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11/12/03 本は装丁で。 名古屋モダニズム・井口正夫装丁挿画『詩集 赤児の首を切る』と村山知義装丁・岩崎昶処女出版『映画芸術史』


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左下:表紙 左上:視覚詩的要素を取り入れた「西洋館」 右:井口正夫の挿画と「真理を捕ふ」と題された日野による前衛的な詩。

■とうとう12月に突入。思い返せば2011年は1月の松屋で始動、2月には久しぶりにパリでの買い付け、帰国して丁度ひと月後に3.11の震災、そして原発事故と、怒涛のような流れのなかで最初の数カ月を過ごしました。それ以後はといえば気持ちのもっていきどころに迷いながら、意味もなくふわふわと日々を過ごしてしまった気がします。
挙句の果てが秋口からの じんましん で、本日よりステロイドは1日6mgの服用に量を減らしてさらに経過観察ということになりました。ステロイドとは年内におさらばできるかと思いきや、一週間後に減らせる量はギリギリで三分の一ずつ、ここから先はさらに慎重が肝要のようです。現時点ではかゆみと不眠からは解放されておりますが、代わりに何とも云えない胃のあたり重さに少々閉口しております。それでも普段通りに店を開けていられるのですから、兎も角も、有難いことだと思える2011年12月です。
吉例・表参道のイルミネーションも12月2日(金)にスタート。寒さも厳しくなってまいりましたが、クリスマスや年末の気分を味わいに表参道方面にお出掛けの折には、ついでに小店までお立ち寄りいただければ幸甚に存じます。
今週も新着品は先週に続いて「本」となりました。小店、古本屋ではありますが、考えてみると、冊子でもパンフレットでも紙モノでもなく、れっきとした「本」が2週続くのは珍しいような気がします。といったあたりのことはご覧のみなさまの方が先刻ご承知でいらっしゃいますね。はいはい。
さて1冊目、『赤児の首を切る』となかなか物騒なタイトルの本は昭和4年、これまた少々不穏当な版元名であります「エロス堂書」というところから初版が発行された日野春助という人の詩集です。日野春助については一切知らず、また検索しても詳しいことは全然分からず、出版社名に寄り添うように“いかにも”な「浅草区千束町」の住所が怪しさをいや増すばかり。その「千束町」の横、「発行者」名を見ると、『音画芸術の方法論』や『ブドフキン映画俳優論』などロシア語系の映画演劇関係書籍の著者・訳者としてお馴染みの「馬上義太郎」という名前があるのに驚きました。よりによって「エロス堂書店」とは、馬上さんたら他に一体どんな活動をしていたのか今度はそんな興味がいや増してまいります。


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村山知義装丁・扉による『映画芸術史』は岩崎昶の初の論文集としてまとめられたもの。

当書の素性に関する手掛かりとして最も近道になるのではと考えたのが「装丁・扉・挿画 井口正夫」というクレジットだったのですが、名古屋のモダニズム一派に属した井口正夫と日野春助なる人との関係は現時点でやはり不明。詩集のところどころに現れる視覚詩や作風全体の印象から、日野春助という人もまた、モダニストの系譜に連なる人と見られますが、その他一片の言及も一切の推測もできないあたり、古本屋としてはいかがなものかと限界を感じつつ、しかしこれからも「本」を「装丁」で買い続けるのだろうという点は変更される気配のケの字も見当たらないのでした。この世に生まれてはや半世紀、生き直すには時間がもう全然足りません。
■というわけで2冊目も装丁で買う気になった岩崎昶著『映画芸術史』村山知義の装丁・扉昭和5年に世界社から発行された初版。戦前の左翼陣営から出て、時代に翻弄されながらも戦後に至るまで活躍を続けた稀代の映画批評家にして理論家・岩崎昶にとって「僕の最初の論文集」となったもの。本文は全篇テキストのみのストイックなもので、「綺麗な女優さんの写真やなんかが一枚も入ってないので、この本は売れないだらう、つて、友達が言つてくれます。」とは本人の弁。戦前同時代の映画関係書籍の中では比較的見かけることの少ない本だということは、友達の言を裏付けた格好……なのでしょうか。ううう。もひとつ付言しておくと、今回入荷したものは、読まれた形跡さえ全く残していないのが嬉しいような哀しいような、ともあれ結果、大変状態のよいまま今日まで残された1冊です。
今週はこの他、『ラ・ヴィ・パリジェンヌ』等戦前海外風俗雑誌20冊弱外国製絵葉書ファイル2冊戦前・カルピス広告関係ペラもの7点(岸秀雄、武井武雄含む)、戦前の東郷青児らしいモダンな装丁の『新東京歌集』、古書用語で「馬喰い」があるのが大変に惜しまれる『プロレタリア歌集 娑婆の歌』、マルセル・シュウォッブ著・多田智満子訳の森開社版『少年十字軍』などが12月3日(土)、店に入ります。

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