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12/03/24 やがて失われる運命か - 紙と印刷の標本集 そして 手で書くための手帖類


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造本は背革・タイトル金箔押に平マーブル(図版センター) McCall社の広告はシルクスクリーン 右中段がペニョ社サンプル帖の表紙

■3月も下旬に入ったというのに寒さばかりが居座って、目前のはずの春がまだまだ遠いもののように感じられます。金曜日の市場では、最終台に出ていた大物を落札しそこなって、おかげで仕入れも気持ちも落ち着きどころを見失った格好です。
どうにも意気があがらないこんな日は、新着品のご紹介もごく軽く。
『SPECIMENS:A STEVENS-NELSON PAPER CATALOGUE』1953年アメリカの紙販売会社スティーヴンス・ネルソン社が発行した自社の取り扱い製品=紙の見本帖兼印刷見本集です。表側は出版社や企業など実際に使用されているデザインを印刷技法もそのままに流用し、裏面にはデザイン、印刷に関わる情報と使用した紙の名称、サイズ、特性などをそれぞれの表面と呼応する書体・レイアウトで印刷した全107点の現物見本からなる函付きの上製本。巻末の「謝辞」によれば、世界10ヵ国、デザイナーや印刷関係者など150を超える人たちとのコラボレーションによって実現した、とあります。
どれどれ、と見ていけば、1920年代からカッサンドルやポール・イリブなどと組んで優れた印刷物を生んだDraeger Freres社とフェルナン・レジェによる広告、ペニョ社の活字見本帖の表紙など知ったような名前のモダン系印刷物があるかと思えば、透かし入りのオニオンペーパーを使ったカルティエやディオールやパンナムの格調高くクラシックなレターヘッドがあり、色紙と特色印刷の組合せでリトグラフのような風合いを生み出したイタリアの一連の印刷物があり、木版刷の扉があればシルクスクリーンのカードがありモノタイプもコロタイプもあり、ゴールデン・コッカレル・プレス、ボドニ、ガラモンドなど活字・組版見本としても見落とせないものあり …… と挙げていけばきりがない、これは確かにコラボの精華であり、紙見本にとどまらないデザイン・印刷を含めた秀作集となっています。
20世紀末に活字が見捨てられ、メディアと情報のあり方が猛スピードで大変化を遂げつつある21世紀、今後のことを考えれば活版印刷どころか紙の印刷物自体減少の一途を辿るに違いなく、この1冊がすっかり過去の遺産集となり果てる日も - そして、滅法ぜいたくな仕事の集積と見られるようになる日も - そう遠くないのだろうという気がしてなりません。


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左端の函には手紙用の巻紙が入っています。函の絵が杉浦非水ではないかとも思うのですが確証なし。手前見開きが大正8年当時の日本橋丸善の写真で、その隣が「アテナ」手帖。

これゾ一期一会!という落札品については、まだ暫く確認作業に時間がかかることもあり、今週はあくまで簡単に。ちょうどよいことに、未使用の手帖・ノートの類が入荷しました。約20点のほとんどが未使用で、金銀エンボスやクラシックな花形、ステンシル彩色による図案などがあしらわれた表紙がどれもよろしき佇まい。約20点の中には、「軽便懐中日記」「日記帳」「MEMORANDUM」「LIST OF WORDS(英単語帖)」など各種あり、この内、丸善の手帖はどれも革装・三方金の正統派で、表裏の両見返しにあしらわれた日本橋本店の外観と店内、各地支店の外観など写真も貴重。また、丸善製・1911年ATHENA手帖は紙質、罫、レイアウトから巻末付録、そして下1/5を切り取ると月別カレンダーが窓から顔を出すアイディアなど、たいへん魅力的です。本文紙質や手に持った質感も大切なのがこのテの商品。ご興味ある方には是非店頭でご確認下さい。
■この他、東郷青児などが表紙を手がけた戦前の婦人雑誌『ホームライフ』11冊、明治~大正の古い写真が小さめの1箱分、1960年代の海外視察で撮影された欧州各地のスライド写真大量一括、などが今週の新着品で、こちらは週明け火曜日に店に入ります。ああそうか。スライド写真なんていうのも、いまただちに消えていったとしても、何の不思議もないもののひとつではありますな。




 

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