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12/08/25 戦前の記念絵葉書に残された“日本のアール・デコ”デザイン / 京城で発売された詩集『歪める月』の “ マヴォ的 ” 装丁


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これが日本のアール・デコだとばかり、とくに博覧会関係の絵葉書では、構図、色、タイポグラフィなど、各要素とも“強い”デザインが多くなっています。

残暑お見舞い申し上げます。
お盆を過ぎ、一週間後にはもう9月だというのに、太陽がますます元気に照りつける日が続いています。みなさまお変わりなくお過ごしでしょうか。先週土曜日より小店も営業を再開、今週は市場2ヶ所からの新着品が明日には揃って、当HPも2週間ぶりの更新です。
1点目は久しぶりの入荷となった日本の絵葉書、但し、昭和6~11(1931~1936)年頃に開催された博覧会を中心に、国際会議などのイベントを記念して発行されたものばかり。アールを活かした書体や鳥のモチーフなどどこかカッサンドルの「Pivolo(ピヴォロ)」の広告を思い起こさせる昭和9年の「赤十字デー」、挿絵画家・意匠家として当時すでに名前のあった広瀬貫川デザインの「横浜大博覧会記念絵はがき」(袋とも)はじめ、灯火を持つキモノ姿の女性を描いた「上越線直通記念博覧会」、画面中央縦一直線の噴煙とそれを横切る2機の飛行機が印象的な「新興熊本大博覧会」、船首を仰角の視点から描く「軍艦大鯨進水記念絵葉書」などなど、記念絵葉書のコレクションとしてというより、非常にレベルの高い“日本のアール・デコ”デザインのコレクションとなっている点が小店応札の理由でした。旧蔵者はしかし、あくまで郵趣主義に基づく蒐集であったらしく、未使用の葉書に切手とスタンプが押されたものが多いのも、高さにして5cmほどのこの落札1口分の絵葉書並びに封筒の特徴となっています。
いまでは絵葉書をはじめとする趣味研究家として活躍している生田さんにご一緒願って、渋谷・ロゴスギャラリーで「旅する絵葉書」と題した絵葉書の展示即売会を行ったのが確か2002年のこと。その後、日本絵葉書会の結成とそこでの交換会の開催、ネットオークションでの流通拡大などを通じて絵葉書コレクターが急増、それと並行してとくに日本の絵葉書が急騰。あくまで気軽に楽しめる紙モノとして扱ってきた小店には、なかなか手の出ない品物になっていましたが、ここのところやっと相場も落ち着きを取り戻しつつあるようです。デザインや資料として見た時に面白い絵葉書は、比較的手頃な値付けが可能な範囲で、再び市場でも挑戦していこうかと考えています。


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右2点が『歪める月』。著者・郡山弘史が手掛けた装丁と挿画は素人とは思えない出来。対する『顔と樹』はシンプルにしてインパクト大。こちらは装丁者名記載なし。

■以前に扱ったのは何時のことだったのかと思って調べてみると2008年7月のことでした。
(それについてはコチラをクリック)。振り返ってみるといまより真剣に説明に努めている点など、昨今の堕落ぶりを反省させられたりもするわけですが、ともあれ4年ぶりに入荷した詩集『歪める月』は、昭和2(1927)年の初版。文句のつけようのないコンディションです。著者は当時、朝鮮半島は京城で高等学校の教員を務めていたプロレタリア詩人の郡山弘史で生前唯一の詩集がこの『歪める月』。発行は同じく京城に置かれていた「亜細亜詩脈協会」を、宮沢賢治との交遊で知られる仙台出身の詩人・石川善助が書き、には同じく詩人で群馬で活動していた清水房之丞の言葉 -「よき詩集だ。桜散りそめし日 一九二七.四.」- が直筆で添えられています。雑誌『マヴォ』の村山知義に柳瀬正夢の構成派的作品を加えて2で割った感じの達者な装丁と挿画は著者である郡山によるもので、この他、自ら半島で撮影した写真も加えて、郡山という人、なかなか多才。前回入荷の際に、郡山よりもその名を上げて入手を希望された方が多かった石川善助は、宮沢賢治との交流や落命したのが大森駅近くたったことなどもあり、内容の確かなサイトでも紹介されているようです。興味をお持ちの向きにはケンサクをお勧めいたします。
今回、もう1冊、こちらはコンディション不良ながら150部限定となかなかお目にかかれないであろう中野勇雄著『雄野勇詩集 顔と樹』(昭和4年 山形県・北方詩社発行 初版)と合わせた2冊で出品されていました。中野はいわきの詩人の中心メンバーだったので、この2冊の著者とその交流のあった人たちを結ぶと、宮城(郡山、石川)、岩手(宮沢)、福島(中野)、そして群馬(清水)と、東北の詩人・作家のネットワークを臭わせる、出品者の深い意図を感じた次第です。それにしても『顔と樹』のこのシンプルかつ大胆な装丁はインパクト大。ですが、同じ様な例は他にあまりないように思います。
今週はこの他、大正時代の記念絵葉書ファイル2冊分記念スタンプ押印・未使用官製ハガキ(戦前)1本口『現代商業美術全集』他戦前デザイン関係28冊は状態がよくないので格安販売の予定、フランス戦前の『ムーラン・ルージュ』『フォリー・ベルジェール』大判パンフレット『少雨荘交遊録』限定80部本戦前戦中南方駐在員旧蔵写真アルバム2冊、などが新たに入荷いたします。ご来店をお願いするには暑すぎる気もいたしますが、命に自信のある方のご来店を心よりお待ちいたしております。何しろ「高温注意報」というんですから、こればかりは真面目なお話。

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