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10/01/30 木版多色刷図案集『更紗図案百題』/ 110年前の西欧社会の世界認識を映す大年表


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高橋白扇編、岸版画印刷所発行、昭和4年刊『更紗図案百題』。絵封筒のように見える図案は、染織用のデザインとして起こされた。デザインは表現主義・構成主義的なものから戦後の昭和レトロに先駆けるタッチのものまで、全100図木版多色刷。

■先週、一挙入荷となった『ベデガー』等海外旅行ガイドは棚4段に納めたものの(画面左、「営業日案内」の画像がそれ)、昨年末に「銀座 古書の市」から戻ってきた本のヤマには手をつけられぬまま来週ははや2月。ゆっくりと、自分に合った速度で歩いていけるんじゃないかと思ったのも、古本屋になった動機のひとつだったというのにとぉ~んでもない。1日でいいから店先でのんびり本を読んでみたいという夢がかなうことはあるのだろうか。なんていうつまらぬ希望は食べてけるようになってからねという声も聞こえてまいりまして、兎も角も今週の新着品ご案内です『更紗図案百題』は - 新着品としては昨年12月19日以来となりました - “和”のデザインものです。昭和4年、京都美工で教鞭もとっていたらしい図案家・高橋白扇の編集、京都市麩屋町にあった岸版画印刷所の発行。ほぼB5サイズで木版装の和綴じ。木版多色・片面刷の図案が1ページあたり3点で33ページ。この99図にプラス、図案とタイトルを組み合わせた木版刷の扉を合わせると、タイトルに偽りなく100図となるという次第。扉の1点を除く99点全てが9×4cmに統一された図案のサイズに加え、戦後の昭和レトロに先駆けたようなデザインから表現派、構成主義といったアヴァンギャルド・タッチまで、意匠から見ても「更紗」というには何だか遠く、むしろ絵封筒の図案集といった方が自然な気がします。大体この図案をどうアレンジすれば更紗のような反復図案にしていけるんだろう … と、初めから見直そうと開いた遊び紙にある小さな蔵書印をよくよく見れば「染織図案創作 白雅房」の文字が。白扇=白雅房との可能性もありつつ、しかし少なくとも本気で染織図案として受容もしくは提案されたデザインであることだけは間違いなく、この図案がどう生かされたのか、紙モノならぬ布モノが猛烈に気になってくるのでした。いえいえ。もうこれ以上、古本(ほん!)屋を踏み外す気はありません。のはず。だといいのだけれど。


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『DEACON’S THE SYNCHRONOLOGICAL CHART OF UNIVERSAL HISTORY』は折帖仕立て、全ページを開いていくと5mを越える大年表。右上の世界地図のカラー部分の国と文化の歴史を、左上のアダムとイヴから初め、左下のバベルから枝分かれしていく紀元前の長大な広がりとして描き、中央・キリスト磔刑図以降・残り4.5ページで紀元1~1900年を紹介。右下・18世紀からは気球、天文学など科学・技術が図版の中心を占めるように。

趣きはガラリと変わって、何なんだ? この年表は? 『DEACON’S THE SYNCHRONOLOGICAL CHART OF UNIVERSAL HISTORY』縦54cm・幅38cmのハードカバーに石版多色・片面刷の折帖仕立て全14ページ。折帖をだだだだだぁあっと広げれば縦53cmの全長525cm(5メートル超え!)となる壮観なる世界年表。一見して色が楽しいばかりでなく、愛らしい絵が細かくちりばめられたこの年表、「何なんだ?」というのはこの壮観さもさりながら、アダムとイヴから始まり、バベルの塔まで描かれたバビロンから大分岐を遂げつつ紀元前がずぅーっと続き、10ページ目に磔刑のキリスト像が出てきてA.D.が漸く始ったかと思うと残り4.5ページで1900年までが描かれる。という徹底的にキリスト教、しかもいまから見ればかなり原理主義的内容となっているところにありまして。タイトルには「ユニヴァーサル」と謳われておりますが、この全長5m超にわたって同時代として描かれるのはもちろん西欧および中東とその周辺という、キリスト教並びにキリスト教から見た覇権、宗教的紛争地域までで、アフリカ、アジア、オーストラリアは黒く塗り込められたっきり無視、日本ももちろん無視、そうした史観からすればまだ全然歴史なんて形成されていないということなのか南北アメリカは黙殺。アジアで中国だけが入っているのはチンギス・カン=タタールの脅威があったからでしょうか。刊期の記載はありませんが、1900年で年表が終わっていること、著者であるEDWARD HULL - 当時イギリスの高名な地質学者 - が1917年に亡くなっていることから、20世紀初頭の刊行と思われます。ダーウィンの『種の起源』の発表は1859年で、確かにキリスト教世界では論争もあったにせよ、すでにロンドンやパリでは万博が数度にわたって開催されていた時代、西欧諸国の世界認識というのがけれど一般的にはまだまだこうした段階にあった ……… 65年前に「人間宣言」という事実を年表に残している国に生まれて育った人間がいうのも何かと思いますが、とすればしかし、何だかスゴイなぁ。高名な地質学者=科学者の著作たるこの年表、じっと見ているむしろブラヴァツキー夫人か誰かの手になるもののようにも見えてくるのでありました。ともあれ110年を経たいま、この年表は当時の西欧社会の世界認識・歴史認識を表わすなかなか興味深い資料といえそうです。今週はこの他、1806年のギリシャの銅版画地図類約30点戦前の大阪市街地図と鉄道地図など約10点戦前のヨーロッパ各国の古い切手など、紙モノ中心の新着品となります。いえいえ。もうこれ以上、古本屋(ほん!)を踏み外す気はありません。のはず。だといいのだけれど………。

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