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13/07/13 タナバタからの2点 ; ポール・ジャクレーの木版画「サイコロ」と柳宗悦推挽の『葛布帖』


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■一週お休みをいただいている内に梅雨が明け、と同時に猛暑到来、一方、あれよあれよという間に「明治古典会 七夕古書大入札会」が始まりそして終わっていました。
その「七夕大入札会」、お客さまからご依頼いただいた分については、ご希望優先順位の高いもからどうにか確保、ギリギリ面目を保てた、と思いたいのですが、手張りで臨んだ分の結果はというと散々なもので、所有へのストレートな情熱を持つお客さまに、あわよくば利益の出る値段で落札したいといったスケベ心を持つ業者なんぞ、到底かないっこないもんね、ということを改めて思い知らされた次第であります。
乏しい成果なれど、しかし成果は成果。というわけで、今週はそんなタナバタからの新着品です。

こちらはポール・ジャクレーというフランス人の創作した木版画より、中国シリーズの内の1点、「サイコロ」の1面1941年、前田謙太郎を彫師に、内川又四郎を摺師として日本で制作された作品で、裏面には「百五拾枚絶版 第三拾四号」と限定部数ならびに記番も認められます。
ポール・ジャクレーは1896年、パリで生まれました。父親がいわゆるお雇い外国人として東京外語大学でフランス語を教えるのに伴い4歳の時に来日。10代の初めの頃から日本画を学んだ後、大学ソルボンヌで過ごすために一時帰国するも、卒業後再来日。1931年頃からは、以前から強く惹きつけられていた浮世絵と同じ手法によって木版画を制作するようになったと云われます。
最初に目を奪われるのはポップアートや横尾忠則のポスターなどを思わせる大胆な色使い。床の朱、背景の黄に、胞衣の深い黒と、胞衣裏側からわずかにのぞく青がとても強い画面を構成する要素となっています。単なる黒ベタに見える帽子の部分には、二人それぞれ異なる模様が下彫されていること、二人の間にはたったいま振られたサイコロが、ものすごん小さなサイズで描かれていること、などは到底、画像ではお伝えできないところでしょう。グラデーションで描かれたうなじ、繊細な線で描かれたまつ毛やまゆ毛も含め、見事といってよい作品です。また、鉛筆で書き込まれた欧文の署名の下には、「若禮」と漢字を宛てた号と小鳥を図案化した落款があって、この辺りは何とも愛らしく …… などなど、こうした表現と技術が一体となった作品は、いくらデジタル化が進展しようが、やはり現物でご覧いただくのが一番というものです。




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ジャクレーの作品には、正直、非常に俗っぽく感じられるものが多いのは確か。今年のタナバタでは、珍しく、すっきりとして大胆な構図・色使いの作品が他にも数点出ていたのに落札ならず。1点だけの落札というのは売りにくくなるため、真面目なお話、是非とも避けたいところでした。ところがこうして手元に来たのをみると、これなら1点だけでも落手できてよかったと思える作品でした。それだけに余計、ポール・ジャクレーのすっきり系良品については - 日仏関係という小店のテーマのひとつからしても - 捲土重来を期したいと思います。

■外函に傷み、表紙の本文和紙に少虫喰いがあるのが惜しまれますが、昭和13年に限定150部日本民芸協会から発行された『葛布帖』は「新作葛布百四種」の現物を貼り込んだ、これまた画像だけでは全然意味をなさない本。
著者はいったんは廃れていた葛布の染色から織まで、“仕事を再び昔に呼び戻した”(柳宗悦 跋文より)外村吉之介で、現物104種は全て著者によるもの染めには芹澤銈介が協力しています。
小店で、「襖紙見本帖」をご覧になったことがある方もいらっしゃると思いますが、経方向に繊維を入れた不思議な紙が使われています。見る度に、これは一体何なのだろうと不思議に思っていたのですが、この本の「葛布の用途」を読んでいて長年の謎が漸く氷解しました。古くから衣類として使われた他に、蚊帳、暖簾、座布団に使われ、“明治初期頃襖地の用途がひらけ壁紙にも拡まった”と。つまりあの襖紙たちは、目の至って粗い無地の葛布の上から、型染めの手法で図案を配した、紙というよりむしろ布地に近いものだったんですね。
民芸運動に関係した限定本と1冊数千円の襖紙。明日には早速店で比べて見てみたいと思います。

今週はこの他、大正6年発行『むかし渡更紗』3冊揃戦前の映画週報(浅草・富士館他)約70冊、地方誌関係小冊子数十冊、小津安二郎宛・戸板康二献呈署名本 などが明日、店に入ります。あ。大量のマッチ箱-但し戦後-も来週からはパッケージ商品化の予定。あくまで予定。どこまでも予定……。




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