■先週末、オープニング記念・展示販売企画「事件を起こせ! 1950s~1970s 戦後日本・前衛美術の青春期」の出品リストを誠に勝手ではごさいますが約200名の方にのみご送付させていただきました。店のオープン企画という性質上、あくまで出品商品の一部を先にお知らせするもので、図版なし、価格記載なしとさせていただいております。すでにお問い合わせ等頂戴いたしておりますが、初日に全点展示、店頭販売優先となります旨、予めご了解賜りますようお願い申し上げます。尚、事前にお申し込みをいただきました商品で、初日終了時点で在庫がありました商品につきましては、在庫状況・お取引条件等こちらからご連絡させていただきます。移転期間中で連絡等とりにくく、ご返信が遅れる場合がございますが、この点何卒ご容赦の上、お目に留まるものなどございましたらお問い合わせ下さいませ。何卒よろしくお願い申し上げます。
■10月8日(木)、内装施工のほとんどが整い、無事引き渡しとなりました。画像は明日からの棚入れ・陳列を待つ店内の様子の一端です。いまは細かいことを書くのは差し控えますが、この一週間、とりわけ7日、8日の二日間は、設計をお願いした建築家・古谷清寿さんから「佐藤さん、ちょっと見てきて下さい」といわれ、207号室と205号室との間の23歩の距離を移動する度に、驚きの連続でした。たった23歩の距離を歩く度に、けれどその距離は途轍もなく大きな距離となってゆきました。私が判断に迷っている時、やはり建築家の古谷玲子さんがいつも、「それでいいと思います」という力強い言葉で背中を押して下さいました。曇りひとつなく磨き上げられた窓越しには、台風一過の青空が清々しく広がっています。これまでの倍ほどに間口が転がった移転先のベランダ側では、根津美術館の新築オープンで借景まで整いました。施工業者さんの引き渡しが終わった後も、ひとり夜半まで残って納得のいくまで手を入れ続けて下さった清寿さんが、いよいよ帰路につかれた背中は、どこか寂しげに見えたのは私の感傷なのかもしれません。けれど、知識と知恵と体験に基づく創造によってかたちづくられたものが、出来あがった途端に全て人の手に渡ってしまう建築家というお仕事は、思えばどこか切ないものだと、今回初めて気付かされました。生まれたばかりのこの空間が、最も美しい瞬間とは、しかしこちらが手を入れる前の、誰もいない・何もない・いまこの一瞬以外の何時でもないと、私にはそう思えます。オープン当日まで、移転先の完成に近い店内画像はアップしない予定でいたのを、急遽変更しての今回の更新は、トルク一級建築士事務所・古谷清寿さん・古谷玲子さん、並びにこの小さな店づくりのために力を注いで下さった沢山の誇り高き職人の皆様へのせめてもの御礼にと考えたからです。といったところでしかし、常に最低限の予算で最大限の要求をつきつけた施主からの、またしても随分と安直な御礼となりました。ほんとうにすみません。魂には魂でしか応える術はない-というのは我ながら言い訳めいておりますが(…いや言い訳でしかないか)、明日の朝からは、今度は私が、この店に精一杯の手と眼とを配ることをお約束いたします。
■10月12日(月)12時、205号室のオープンでは、企画展より以上に、入ってすぐにキッチン、反対側に浴室・トイレが並ぶという店には到底向かない改装前の空間が、どのように鮮やかに変えられたかをはじめ、先ずは見事な空間-実際には、画像の数十倍の仕上がりです-を一人でも多くの方にご体験いただければと存じます。みなさまのご来店を、心よりお待ちいたしております。