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10/10/23 新興写真の要領で 金丸重嶺が表紙を手掛けた明治書房の洋雑誌カタログ と 洋雑誌の二次利用に着目した『日本版外国美術雑誌』


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明治書房が取り扱っていた洋雑誌のカタログ 上) 1932年版・芸術及びデザイン分野のカタログ16P 各分野の主要な雑誌には評価すべき根拠を示す解説も 下) KANAMARU のクレジットが入った1933年版・科学及び工業産業分野のカタログ 最下段は見返しにあたる頁のデザインで、こちらの中面は組版も美しい。上の1932年版に金丸のクレジットは見当たらないが、時期や作風から見て、やはり金丸が手掛けたのではないか。

■どちらを向いてもなかなかカタチが見えてこなかった各方面の仕事が、ここに来て足並みを揃えるかのように実現化へ向けて踏み出す段階に入りました。この状態が少なくとも11月末まで続くというのに、その入口にあたる今週一週間でだらしないことにもうかなり草臥れた格好となっております。疲労の力を借りて、というのも妙な話ではありますが、今週こそ短めにいくゾ。と思う新着品のご案内です。
洋雑誌の表紙を並べた表紙を持つ - 言葉で説明するとややこしいので画像をよくご覧下さい - 冊子が2冊。モチーフがこれですから一見、ヨーロッパあたりの印刷物にしか見えませんが、2冊とも、「東京・神田・今川橋」の和洋雑誌・図書の取次「明治書房」が発行した、定期購読可能な洋雑誌をまとめたカタログです。ご覧のように非常に洗練された表紙は、洋雑誌見放題という明治書房さんの環境を考えれば当然元になるアイディアはいくらでも見つかりそうなもので、文字のところだけ都合よく差し替えてのパクリものでしょうと思っていたのですが、とりわけ中面のレイアウトなど隅々まで洋風に徹している1933年版の扉に「PHOTOGRAPHER & DESINED  S.KANAMARU」と小さなクレジットを発見。1932(昭和7)年に『新興写真の作り方』を著した金丸重嶺が写真・デザインを手掛けたものだったというわけです。入荷したの1932年版・芸術及びデザイン分野のカタログと、1933年版・科学及び工業産業分野のカタログですが、後者も昭和7年10月発行の記載があり、これらの冊子もまた、新興写真を世に問おうという金丸の意欲作のひとつと云ってよい出来です。表紙の写真の中にUSSR、アール・エ・メチエ・グラフィーク、ゲブラウス・グラフィック、ディ・フォルムなどの書影が見え、チェコのスタバ、オランダのウェンディンゲン、イタリアの演劇誌のマスク、フランスのアール・グ・ボーテ、ヴォーグはフランス語版も英語版も入手可能で、イギリスの映画雑誌クローズ・アップに「映画芸術ニ就テモツトモ正シキ批評ヲモツコトヲ誇ル」、ノイエ・フランクフルトには「新シイイデオロギーニヨツテ明快ナル構築ヲ宣伝シヤウトイフ世界デ最モ気持トノイイ構築雑誌」と解説を付け、バウハウスには「廃刊」の文字を残しているカタログの資料性についてはもはや説明不要、そしてこのように的確な解説を付け加えたのであろう書店員の方たちの仕事にも脱帽です。


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中央は創刊号から第4号までの表紙で、裏表紙には『BELARTO』という欧文雑誌名も認められる。下段左端は「アメリカ海軍の潜航艇」と「ゲオルゲ・グロッス」の漫画を編集部で「モンタジュ」したもの 上段右端は「舞踊<子供の遊び>に於けるシュル・レアリスト・ジオアン・ミロの舞台装置と衣裳と幕」、「アルペンコの女像」など

■かくして国内に届けられた各種先端洋雑誌は、ほぼリアルタイムで国内の各種の雑誌や著作で紹介や引用がなされ、図版もまた引用されたり下敷きにされてきたのは周知の通りですが、外国雑誌の主要な、或いは最も先鋭的な論説や図版だけで雑誌を作ってしまおうという大胆なというか開き直ったというか、いずれにしたもそうしたコンセプトのもとに発行されていた雑誌がこちら、『日本版外国美術雑誌』。いちいち海外へまで転載許可をとっていたとは思えず、当然のようにアウトローな雑誌でありながら、こう真っ向から表明されてしまうといっそのこと気持ちよいくらいのものです。美術分野に限定はしていますが、この分野ひとつとっても英語はもとよりフランス、ドイツ、ロシア、東欧各国等々、諸国言語の入り乱れる先端情報、そこから主要な記事を拾って、しかも日本語で紹介してくれるなんて何て便利な雑誌でありましょう! これはみんなに重宝がられる。そうに違いない。そうなるはず。だったのに。何故か1933(昭和8)年の3月号から6月号まで、4冊を出しただけで廃刊になった雑誌で、今回は全号揃いでの入荷となりました。モホイ=ナギ「新フィルム論」、カッサンドル「美術とポスター美術」、「アンハルトの国粋主義社会党政府による<バウハウスの閉鎖>」を始め先端かつ重要な記事に、キュビスムや構成主義から抽象、そして社会諷刺や身体表現まで目配りした多彩なグラビアを揃えながら、また商機の捉え方としても充分あり得そうに見えながら、しかしたったの4号で早期廃刊となった理由は一体どのあたりにあるのか。先の明治書房のカタログなどと併せて見ると、理由は定価など案外単純なところにありそうな気もするのですが、真相は4冊まとめてご購入される方のご判断にお委ねしたいと思います。やや。それが私? ですか。 …… 充分あり得る。
同じく洋雑誌からの先端情報なども豊富な雑誌『アイシーオール』昭和8年発行・12冊揃 - もご紹介でればと思っていたのですが日月堂も人の子でありました。あまりの眠さに今週はここまで。おやすみなさい!

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