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12/03/17 ナチスとファシズム・プロパガンダの比較対照的入荷、と、それとは全く別に、神坂雪佳など木版図案集も


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他にも飛行船内部の様子、内部から見下ろす風景、アウトバーンを疾走する自動車、ハーケンクロイツの旗が連なりひらめく街頭等々、国民に熱狂的に迎えられるヒトラーはじめ、プロパガンダかくあるべし とでもいうような写真の連続

■斜め上方に視線を向けたり指をさす構図……というのは、ほぼ万国共通といってよいほどお定まりのありふれたプロパガンダの表象のひとつであるというのは皆さまご存知の通り、ですがしかし、この、ナチスドイツにしては珍しい、はじけた感じの男女は何だ?-『Look to Germany - The Heart of Europe』は、アメリカ人S.McClatchie(何て読むんだろ?)を著者として英語で書かれていると分かれば、表紙のこの感じもなるほどねと頷けますね。
さて、今週の1点目はこの「ヨーロッパの心臓」です。無刊期ですが序文の日付やベルリン・オリンピックの報告があることなどから、発行は1937年と見てよいでしょう。A4を一回り大きくした判型の上製本は、写真に圧倒的な比重を置くビジュアル・ブックで、アドルフ・ヒトラー専属の写真家であり、その写真集の出版で巨万の富を築いたとされるハインリッヒ・ホフマンが手がけた写真集のうちのひとつ。いまから10年ほど前に復刻版も発行されていますが、この元版とは全然異なる装丁で、元版の持つ微妙なヤンーキーテイストみたいなものは、完全に抜け落ちてしまっています。元版発行当時にはドイツ語版も発行されたらしいこと、米独開戦により見捨てられた英語版は珍本とされているらしいこと、などが、本日あくまで大雑把にケンサクしてみて分かったことで、小店にとっても確かにこれが初見ではありました。



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斜め上方向へと向かうプロパガンダはここでも健在ながら、ムッソリーニのイタリアは全体にどこかのんびりした感じが。学校建築は大層モダン、レイアウトや組版も洒落ていて、そこはイタリアというべきか。

著者のS.McClatchie氏はアメリカ人。カリフォルニアでは名の知れた富裕な家の出で、ナチ党員として数年をドイツで暮らした経験から、ヒトラー支配下のドイツの素晴らしさ - ううむ。なんというべきか… - を余すところなく伝えようとしたようで、オリンピックの成功に始まり、アウトバーンの整備、飛行船による優雅な旅、工業の振興、先端科学技術の獲得、豊かで幸福な国民生活、その国民が一丸となって支持するヒトラー etc. が、252ページ、ホフマン撮影を主とした300点超の写真を通して紹介されています。
洗練され尽くしたスタイル、完璧に統制された集団、過剰な機能、健全すぎる国民生活 …… どんな美名の元であれ、そんなものに覆い尽くされてしまっては、社会にせよ表現にせよ、奇矯で大層気持ち悪いもんだゾと感じとるために、たまはこんなものを眺めることも無意味ではないようです。


こちらはお国柄か、同じプロパガンダでもイタリアの場合は全体に、何となく、ゆるぅい、感じ - がそこはかとなく醸し出されるのが不思議な『LA SCUOLA ALL’APERTO』。表紙に登場したムッソリーニ率いるファシズム政権下の1940年、イタリアの文部省が発行した『イタリアの学校』という本です。縦A4ほどの大きさの枡形ですが、上製本で写真中心に構成されたビジュアル・ブックという点ではドイツ礼賛の1冊目と同じ。なのに。何故か。全然違う。
書籍のテーマがテーマだけに、登場するほとんどが  子どもたち時々先生のち動物  とあってはゆるくなるのも当然かとも思う一方で、それにしてもこの、何だかみんな勝手でばらばらな感じ(当画像ではそれらとは少し違うのを選んでますが)、ドイツの子どもたちでは絶対こうはならないだろうと思うわけです。しかも画像でもご覧いただけるように非常にモダンな学校建築なんていうものまで出てきてしまうので、ますます肩透かしを食らったような気にさせられるイタリア国家体制宣伝書籍なのでした。でも選定された書体、グリーンと墨の2色による組版と写真レイアウトなどなど、そこはそれイタリアです、洒落てます。


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後ろが神坂雪佳『海路』より。全図木版多色刷。手前(右下)は無名氏の手書きによる図案の手控え。線や色遣い、細かい柄など、たいへん繊細な仕事が多数残されています。

あ。画像中、子どもたちが水泳用のゴーグルみたいなものをかけて光にあたっている写真、これによく似たのが、戦時下の日本で発行された木村伊兵衛による写真集にもあったはず。しかもこの写真集も子どもの日常生活がテーマで …… というあれは一体何というタイトルで何時発行されたのだったか、それによってパクリぱくられはどちらが先で後なのか、何だか気になってきたぞ。


■今週は久しぶりに3点目に突入。前の2冊と趣きが全然変わりますが、画像中後ろになっている大判の図案は全点木版多色刷、芸艸堂・明治36年発行、再版の『染織図案 海路』
近年、内外で評価と知名度が再浮上している神坂雪佳の代表的図案集のひとつに数えられ、波、波濤、水泡、水紋などをモチーフに雪佳が考案した大小97図を収めています。
右下縞目図案は銘も作者名もない、筆がき(直筆)の染織図案をまとめた、おそらくは図案家の手控えのようなもの。いずれも習作ではなく、実作に向けたプランの縮刷版といった感のある非常に繊細かつ完成度の高い作品で、計8点押された朱印から、代々大切に受け継がれてきたものではないかと推測されます。名のある雪佳の作品の方を当然市場的には価値あるものとして扱うことになりますが、本音のところ、この無名氏の仕事こそ買ってやりたいと思う小店、商売が大きくなることは金輪際ございません。
■今週はこの他にも、『大日本美術図譜(8冊揃)』他明治期の木版図案集4点野次馬旅団編『戯歌(ざれうた)番外地 替歌にみる学生運動』、旅行の記録としてまとめられたスクラップ帖5冊海外視察の際に撮影された写真・絵葉書などダンボール大2箱分などが土曜日の午後、店に入ります。

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