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13/04/06 優秀商業美術の宝庫・戦前薬局向けPR誌 と 戦後コマソン全盛時代を築いた 三木鶏郎若き日の同人誌


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一番下の花の表紙絵が杉浦非水によるもの。その左隣、水着の女性は足元がパンプスでこの時代ならでは。イラストを使ったカラー広告と写真広告には見るべきもの多し。

■パリの古紙市にいつも出店しているドミニク氏はなかなかの色男。古紙市では2ブースほどの面積に古い印刷物を雑然と広げておいて、自分はテーブルの下に隠してあるワインをちびりちびりとやりながら店番をするのが常。決して安くはないと聞く出店料に比して、ご当人、随分のんびりしているなあと思っていたら、何と本業は歯医者さんで、古紙屋稼業は週末だけの余技なんだというのであります。よくよく考えてみれば、古本にしても古紙にしても、生きる上でどうしても必要だといった性格の商品では全然なく、いや、むしろ邪魔にされることの方が多いじゃないか、なんてことを考えると、そんなものを売って生計を立てようというのが元来妄想に等しい所業、余技にとどめて楽しむのが正解であったと、たいてい夕方には店先ですっかり出来上がっているドミニクさんの姿を見る度にそんなことを思ったものです。2011年2月以来、パスし続けてきたパリの古紙市ですが、今年は10月に行けるかな、行けないものかな、と、ただいま思案中であります。
前置きが長くなりましたが、ムッシュ・ドミニクの店に並んでいる品物を通じ教えられたことのひとつに、薬に関する広告は表現・印刷技法とも優れモノが多いということがありました。
本業との関係からか、ドミニクさんのところには、製薬会社がお医者さんに向けて出したDMの類がまとまってストックされていて、いつ見ても見ごたえ満点です。これは小店のお客様に教えられたことですが、薬という商品の性格上、お医者さまであれ薬局関係者であれインテリ相手であること、世界共通商品であるケースが多いことなどから、広告表現にも洗練が求められたのだというお話。「アール・デコ当時の素晴らしい広告もあるはず」と話しには聞きながら、なかなか入手叶わなかった戦前日本の薬品関係が入荷いたします。
市場で先ず、杉浦非水デザインの表紙が目についた『薬店ニュース』昭和3~8(1928~1933)年発行内の13冊で、いずれも発行は薬品と薬局で使う消耗品(ビン、用紙、値札など。広告有)を扱っていた薬局専門仲卸業者・大木合名会社が編集・発行していたPR誌です。


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同人内での音楽観賞&映画作品上映会用に欧文のプログラムを2色刷で作らせるというゼイタク。孔版ながら、2色を使ったり色を変えたり、この労力で2ケ月に1回ペースの発行は驚異。薄いもので7~8ミリ、厚いものではその倍はありボリュームも満点です。

画像にとったのは全て当誌掲載の広告ページ。カッサンドルあたりを下敷きにしたかのようなイラストを用いたフルカラーの広告や、新興写真の影響顕著な写真広告はもとより、カットとタイポグラフィで構成したモノクロの広告に至るまで、どれをとっても粒選りです。薬局の店頭店内写真と予算に応じた店づくりの解説(レイアウト図も有!)、季節毎のウィンドーディスプレイの工夫、海外の薬局・ドラッグストアの視察に関する連載記事「世界薬店風景」 - 図解中には、もちろんソーダファウンテンも!-など、号によっては小説や舞台評などもあって、記事の視点も“おいしい”ところの多いPR誌です。
昭和7年1月に創刊された『星友(せいゆう)』は、大正3年生まれで暁星中学を卒業した同期生12人による同人誌。非売品で、同人の数と同じ「12部限定」と創刊号の奥付にあります。なかに、創刊号では表紙画やカットを担当、ルネ・クレールに傾倒し、自主制作によるトーキー映画を監督したり編集したり写真を撮ったり、台本を書き下したかと思えば舞台批評を書き、同人の歌を作曲したり、ドビュッシーに関する洋書を翻訳したりと八面六臂の活躍ぶりを見せる人物がひとり。市谷暮児など6つのペンネームをもつ繁田裕司というこの人、調べてみると後年の三木鶏郎であることが分かりました。
三木鶏郎といえば、“ワ、ワ、ワ、輪が三つ”(ミツワ石鹸)、“キリン、レモン、キリン、レモン”、“あかる~い、な・ショ・ナ~ル~”(パナソニック)といったCMソング、「鉄人28号」や「トムとジェリー」の主題歌など、子どもの頃、私も慣れ親しんだ曲の数々を生み出した作曲家。三木のり平らの鶏郎グループ、永六輔、野坂昭如らを擁した冗談工房、他にも神津善行、いずみたく、楠トシエ、中村メイ子、なべおさみ、左とん平等を周囲に集めて、テレビを面白くした人の一人でした。私の世代くらいまでの人ならどこかで名前を聞いて、覚えている人も多いのではないでしょうか。同人誌での活躍は、中学生で映像機材が与えられ、西洋音楽や海外文献に触れられるなど、恵まれた環境が幸いした面ももちろんあるとはいえ、的確かつ真情のこもった三浦環評などを目にすると、いずれ開花してしかるべきだったろう才能を思わせて余りあります。
同人には他に、三輪田元則や、慶応幼稚舎の名物先生となる川村博通の名前も見え、とても充実した内容の同人誌となっています。入荷は創刊号から昭和8年1月に発行された第6号までの6冊。限定数は発行当時の同人数の増減に合わせ、12部から15部。1~6号までの揃いは貴重。
とはいえ一体どういう人がこの同人誌を必要とするのかは、私にも全く分かっておりません。週末だけ古本屋というのが理想だったなと、いまさらながらに思ういまはどっぷり古本屋の私なのでありました。
今週はこの他、『日稼哀話』他戦前都市裏面史関係書3冊、『映画評論』他戦前映画・演劇専門誌1本などが入荷、先だって入荷していた化粧品関係空箱、プレスビブリオマーヌ発行の鉄道関係限定本7冊などが値付けを終え店頭に出揃っています。

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