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13/05/18 和菓子と武将 に見る日本の意匠 -『花も美ぢ』と『尚古鎧色一覧』はどちらも木版多色刷


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左上、紺色のタトウから、その下、西陣織の表紙が現れます。横に長いレイアウト。


■今週はまずお知らせからです。5月21日(火)は東京洋書会が年に一度開催する大市会となります。このため、来週21日(火)は休業とし、22日(水)、23日(木)、25(土)の3日、それぞれ12時から20時までの営業とさせていただきます。
また、来週から再来週にかけて、市場への出品を予定しているため、店内は雑然とした状況が続いておりますが、出品作業中の品物や代わって棚入れする予定のものなど、お目に留まるものについては随時ご相談可能です。
日程等、ご面倒をおかけいたしますが、この機会にご来店いただければ幸いです。何卒よろしくお願いいたします。

今週の新着品は久々の和モノ2点です。
先ずは愛らしい和菓子の意匠=デザインを多色刷の木版画で表現した『花も美ぢ』。昭和29(1954)年に株式会社製菓実験社から限定500部が発行されました。
奥付には、木版画の彫刻匠と摺匠の氏名、使われている手漉奉書紙、本柾用紙の製紙会社名、表紙に使われている西陣織の織師の氏名まで記載。出版社渾身の刊行物だったことをうかがわせます。
菓子の意匠は片面刷の全71ページで、各ページ最低でも3種、多いもので9種のデザインが描かれており、少なく見積もっても220点を超える和菓子のデザインが全て木版多色刷で収められています。和菓子の意匠としては、全体に伝統にのっとったものが多いように見受けられますが、いまとなってみればそれがまた新鮮。いま時、これだけの上生菓子・棹菓子を一堂に見られる機会というのは、例えばデパ地下に出掛けてみたとしても難しいのではないでしょうか。
それぞれの対向ページには、用途と銘並びに意匠名と製法が記されているのですが、こちらのページにも単色ながら木版図案が刷り込まれているという贅の凝らしよう。この本、発売時点の定価も相当高かっただろうとは思いましたが、しかしそれにしても、ついた定価が「九千円」とは! - 昭和29年の初任給を調べてみると、大卒で銀行員で5,600円というのですから、これを現在に置き換えるとおよそ30万。ちょっと驚くような定価です。
終戦から9年、この年の出来事を見ると、50銭以下の小銭廃止、テレビ受信契約が1万台突破、電気洗濯機が急速に普及するなど、この2年後、「もはや戦後ではない」という言葉とともにやって来ることになる高度経済成長開始を目前に控え、すでに勢いづき始めていた時代の空気を映したものでしょうか。



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木版図案集では定評のある京都・芸艸堂の発行。木版で刷られた色味は、画像で見るよりふくらみを感じさせてくれるはず。

つい最近、といっても前世紀のことになりますが、バブル時代にはこれ以上の価格のついた豪華本・特装本あるいは限定本が、それこそヤマのように出版されました。そのことごとくが定価を大きく割り込んで価格の暴落を見ているなか、しかしこの1冊は無事(?)定価超えでのお取引きとなります。30万超え? いえいえ 9,000円超え、ですのでご安心下さい。

■このしゃれた色の組み合わせは、本間源百里編、「美術図書発售所 京都市寺町二條南 合名会社芸艸堂」による多色木版刷『尚古鎧色一覧』上下巻2冊揃より。
『尚古鎧色一覧』は、小札(こざね)と呼ばれる鉄片を綴じ連ねる時の革や綾紐の構成 =「縅(または「威」、ともに「おどし」)」の色目を紹介したもので、当書上下巻2冊で262パターンを所収。基本的に色をどう使うか、ということの他にそれほど大きな変化はないわけですが、しかし色だけでこんなに違いが現れるとは…見ていて飽きることがないばかりか、見れば見るほど面白い。
戦場で着用することを思うと無駄におしゃれ。がしかし、戦場だからこそ必要なのか。いずれにしても、おしゃれ とか 伊達 だとかいものは、元来、富と権力とともにあること、間違いありません。この2冊を見ていると、「新宿伊勢丹メンズ館3F」が思い浮かぶことしきりです。

今週はこの他、戦前の音楽会関係のペラもの1袋(約10点)、南画廊で開催された「杉本博」展パンフレット、フランスの芸術専門誌『art vivant』1969年創刊号より9冊戦前写真・デザイン関係洋雑誌8冊配色サンプル・色見本等5点、そして久しぶりに戦前の雑本ばかり20本(!)- などが今週、明日までの間に入荷いたします。しかしまたなぜに、よりによってこんな時にこんなに買っているんだか。市場に出す方が先だったはずなのに。「店主の気が知れない。」と云っておきますか。とほほ。


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