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12/04/21 活字文化を支えてきた「活字」そのもののひとつの危機について。今週はお知らせを中心に。


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2012年4月17日(火) 中日新聞より 写真は名古屋活版地金精錬所で。 

■今週最初の新着品は文字通りニュース。いえこの記事を売るわけではありません。「活字」をめぐる現況についてのご報告とお願いです。というのも、おかしい。絶対におかしいと思うからであります。一部ではあれ、活版印刷に注目する人が増え、Adanaや手フートの一般の人の需要が途切れることなくあり、体験講座などもさまざまな形で開催されているというのに。和文から欧文まで、さまざまな書体、あらゆるサイズの活字について鋳造から販売まで、国内で最も豊富に供給してきた「名古屋活版地金精錬所」が、現在、廃業の危機にあり、しかも直近の6月には最終的な態度を決めるのだと云って、現状や経緯がつい先日、中日新聞に取り上げられたというのに。ネット上では全くと云ってよいほど話題になっていない! 大事件だというにも関わらず。これはおかしい。
故障した時に部品だけでも取れるようにと集められた活字鋳造機、晃文堂の欧文活字を含む貴重な字母(母型)の数々、印刷機・ハイデルベルグ、そして、これらを扱うのに必要な技術と経験まで-ここが廃業することで失われてしまうモノとコトとを考えると眩暈を覚えます。「名古屋活版」1社がなくなることで、本のタイトルから見出、本文とルビ、脚注など、全て活字で組んだ書籍がつくれなくなる可能性も指摘されています。国内にはまだ数社(おそらく2社ほど)、活字の鋳造・販売会社は残りますが、その最大規模の拠点を失うことの打撃は計り知れません。和文だけで考えても、ひらがな、かたかな、漢字を必要とし、さらに英語をはじめとする欧文各種、記号や罫線など、他の言語と比べても複雑で多様な体系からなる日本語の活字一式、もしいったん失われたならば、それを復興しようという試みが、合理性と経済効率を重んじる我が国のこと、後の時代に起こるとは思えず、ましてや他の国で起こるはずもなく、ということは二度と取り戻せなくなるのだと腹くくるべき事態がもう目と鼻の先に迫っているのだということです。近代から現代へと連なる日本の言論活動、創作活動を支えてきたインフラの喪失 - これはもはや事件と呼ぶに相応しい事態ではないでしょうか。そのことがほとんど話題にもなっていないということ、そして一方で「名古屋活版地金精錬所」さんの経営努力についても、打つ手は全て打ったのかという問いがどうしても残ることからすれば、喪失あるいは消失もまた単なる当然の成り行きとして受け止めるべきなのかも知れませんが。


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左横3点が1970年夏号=万博特集号 右上と中段が同年春号の万博特集 2冊とも写真は石元泰博 下段見開きは1972年夏号より石元の写真が効果的に使われている特集

廃業か否か - 6月には結論づけられるというそれを、一体何が決定づけるのか、あくまで私企業の経営的判断に委ねられている限り、それは当然ながら経済的事由に基づくはずです。けれど、この場合の経営的判断の先には、経済効率だけに回収されてしまっては具合のよくないものまで含まれてしまっています。「名古屋活版地金精錬所」の経営を適正な経済の軌道に乗せる、或いはある種の権威のもとに経済からひきはがし、別の文脈に付け替える--
2004年から06年にかけて、「印刷解体」展によって活字・活版印刷を商売のネタに利用した小店のささやかな責務として、時が差し迫る中、どこかの回路に繋がる可能性が出てきてくれないかと念じています。
研究者、研究・教育機関、企業はもとより、起業家から単なる道楽者(残念ですがお金持ちに限ります)、NPOの設立などアイディアと実行力をお持ちのかた、通信販売のことならウェブの立ち上げから発送業務まで手弁当で請け負いますよという猛者、薄給でも自分は活字に関係して生きて行きたいのだという方まで、我こそはという方がいらっしゃいましたら、是非ご一報下さい。果たして私たちの力で先方ときっちり結びつけることができるかどうかは未知数ですが、アドバイスだけでもいただければ大変助かります。そこまでは無理でも、手にしてみたいと思っていた方は活字を買うこと、売れそうなところがあれば、その場所をご教示下さい。そして、現状をひとりでも多くの方に知らせていただくことです。何卒よろしくお願いいたします。
今週の新着品は1970年代前後~1990年代に発行された企業広報誌の大口から中面写真のほとんどを石元泰博が手掛けて一際目立つ竹中工務店発行『approach』より、画像は1970年の春号と万博特別号、石元写真・真鍋博文による特集「音のしない建築現場を見た」所収1972年夏号の3冊。竹中工務店なだけに建築物や都市を取り上げる比重が大きく、なかでもEXPO’70の特集は、竹中が関係したパヴィリオン毎に、その特徴を捉えた石元の写も見事です。『approach』は全部で50冊前後、この他カラープランニングセンター発行『色彩情報』が創刊号から約50冊、日立の英文PR誌『age of tomorrow』が約30冊入荷いたします。


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こちらも復活戦に参戦予定 バルビエの『今日のモード』 プレートにバラせぇ~バラせぇ~というお客様の念を感んじながらまだバラしたりはいたしません。はい。

■この他、度外れて生真面目な細かいメモが可笑しみを誘う渡航記録、不思議な食べ物の存在が証明されてしまう商標スクラップは、ともに近々、このページか、あるいは別の場所でご紹介いたします。
先週お知らせいたしました、『カゼット・デュ・ボン・トン』と『スポーツと気晴らし』を中心とする展示即売企画『リュシアン・ヴォージェルの仕事から - バルビエ、ルパーブ、マルタン、マルティとパリ・モードの時代 』は5月17日(木)、19日(土)、22日(火)の3日間、小店店内で開催の予定です。お値段については会期直前まで目安となる価格帯でのお答えとなりますが、販売方法やお支払い方法と併せ、詳細決定次第また改めてお知らせいたします。また、会期前に商品の下見をご希望されるお客様は、必ず事前にご連絡下さい。尚、下見をご希望のお客様で小店名簿にご登録のない方には名簿へのご登録をお願いいたします。予めご理解を賜りますよう、何卒よろしくお願いいたします。
■実は、facebookを始めました。「古書 日月堂」のと店主個人名のと並行して。がしかしまだほとんど手つかず、とくに店の方など、自分のイメージする“完成形”を確認しながら作業するのが難しいようで、HPとどうも勝手が違いとまどっています。「それはひとつ見てみようか」なんて思っていただけるとしたらもちろん大変有難いことなのですが、できることならせめてもう少しマトモな格好が整ってからにして……なんていうのがヤブヘビだって。

 

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