■台風12号の接近で、東京も不安定な天候が続いています。列島上陸が予想されている明日9月3日(土)は午前中の天候によって、多少開店時間が遅れる可能性があります。大変恐縮に存じますが、この点どうかご留意下さい。関東地方については終日大荒れという可能は低いようですので、開店時間が遅れることがあっても、店は営業する予定でおります。どうにもヒマだタイクツだという方は、何しろ紙に水は禁物なので「何か買わねば帰れないぞ…」なんていう精神的圧力が取っ払われる絶好の機会として、是非ご活用 - 即ちご来店 - 下さいませ。
■まるっきりパリ買い付けから帰ってきたかのような今週の新着品は、いつものような長々しい説明も不要ではないかと思う直球の王道モノ。こんな時にはせめて簡潔にいきましょう。いきたいものです。いけるかな。ともあれ。
最初の画像は1908年にメーテルリンクが発表した童話劇『青い鳥』にアンドレ・マルティによるポショワール挿絵を添え、1945年にフランスで発行された限定本です。マルティの挿画は舞台劇に相応しく奥行きや高さ、装置の立体感、登場人物の衣裳や立ち位置などを意識したものが多く、6幕12場の構成で、各場の章頭に1/2ページサイズの挿画、章中にテキスト組版と組み合わせて配置された挿画1点と章末に小さな愛らしいカットを置く他、画像中央の扉、画像身右の表紙が - いずれもポショワールで - 綴じ込まれています。ポショワールはグラデーションや細部の塗り分けまで完璧、表紙から本文まで純白の洋紙にはシミもほとんどない、たいへんよい状態での入荷となりました。
■こちらはアンドレ・ブルトンによるシュルレアリスム関係フランス語文献が4点。画像左端はブルトンの著書で『秘法17番』と訳される『ARCANE 17』の初版本。1945年、ニューヨークで発行されています。画像左から3点目、同タイトルで表紙の色使いがグリーン、帯付の『ARCANE 17』は1947年にパリで発行された後版で、母国での発行の方が遅れたのはブルトンが第二次大戦中、アメリカに亡命していたためでしょうか。テキストは元版、後版どちらもフランス語。画像左から2点目は『Nouvelle Equipe Francaise』の特別号『ALMANACH SURREALISTE DU DEMI-CIECLE』、『世紀中間点のシュルレアリスム年鑑』というもので、ブルトンが編者。そのものずばり1950年の発行で、巻頭この年の暦に始まり、巻末1900年から1950年までの年譜で〆られるという構成。また、半世紀記念ということで、テキストはアルチュール・クラヴァン、A・アルトー、オクタビオ・パス、ジュリアン・グラック他、図版はマルセル・デュシャン、エルンスト、キリコ、ダリ、トワイヤン、ドロテア・タニングなどシュルレアリスムをめぐるオールスターキャストによる1冊です。画像右端は邦題を『狂気の愛』とするブルトンの著書『L’AMOUR FOU』で1937年、パリ・ガリマール社の「コレクション・メタモルフォセス」シリーズの3巻として発行されました。マン・レイ、ブラッサイ、ブレッソンなどの写真も別丁仕立てで綴じ込まれています。いずれも特別に何か凝ったことをしているわけではありませんが、何故だか大変洗練された印象を残す4冊です。
■今週はこの他、1935年に日仏画堂が主催し銀座松坂屋で開催された『アスラン作品展覧会』の図録、測量・製図用品目録、アメリカの宝飾品パーツ(=台)専門店のカタログ、『コレクション・モダン都市文化』シリーズより『モダン都市の新形態美』『カフェ』『新興写真』など8冊(左上「営業日案内」参照)などが入荷いたします。