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13/07/27 日月堂、原点に還る ; バレエ・リュスの写真集とマルセル・カルネの直筆書簡


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タマラ・カルサヴィナ、アドルフ・ボルムが最も多く、ニジンスキーは「薔薇の精」と「シェエラザード」の2点。どの写真も引用されることが多いバレエ・リュスに関するマスターピースのひとつ。

■東京都庭園美術館で、『舞台芸術の世界-ディアギレフのロシアバレエと舞台デザイン』がスタートしたのは2007年7月26日、奇しくも6年前のちょうど今日のことでした。
ディアギレフのバレエ・リュス-「古書」と云いながら実際には「古本」がメインだった小店が、実態としての「古書」店へと、軸足を移すことになった大きなきっかけのひとつになったのがバレエ・リュスだっただけに、見落とすわけにはいかない展覧会でした。
ようやく出掛けられたのは店が夏休みに入った暑いさなかのこと。館内の空調のお陰でようやく汗もひきはじめた頃、吹き抜けに設けられた階段をのぼりきったあたりの壁一面に、バレエ・リュス草創期を華やかに彩ったバレエダンサーたちの肖像写真が飾られているのを見た途端、再び汗が滴ってきたことを思い出します。
どうして汗が流れ出したのかと云えば、忘れもしないその半年ほど前、市場で落札できず「しまった!不覚であった! 何やってんだか!」と後悔しきりだったある写真集が、いま、美術館で、自分の目の前に飾られているそれに違いなかったためであり、落札できなかったのは誠にもって痛恨事以外の何ものでもないとダメ押しのように思い知らされたからでした。しかも、その写真が全てとても洗練されていたとくれば後悔は尚更です。
以来6年、今日まで忘れられずにきた『Studies from the Russian Ballet』が、明日より店頭でご紹介する新着品の1点目。20世紀初頭の写真家を代表するひとり、エミール・オットー・ホッペ(E.O. Hoppé)によるバレエ・リュスの写真集です。
エンボス押ししたタイトルを上貼りした上製ポートフォリオに、写真の階調も美しく、奥行き感もリアルに再現したコロタイプ印刷の写真印刷図版を台紙に貼り込んだリーフ15葉を収用。他に扉にあたるページ1葉を附した全16葉。写真リーフ15点のリストはポートフォリオの中面に貼り付けられています。発行は、ディアギレフのバレエ・リュスが活動を始めたごく初期より、パリと並ぶ主要な公演地となっていたロンドンのThe Fine Art Society。無刊期ですが、『舞台芸術の世界』の図録や、海外のサイトで公開されている書誌などを総合すると、発行は1913年と見られます。
1913年といえばニジンスキーがロモラと結婚した年であり、それによってディアギレフに解雇された年。バレエ・リュス解雇の後、暗転した運命から抜け出すことのないまま生涯を終えることになったニジンスキーを思えば、ここに収められたニジンスキーは、世界的な写真家がとらえた一瞬の光と云えるのかもしれません。
写真技術の問題により、舞台の上で躍動するダンサーの姿を印画紙の上に定着することのできなかった当時のこと。『Studies from the Russian Ballet』は、ディアギレフのバレエ・リュス草創期、ダンサーの身体や表情、衣裳やポーズなどをいまに伝える貴重な写真資料であるとともに、たいへん洗練されたホッペの作品集となっています。


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ディアギレフの死去によりバレエ・リュスが解散したのが1929年。その同じ年に、撮影助手として映画界入りを果たしたのが、後に「天井桟敷の人々」を監督することになるマルセル・カルネです。そのマルセル・カルネの直筆書簡が今週の2点目。
1952年2月11日の日付のある封筒に、その前日、便箋1枚の裏表を使って書かれた手紙が収められた1通。宛名は「M. Koichi Hata」となっていて、戦前、松竹キネマに在席、同社の企画部長、東京日日新聞や国民新聞学芸部長などを歴任、戯曲や演劇批評、大衆小説などの執筆でも活躍した畑耕一のことと思われます
手紙の内容は日本語に翻訳しておよそ480字。畑耕一からの手紙 - カルネの映画に関する好意的な感想または批評と推測されます - に対する返信で、「何千キロも隔てながら、このように意見の交換ができるのは嬉しいことです。」という文言も。マルセル・カルネも畑も、ともに自宅の住所を記してのやりとりと見られ、世界的映画監督にしてこれですから、個人情報が云々される現在から見ると文字通り隔世の感があります。
何千キロ、何万キロ離れていようが、環境さえ整っていれば瞬時に意見の交換ができる今日はまた、指呼の距離にあってさえ情報機器の介在によって会話する時代です。いまでは迂遠としか見えない書簡というツールを使って成立する人の関係と、この現状と、どちらに軍配を上げるのかはケース・バイ・ケースであり、その人の価値観次第ではありますが、ひとつだけ、将来古本屋が扱えるモノが減ることだけは確実な情勢と云えましょうか……。

■今週になって入荷したタバコパッケージの山やマッチ箱はいったんバックヤードに入れ、店主はいまのところ見ないふりをしてやり過ごしてます。がしかしまだ店内に積み残した洋古書の本口約160冊分や現代美術関係の図録・冊子類3本など手つかずだし、明日にはちょっとポップな外国絵葉書が店に入り、来週木曜日になると今度はリキテンシュタインのリトグラフのポスターやらシュルレアリスム関係参考図書などが店に入るし、当面息つく間もない作業の日々となりそうです。こんな季節に何故に日月堂はこうも暑苦しいんだか …… 。

最近んだもののなかで、もっとも多くの示唆と納得とを得られたのが朝日新聞の「オピニオン」欄に掲載された内田樹による参院選の総括でした。執筆者自身のサイトにも転載されていますので、ご興味のある方はご一読をお勧めします。「内田樹の研究室」より「「2013.07.23 参院選の総括」はこちら→http://blog.tatsuru.com/


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