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12/03/10 3月第2週・金曜日 - ちょうど1年目にあたる更新です。 


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■あの「3.11」から、1年が経とうとしています。
大震災のあった3月11日のことを、私は、その日付よりもむしろ、3月の第2金曜日として記憶することとなりました。第2金曜日は毎週必ず出掛ける明治古典会と、月に1度の東京古書組合南部支部の入札会とが開かれる日にあたります。
その日から昨日でちょうど1年。1年前の今ごろ、私は、終日運転休止を知らせるアナウンスの声だけが響きわたるJR五反田駅の高架にそって、目黒川の方に向かって歩いていました。桜田通りから少し脇道へ入ると、一向に動かない自動車の列も、歩道を行く人の行列も、きれいさっぱり消え失せて、静かな夜にひとり、暢気な散歩でもしているような、そんな錯覚さえ覚えたものです。あの夜歩いたその道は、けれど、それ以前とは確実に隔たり異なる時代へと通じていました。
例えば - 人間は信じるに足る存在だと心の底から思うことのできたベルリンの壁の崩壊や、戦争の時代の到来を確信しながらテレビ中継を見つめるしかなかった9.11や - 半世紀も生きていれば、歴史が大きく旋回する瞬間というのにもそれなりに出会うものだとは思ってはいましたが、けれど、たった1日で歴史が変わるという知見を- 被害者であることを免れた私には、精一杯のところせいぜい知見と云うに過ぎないのですが - あれほどはっきりと、痛烈に叩きこまれたのは、2011年3月11日が初めてのことでした。 今日から明日へ、間違いなくつながっていると思っていた日常や、そうした日常が連綿と続くとばかり思っていた時の流れというものを、「震災→復興」という直線距離で取り戻せない厄介さによる閉塞感が、今もなお、少なくとも本州の北1/2を覆っているように思います。
依然として困難な状況に置かれている方々には、一日も早く、かつての日常を取り戻すことができますように祈念申し上げます。 無責任で尊大な企業と、企業となれ合う自治体やメディア、そして全てを選挙向けの政争へと回収してしまう政治によって、責任の所在も明確にされないまま運営されているらしいと分かった原発が、一日も早く全て停止されますように。 瓦礫の引き受けの方は断固として拒否できる程度に軽くなってしまった「絆」とか「つながる」といった言葉が、いつか言葉本来のもつ重みを取り戻せますように。 正確な情報のありかが常に、海外だけではなく国内にもありますように。 日本が、先進国と呼ばれるに相応しい内実を伴う国であることを、疑うのではなく信じられますように。そうした日が、1日も早く、ひとりでも多くの方の上に訪れますように……。
昭和9年7月・日本建築協会発行『建築と都市 都市武装特集』は、この年、日本建築協会が企画立案した「都市武装促進運動」の一環として行った、都市武装に関する論文とポスター図案のコンテストで入選した作品を掲載した特集号です。巻頭の関係者による16篇の講評の内4篇が陸軍関係者によるもので、日本の都市部への空襲が激しくなる昭和19年よりさかのぼること10年、当時すでに都市部への空襲を、軍部を含め関係各所が想定していたことを示しています。表紙はポスター図案の第1等になった大阪・商業美術社によるもので、他にも本文頁中にモノクロで入賞作を紹介。論文は1等となった山口儀三郎「都市武装」から佳作までの7篇で、都市計画に関するものから、防火・耐性など建造物に関するものまで、それぞれデータや図版とともに論述されます。中には京都の中心部の武装構想をまとめたもの(3等第2席・図版右)、ロンドン空襲による爆弾の跡を東京中心部の上にプロットし直して見せたもの(佳作)など、素人目でいま見て面白いものも。


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4年のうちに70%という首都直下地震の確率が本当かどうか怪しくなってはきていますが、いずれ来ることはほとんど間違いない大変アブナいところであるTokyoの住民のひとりとしては、オリンピック誘致にまた莫大なお金を注ぎ込むくらいなら、「震災武装都市構想」でもぶち上げてもらった方がよほどマシ。と思ったら当誌には「南海道沖大地震の謎 及 北西大阪地塊の慢性的運動(要約)」なんていう記事まで載っていました。どんな時代にも、いつの季節にも、何かに備えておかねばならないのが、日本列島の抱えた宿命ではないでしょうか。
■都市武装の必要性を啓蒙しなければならない状況が将来されるちょっと前には、暗さも貧しさも厳しさをも含め、都市の細部にまで目を配り、そこから自分たちの生きている時代と社会の相貌を活写しようとする動きが盛んに見られました。今週、もう一口のご紹介は、都市とモードをめぐるそんな雑本のなかから。添田唖蝉坊著『浅草底流記』(昭和5年 初版)は以前とっくにHPでもご紹介したもの…とばかり思っていたのですが、これはどうもまだだったようで。いずれも装丁がいかにもこの時代・このテーマに相応しい『前衛探奇実話蒐 愛欲ニ踊ル』(昭和6年 初版)および『唖蝉坊流生記』(昭和16年 初版 墨書署名入)という3冊での入荷です。
画像にとった『浅草底流記』は挿絵入、装丁のサイン「kinzo・T」と挿絵に添えられたサインを合わせると「廷金蔵」と読めそうなのですが、この人についてはいまのところ一切不明。「吼えろカフェー」「浅草朝から夜中まで」と、見出しに当時の前衛的舞台作品をモジったものや、「舌端をゆくもの」と夢坊の著書タイトルを思わせる食べ物屋の話などが並んでいますが、これら全篇微に入り細を穿った浅草観察の記録となっています。
著者代表でもある小生夢坊の名刺付き、『前衛探奇実話蒐 愛欲ニ踊ル』は、前年に出した『尖端をゆくもの』の好評に乗じ、南部僑一郎、吉野光枝など映画・演劇界の知己に詩人・佐藤惣之助までかり出して「売れる本」を目指したらしく、「こいき・ユメボ」名による「はしがきのこと」は「売れろ!売れろ!世界にくまなく売れろ!おお、うれし、みな『愛欲層に踊る ! 』」と締めくくられています。がしかし、この本、あまり見かけることがいないことを考えると、小生氏の熱い願いをよそに、あまり振るわなかったのではないかと思えてなりません。

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