が、いますぐ人体にどんな影響を与えるのかということはいったん棚上げにしたとしても、それでも尚、解決しなければならない問題がある。上の数値は、そのことを明らかにしています。
オリンピックと原発とは別問題だという人も多いようですが、海外の多くの人がそうは見ていないことは、オリンピック招致の際の海外メディアの質問がそれに集中していること、そしていまも、フクシマの問題に国内のメディアよりむしろ海外のメディアの方が注視と分析を怠らず続けていることからも明らかです。オリンピックと原発は別問題だとする見方は、この島国の内側だけでしか通用しないのだということにそろそろ気付かないと、いくら英語ができるようになったとしても、グローバル化への道はあまりに遠いんじゃないかと思う今週でした…。

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