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10/09/25 今度は雑誌の方の『NIPPON』が2冊 / 北園克衛『詩集 サボテン島』は恩地孝四郎による書容構成の予約限定販売170部本


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日本工房の対外広報誌『NIPPON』1937年発行内 画像上段=第11号 表紙は熊田五郎、見開きの濱田庄司・香取秀真の写真は土門拳による 画像下段=第13号 表紙は山名文夫、見開きは巻頭特集より、写真はA.C.P.

■涼しい日なんて永遠やって来ないのではないかと秋を待ち焦がれていたのが今週の初め。それが週半ばにして一転、涼しすぎる日の到来に、今度は、暑いのも満更捨てたものではなかったなんていう考えが頭を過ったりするのですから、誠に人間とは勝手なものです。いやそんなの私だけか。兎も角も、いくら慌てても汗だけはかかなくて済むようになった今週の新着品ご案内です。
最初は名取洋之助率いた日本工房制作による対外広報誌『NIPPON』。今回入荷したのは第11号と第13号の2冊で、発行はともに1937(昭和12)年です。
日本人形をあしらった11号の表紙デザインは - 折本『日本』で燃え尽きてしまう(?)前の - 熊田五郎で、小さく『EXPOSITION  INTERNATIONALE DE PARIS』の副題を添えられた1937年パリ万博の特集号です。ここからは手元にある資料『名取洋之助と日本工房』(2006年 毎日新聞社発行)から引くと ――― 「日本商工会議所会頭・門野九郎のパリ万博(5月開幕)に寄せる言葉を和紙に印刷して挟み込み、国際文化振興会が出品した様々な工芸品の文化的背景を紹介」する内容。当号とその前後しばらくは英・独・仏の3ヶ国語でテキストを表示しているのですが、ここで特記されている門野九郎の言葉についてはフランス語のみでの表記となっています。左の画像にとった中面見開き、被写体は左が濱田庄司、左が香取秀真で、「Nippon Kobo」とのみのクレジットされている写真は、同じ資料から土門拳によるものだと分かります。巻頭言は長谷川如是閑、美術・工芸界から和田三造や六角紫水、この他、林芙美子、村松梢風なども寄稿。また、幻に終わることになる第12回オリンピック東京大会に関する2Pも見られます。産業振興と文化交流に比重が置かれる万博に相応しく、美術・工芸、そして日本文化の紹介に徹した号となっています。
それから5ヶ月後の10月に発行された13号になると、巻頭から戦闘機がトップを飾る日本の航空機特集で、山名文夫のデザインによる表紙も日本列島、台湾、朝鮮半島、そして樺太の真ん中辺りまでが赤線で描かれた地球の図、と、いかにも対外広報誌を最も必要としていた時代らしい主張が全面に。同じ資料を見ると「6頁にわたる「支那事変の意義」に続いて8月14日の日本政府声明を英文で紹介。戦地を伝える写真の撮影者記載はないが、アメリカから直接上海に向かって従軍取材した名取によるものか?」とあり、戸川秋骨、勅使河原蒼風による日本文化紹介、さらに兼常清佐の紹介なんていうちょっと気になる記事など交えながらも、全体として政治的・軍事的な色合いの濃い、つまりその点では、この時代の対外広報誌らしい内容。


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北園克衛著、昭和13(1938)年・アオイ書房発行、書容構成・恩地孝四郎による『サボテン島』より 右下=中面タイトルページ 「島」の文字など書体のユニークさに目がひかれる 左見開き=背景の幾何学的意匠と縦横混じりの本文組版の一例 右上見開き=各章扉の例 不思議な印象の写真が使われる

また、当号にも東京オリンピックに2頁、そして1940年日本万国博についても約1頁が割かれているのですが - オリンピックも万博も、その後たどった経過はみなさますでにご存知の通り、1940年 “世界に冠たる日本” になるはずだった予定は紀元二千六百年“神国日本”へと置き換えられて… 長くなるので今日のところはこの辺で。何しろまだ次、つぎがありますもので。
むむむちよぉーつと油断しただけでまた長くなってしまいました。2点目は真剣に・ごく手短に。北園克衛著、昭和13(1938)年・アオイ書房発行、書容構成・恩地孝四郎による『サボテン島』。この詩集、事前に購入希望の予約を受けた部数だけを発行したもので、実際、扉には「予約限定販売170部の内」と印刷されています。ちなみにその下に個々に記されるシリアルナンバーは当品「50」とキリもよろしいところで。 発行人であるアオイ書房の志茂太郎は、申し込みを受けた分だけ発行してあとは絶版にすると宣言していたということで、確かに市場でも見かけることの少ない本だと思います。アート紙56Pの全頁に、品の良いグレー1色で円、楕円、曲線、直線等を組み合わせた幾何学的図案が何パターンにも変奏されて展開、その上から詩文がスミ1色刷りで、けれど縦組と横組みとの組み合わせで多彩に配置されていく、という構成。また、詩文の区切りとなる章の扉には写真が挿入されます。幾何学的意匠と特徴的なタイポグラフィはアルスでの仕事に、写真の選定と処理は後の『博物志』などにもつながる、実に恩地孝四郎らしい仕事です。残念なことに当品についてはカバーの表紙側と背に欠けがあり、裸本としての扱いとなります。
■今週はこの他、杉浦非水が表紙を担当した昭和初期の『三越』4冊新ロシア美術大観等戦前美術関係書6冊ブロマイド・絵葉書がグレタ・ガルボだけで70枚のコレクションを一括で明日店に入荷、また、戦前の雑誌『広告界』が8冊、先日HPにアップした『帝国工芸』4冊、などが入荷いたしております。猛暑熱暑の心配もなくなってまいりましたところで、みなさまのご来店をお待ちいたしております。

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