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12/11/17 田中千代が見つめていたもの - モードと都市と身体と


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右側上段見開きはバルビエが、下段右端はルパープによるファッション・プレート。ご覧の通りまるで『カゼット・デュ・ボン・トン』ですが、版元はアメリカの業者。

明日、11月17日(土)は、所用のため店の営業は16時までとさせていただきます来週は火・木・土曜日の各日12時~20時といつもの営業に戻ります。またしてもご不便をおかけいたしますが、どうかご海容の上、ご来店のほど、どうかよろしくお願いいたします。

懸案の目録原稿はデータを書きあげ、一昨日レイアウトに出し、いまは一旦、手を離れました。やったぁ~!仕事からのかいほお~!! なんて喜ぶのはまだ早い。レイアウトが戻って来れば再チェック、ぎりぎりまで迷う値付けなど、最終的なデータ入稿までにはまだいくつもの山が控えています。しかも。即売会の会場用に、目録品以外の商品の用意も進めなければなりません。かくして日月堂の1年で最も忙しいシーズンが到来 …… 年末年始くらいせめてフツーにのんびり過ごしたいという願いが叶う日は、果たしてくるんだろーか。

■だいぶ以前の話になると思うのですが、「田中千代の洋装研究は素晴らしい。戦前、洋装に関わった人の中で、おそらく最も本格的で深みがある。」という評価を日欧関係を研究されている某先生にうかがったのはもう数年前のこと。そして、この言葉を思い出し、その一端に触れたのは、先週の金曜日からこの一週間のことでした。先週金曜日の市場で落札した田中千代の旧蔵書、これは確かに面白い。嵩張るだけの本口まで手を出しちゃってと、一度は悔やんだ私が浅はかでした。“嵩張る本口” から次々に現れる初見の洋書には、これは銅版画入り、こちらはポショワールかな?といった調子で、民族衣装、ファッション史関連書籍など、興味深い書籍・定期刊行物がホイホイ拾えます。あ。最も私、外国語読めないので、某先生とは違ってとても浅い評価ですが。
ともあれホイホイ拾った中から2点。画像中、左端、縦斜め方向で並べたのは、日本でも「アール・デコ百科」として知られる1925年パリ万博=アール・デコ博の公式記録書の第6巻。2年前、上製本の揃いが入荷したことがありますが、こちらが元装のようです。


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銀座のモガから旭川の女学生、大阪の「フランスバー」まで。日本の都市に息づいていた1930年代モダン風景。

ちょっと長いのですがフランス語の原題を記しておくと『EXPOSITION  INETERNATIONAL DES ART DECORATIFS ET INDUSTRIELS MODERNE PARIS 1925  RAPPORT GENERAL』第6巻は「TISSU ET PAPIER」つまり織物と紙の特集となっています。画像の内、オフセット印刷に手彩色を施したピンク色のプレートはシャルル・マルタンによるテキスタイル・デザイン。その上、モノクロのプレートはルパープの挿画の下描き。この他にもブレネレスキや龍村平蔵なんていう名前が出てきて、資料としてよく出来ていることに改めて感心しました。
隣の一冊は残念ながら元装の表紙が完全に失われていますが、こちらは1915年にアメリカで開催された「パナマ太平洋博覧会」通称「サンフランシスコ万博」に合わせて出版されたファッション誌『THE 1915 MODE  as shown by Paris』。サイズから附録のファッション・プレート、ジョルジュ・バルビエやルパープ、シャルル・マルタンなど当誌のために実際に起用されたイラストレーターまで、『ガゼット・デュ・ボン・トン』を下敷きにしているのは明らか。ウォルト、パキャン、ランバンなど、この当時、すでにフランスがモード&ブランドを一大輸出産業と見なしていたことがよぉ~く判ります。
それにしても、こんな本が大ヤマからゴロゴロ出てくるなんて、そうあることではありません。多くに「Chiyo Tanaka」の記名と購入年度や場所が書かれたこれらの洋書、1928(昭和3)年から1931(昭和6)年をヨーロッパ各地で過ごした田中千代の足跡、研究の進展を物語るものだけに、現在どのように仕分け(!)ようかと思案中です。

こちらも田中千代の旧蔵品、市場に出品されていたあれこれの中で最も強気で入札な臨んだ品物。「風俗流行」と書かれたシールの貼ってあるポートフォリオに収められていたのは古い写真の紙焼きでした。概ね1934(昭和9)年から1937(昭和12)年頃に撮影されたことが、台紙に書かれたメモから判ります。


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右下端はサカロフ夫人のポートレートで「マダム タナカ」宛ての献呈署名識語入。他は崔承喜を撮ったスナップで、宝塚で撮影された4点など珍しいカットも。

最も点数が多いのが「1937年4月 銀座」の28点でその殆どが、女性の洋装に注目したカット。「新橋浅草十六分」と書かれた地下鉄入口、和光のショーウィンドーなど、街角の風景からも読みとれそうなことがたくさんあります。どれも面白いのですが、中でも出色なのが「大阪 堺筋 洋酒肆フランスバア」の建物含む10カット。大胆な柄行の着物姿と洋装・電髪の典型的なフラッパーの女性が入り混じる店内風景など、戦前の酒場の空気をよく映しています。この他、浅草花月劇場・吉本ショウ10点、濱甲子園6点の他、札幌三越の飾窓、旭川、京都などで撮影した合計71点は一括での販売となります。

さらにさらに。服飾の記録に混じっていたのは、崔承喜のスナップ8点とサカロフ夫妻の内、クロチルド夫人のポートレート1点。クロチルド夫人のポートレートはパリのスタジオで撮影されただけあって非常にスタイリッシュ。マダム・タナカに宛てたフランス語の識語署名が記されており、また、1934と記していることから、この年の来日公演の際に田中千代に贈られたものらしい。崔承喜の8点には、それぞれ撮影の年月日と場所が書かれているのですが、1935年・宝塚会館で撮影された4点をはじめ、記憶にある限り5点は初見。躍動する身体の美しさはこの人ならではのものですが、田中千代という人がこの時期、身体表現にも関心を持っていたのが、この時代のモードの一側面を示すものか、はたまた服飾美の根源に迫ろうとしてのことだったのか、残念ながら詳らかにしません。

■田中自身の所有だったことがはっきり判る洋書約30冊の他、田中千代旧蔵書としては『現代猟奇尖端図鑑』『モデルノロジオ考現学』、堀野正雄『女性の写し方』、1930~1940年代フランスの手彩色スタイル画集3冊、19世紀末定期発行民俗学関係資料(不揃い)などが入荷。さらに、古渡更紗の木版図案集『波灘婦久佐』、古いクリスマスカード約20点、古い包装紙1袋(但し無名の商店中心)などが現在店で小店店主の値付けを待っているところです。さあさあ仕事を急がねばっ。

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