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12/11/03 限定本2点 ; 裳鳥会のマリー・ローランサン『動物小詩集』と 日本のポショワール『合羽版 ABC』


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梟の蔵書票が貼られた夫婦函と、ピンクと墨のグラデーションが木版刷されたタトウの中、本文ページを全て二つ折り・未綴じで収めた造本。右下、横レイアウトの挿画は刷面にローランサンの署名がある木版画。

■早いですね。というより早過ぎませんか。もう11月だなんて。年明け1月下旬開催の「銀座 古書の市」の目録締切まで、もう2週間ちょっとしかない! というのに慌て始めました。身中の石にはせめて少し縮んでいただくべくおクスリに手を合わせながら、明日からはスッパリと年明けの支度にかかりたいと思います。その石の件ではご心配をおかけいたしましたが、お陰さまで今週体調が安定してまいりました。そこで、今週も新着品のご紹介です。
1点目はマリー・ローランサンによる『動物小詩集』。ちょっと紛らわしいのですが、アポリネールのは『動物詩集』でこちらは「小」がついてます。「未発表詩」を副題とする『動物小詩集』は、著者と親しく交わった堀口大学の翻訳で、昭和10(1935)年に裳鳥会という版元から限定80部が発行された内の一冊です。
A4判で夫婦函入り。本そのものはタトウ入り・未綴じのリーフで構成されています。函とタトウはお揃い -ピンク色と墨のグラデーション - の木版装。扉の後ろに、刷面にローランサンの署名がある多色刷木版画1葉を収めており、堀口とローランサンとの親交の深さを伺わせます。巻頭にはアポリネールがローランサンに捧げた詩が置かれ、ローランサンの詩の中でおそらく最もよく知られた詩「鎮静剤」- 死んだ女より/もつと哀れなのは/忘られた女です。 - や、堀口のことをうたった「日本の鶯」など、内容的にも優れて充実した詩集です。
函に貼り込まれた木版刷りの蔵書票には「D・HORIUTCHI」の名前が見えますが、何分にも今回初めて目にした本のこと、全冊に添えられたのか、この1冊だけのことなのか、古本屋としては忸怩たるものはありますが、明言は避けねばなりません。もうひとつ、裳鳥会というのも実はこの本で初めて知った版元で、奥付に「発行兼印刷者 秋朱之介」とあるその名前 - 秋は造本・装丁(釘)に非常に意識的だった出版人として知られています - から、戦前日本の限定本倶楽部のようなところかなと推測していたものの、どうやら堀口大学の著作だけを限定本として発行するために発足したらしい、というのを知って驚きました。活動は当書発行の1935年に休止したといいますから、一体何冊の本を出して終わったのか、その辺りについても勉強の至らぬ我が身の不足を恥じ入ります。


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『合羽版 ABC』はステンシル画によるABC絵本。合羽版をフランス語にすると「ポショワール」なので、先週のバルビエと今週の当書とは実は同じ手法。20世紀初めのフランスのポショワールが技術的にどれほど精緻なものだったか…というのは店頭で比較してご覧下さい。

時間の流れの圧倒的な早さの前に、すでに追いつかないことが分かりきっている宿題が山と築かれ、その麓でガックリと項垂れている芥子粒ほどのサイズのワタクシ。毎年このシーズンになると必ず頭に浮かんでくる図です。今後も年々順調に縮んでゆく予定のワタクシ …… あ゛あ゛ぁ ~っ。
『合羽版 ABC』川合㐂二郎という人の作品集で100部限定の非売本造本は、秋朱之介とは方向性を異にしながらも、やはり装丁・造本に情熱を傾けた斎藤昌三によるもの。36番とシリアルナンバーが書き入れられた当書は斎藤昌三の青園荘に割り当てられた40部の内の一冊で、要は、合羽版という手法によって描かれた「ABC絵本」といえばお分かりいただけるでしょうか。
では、その合羽版とはどんな手法か、と云いますとステンシルのことで、図版や文字を切り抜いて型紙をつくり、型紙の上から刷毛やタンポで顔料を塗り置き、図形を刷り出す手法です。で、この合羽版をフランス語にすると「ポショワール」。19世紀のファッションプレートや、バルビエの挿画本でお馴染みのあのポショワールです。先週ご紹介した『Fêtes Gallantes 雅な宴』と今週のこちら『合羽版 ABC』とは何と! 同じ手法 !! なのであります。ということを云いたいがために落札したと云っても正直、過言ではありません。いずれ合羽版は入手したいと考えていたのですが、同じ合羽版の類書と比べて、技術はもちろん、とくに図版センスの点で決して悪くない『合羽版ABC』は、いま改めて見てなかなか良い買い物だったかもなんて思い始めております。痘痕もえくぼ? はい、それはもう買った欲目で。
来週から再来週いっぱい、目録の原稿作成のため小店店主、大いにテンパってる可能性がありますが、ということはつまり相当からかいがいのある時でありまして、そう寒くならないうちに、しかも、目録掲載用に店頭商品がみるみる目減りする前に、みなさまにはご来店のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

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