■先週の土曜日にスタートした「ラブルールの版画展」は、本日10月27日(土)が最終日となります。今回出品されている商品については、会期終了と同時にご厚意によって小店にお預け下さった方の元へ全点返却いたしますので、ご売約が成立したもの以外、店には残りません。「ちょっと拝見」から「是非購入」まで、ご興味をおもちの方々には、本日閉店時間までにご検討、ご来店のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
■横腹が痛む。どうもお腹の調子が悪い。時々気分も悪くなる。と、ここのところ体調が優れず、念のためにと病院で簡単な検査を受けたところ腎臓に結石があることが判明しました。知らずにすめばよいものを知ってしまったがために重さのいや増す身中の石でございまして、今日あたりは背中から腰のあたりに痛みの場所が移り、さていつ降りてくるのやらとおっかなびっくりの数日を過ごしています。加えて。来年1月下旬に開催される松屋銀座での「銀座 古書の市」の目録の入稿締切が11月20日と1ヶ月を切りました。
そうした事情が重なっておりますので、当HPの更新を、少しの間、不定期とさせていただく可能性がございます。商品の簡単なご紹介などはFacebookを利用することもありますので、「古書 日月堂 facebook」の「」内をそのままコピペ→検索していただいた上、こちらの方もご参照いただければ幸甚に存じます。何卒よろしくお願いいたします。
■結局のところ、やはりプレート1枚が欠けていた『Fêtes Gallantes 雅な宴』。ヴェルレーヌの第二詩集に、ジョルジュ・バルビエがバリバリのロココ調の挿画を描き下し1928年に1200部が発行された内、最も部数の多いヴァージョン。別丁の挿画はポショワールです。バルビエの挿画としては最もクラシックなスタイルで、ものすごぉ~く正直なことを云いますと、「ここまでやるのはいかがなものか。」と思うコテコテの装飾は、どちらかというと小店では苦手とする部類。従って当欄でのご紹介は見送るつもりでいたのですが、そうはいっても時折見せる大胆な構図、色面のコントラストなどバルビエらしい華やかな演出と、ポショワールの見事な手技を見ると、紹介しておこうかと考え直した結果の登壇となりました。
おや。でも、こうして見ると、近くにあるラブルールの現代性が浮きたってくる効果があるようで、むむむ、もっと早くこの点に気付くべきだった。むむむむむむむ。
■さてさて。先週「絶対どこかで画像を紹介しないことには売れない新発見の3冊」というのがこちら。『Syllabaire avec Premiers Elements de Langage usuel』。自動翻訳を使って意訳を試みると 『フランス語のあいうえお と 日常会話の第一歩』といった感じでしょうか、兎も角も、フランス語の教科書には違いありません。巻1から3までの3冊ですが、奥付というものがない不思議なこの教科書、表紙に刷られた「ECOLE DE L’ETOILE DU MATIN」の表記によって、明治21(1888)年に創立された名門私立「暁星学園」のものであることが分かりました。また、巻1の巻頭に添えられた序文に「1922」即ち大正11年とあることから、大正末~昭和初期に使われていたものらしい。
特筆すべきは、筆記体を含め使われている書体の美しさ、添えられた挿絵 - なかにはカラー刷のページもあります-のとても子ども向けとは思えないおしゃれなセンス、文字と挿絵と余白とのバランスも素晴らしい組版の妙、そして、登場する暁星学園の制服を着た学園男子生徒たちの何ともかわいくユーモラスな写真!とくにユーモラスという点はとても大切で、そのセンスには脱帽です。例えば「Jiro」くん一人が出てきたページを繰ると、次に、「Jiro」くんの指さす先に「Taro」くんがいる写真が出てたり、右腕を三角巾で吊った「Taro」くんの隣に今度は「Ichiro」くんが出てきたりと、言葉にするとたちまちどよぉ~んとつまらなくなってしまうのがどうにも残念なのですが、とにかくみんなかわいくてユーモアにも事欠かない。こんな教科書でフランス語を習っていれば私の人生も違っていたんじゃないかと思いたくなるそれはそれは素敵な教科書です。復刻版をつくってくれたら私は買いますよ絶対。いや待てよ。売らなきゃいいだけか。 いやいや背に腹は代えられず、売りますよこれ!
■来週はもう11月。「銀座 古書の市」目録に掲載することが決まると、商品は即売会会期まで動かせなくなります。心残りのお品物などありましたら、できるだけお早目にお声をおかけ下さい。何卒よろしくお願いいたします。