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12/08/04 いま再びのケルムスコット・プレス刊本と新着品としては初お目見え(だったかな?)『Publicite 1934』


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ブルー・グレーの厚紙に背は布装というシンプルな造本。各章章頭には木版の飾り文字があしらわれています。

■何をしようにも意欲の悉く削がれるような暑さですが、みなさまお変わりなくお過ごしでしょうか。私はといえば、何しろ大汗をかきなものですから、出歩く際にはペットボトルと「塩分チャージタブレット」なるものを常備、食事は夏の恒例となりつつあります そうめん→冷やしラーメン→そば→冷やし中華 という黄金のローテーションによってどうにかこうにか生かされております。日月堂店主の身体、今夏もまた日々刻々と粉モノによって成りつつあります。
8月はまだ始まったばかり、暑さのさかりもこれからかと考えると多少どころか大いに眩暈を覚えもするのですが、この暑さ、何とか乗り切りたいものです。
みなさま、どうかくくれぐれもご自愛にお努め下さいますように!

思いがけずケルムスコット・プレス刊本5冊を落札・入手してしまってから8ヶ月。幸運にもその内の4冊は早い時期にお求めいただくことができたのですが、またしても、の、入荷とあっては「そんな幸運は続くのでしょうか?」「いえいえいささかの自信もございません。」としか云えない『GOTHIC ARCHITECTURE:A LECTURE FOR THE ARTS AND CRAFTS EXHIBITION SOCIETY』が今週の1点目。副題にある通り、1889年にウィリアム・モリスが行ったレクチャーをまとめたもので、いまから約120年前の1893年に1,500部が発行されています。ケルムスコット・プレスをケルムスコットたらしめていると云っても過言ではない扉の装飾がないのが残念ですが、過剰な装飾性よりも純粋にタイプフェイスの美しさを堪能したい方という方にとってはむしろ向いているかも知れません。段落章頭には木版の飾り文字が使われており、各ページ墨(黒)と赤の2色刷。装丁はブルー・グレーの厚紙を使った平と布をあしらった背とから成る元装で、状態も良好です。
実はこの本、最初に刷られた500部には1ヶ所誤植があって、二刷めからは誤植が正されているのだということを今回、この拙文を書くにあたって初めて知りました。誤植は「Van Eykの綴りで、501部目からはこれVan Eyckと正しているのだとか。で、入荷品の当該箇所を確認すると …… 訂正後の版であることが分かりました。あらら。こうして知ってしまうと、訂正前の版に有難味を感じるようになるわけですが、思えばそれも古本病と呼ばれる症状のひとつに違いありません。もう1点、ケルムスコット・プレスで最初に「Sixteenmo」判(=16折・32頁取り; 14.4×10.5 cm)が採用されたのがこの本だということです。入荷の度に知ることがあるというのは古本の奥深さか小店店主の手抜きなのか、ええっとまだ暑い間はせめて問い詰めないでいただきたい……。
 


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左下がオレンジ色の透明プラスチックをあしらった表紙 その右がペニョ社の活字新製品の見本刷りで裏面には他のフォントも 右上いつ見ても過不足なく絶妙なデザインに溜息の出るカッサンドルの「UNIC」広告

■このあたりの本になると、再入荷は間違いないものの、新着品でご紹介したことがあったかどうかがあやふやなのですが多分初めてだと思う本日2点目、フランスを代表するデザイン専門誌『Arts et metiers graphiques』の1934年版の年鑑『Publicite 1934』。この年鑑では以前に1937年版、1938年版、1934年版はご紹介していると思うのですが1936年版はこれまで未入荷、そして1934年版の入荷ははこれで3度目ほどになるはずなのに何故か紹介した記憶なし。何故紹介しなかったのか、その理由も全く思い出せないのですが、ま、それも加齢のせいにしておいて、さてさて、肝心の1934年版ですが、1927年に創刊された『アール・エ・メティエ・グラフィック』誌の年鑑としてはおそらく最初に発行されたもの。スピン綴じ、オレンジ色のプラスチックを表紙にあしらうという凝りようが仇となり、外装の保存を難しくしたためか、他の年度のものに比べると状態の良いものが少ないばかりか、残存部数自体が少ないのではないかと推察されます。
年鑑は、その年のデザイン界のトピックス、優秀作をピック・アップ&クローズ・アップするもので、カッサンドルがデザインした「デュボネ」の巨大ポスターが連貼されたパリの街角の風景やジャン・カルリュがデザインした愛らしい広告用オブジェの写真、ニコラのワイン・リスト、ワゴン・リの広告展開に関する図版入りの話題、フランソワ・コラーの広告写真など、世界恐慌の影響をほとんど感じさせることなく、この時代のモードと消費をリードしたフランスのデザインと広告宣伝の豊かな成果を示すものとなっています。また、トランス・アトランティックのPR用冊子の表紙、ドゥベルニー&ペニョ社の新作活字書体の刷り見本など、現物そのものが綴じ込まれたり貼り込まれている楽しさも。その年の成果をいいとこ採りして丸々1冊つくった年鑑は、本誌である『アール・エ・メティエ・グラフィック』を1年分・12冊集めるのに比べると、コスト・パフォーマンスが圧倒的に高いのもまた、魅力のひとつとなっています。
今週はこの他、戦前の尋常小学校の児童文集6冊装丁美術関係の洋書5冊、先週の続きで今週市場に出品された20世紀初頭のフランスの生地現物見本台帳5冊などが明日、店に入荷いたします。


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