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09/11/28 植草甚一のスクラップと旅の標本 … 古本屋を遠く離れて ?


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植草甚一晩年の直筆書簡と封筒。メッセージと絵の部分は別の紙の貼り合わせ。書簡中、黄色の付箋の下には宛名が書かれています。絵はボールペンの描線に色鉛筆による着色。メッセージ、差出人、宛名など全てボールペンによる直筆。

■欲しいと思うものがない! 今週欲しいと思った一冊、たった一冊が止め札の前に落札できない! しかしだからといってこれでいいのか? 小ぶりのダンボール箱ふたつ、木材がひとしばり、小さな行李ひとつに、桐箱をそれぞれ50cmほどの高さにしばったのが4本。本日落札した品物を塊にして眺めてみれば、こりゃもはや古本屋とはいえないんではなかろうかと、我ながら疑わしくなってまいります。本 → 冊子 → 紙ペラ と、このあたりまでならまだしも、本の“原材料”まで扱う必要が果たしてあるのだろーか? 先週の鉛筆も本の原材料の一環といえばいえそうだし。移転の際に本棚ではなくキャビネットを増やしたのは正解だったけれどしかし。ううむ。到底古本屋とは思えない本日落札の“塊”とは別に、大切にカバンに仕舞って持ち帰ったのがこちら。封筒に「Aug 19 ‘79」と記された、植草甚一が編集者に宛てて出した絵入りの直筆書簡1通です。住所にある「伊豆韮山温泉病院」はこの年の春、病に倒れた植草の療養先の病院で、文面には「原稿七枚は内容が内容だけに、没の覚悟はしております。ぼくとしては頭もボケているのに七枚書けただけでもいいと思っていますが、お見せするのがイヤになりました。」とあります。絵のタイトルは「じぶんの原稿のImpression」。心筋梗塞と脳梗塞の併発という大病後にも関わらず、筆跡や描線にはその痕跡が認め難い一方で、文面には、やはり思うに任せないことからくる悔しさや淋しさがにじみます。画像では判然としないと思いますが、絵の部分は文面とは別の紙に描いて貼り合わせたもので、植草自身によるスクラップ作品とでもいいましょうか。植草甚一の逝去はこの手紙を書いてから約3ケ月半後の1979年12月2日のことでした。短い文面の行間には、もしかしたらもっと他の、もっと多くの何かが書かれているのではないかと、目を凝らしたくなる1通の手紙です。


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エアラインに勤務、1950~70年代にかけて世界各国を駆け回った方の残した記録「旅の標本」。レシート、半券、スタンプなど、何気ない紙モノに残された多彩なデザインも魅力。もこうした紙モノのなかには近い将来、姿を消すものも出てきそう。

新着品、といっても今月上旬に値付け次第店頭へ宣言をしていながら、作業が滞っていたものから(何しろ今週、他が簡単に持ち帰れないものばかりだったもので)。これまで戦前・戦後の渡航者の残した紙モノはかなり沢山扱ってきたとは思うのですが、パンフレットや地図などきれいな紙モノは残しても、もっと日常的かつ何気ない紙モノまで保存される方はつくづく稀有だと思っておりましたところ、が、やはりいらっしゃいました。1950~1970年代、世界各地を飛び回った元航空会社勤務の方の旧蔵品からは、レシート、換金記録、切符、半券など、ほんとうに何でもない、けれどそれがあるからこそ、その人だけが体験した“旅”を辿ることのできる紙モノがたくさん出てきました。こうなると無造作にむしられた半券の1枚まで大切に思えてきて、ひとつひとつを標本としてみたのが今週2点目の新着品、題して「旅の標本」(……まんまですけどそこはひとつ)。エンパイア・ステート・ビルの展望台入場券、ドジャース・スタジアム観戦チケット、「BALCONY」と記されたオペラの半券、穴の開けられたメトロのチケット、ホテルやモーテルの清算書、パリ・オルリー空港免税店でのレシート、通貨購入時各国銀行が発行した書類、質素なエアフラやルフトハンザの航空券、そしてコンコルドの搭乗券も1枚、全部で決済書類を入れるような箱でちょうど1箱分となりました。鉄道切符はカード化され、ハコによってデザインの異なった観劇・観戦チケットは予約システムによって味気ないものに変わり、レシートや領収証の類は感熱紙に代わって印字は自然消滅し…さまざまな表情を持ち、事実を記録し、記憶を支えてきた紙が、これからますます日常から消えていくのは必定。であれば近い将来、こうした紙たちも立派な“標本”になるに違いないと思うのは単なる紙モノ馬鹿のなせる技に違いないのでありましょうか。新着品はこの他、先々週の続き、まさかのお茶関係広告・商標の今度は版木ばかりが約50点洋モノのデザイン絵ハガキ1箱分浦島太郎や花咲爺のジオラマ仕立て・キッチュでポップな日本人形14セット(内数点「松屋謹製」とあるので年末の即売会用の心積もり)などが今週の新着品です。しかしそろそろ本も買わないとアイデンティティの危機感を覚える11月。あっ。でも。先週入荷の舞台・舞踊、美術等芸術関係書籍約50冊、同じく人文関係書が20冊ほどの、“久しぶりの正統派書籍”はすでに棚に入っております。この程度で威張る古本屋が他にどこにおりましょうか。いやまてよ。やっぱり古本屋じゃないのかウチって…???

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