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12/09/01 20世紀初頭 フランスの染布コレクション / 戦前最後のモダン 名古屋汎太平洋平和博覧会


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装丁および紙の余白部には傷がありますが、生地には退色など一切なく、よい状態で出てきました。布の面積が比較的大きいもの多数。

■とうとう9月に入ってしまいました。どぉっと流れて止まぬ私の汗は、さて、厳しい残暑によるものなのか、はたまた薄氷上を歩むに際して噴き出す冷や汗なのか、いわずもがなの話はさて措き、今週も新着品のご案内とまいりましょう。但し、正直スランプ気味。
そうです。スランプ。今週はとくに、入札しても入札しても止め札の前に砕け散るという不様な敗北が続きました。連戦連敗したものが何だったのかはすでにほとんど記憶がない - といった程度の執着しか示せないのがすでにスランプの証なわけですが - なかで、どうにも忘れ難いものが1点だけあり、何かと云えば古裂を実に丁寧に、そして見事なセンスで貼り込んだ経本仕立ての蒐集帖がそれでした。蒐集した端裂には、几帳面な手書きの文字で、主に江戸中期から明治中期までにわたるそれぞれの年代と、ものによっては簡単な心覚えが記されています。織布と刺繍のサンプルの続く片面から反対側にまわると、今度は更紗など染の布が続いています。その染のコレクションの中に、見た目は古渡りの更紗に見えて意匠に何か微妙な違和感のある何点かがあって、よく見てみると「フランス製」と書かれています。 フランス製! いやはやこんなところに答えがあったとは…というこの答えを必要としていた問題の方にあたるのが今週の1点目、フランスの古染布のサンプル。落札は数週間前のことでしたが、店頭に出すのは今日からとなります。
店に出さずに自宅で宙に浮かせる格好となっていた理由は、保存状態が良いためにかえって布の成立年代を絞りかねていたこと、そして、フランス製としてよいのかどうかという点で迷っていたから。件の落札しそこねた古裂帖に添えられていた記述のそのまた記憶に基づけば、明治中期即ち19世紀末~20世紀初頭、更紗やアフリカのテキスタイルを下敷きにフランスで作られた布、と云って差し支えないようです。44×24cm・80Pに貼り込まれた201点の染布は、フランスが南洋も東洋もアフリカ大陸も世界中のどこであろうと優れたデザインがあれば国境を軽く越えて発見してみせるばかりか、それをむしゃむしゃと旺盛に咀嚼した後、より洗練したスタイルに仕立て直して見せる手腕の確かさを伝えて余りあるものとなっています。この1冊については布1点あたりの大きさが比較的たっぷりしているので、古い布モノとしても使えそうです。
それにしてもここのところの布モノ続き、あくまで出たとこ勝負の市場の関係によるものであり、紙モノの次を狙っているわけではないことを一言申し添えさせていただきます。そうでなくとも何屋か分からないと云うのに。そうですね。ほどほどにいたします。


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これぞモダン建築といわんばかりのハヴィリオン群。噴水、メインストリートに沿って立つモニュメントなどはアール・デコ博覧会の影響か。

■小店がまだ大岡山にあった当時からお付き合い下さっているNさんが、先週の新着品、博覧会関係の絵葉書をご覧になってわざわざ送ってきて下さったのが今週の2点目。Nさん、御礼のご挨拶も申し上げないままで申し訳ございません! 近いうちにご連絡させていただきます!!
その有難い到来物というのが全て昭和12(1937)年に開催された「名古屋汎太平洋平和博覧会」に関するもので、いまや写真資料となりそうな「名古屋汎太平洋平和博覧会 絵葉書」袋付15枚②吉田初三郎の名前のあるチケット半券③会場配置図のイラスト絵葉書(画像は①と②のみ)。実をいうと、名古屋平和博については同時代日本各地で開催された博覧会のひとつとして、これまでほとんど興味もないままスルーしていたのですが、今回お送りいただいた絵葉書の写真を見て俄然注目、と同時に深く反省いたしました。先入観というもの「百害あって一利なし」です実に何とも。
その「名古屋汎太平洋平和博覧会」、坂倉準三の日本館でも知られる同じ年のパリ万博のスケールと比べれば足許にも及びませんが、パヴィリオンをはじめとする施設や街路の設定などに見られるモダン・デザインは、全体として1925年のパリ万博によく似た部分があります。さらに云えば、同じ年、名古屋閉幕後に開幕した1937パリ万博の小型版と云ってよいような、国際的な同時代性をも備えているように見えます。
参加29ヵ国、3月~5月・73日間の開催で来場者480万人。大成功と評された名古屋平和博終了の2ヶ月後、日中戦争が勃発。昭和15(1940)年に東京での開催が決定していた「日本万国博覧会」はやはり開催が決定していたオリンピックとともに中止になります。結果、この「名古屋博覧」が戦前最後の国際的博覧会となりました。博覧会名に「平和」を冠しながら、その終了とほぼ時を同じくして、キナ臭いなかにもまだ平和が保たれていた時代に終わりを告げることになった「名古屋汎太平洋平和博覧会」は日本モダニズムの最後の一閃だったのかもしれません。
今週はこの他、『アクション 行為がアートになるとき』『ジェンダー 記憶の淵から』他展覧会図録・美術書がダンボール1箱ちょっと入荷。このままスランプ突入、なんてことにならないように、来週は頑張ります。頑張りたい。頑張れると良いのだが……。

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